ギャング・オブ・ニューヨーク
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ギャング・オブ・ニューヨーク (2001)
GANGS OF NEW YORK
 映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の主なキャスト
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』のあらすじ
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』のスタッフとキャスト
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の結末
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク 』のポスター、予告編および映画データ
ギャング・オブ・ニューヨーク
ギャング・オブ・ニューヨーク
Links:  Official Web Site
Trailers: Official Web Site
上映時間 Runtime: 2:46
製作国 Country: アメリカ/ドイツ/イタリア/イギリス/オランダ
USA / Germany / Italy / UK / Netherlands
製作会社
Production Company:
Miramax Films [us]
Initial Entertainment Group (IEG) [us]
全米配給会社 Distributer: Miramax Films [us]
Miramax Home Entertainment [us]
全米初公開 Release Date: 2002/12/20
日本初公開 R. D. in Japan: 2002/12/21
日本公開情報 : 松竹=日本ヘラルド映画
ジャンル Genre: 犯罪/ドラマ/ロマンス
Crime / Drama / Romance
MPAA Rating 指定: Rated R for intense strong violence, sexuality/nudity and language.
日本語公式サイト
http://www.gony.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の解説

 映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』は、ニューヨークの町に思い入れの深いマーティン・スコセッシ監督(『 タクシードライバー (1976) TAXI DRIVER 』『 グッドフェローズ (1990) GOODFELLAS 』等)が 9700 万ドル( 1 ドル= 120 円換算で約 116 億円)もの製作費を投じて描いたニューヨークの創世記。 2001 年 9 月 11 日のアメリカ同時多発テロの影響で、『 ギャング・オブ・ニューヨーク  』公開が 1 年延期されたことも話題になった。

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■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』の主なキャスト

●レオナルド・ディカプリオ as アムステルダム・ヴァロン
ロミオ&ジュリエット (1996) WILLIAM SHAKESPEAR'S ROMEO & JULIET / ROMEO + JULIET
タイタニック (1997) TITANIC
仮面の男 (1998) THE MAN IN THE IRON MASK
ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン (2002) CATCH ME IF YOU CAN
アビエイター (2004) THE AVIATOR 』等に出演
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 (仮題) (2004) THE ASSASSINATION OF RICHARD NIXON 』製作総指揮等。
 この『 ギャング・オブ・ニューヨーク  』のために体を鍛えたというレオ様の胸板は厚かった! 『 ギャング・オブ・ニューヨーク  』の主演に、ロバート・デニーロ(『 RONIN (1998) RONIN 』『 アナライズ・ユー (2002) ANALYZE THAT 』等)が監督にレオナルド・ディカプリオを推薦したという。

●ディカプリオ演じる青年アムステルダムの仇、ビルを演じるダニエル・デイ=ルイスは、英国アカデミー賞の主演男優賞などに輝く、流石の演技力だ。

●キャメロン・ディアス as ジェニー
チャーリーズ・エンジェル (2000) CHARLIE'S ANGELS
シュレック (2001) SHREK
クリスティーナの好きなコト (2002) THE SWEETEST THING
マイノリティ・リポート (2002) MINORITY REPORT
チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE
シュレック2 (2004) SHREK 2

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■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク GANGS OF NEW YORK 』のあらすじ

 『 ギャング・オブ・ニューヨーク  』のストーリー。 1846 年、アイルランド人を中心とする移民グループ”デッド・ラビッツ”とアメリカ生まれ人々のグループ”ネイティブズ”がニューヨークの貧民街ファイブ・ポインツの支配権をめぐって、壮絶な戦いを行った。デッド・ラビッツのリーダー、ヴァロン神父(リーアム・ニーソン:『 K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER 』等)は、敵のリーダー、ビルに殺される。父の死を目の当たりにしたアムステルダム少年は、16 年後、復讐を胸にファイブ・ポインツへと戻ってくる…。
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【『 ギャング・オブ・ニューヨーク 』のスタッフとキャスト】
監督: マーティン・スコセッシ Martin Scorsese (Directed by)
製作: アルベルト・グリマルディ Alberto Grimaldi (producer)
    マーティン・スコセッシ Martin Scorsese (producer)
製作総指揮: マウリツィオ・グリマルディ Maurizio Grimaldi (executive producer)
    マイケル・ハウスマン Michael Hausman (executive producer)
    ハーヴェイ・ワインスタイン Harvey Weinstein (executive producer)
脚本: ジェイ・コックス Jay Cocks (story & screenplay)
    ケネス・ロナーガン Kenneth Lonergan (screenplay)
    スティーヴン・ザイリアン Steven Zaillian (screenplay)
撮影: ミヒャエル・バルハウス Michael Ballhaus (Cinematography by)
美術: ダンテ・フェレッティ Dante Ferretti (Original Music by)
衣装: サンディ・パウエル Sandy Powell (Costume Design by)
編集: セルマ・スクーンメイカー Thelma Schoonmaker (Film Editing by)
音楽: エルマー・バーンスタイン Elmer Bernstein (Original Music by)
    ハワード・ショア Howard Shore (Original Music by)
主題歌: U2 U2  ♪ The Hands That Built America ♪ (Original Music by)

出演: レオナルド・ディカプリオ Leonardo DiCaprio as Amsterdam Vallon アムステルダム・ヴァロン
    ダニエル・デイ=ルイス Daniel Day-Lewis as William 'Bill the Butcher' Cutting ウィリアム・カッティング
    キャメロン・ディアス Cameron Diaz as Jenny Everdeane ジェニー・エヴァディーン
    ジム・ブロードベント Jim Broadbent as William 'Boss' Tweed ウィリアム・トゥイード
    リーアム・ニーソン Liam Neeson as Priest Vallon, Amsterdam's Father ヴァロン神父
    ヘンリー・トーマス Henry Thomas as Johnny Sirocco ジョニー
    ブレンダン・グリーソン Brendan Gleeson as Walter 'Monk' McGinn モンク
    ジョン・C・ライリー John C. Reilly as 'Happy' Jack Mulraney ジャック
    ゲイリー・ルイス Gary Lewis as McGloin マックグロイン
    ロジャー・アシュトン=グリフィス Roger Ashton-Griffiths as P.T. Barnum P・T・バーナム
    デヴィッド・ヘミングス David Hemmings as Mr. Schermerhorn スキャマホーン氏
    バーバラ・ブーシェ Barbara Bouchet as Mrs. Schermerhorn スキャマホーン夫人
    ラリー・ギラード・ジュニア Larry Gilliard Jr. as Jimmy Spoils ジミー・スポイルズ

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第01段落】  ただ掘られただけの薄暗い地下室で男がナイフで髭をそっている。男がわざと切った頬から赤い血が見える。緊迫するその一瞬一瞬をじっと見つめるのは、彼の幼い息子。小さな息子がそのナイフの血を拭こうとすると、男は止めた。” The blood stays on the blade, son. (血が刃に残るだろ。)”

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第02段落】  男はアイルランド移民たちのグループである”デッド・ラビッツ”のリーダーであるヴァロン神父(リーアム・ニーソン:『 シンドラーのリスト (1993) SCHINDLER'S LIST 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』『 ラブ・アクチュアリー (2003) LOVE ACTUALLY 』等)。神父は愛する息子に大天使ミカエルのメダルのついたペンダントを渡した。聖書の中に4回登場するという大天使ミカエルは、キリスト教で4つの役目が与えられている。1つは、悪魔と闘うこと。天使の軍団長である大天使ミカエルは、悪魔の象徴である竜を打ち倒し、地上に追放した。2つは、特に死の時において敵の力から忠実な人々の魂を救済すること。3つは、神の人々や、ユダヤ人、新約聖書のクリスチャンたちの擁護者であること。4つは、最後の審判を迎えた日の魂を癒すことだ。中世騎士から保護者であると考えられ、兵器や秤に関連した職業を発展させたとされる大天使ミカエルは、キリスト教関連の書物の中では、剣と秤(はかり)を持った姿でよく描かれている。(幸のエッセイ「シャイな幸の独り言」の『モン・サン・ミッシェル』を参照)

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第03段落】  ヴァロン神父は息子の手とケルト十字架 Celtic Cross を持って、移民の貧民窟となっている”オールド・ブリュワリー Old brewery (古い醸造所)”の中を威風堂々と歩く。二人の後を、戦いのために異様に武装した者たちが続く。扉のところで大きな棍棒を持つ強そうな男が立っている。一人殺すごとにその棒に刻み目を入れているその男に、神父は刻み目ごとに 10 ドル(当時のドルの価値が分からないので、円換算はしません。)払うと約束した。デッド・ラビッツ側で戦うことを決めた男が扉を開けると、パラダイス・スクエアは雪で真っ白だった。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第04段落】  大天使ミカエルは天国から悪魔を追い出した。ヴァロン神父たちは、これからこのパラダイス・スクエアで戦う。彼らが追い出したいのは”ネイティブズ”。”ネイティブズ”とは、アメリカの先住民 natives はインディアンなのに、自らを”ネイティブズ”と呼ぶ入植者の子孫のグループである。マルベリー・ストリート、ワース、クロス、オレンジ、リトル・ウォーターの5つの通りの接点であるファイブ・ポインツの支配権を巡る争いに今日決着がつけられるのだ。”デッド・ラビッツ”が広場の端に並ぶと、反対側から現れたのは、”ネイティブズ”のリーダー、ビル・カッティング(ダニエル・デイ=ルイス:『 眺めのいい部屋 (1986) A ROOM WITH A VIEW 』『 マイ・レフトフット (1989) MY LEFT FOOT 』『 父の祈りを (1993) IN THE NAME OF THE FATHER 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)。シルクハットと腰に青い帯を巻き、カイゼル髭に左目が義眼の奇妙な細身の男だ。彼の背後から同じようにシルクハットと青い帯の男たちが大勢出て来る。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第05段落】  数で劣っているように見えるデッド・ラビッツだったが、貧民街ファイブ・ポインツに集まるアイルランド移民の他のグループが続々と現れた。戦いの火蓋が切って落とされ、両勢力が突撃し合う。斧や鉈のようなものを持って、原始的に殺戮しあう人々のシーンにちょっと圧倒。爆弾で一気に死んでしまう今の戦争と、人と人がぶつかり合う昔の戦争で、どっちが悲惨かを比べることはできないけど、こういう戦いの仕方ってめちゃ怖い。そして残虐シーンのクライマックス。ヴァロン神父がビルのナイフに倒れた。戦いの終了を告げる笛の音と勝利を告げるビルの叫び声がパラダイス・スクエアに響く。父に駆け寄る幼い息子。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第06段落】  ビルは、「殺せ。」と言った神父に止めを刺し、そのナイフを彼の手に握らせた。ビルは敵でありながらもヴァロン神父に敬意を持っていた。神父の死を名誉の死とし、このままの姿で埋葬すると皆に宣言する。さっき、神父から殺人を一人につき 10 ドルで請け負った男が、約束の金をもらうと、神父の懐に手を入れた。ビルも約束は仕方がないと認めた。小さな息子はそれを止めようとするが、どうしようもない。父を失った子供にビルは言った。「俺を見ろ。」『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』で、ユマ・サーマン演じるブライドが、殺した昔の仲間の娘に「大人になったら私に仇討ちに来なさい。」みたいな事を言ったけど、これもそういうことかなぁ。ビルは仲間にこの息子を役人に渡して教育を受けさせるようにと指示した。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第07段落】 神父の息子は気丈だった。父の手に握らされたナイフを奪って振り回してその場を逃げ、オールド・ブリュワリーの中の地下室の地面にそのナイフを埋めた。ビルへの復讐を誓って…。少年はニューヨークのブラックウェル島 Blackwell Island にあるヘルゲート Hell Gate 少年院へ送られた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第08段落】  以上は、1846 年、ニューヨーク市の出来事。 1840〜1860 年代は、アメリカ合衆国にヨーロッパからの移民の第一波が押し寄せた時代。イギリスやドイツ、スウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧からの移民、そして、本作『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』で描かれるアイルランド移民である。 1840 年代後半のジャガイモ飢饉により、多数のアイルランド人がアメリカに移住した。 1846 年は、その大勢のアイルランド人が大西洋を渡り始めた年である。母国アイルランドでは、それから 10 年間に人口が4分の1まで減少したというから、物すごい数の移民だ。しかし、希望を胸に目指した新大陸であったが、 WASP (ワスプ White Anglo-Saxon Protestant アングロ-サクソン系白人で、かつプロテスタントであること。アメリカ社会の主流を構成する典型とされた。)が主流を成すアメリカで、宗教〔カトリック〕や民族〔ケルト人〕、生活習慣などの違いにより、アイルランド移民は、白人でありながら黒人や中国人と同様の差別を受けた。祖国アイルランドは 1800 年にイギリスに併合。大勢の元イギリス人が支配する国で、アイルランド人の苦難は続いた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第09段落】  ファイブ・ポインツ Five Points は、19 世紀ニューヨークの最も悪名高いスラム街。5本の通りの交差点となることからその名が付けられた。アメリカで一旗あげようと奮闘する貧しい移民たちで混み合う安アパートが犇(ひしめ)いていたその場所付近には、現在、連邦裁判所などが建っている。その一帯のフォーリー・スクエア the Foley Square の開発が行われたときに、ファイブ・ポインツの遺跡が現れ、考古学者による調査が行われた。 1992 年に調査が一応終了すると 、世界貿易センター World Trade Center に考古学研究所が設立され、出土品などが納められた。映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』もそれらの出土品を映画の中で 85 万点も使用しているそうだ。映画の中に登場するそれらの品々は、ほんの数点だけを残して、 2001 年 9 月 11 日に永遠に失われた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第10段落】  16 年後、成長したヴァロン神父の息子アムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、ヘルゲート少年院から出所し、ファイブ・ポインツへと戻ってきた。少年院があったブラックウェル島は、ニューヨーク市のイースト・リバー the East River, New York City にある島で、現在はルーズヴェルト島 Roosevelt Island (『 スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN 』で、最後にスパイダーマンとグリーン・ゴブリンが戦った場所)と呼ばれている。 16 年間、ブラックウェル島で過ごしたアムステルダムには、もうアイルランド訛りは無くなっていた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第11段落】  1863 年のアメリカは、南北戦争 the Civil War ( 1861-65 年のアメリカ合衆国の内乱。奴隷制大農場を基盤とする南部諸州と商工業が盛んで奴隷制に反対する北部諸州の利害の対立から戦争に発展。北軍の勝利で奴隷解放は実現したが、黒人差別問題は残された。)に揺れていた。(『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』参照) その年の 1 月に発効された奴隷解放宣言と、 3 月に連邦政府が発布した徴兵法案に、北側でありながらファイブ・ポインツの住人は反対だった。なぜなら人は自分の下を作りたいもの。虐げられた白人であったファイブ・ポインツの人々にとって、黒人が奴隷制から解放されるのは歓迎できない。それよりもっと不満を感じるのは、徴兵制だ。南北戦争がニューヨークの町にまで広がることは無い。日々の生活だけで大変なのに、お金持ち連中の都合で振り回されてたまるかという気持ちがある。それにこの制度を決めたお金持ちたちは、 300 ドルで兵役を免れているのだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第12段落】  映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』は、ハーバート・アズベリー Herbert Asbury ( 1889-1963 )のノンフィクション「 THE GANGS OF NEW YORK : An Informal History of the New York Underworld 」( 1928 )を基にした作品。アズベリーは、新聞記者として活躍した後、犯罪や宗教的偽善をテーマに 18 世紀後半から 20 世紀前半にかけてのアメリカの暗い部分を描き出したドキュメント作品を発表した。映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』は、脚本家のジェイ・コックスにより、アズベリーの作品とフィクションを織り交ぜた内容になっていて、実際は時代を異にした、主な4人の実在のキャラクターが登場する。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第13段落】  ダニエル・デイ=ルイス演じる、ファイブ・ポインツを仕切るウィリアム・カッティングもその一人。同じように”ビル・ザ・ブッチャー”と呼ばれたウィリアム・プール William Poole ( 1821-1855 )という実在の人物がモデルとなっている。イギリス人の家系に生まれたウィリアム・プールは、父の後を継ぎ、ワシントン・マーケット Washington market でお肉屋さんを営んでいた。そして、ワシントン・ストリート Washington Street のギャングのリーダーでもあり、また、ハドソン・ストリート Hudson Street やクリストファー・ストリート Christopher Street で消防活動にも従事していた。本物のビルは義眼をはめてはいなかったが、ダニエル・デイ=ルイスが演じたように、黒い髪と大きな口髭が似合うハンサムで、ナイフ捌(さば)きの腕は一品だったそうだ。しかし、数人の人間を傷つけたことはあっても、直接殺人を犯したことは無かったらしい。また、独り者だったカッティングとは違い、彼には妻も息子もいた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第14段落】  プールの一家はホイッグ党 the Whig party (現在のアメリカ共和党 the Republican party の母体となった政党)の党員だった。奴隷制問題で分裂したホイッグ党の一派は、反移民のノウナッシング党 the Know-Nothing party やネイティヴ・アメリカン党 the Native American party (アメリカ党 the American party としても知られる)へと流れた。これらの二つの政党は、移民に溢れるニューヨーク市では人気があり、プールは 1851 年頃にネイティヴ・アメリカン党へと移った。彼のワシントン・ストリートのギャング・グループは、脅しや暴力を使って党に貢献し、選挙の投票日には、投票者を”説得”するという重要な役割を担った。ビルはウィリアムの愛称だけど、”ビル・ザ・ブッチャー Bill the Butcher (肉屋に請求書を送れ。※ bill には「〈人に〉勘定書き[請求書]を送る」という意味もある。)”という呼び名は、全てを清算するギャングのリーダーにはピッタリだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第15段落】  侮辱されるとブチ切れたウィリアム・プールは、ラフ・ファイターとして名を馳せる様になり、対戦相手に物すごい傷を負わせることもあった。 1854 年 7 月、タマニー派 Tammany ( 1789 年、ニューヨークに設立された民主党の政治結社)の下で働くアイルランド人の有名なプロボクサー、ジョン・モリッシー John Morrissey と対戦し、勝利する。ところが、モリッシーとその友人はプールの殺害を画策し、 1855年 2 月 25 日、プールはモリッシーの友人のルー・ベイカー Lew Baker に撃たれて死んだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第16段落】  映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』で描かれた実在の人物をモデルとしたキャラクターで、一番当人に近い人間像なのが、オスカー俳優のジム・ブロードベント(『 リトル・ヴォイス (1998) LITTLE VOICE 』『 アイリス (2001) IRIS 』( 2002 年アカデミー助演男優賞)『 ブリジット・ジョーンズの日記 (2001) BRIDGET JONES'S DIARY 』『 ムーラン・ルージュ (2001) MOULIN ROUGE! 』『 80デイズ (2004) AROUND THE WORLD IN 80 DAYS 』『 ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12カ月 (2004) BRIDGET JONES: THE EDGE OF REASON 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)が演じたウィリアム・トゥイードだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第17段落】  ウィリアム・マーシー・トゥイード William Marcy Tweed ( 1823-1878 )は、ニューヨーク市政を乱した民主党の一派であるタマニー派の指導者。記帳係だった彼は、ボランティアの消防員、市会議員とトントン拍子に出世し、 1857 年までにはタマニー派の中で力を持つようになっていた。タマニー派の議長や役員長として、”ボス”・トゥイードは、市の民主党内で絶対的な権力を得た。 1868 年には州議会議員になり、州政治へと影響を拡大する。トゥイード・リング the Tweed Ring と言われる、市の上役たちにより、何の障壁も無く市政が操られた。彼らは少なくとも 3000 万ドルを市から横領し、贅沢な税収入も得ていた。票は公然と買われ、不正な投票方法も用いられた。市の裁判官も汚職にまみれた。それでもトゥイードは貧困層に気前よく慈善活動を行い、人気を維持した。映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』でも、票稼ぎのために、アメリカに到着したばかりの移民たちに接するトゥイードが描かれている。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第18段落】  しかし、おごれる人も久しからず。トゥイードが失脚した直接の原因は、大量の収賄の証拠をつかんだニューヨーク・タイムズ the New York Times の記事。新しい郡の記帳係であったM・J・オルーク M. J. O'Rourke が暴露したのだ。ついにトゥイードは重罪の疑いで裁判にかけられたが、陪審員は評決に達することができなかった。別の裁判で、トゥイードは有罪になり、 12 年の懲役を宣告されたが、上級裁判所で減刑され、 1 年間服役した。他の罪でもう一度逮捕されたトゥイードは、キューバ Cuba やスペイン Spain に逃亡するが、アメリカに引き渡された。その 2 年後の 1878 年、トゥイードは刑務所の中で波乱の人生に幕を閉じた。こう書くと、まるで極悪人のトゥイードだが、ジム・ブロードベントが演じると、人間味のある面白い人物になるから不思議だ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第19段落】  実際には、ビルとトゥイードには接点はなさそうだが、映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』では、彼ら二人は手を組む。トゥイードは貧困層の人々を操作するために、ビルの暴力を利用するのだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第20段落】  ファイブ・ポインツに戻ったアムステルダムが最初に行った場所は、オールド・ブリュワリーの以前暮らしていた地下室。そして、埋めたナイフを祈りをこめて取り出した。そんな時、二人の若者がアムステルダムに襲い掛かろうとする。一人はアイルランド移民で、少年の頃の友人であるジョニー(ヘンリー・トーマス)、もう一人は黒人青年のジミー(ラリー・ギラード・ジュニア)だ。アムステルダムはすごく強くて、不利な形勢を逆転させる。ジョニーは、そんなアムステルダムがヴァロン神父の息子だと気付いた。二人はまた以前のように仲良くなる。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第21段落】  ジョニーは青年アムステルダムに昔より活気付いたファイブ・ポインツを案内し、町に多く存在するアイルランド系のギャング・グループの解説をする。今、ビルが支配するファイブ・ポインツの町では、”デッド・ラビッツ”とヴァロン神父の名前を口にするのはご法度だ。そんな時、魅力的な女性のジェニー(キャメロン・ディアス)が二人に近づいてきた。彼女は腕利きのスリで、この時もジョニーから時計を掏(す)った。でも、ジョニーはそんなこと構わない。なぜならジョニーはジェニーのことが好きだから。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第22段落】  「火事と喧嘩は江戸の華」と言うが、ファイブ・ポインツもそうみたい。”消し口争い”(最初に消火にとりかかる場所を奪い合って争うこと。)のようなことがあるのだ。トゥイードの消防団と、別の地区の消防団が争って消火作業そっちのけで喧嘩をする。その上、ファイブ・ポインツでは、燃え落ちるまで、建物の中で盗みを働くのは、当たり前。危険を顧みずに人々は燃え盛る家の中に入っては、物を盗むのだ。アムステルダムはジョニーに誘われ、盗みに参加。ところが、ジョニーが火に包まれ大ピンチ。アムステルダムは毛布のようなものを被って、炎の中に飛び込み、ジョニーを救った。そんなファイブ・ポインツでは珍しい、アムステルダムの英雄的行為が、消防団を率いてやって来ていたビルの目に留まった。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第23段落】  映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』では、上記のように、当時のファイブ・ポインツの人々の様子もよく描かれている。ニューヨークという町への監督の深い思い入れが分かるし、アメリカの歴史に興味がある人にとっては、とても楽しい作品だと思う。犬がねずみを何匹殺すかという賭博ゲームがあったりするのには、驚いた。また、誰かから切り取ってきた耳を酒場で渡して、お酒を飲む女の人〔元デッド・ラビッツのヘンな女性〕がいたけど、何のために耳を切っていたのだろう?耳ってお酒と交換できるくらいに価値のあるもの?挿入されていた当時の流行歌もよかった。ダンスパーティーや港でのボクシングの試合の様子、P・T・バーナム(ロジャー・アシュトン=グリフィス:『 ロイヤル・セブンティーン (2003) WHAT A GIRL WANTS 』『 ブラザーズ・グリム (2005) THE BROTHERS GRIMM 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)のサーカスの存在など、日本の江戸時代末期ごろ、アメリカはこんな感じだったんだなぁと、”へぇ〜”ボタンを押したい感じ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第24段落】  19 世紀のニューヨークの町は、スコセッシ監督のルーツであるイタリアはローマのチネチッタ・スタジオに作り上げられた。ここは、フェデリコ・フェリーニ Federico Fellini 監督やヴィットリオ・デ・シーカ Vittorio De Sica 監督等が数々の名作を作り出した、イタリア映画の原点ともいえる撮影所。ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore 監督の『 海の上のピアニスト (1999) THE LEGEND OF 1900 』等もここで撮影された。ウソかホントか知らないけど、ここを訪れたジョージ・ルーカス George Lucas 監督が、このセットならコンピュータでできるよとスコセッシ監督に言ったとか…。とはいえ、ここまでのセットを作り上げたのは、やはりスコセッシ監督のニューヨークへの愛だろう。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第25段落】  アムステルダムとジョニーは、火事での盗品を持って、ジョニーが所属するギャング・グループがたむろする店へ行った。盗品は、まずファイブ・ポインツを仕切るビルの”ネイティブズ”に一部上納した後、仲間内で平等に分配するらしい。アムステルダムが、エラそうな口を叩いた、そのグループの男と喧嘩しかかったとき、そこへ警官が入ってきた。アムステルダムには、その警官の顔に見覚えがあった。父が殺されたあの日、デッド・ラビッツのメンバーとして戦った男だ。その男、ジャック(ジョン・C・ライリー:『 ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS 』『 シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE 』『 マグノリア (1999) MAGNOLIA 』『 25年目のキス (1999) NEVER BEEN KISSED 』『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』『 グッド・ガール (2002) THE GOOD GIRL 』『 シカゴ (2002) CHICAGO 』『 N.Y式ハッピー・セラピー (2003) ANGER MANAGEMENT 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)は、今はビルの息がかかった、腐敗した警官になっている。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第26段落】  このジョン・C・ライリー演じる、”ハッピー”・ジャック・マルレイニー 'Happy' Jack Mulraney も実際に存在した人物らしい。実際の”ハッピー”・ジャック・マルレイニーは、ゴーファーズ the Gophers の激しやすい凶悪なメンバーで、顔の筋肉が部分的に麻痺していたため、ずっとニヤニヤ笑っているように見えたそうだ。だから”ハッピー”・ジャックなんだろう。でも、映画のジャックは普通の顔だった。本物のジャックは、顔の麻痺をとても気にしていて、彼の顔について何気なく話してしまった酒場の主人を殺してしまったことがあるらしい。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第27段落】  毎年、ビルは、ヴァロン神父の命日に、ファイブ・ポインツのアイルランド移民ギャングの中で最大の勢力を誇ったデッド・ラビッツを打ち負かしたことを記念して、モット・ストリート Mott Street (現在ニューヨーク中華街の中心的な通り)の中国人が経営する店に招待客を呼んで、パーティーを開いていた。アムステルダムは、その日にビルを暗殺しようと心に決めた。アムステルダムは敵を知るため、ジョニーが上納金を渡しにビルのいる酒場を訪れるのに付いて行った。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第28段落】  ビルはファイブ・ポインツに君臨するカリスマ。アムステルダムは(というか観客も)、その雰囲気に圧倒される。ダニエル・デイ=ルイスは、役作りのためにエミネム Eminem (『 8 Mile (2002) 8 MILE 』等)の音楽を聴いたのだとか。また、セットにいないときでさえも、ビルのアクセントで話していたらしい。映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』で俳優たちが話していた 19 世紀のニューヨークのアクセントは、推測して作り上げられたものだそうだ。ダニエル・デイ=ルイスの出演作品が少ないのは、物すごい集中力で役作りを行うので、彼には長い休暇が必要となるからだとレオナルド・ディカプリオが語っている。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第29段落】 ビル・カッティングの役には、ロバート・デニーロ Robert De Niro (『 アバウト・ア・ボーイ (2002) ABOUT A BOY 』製作『 ハイド・アンド・シーク/暗闇のかくれんぼ (2005) HIDE AND SEEK 』出演)やウィレム・デフォー Willem Dafoe (『 スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN 』『 ファインディング・ニモ (2003) FINDING NEMO 』『 レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード (2003) ONCE UPON A TIME IN MEXICO 』等) も考えられていたそうだ。また、もし初めて『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』の映画化が考えられた 1978 年に実現されていたなら、アムステルダムはロバート・デニーロだっただろうとも。イタリア系アメリカ人と思われているけど、先祖はアイルランド人だそうだから、ヘンじゃないんだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第30段落】  アムステルダムはビルの酒場に、父ヴァロン神父の肖像画が飾られているのに気づいた。ビルは今でもヴァロン神父に敬意を抱いていたのだ。また、アムステルダムは昔はデッド・ラビッツだったのに、今はネイティブズに寝返っている男マックグロイン(ゲイリー・ルイス:『 リトル・ダンサー (2000) BILLY ELLIOT 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)を見た。複雑な心境のアムステルダムだが、もちろんビルは彼がヴァロン神父の息子だとは気づかない。
ビル: What's your name boy? (名前はなんと言うんだ?)
アムステルダム: Amsterdam.(アムステルダム。)
ビル: Amsterdam? I am New York.(アムステルダム?俺はニューヨークだ。)

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第31段落】  ヴァロン神父はどうしてゲルマン系のオランダ the Kingdom of the Netherlands の首都の名前を息子に付けたのだろう?それとも本来の名前があるけど、素性を隠すためにこういう名前を騙(かた)っているのかな?(因みにニューヨーク市の前身はニューアムステルダムと呼ばれていた。)

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第32段落】  火事のときに、アムステルダムがジョニーを助けたのを見たビルは、アムステルダムに対する心象が良いようだ。ビルは新参者の青年を試した。港に着いたポルトガル船を襲うように指示したのだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第33段落】  夜、アムステルダムが仲間と一緒にポルトガル船に到着したときは、すでに他のギャングにやられた後だった。物は全て盗まれ、殺された船員の死体しか船には無い。せっかく来たのに手ぶらで帰るなんて。そこでアムステルダムは死体を売ることを思い付いた。翌日、アムステルダムたちが死体を 15 ドルで売却したことが、新聞で取り上げられた。ビルはアムステルダムの機転に喜んだが、信仰心の厚いマックグロインがアムステルダムの非道な行為に難癖を付けてきた。アムステルダムはマックグロインと喧嘩ファイトする。やっぱり若いアムステルダムの方が優勢だが、ビルは二人を引き分けさせた。ビルは、アムステルダムの健闘を称え、自分がその場で捌(さば)いた牛肉を一枚やった。アムステルダムは、喧嘩のせいで床に落ちたヴァロン神父の肖像画を拾い上げるビルを見た。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第34段落】  ある日、町でジェニーと出会ったアムステルダムは、彼女に父の形見である大天使ミカエルのメダルを盗まれる。アムステルダムは取り返そうとジェニーを追った。ジェニーは色目を使って男を惑わせるスリや、お金持ちの家にメイドの振りをして入り込んで盗みを働いたりしていた。私は気づかなかったけど、ジェニーが入り込んだ裕福な屋敷の主人の役に、マーティン・スコセッシ監督がカメオ出演しているそうだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第35段落】  アムステルダムは、ジェニーが屋敷から出てきたところを押さえつけ、メダルを取り返そうとしたが、相手は気丈なスリの女。ナイフを突き付けられ、形勢逆転。ところが、アムステルダムは怯まなかった。ジェニーは仕方なく観念し、胸を大きく開いて、首に沢山かけられたペンダントの中から自分のものを取るように言った。下劣な男ならそこで自分のだけでなく全てのペンダントを奪い、その上、ジェニーも頂いただろうが、アムステルダムは紳士だった。アムステルダムは美人で気の強いジェニーが好きになったみたい。しかし、特別な取り決めでビルに上納金を払わなくてもいいジェニーは、ビルの女だった。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第36段落】  機転が利いて、心意気のあるアムステルダムは、徐々にビルの信頼を得、彼の庇護の下で成長していく。お肉屋さんのビルは、豚の捌き方(ビル曰く、豚の構造は人間に似ているそうで、人間の殺し方とも言えるかも。)をアムステルダムに教える。ビルにとって、アムステルダムが息子のような存在になってきているのだろう。アムステルダムは、父親の仇であるビルに父を感じる自分を振り切るかのようにナイフで豚を突いた。ビルに気に入られたアムステルダムを見て、ジョニーは彼が仇討ちを企んでいると感じた。復讐劇に関わりあいたくないジョニーに、アムステルダムは自分の殺意を否定する。アムステルダムのビルへの気持ちは複雑だった。ビルは、父の仇であり、好きな女性の男であり、アイルランド移民の敵であるが、温かい父親のような存在だったのだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第37段落】  移民排斥論者だったビルは、港に行ってはアメリカにやって来る大勢のアイルランド人移民に嫌がらせをしていた。周囲のアイルランド人に対しても差別発言炸裂だ。ビルの父親は、 1812 年戦争 War of 1812 ( 1812-1814 :アメリカがイギリスにしかけた戦争。ナポレオン戦争 Napoleonic Wars の間に、フランスとイギリス両国による中立国家の扱いの結果、米英間の緊張が高まって勃発。)で亡くなった。ビルにすれば、アメリカのために戦わなかった人たちをアメリカ人と認めることができないらしいのだ。しかし、港に着いたばかりの大勢のアイルランド人が、3食付きという甘言に騙され、アメリカの内戦である南北戦争に徴兵されていた。アイルランド移民の兵隊が続々と船に乗り込む一方で、戦地から送られてきた棺が港を埋め尽くしている。ニューヨーク出身の兵隊の死者が一番多いのは、アメリカに到着したばかりの移民が戦地に赴くからだ。一体彼らは何のために死んだと言うのだろう?

アイルランド移民1: Where we goin'? (オレたちどこへ行くんだ?)
アイルランド移民2: I heard Tennessee. (テネシーって聞いたけど。)
アイルランド移民1: Where's that? (何それ?)
アイルランド兵: Do they feed us now? (今ご飯をもらえるのかな?)

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第38段落】ビルの下で働く平穏な毎日に、終わりを告げる日が近づいてきた。ビルの暗殺事件が起きる。芝居小屋でビルを狙ったのは、アイルランド移民の男性。暗殺者の動きを察知したアムステルダムは、そのとき思わず体が動き、同胞の男性を取り押さえ、銃で撃ち殺した。ビルは肩を撃たれたが、アムステルダムのお蔭で命に別状は無かった。絶命した暗殺者のチェック柄のベストを今夜の記念品にするとビルは大声で会場の人々に言った。銃で撃たれて痛くてたまらないはずなのに、ビルは威勢よく振舞い、命を助けてくれたアムステルダムに帽子を脱いで頭を下げた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第39段落】  アムステルダムは独りで泣いた。憎くてたまらないはずのビルを助けたこと、同胞のアイルランド人を殺してしまったこと、アムステルダムは自分が情けなかった。同胞を守るためにビルに殺された父の遺志を継がなければならない自分がしたことを恥じた。そんなアムステルダムのところへ男が現れた。父の遺体からお金を取った男、モンク (ブレンダン・グリーソン:『 フィオナが恋していた頃 (1998) THIS IS MY FATHER 』『 28日後... (2002) 28 DAYS LATER 』『 トロイ (2004) TROY 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等)だ。モンクはアムステルダムがファイブ・ポインツに戻ってきた日から、彼がヴァロン神父の息子であることに薄々気付いていた。モンクは、ヴァロン神父には欠点があったものの、同胞を愛していたとアムステルダムを非難して去った。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第40段落】  このウォルター・”モンク”・マクギンにもモデルとなった人物もいる。モンク・イーストマン Monk Eastman ( 1873-1920 )だ。マクギンはもちろんアイルランド人の役だが、イーストマンはユダヤ人のギャングだった。本名はエドワード・オスターマン Edward Osterman 。彼は 1200 人を超える組員を抱えた”イーストマン”という名のギャング・グループを所有していた。 1895 年頃には、ニュー・アーヴィング・ホール New Irving Hall の保安官も務めたことがあるそうだ。賭博や他の暴力行為の時とは全く違う、小鳥や猫を可愛がるというデリケートな面も持ち合わせていた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第41段落】  ビルは銃で撃たれたというのに、その夜は娼婦たちを呼んで酒盛りだった。アムステルダムもかなり酔っ払っている。そんなアムステルダムへのビルの眼差しは優しい。虚勢を張っているビルだが、やはりぐったりしている。そんなビルを介抱しにジェニーがやって来た。アムステルダムの気持ちはやるせない。グラスを持って立ち上がり、ビルに感謝していると述べた。その皮肉に気づいたジェニーは、アムステルダムを誘うように2階へと上がった。アムステルダムはジェニーを追う。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第42段落】  以前、ダンス・パーティーの時に、いい感じになりかけた二人だが、ジェニーがビルからもらったペンダントをしているのを見たアムステルダムはプライドが許さず、据え膳を食べないでいた。そのお互いのフラストレーションがここで一気に爆発する。そんな二人をドアの隙間から見るジョニー。このラブシーンを撮影した日、キャメロン・ディアスはひどい風邪を引いていて、その風邪がレオナルド・ディカプリオにもうつってしまったそうだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第43段落】  真夜中。星条旗を肩にかけたビルは椅子に座って、ジェニーの横で眠るアムステルダムを見つめていた。目覚めたアムステルダムに、ビルはジェニーを寝取ったことを咎めなかった。ビルはアムステルダムに心のうちを語る。ここまで生きてこれたのは、恐怖のせいだと。恐れを感じたものを抹殺し続けてきたビルにとって、記憶に値する相手はヴァロン神父だけだった。同じ信条を持っていたというヴァロン神父は、ビルにとってもう一人の自分のような存在だったのかもしれない。そんな神父との違いは信仰だけ。一度ビルはヴァロン神父に打ちのめされた事があり、その時彼は恐怖で神父から目をそらした。そんなビルをヴァロン神父は殺さなかった。ビルは自分を恥じ、そらした目をえぐり出して、ヴァロン神父に送りつけた。そして、ビルは自分を一番の恐怖に陥れたヴァロン神父を葬り去ることで、恐怖を克服した。ビルは 47 歳。虚勢を張り、いつも気持ちを張り詰めて、恐怖に対処する年ではなくなってきたのかもしれない。もうそろそろその役目を誰かに譲ってもいい頃だ。ビルはまるでアムステルダムが本当の息子のように頭に手をやり、神の祝福をと願った。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第44段落】  ビルが去った後、アムステルダムはまた泣いた。そして、眠った振りをして横で話を聞いていたジェニーに、ビルとの関係を明らかにするなら今しかないと言った。ジェニーはポツリ、ポツリと話し始める。母親を失った 12 歳のジェニーをビルが拾って世話をした。ビルはジェニーを無理やり我がものにしたのではない。しかし、ジェニーがお腹の赤ん坊を出して、体に傷ができてからは、ビルはジェニーに触らなくなった。ビルはキズのある女性が嫌いなのだそうだ。もし、ジェニーのお腹の子供がビルの子供だったのなら、なぜビルはジェニーに子供を産ませなかったのだろう?ストイックなビルのことだから、ヴァロン神父の息子から父親を奪っておきながら、自分が子供を持つなんてことが許せなかったのではないかなと思った。また、ジェニーに触れなくなったのは、そんな自分の勝手でつらい目にあわせたことを申し訳なく思っているからではないかなぁ、なんて考えすぎかな?

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第45段落】  夜中にナイフ投げの練習に励むアムステルダム。アムステルダムは父を殺された息子の運命から逃れられない。そしてもう一人の父、ビルがしたように恐怖は抹殺しなければならない。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第46段落】  とうとうその日がやって来た。 16 回目の 1846 年を記念するパーティーが開かれるのだ。ジェニーを取られてしまった腹いせに、ジョニーはビルにアムステルダムがヴァロン神父の息子であることを教えた。何も知らないアムステルダムは自分の目的を達成するために、パーティー会場である中国レストランに現れた。ビルはその日、アイルランド人の暗殺者が来ていたチョッキを着ている。まずは、ビルによるナイフ投げの曲芸が始まった。ビルは的にかつてのアシスタントであるジェニーを指名した。ビルはわざと危険なところにナイフを投げ、ジェニーと客席で観ているアムステルダムをヒヤヒヤさせる。次に、儀式が始まった。ビルがグラスに入れたワインに火をつけ、それを飲み干すのだ。その時、アムステルダムはビルに向かってナイフを投げた。ところがアムステルダムの計画を知るビルは、そのナイフを逸らし、別のナイフを息子とも思った青年のお腹に命中させた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第47段落】  アムステルダムは机の上に仰向けに寝かされる。集まった客たちはビルによる処刑を期待したが、ビルは自分の手で殺す価値はないと、そうしなかった。アムステルダムは、ビル・ザ・ブッチャーが命を助けた唯一の男として、恥をさらして生き続けるのだ。ビルは、誰もがアムステルダムがブッチャーの命を狙った者だとわかるように、彼の顔に熱したナイフを当て、印をつけた。まるでカイン( Cain 旧約聖書創世記の中のアダムとイブの長子。弟アベルの捧げた供物が自分の供物よりも神に喜ばれたことを怒り、アベルを殺す。神はカインに印をつけ、地上をさまよわせた。)のようだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第48段落】  アムステルダムはジェニーの隠れ家のような洞窟の中で傷を癒した。ジェニーは一緒にゴールドラッシュ gold rush ( 1848 年、カリフォルニアでの金発見を機とするアメリカの金採掘ブーム。)に沸くサンフランシスコ San Francisco へ行こうと、アムステルダムを元気付けようとする。ジェニーは地図を見せてサンフランシスコまでの道のりを示す。南アメリカ大陸の最南端を通って、北アメリカ大陸の西海岸まで。南北戦争のおかげで、すごく長い船旅だ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第49段落】  洞窟の中で意気消沈しているアムステルダムをモンクが訪ねた。モンクが、死んだヴァロン神父のポケットから盗んだものは、お金ではなく、神父のナイフだった。冒頭のシーンで出てきた髭剃りナイフだ。モンクからナイフを受け取ったアムステルダムは、その刃に今でも黒く残る血を見て、なぜあの時父がナイフの血をふき取らせなかったのかを悟った。血はいつまでも残る。父の遺志を告ぎ、アイルランド移民たちの安住の地を築き上げるのは、この自分だ。翌朝、パラダイス・スクエアに出てきたアムステルダムは、死んだウサギ(デッド・ラビッツ)の皮を中央の柵に吊るした。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第50段落】  反撃ののろしを上げたアムステルダムに、ビルも黙ってはいなかった。ハッピー・ジャックに命令して、アムステルダムの命を奪おうとする。元々デッド・ラビッツのジャックは、神父の息子を殺すのに気が咎められたが、ビルに凄まれ、断ることができなかった。ハッピー・ジャックの最期はアンハッピー。アムステルダムに殺されたジャックの死体は、パラダイス・スクエアの一角で十字架に吊り上げられた。警官が殺されたことで、トゥイードは治安の悪化を懸念する。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第51段落】  アムステルダムの下に、ビルの搾取に苦しむアイルランド系の人々が集まり始めた。ジョニーはアムステルダムに自分がビルに告げ口したことを告白した。怒るアムステルダムにジョニーは取り付く島もない。町をさまようジョニーはビルの手下のマックグロインに捕まった。ハッピー・ジャックのお返しがなされる。アムステルダムが死んだウサギを吊るしたパラダイス・スクエアの中央の柵に、今度はジョニーが…。瀕死の友人を見つけたアムステルダムは、死の苦しみを和らげるため、ジョニーを銃で撃った。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第52段落】  マックグロインはビルの下に仕えてはいたが、カトリック信仰を捨ててはいなかった。アイルランド移民らが建設(修復?改築?)したカトリック教会で真剣に祈りをささげている。そんな彼をアムステルダムたちが取り囲む。その中に黒人のジミーを見たマックグロインは、白人同士の争いと、黒人のことは別だと激怒する。マックグロインは神父に黒人を教会に入れたことを抗議しようとしたが、神父に棒で殴られる。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第53段落】  ビルは頭を包帯で巻いたマックグロインと、その他大勢のネイティブズを引き連れ、アイルランド移民が集う、カトリック教会(オールド・ブリュワリー?)にやって来た。彼らの手には斧や鉈などの武器が握られている。また、昔のような壮絶な戦いがなされるのか?カトリック教会前に、ろうそくを持って立つ多数のアイルランド移民たちの中には、子供たちや女性もいる。彼らに目をやったビルは、アムステルダムたちに戦いの準備ができるまで待とうと、きびすを返して立ち去った。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第54段落】  この事件は翌日の新聞で報道された。それを読んだトゥイードは、アムステルダムの下へ駆けつけた。常々、移民を排斥するビルの思想や恐怖支配の手口が時代遅れだと感じていたトゥイードは、アイルランド移民の票田を得るために、アムステルダムと手を組むことにしたのだ。トゥイードと一緒に、ビルが推す候補者を選挙で倒すのは、アムステルダムにとっても悪くない話だった。アムステルダムはトゥイードに条件を出す。保安官にアイルランド移民の候補者を立てること。タマニー派からは、ウォルター・マクギン、すなわちモンクが立候補することになった。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第55段落】  投票日、アムステルダムたちも、ビルたちも、自分たちの候補者を当選させるため、ファイブ・ポインツの住民を投票所へと引っ立てた。当時、ニューヨークの選挙は、映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』を観る限りでは、無茶苦茶だったみたい。同じ投票者が何度も選挙してもよかったみたいだし、投票用紙がなくなれば、人数を数えて票を数えるなんてことがまかり通っていた。こうして、ニューヨークに押し寄せる多くのアイルランド移民たちの票を得て、見事モンクは当選する。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第56段落】  タマニー・ホールでの祝賀会に向かうため、理髪店で身だしなみを整えていたモンクに、豚の頭と「 TODAY B (今日だ。B。)」と書かれたメモが届けられた。モンクが外に出ると、ビルが立っている。もうこんな風に暴力で脅しあう時代ではない。民主的に話し合おうと言って、モンクが中へ戻ろうとした瞬間、ビルの大きな包丁がモンクの背中に突き刺さった。” Here's the minority vote. (これが少数派の票だ。)”ビルは言った。棍棒の 45人目の印がまさか自分自身のものになるとは、モンクも思っていなかっただろう。モンクのお葬式の日。葬列がビルの家の前まで来た時、アムステルダムはビルに挑戦することを宣言した。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ギャング・オブ・ニューヨーク 第57段落】  1863 年 7 月 13 日。徴兵暴動 Draft Riots がニューヨークで勃発。しかし、ニューヨーク五番街のお金持ち連中はというと、徴兵事務所が襲われた時でさえ、まだ事の重大さに気付いていないという有様だった。決起の日に備えて、ファイブ・ポインツでも、ギャング・グループの会合があった。他のギャングには、徴兵制反対の暴動であったが、デッド・ラビッツとネイティブズにとっては違っていた。その日が、対決の日なのだ。決起の前日、ジェニーはカリフォルニアへ行くと、アムステルダムに別れを告げた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第58段落】  ニューヨーク五番街のスキャマホーン氏(デヴィッド・ヘミングス:『 グラディエーター (2000) GLADIATOR 』『 リベリオン (2002) EQUILIBRIUM 』『 リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い (2003) THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN 』『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』等。 2003 年 12 月 3 日に心臓発作で死去。)の邸宅も暴徒に襲われた。また、多くの黒人も殴り殺された。市長の屋敷も襲われ、町はすっかり秩序を失った。カリフォルニア往きの船に乗ろうと港までやって来たジェニーも、暴徒に襲われ、それどころではなくなってしまった。この惨状に、ついに軍隊が出動する。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第59段落】  P・T・バーナムのサーカスから逃げ出した象が、パラダイス・スクエアを走っていく。デッド・ラビッツとネイティブズの戦いが始まろうとしていた。と、その時、港の2隻の軍艦から大砲が打ち込まれる。白い煙があたりに立ち込め、周りの状況が分からなくなってしまった。アムステルダムは、ビルからの攻撃を受けるが、敵がどこにいるのか全くつかめない。そしてまた爆撃。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第60段落】  アムステルダムの目の前にいたビルのお腹には、爆撃の破片が刺さっていた。それを抜き取ったビルは言った。” Thank God. I die a true American. (神に感謝します。真のアメリカ人として死ねることを。)”アムステルダムは、ナイフを抜き、思い切りビルを突き刺した。倒れこんだビルは、アムステルダムの手を握る。そして、手を握ったままうずくまって目を閉じた。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第61段落】  実際に徴兵暴動は4日間続いた。ほとんどアイルランド移民であった労働者たちは、凄まじい暴徒と化し、警察や民兵を圧倒し、ライフルや銃を納めた兵器庫を襲い、建物に火をつけた。もちろん商業活動は停止され、略奪が横行した。暴徒は 300 ドルを支払えるお金持ちに兵役免除を与えた徴兵制度に腹を立てていたので、タマニー派の市議会では、何とか不公平な徴兵制度への不満を和らげるために、徴兵予定者は 300 ドルが貰えることを票決するということまでしたそうだ。しかし、暴徒制圧に、ニューヨークの軍隊(そこにはゲティスバーグの戦い the Gettysburg campaign で有名な第7連隊も含まれている)、警察、民兵、海軍、士官学校の生徒たちまでも投入され、暴動が鎮圧された。やがて秩序が回復。8月には平穏に徴兵が再開された。結局、 1864 年には良心的兵役拒否〔※〕者がお金を支払うことによって、兵役免除ができることになった。これって見方を換えれば、やはり、戦争に行きたくないお金持ちが、法や条例で定まった金額さえ出せば、「良心的兵役拒否者」として認められて、兵隊に行かなくても良いということだよね。結局、貧しい移民が不平等な徴兵制度に対して立ち上がっても、貧しい者は野垂れ死にするってことなのでしょうか。
〔※〕良心的兵役拒否…自己の良心(宗教的、哲学的、思想的、政治的な信条など)に基づいて、武器をとって戦争に参加することなどの兵役を拒否すること。conscientious objection・・・refusal on moral or religious grounds to bear arms in a military conflict or to serve in the armed forces.<http://www.infoplease.com/ipd/A0384772.html>「良心的兵役拒否者」を「良心的徴兵忌避者」ともいい、「 conscientious objector 」(略 CO) と英語でいう。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第62段落】  アムステルダムとジェニーは、ビルのお墓を建てた。時代が移り変わるにつれ、ビルのお墓の対岸にあるニューヨークの町はどんどん発展していき、世界貿易センタービルも聳え立つ。逆に、反移民を唱えたビルのお墓は寂れていく。また、彼に対抗したアムステルダムも、歴史の中にかき消されていく。そういう名もなき一人ひとりの移民の力で、アメリカの繁栄が築かれているのだ。

【ギャング・オブ・ニューヨーク 第63段落】  エンディングに、アイルランドのロック・グループ、U2の曲がかかる。(「 THE BEST OF 1990-2000 ザ・ベスト・オブU2 1990-2000 」収録曲)

♪ The Hands That Built America ♪
Oh my love
It’s a long way we’ve come
From the freckled hills to the steel and glass canyons
From the stony fields, to hanging steel from the sky
From digging in our pockets, for a reason not to say goodbye

These are the hands, that build America.
Ahhhh America.

I last saw your face in a watercolour sky
As sea birds argued a long goodbye
I took your kiss on the spray of the new line star
You gotta live with your dreams
Don't make them so hard, ohh ohh.

And these are the hands, that built America.
Ahhhh America.

Of all of the promises
Is this one we could keep?
Of all of the dreams
Is this one still out of reach?

Halle, Ole

It's early fall, there's a cloud on the New York sky line.
Innocence, dragged across a yellow line.

These are the hands that built America.
These are the hands that built America.
Ahhhh America.
Ahhhh America.

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず21564文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      「ギャング・オブ・ニューヨーク」日本語公式サイト
       http://www.infoplease.com/
       http://www.bklyn-genealogy-info.com/Manhattan/
      大辞林
      公式サイト(英語語版)
       http://video.movies.go.com/gangsofnewyork/
■映画『 ギャング・オブ・ニューヨーク (2001) GANGS OF NEW YORK 』の更新記録
2004/01/30新規: ファイル作成
2004/07/10更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2005/03/02更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/08/27更新: ◆データ追加
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幸田 幸
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