ケミカル51
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ケミカル51 (2001)
THE 51st STATE(原題)/FORMULA 51(米題)
 映画『 ケミカル51 (2002) THE 51st STATE (原題) / FORMULA 51 (米題) 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の映画データ
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の主なキャスト
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』のスタッフとキャスト
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ケミカル51 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の結末
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の解説及びポスター、予告編
ケミカル51
ケミカル51
このポスターはTHE 51st STATE
というタイトルですが、
FORMULA 51と表示された
ポスターも「とれ幸」の方にあります。


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■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE 』の解説

 映画『 ケミカル51 (2002) THE 51st STATE (原題) / FORMULA 51 (米題) 』の製作総指揮と主演がサミュエル・L・ジャクソンで、共演がイギリス映画に引っ張りだこのロバート・カーライル。映画『 ケミカル51 』は、米国と英国の、この興味ある対照的な二人が織り成すユーモアと頭脳の運動たっぷりの犯罪アクション。POS51という画期的なドラッグの売買を巡って、ロサンゼルスからイギリスのリバプールに移動して、警察やギャングや売人と派手な撃ち合いとチェイスと取り引きの騙し合いを繰り広げる。紅一点のエミリー・モーティマーがスナイパーでカーライルの元カノジョ役。
 映画『 ケミカル51 』の原題は『 THE 51st STATE( 51 番目の州)』で英国上映ではそのタイトルだったが、それではイギリスに失礼になると解釈したのか、米国タイトルは『 FORMULA 51(公式・化学式 51 )』となった。邦題の『ケミカル51』は映画の内容を採って化学物質 51 という意味だ。
 映画『 ケミカル51 』では、サミュエル・L・ジャクソンの細かい三つ編みのアフロなヘアスタイル、ベレー帽にキルトにハイソックスという終始一貫したスタイルはキマッテいて、王者の雰囲気だ。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の映画データ
 上映時間:92分
 製作国:アメリカ
 公開情報:ギャガ=ヒューマックス
 イギリス初公開年月:2001年12月
 アメリカ初公開年月:2002年10月18日
 日本初公開年月:2003年02月 予定
 ジャンル:アクション/犯罪/コメディ
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■映画『 ケミカル51 THE 51st STATE / FORMULA 51 』の主なキャスト
●サミュエル・L・ジャクソン as エルモ・マケルロイ
交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR
アンブレイカブル (2000) UNBREAKABLE
ケミカル51 (2002) THE 51st STATE (原題) / FORMULA 51 (米題)
チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES
トリプルX (2002) XXX
閉ざされた森 (2003) BASIC
S.W.A.T. (2003) S.W.A.T.
ツイステッド (2004) TWISTED
キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2
Mr.インクレディブル (2004) THE INCREDIBLES 』

●ロバート・カーライル as フィーリクス・デスーザ
トレインスポッティング (1996) TRAINSPOTTING
フル・モンティ (1997) THE FULL MONTY
アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES
リトル・ストライカー (2000) THERE'S ONLY ONE JIMMY GRIMBLE
家族のかたち (2002) ONCE UPON A TIME IN THE MIDLANDS

●リス・エヴァンス as イキ
ノッティングヒルの恋人 (1999) NOTTING HILL
リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY
HOTEL (2001) HOTEL
家族のかたち (2002) ONCE UPON A TIME IN THE MIDLANDS
悪女 (2004) VANITY FAIR
Jの悲劇 (2004) ENDURING LOVE
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【『 ケミカル51 』のスタッフとキャスト】
監督: ロニー・ユー Ronny Yu
製作: ジョナサン・デビン Jonathan Debin
    アンドラス・ハモリ Andras Hamori
    マルコム・コール Malcolm Kohll
    シートン・マクリーン Seaton McLean
    デヴィッド・パプケウィッツ David Pupkewitz
製作総指揮: ステファニー・デイヴィス Stephanie Davis
    サミュエル・L・ジャクソン Samuel L. Jackson
    エリ・セルデン Eli Selden
    ジュリー・ヨーン Julie Yorn(Julie Silverman)
脚本: ステル・パヴロー Stel Pavlou
撮影: プーン・ハンサン Poon Hang-Sang

出演: サミュエル・L・ジャクソン Samuel L. Jackson エルモ・マケルロイ
    ロバート・カーライル Robert Carlyle フィーリクス・デスーザ
    エミリー・モーティマー Emily Mortimer ダコタ・フリップス
    リス・エヴァンス Rhys Ifans イキ
    アンナ・キーヴニー Anna Keaveney シャーリー・デスーザ
    リッキー・トムリンソン Ricky Tomlinson レオポルド・デュラント
    ショーン・パートウィー Sean Pertwee ヴァージル・ケイン刑事
    ミート・ローフ Meat Loaf ザ・リザード
    ナイジェル・ホィットミー Nigel Whitmey LAのハイウェイ・パトロール
    ステル・パヴロー Stel Pavlou クラブの用心棒(uncredited)

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ケミカル51 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【ケミカル51 第01段落】  海岸線に沿って走る一台の車。 1971 年、カリフォルニア州オックスナード OXNARD 。インターネットで調べたら、カリフォルニア州のメキシコ国境から3分の1ほど北上した海岸線の地域だ。イカレタ音楽を流してそこをひた走る車に乗っているのは、髭もじゃもじゃ、ボリュームあるヘアスタイルの気楽な風情の男。車内には、カリフォルニア大学薬学部の卒業証書と免状。この男、エルモ・マケルロイ(サミュエル・L・ジャクソン)はスピード違反でパトカーに止められるが、今日大学を卒業したのに捕まるとこれから一生のスタートを切るというのに運がつかないとか訳のわからぬ事を口にして、警官(ナイジェル・ホィットミー)にタバコを勧める。ハッシーシーか何か不明だがそれらしき成分のタバコだったらしく、このハイウェイ・パトロールの警官は雰囲気が一変し、相手に口調を合わせる。こうして、この薬学の知識と免許を持ちながら、正道は歩まず、地下組織でそれを利用して生きてやろうという意志表示に、卒業証書は焼いてしまった。

【ケミカル51 第02段落】  それから 30 年たった。ロサンゼルスのダウンタウンのザ・リザード・クラブ(訳せばトカゲ・クラブ)では、マケルロイはビーカーやフラスコ等の化学器具に囲まれて、何やら化学物質を製造している。これは彼が生み出した化学式で生成できる強力なドラッグ。流れ作業で色とりどりの錠剤が小袋に詰められていく。この袋には「 TASTY DROPS 美味しいドロップ」と可愛らしく印刷されており、いかにも子供向けのお菓子に見える。だが実は、このPOS51というドラッグは、コカインの 51 倍強力で、LSDの 51 倍の幻覚作用があり、そしてエクスタシーの 51 倍の絶頂感を得ることが出来るという物凄い錠剤なのだ。だから、この映画のタイトルに、英題にしろ米題にしろ邦題にしろ、 51 がついているわけ。

【ケミカル51 第03段落】  ほぼ同じ時刻、カリフォルニア州パサネド PASANEDO では、プラチナ・ブロンドのキュートな髪型の若い女性が教会の鐘楼によじ登っている。階下では結婚式が厳粛に執り行われていると言うのに、通りに到着した車から降りた男を、一発で狙撃した。そして何事もなかったかのようにロープを伝って赤いオープンカーで逃走した。この女性、ダコタ・フリップス(エミリー・モーティマー)はプロのスナイパーらしい。逃げる時、そのカツラをサッと投げ捨て、長いストレートの黒髪になる。エミリー・モーティマーは『 ゴースト/ニューヨークの幻 (1990) GHOST 』や
G.I.ジェーン (1997) G.I. JANE
チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE 』の若い頃のホッソリしたデミ・ムーアに顔立ちが似ているという印象を受けた。

【ケミカル51 第04段落】  また場所はザ・リザード・クラブ。マケルロイが楽しそうな顔をして化学器具に細工をしている。フラスコはブツブツと沸き、ガラス管は複雑に回路を作られている。何しているのかしら。実験用ハツカネズミたちは檻から出してやっている。そして、上述したキルト(スコットランドで男子が着用する格子縞(じま)のひだスカート風の民族衣装。大辞林国語辞典より)の格好に身を包み、ゴルフバッグを担いで出ていく。細かい三つ編みが何十本もあるアフリカ系の人によく見られる髪形がよく似合い、ベレー帽も本当にしっくり合う。中は黒いプレーンなざっくりしたセーター、上着は裏がボアの厚い革の半コート。長身にキルトが惚れ惚れするほどよく似合う。どこかで読んだことがあるが、サミュエル・L・ジャクソンはこのキルトのスタイルがお気に入りで、この映画もそんな衣装なので出演を決めたとか。

【ケミカル51 第05段落】  暫くすると、ザ・リザード(ミート・ローフ)という麻薬組織のボスとその一味が到着。誰もいないが、爬虫類みたいなところだ!と文句を言いながら入ってくる。流石、ザ・リザード(とかげ)・クラブだから…。脚本のステル・パヴローがクラブの用心棒役で出演しているらしいから、この辺りかな。ここで、例のPOS51の実験を見る約束なのだが、肝心のエルモ・マケルロイがいない。置いてある錠剤を舐めてみると、ニセモノのただのドロップだ。実験室の方ではフラスコがブツブツ…。ザ・リザードは待ちきれずにマケルロイにケータイをかけると留守電。そうしたら、その瞬間にフラスコのブツブツは強烈になり、化学反応を起こすように仕掛けがあり、大爆発。皆、死んで、ザ・リザードはどうにか生き延びた。さっき、ネズミ達を放してやったわけが分かった。ところで、ザ・リザード役のミート・ローフとはおかしな命名だが本名は Marvin Lee Aday だからイニシャルをとったのかも。 Meat Loaf は主に音楽活動の時の芸名で、 Michael Lee Aday という別の芸名で出演している映画もある。

【ケミカル51 第06段落】  またまた先ほどの女性ダコタだが、彼女は今、ラスベガスに向けて車を走らせている。真っ青な空に、一面乾いた薄茶色の大地に風力発電の風車が幾何模様のように続く。そこにザ・リザードからケータイが入り、コンチキショー、マケルロイめ!とエルモ・マケルロイを狙撃するよう依頼してきた。乗り気でない彼女だが、過去の事を水に流してやるし、ボーナスも出すから 48 時間以内で仕留めろと強引に言い、話は決まった。ダコタは車をUターンして空港に向かう。

【ケミカル51 第07段落】  マケルロイはイギリスへの飛行機の中。スナイパーのダコタも黒いドレスで斜め前の座席に座っている。可笑しかったのは、マケルロイが眠ってキルトから脚を広げていると、中を覗こうとするダコタの仕草。(普通は逆ですよね、男性が女性のミニスカートを覗こうとしたりして。)すかさずフライト・アテンダントが毛布で覆ってくれるけど。また、マケルロイの前の座席の男の子は、眠っているマケルロイの「 TASTY DROPS 美味しいドロップ」の袋をこっそり取って一粒口に入れる。オッと危ない。でもその途端マケルロイは目を覚まして、怒って吐き出させるが。

【ケミカル51 第08段落】  機はリバプールに到着する。イギリスの刑事ヴァージル・ケイン(ショーン・パートウィー)達は、情報から、"ドレス"を着た黒人の大男を探すが、アフリカの丈の長い民族衣装を身にまとった立派な体格の人達が何人も通路を出てくるのがモニターに映り、結局見逃す。飛行機から降りてくる人達が等間隔でみんな無言で入国審査に向けて歩いてくるこういった光景は、空港独特の情景だ。
キス・オブ・ザ・ドラゴン (2001) KISS OF THE DRAGON 』でも中国女性客たちが一斉に通路を闊歩してきたもの。また、ダコタもこの時点でマケルロイを見失う。

【ケミカル51 第09段落】  外でマケルロイを待っているのはフィーリクス・デスーザ(ロバート・カーライル)たち。フィーリクスは英国人らしく、アメリカ嫌いで悪口ばかり言っている。この迎えは犯罪組織の親分レオポルド・デュラント(リッキー・トムリンソン)に命じられて嫌々だから、途中、サッカーのサポーターの溜まり場に寄り道をしたくらいだ。フィーリクスは大のサッカー好きで、上着の下に赤いユニフォームをずっと着ている。背にFOWLER と書いてあるのを見ると、 Leeds United のフォワード Robbie Fowler 選手のことかな?ロビー・ファウラーはリバプール出身だそうだから、この舞台とピッタリ合って、フィーリクスが大ファンなのも肯ける。似た例に、
TAXi (1997) TAXI 』『 TAXi 2 (2000) TAXI 2 』『 TAXi 3 (2003) TAXI 3 』の主人公ダニエル役のサミー・ナセリが、現レアル・マドリードのジダン選手のユニフォームを着てタクシーの運転手をしているのがある。ジダン選手に「映画に使うので下さい」と言ったらくれたそうで。

【ケミカル51 第10段落】  マンチェスター・ユナイテッド対リバプールFCの試合が明日あるという日、マンチェスターのウェアを着た人ばかりのパブに立ち寄って嫌がらせをしてすぐ逃げる。フィーリクスはこういう、チャチなことをするチンピラなのだ。フィーリクス役のロバート・カーライルはスコットランドのグラスゴー出身で、英語(の方言?)が聴き難くてまいってしまうけど。彼の映画は随分観させてもらっていて、大好きだし凄い売れっ子だ。

【ケミカル51 第11段落】  この下町英国人気質と、サミュエル・L・ジャクソンの特異なキャラクターが何とも言えない珍道中を演出している。それに、身長の差も歴然。ジャクソンは 190 cm 近くある大男なのに対し、カーライルは 171 cm くらいで日本人みたいな体型。空港で出迎えて並ぶと、ジャクソンのキルトの裾つまり膝が、カーライルの股あたりで、ジャクソンの存在感が圧倒的だ。この衣装、本当によく似合っている。サミュエル・L・ジャクソンは百本以上に出演経験があり、正に色々な役柄を見てきたが、キルト姿はこの人のよさが一番出ていると賞賛したい。

【ケミカル51 第12段落】  えんじ色のジャガー(やはりイギリス車!)に乗って、フィーリクスの親分ディラントの許へ向かう途中、これもイギリスの代表料理、フィッシュ・アンド・チップス(フライドポテトを添えた白身魚のフライ)を屋台で買うが、何だこれと言ってマケルロイは窓から投げ捨てる。英国と米国が火花を飛ばしている。そうしている時、片や女性スナイパーのダコタは、イキ(リス・エヴァンス)から銃を調達している。このイキ役のリス・エヴァンスはリス・アイファンズとも日本では表示されているが、リース・イーヴァンズが本当の発音らしい。彼は英国はウェールズ出身で、第一言語はウェールズ語だそうで、訛った英語はロバート・カーライルよりもなお聴き取り難くて困った。個性の強そうな俳優だ。歌手ロッド・スチュワート(やはりイギリス人)に似た風貌でここではパンク的なトンデル役柄。

【ケミカル51 第13段落】  マケルロイは自分の発明した新薬POS51をLAの麻薬組織は見限り、もっといい条件で商売をしようと海を渡ってきた。それで、リバプールのギャングにその話を持ってきているのだ。フィーリクスに案内されて親分ディラントと会ってPOS51の効用を説明し、化学者が立ち会って実験する。2千万ドル($1= ¥120 換算で約 24 億万円)で取引が決まりそうな時、向かいのビルからダコタのライフルが狙っていた。その時 NOKIA のケータイ( NOKIA は欧州で最も普及している電話器のメーカー)にザ・リザードから連絡が入り、マケルロイは殺すな、彼の頭脳が必要なわけだから生かしておけと指令してくる。ザ・リザードもこちらに向かって飛行機の中だ。

【ケミカル51 第14段落】  ダコタは照準を当てている時、ギャングの中にいる男が元カレのフィーリクスだと気付き、撃つのはお尻だけにしておく。他は皆殺し、マケルロイは生かしておく。マケルロイとフィーリクスがその建物から逃げようとすると、三人組のチンピラがPOS51を狙って襲ってくるが、ゴルフのクラブを振り回してやっつける。ネットのニュースで見たと思うのだけど、このシーンでスタッフが怪我をして3針縫ったとか。本当かどうか分からないが。それに、何度も顔を出すこの坊主頭の乱暴な三人組はサッカーのフーリガンという設定らしい。

【ケミカル51 第15段落】  ここから二人はジャガーでその場を去り、ケイン刑事のパトカーに追いかけられる。カーチェイスでもアメリカのだだっ広い道路を走りまわるのでなく、ヨーロッパだから
ボーン・アイデンティティ (2002) THE BOURNE IDENTITY 』同様、狭い路地を走る手法だ。車にぶつかりそうになったり、行き止まりだったりすると、二人はすぐ" Fuck! "とか" Fucking 〜! "という汚い言葉を発する。まるでリズムのように台詞にはめ込んで言い、全編を通して余りの頻度にあきれてしまった。これまで観た映画の中で一番多いと思う。

【ケミカル51 第16段落】  路地に入り込んで刑事のパトカーと向かい合った時のBGMはマカロニ・ウェスタンの決闘のシーンみたいで面白かった。ジャガーとパトカーの暫しの沈黙の後、マケルロイはニヒルな笑みを浮かべてジャガーを急発進する。パトカーに正面から体当たりする決意がついたのだ。人間、そうと決めたら覚悟を決めた方が勝つ。ジャガーの二人が喚声を上げてアクセルを踏んでくると、ケイン刑事は怖じ気づいて後退し、後退しながらメチャメチャにぶつけられ、二人に逃げられた。ジャガーはこれで傷だらけだが、海をジャンプさせて廃車場に突っ込み、ポンコツになる。ここでマケルロイは、離れたブイを的にゴルフクラブを振る場面があるが、どうしてゴルフクラブがこの映画に必要性があるのかてんで解さない。なにせ、映画の最後の最後まで、ゴルフのバッグを抱えているのだ。

【ケミカル51 第17段落】  マケルロイとフィーリクスは行動を共にしている間に気が合ってくる。マケルロイはリバプールに来たはいいが、お前と一緒になって上手く事が運ばないではないかとお冠だが。一方、自分たちを狙っているあの女性ダコタは実はフィーリクスの元恋人で、2年前に別れて、ラスベガスに行ったとフィーリクスはしみじみ語る。そうダコタの事を想っている時、ダコタの方も以心伝心で、フィーリクスの実家に母シャーリー(アンナ・キーヴニー)を訪れ、久しぶりに羽を伸ばしている。

【ケミカル51 第18段落】  次に手に入れた車は極端に小型のミニ・クーパー。前半分が赤で、後ろ半分が黄色という大分中古だ。途中でまたさっきの三人組に捕まり、サルもいる研究室に監禁されて薬を調合させられているマケルロイ。出来上がった青色と赤色の錠剤を見せて、さてどちらがPOS51でしょうと言って赤色の方を一粒口に入れてニヤッ。すると三人はその赤の方に群がって大喜びで何粒も飲む。歌って踊って大騒ぎに檻のサル達も興奮状態。しかし、暫くして三人は異変を感じる。サルもその雰囲気を敏感に察知する。毒?いや、そういう深刻なものではない。下剤だったのだ。マケルロイは口に入れた一粒を吐き出して、のた打ち回る三人にトイレペーパーをプレゼントしてフィーリクスと出ていく。

【ケミカル51 第19段落】  行き先はディスコを経営しているイキだ。ここでPOS51の取引をするつもりでイキにサンプルを見せる。階下ではディスコ音楽がガンガン鳴り響き、若者達が狂ったように踊っている。彼らに向かって、マケルロイは「 40 年前この町で革命が起こった(リバプール出身のザ・ビートルズを指しているのだと思う)。今、また革命が起ころうとしている。」と演説して、POS51の錠剤を階上から若者達に神社の節分の豆のように撒く。イキは、ディスコ会場の皆がそれを飲んで盛り上がっているのを見て、契約することに決めた。しかし、マケルロイは契約なんて必要ない、ブツとお金と交換だと主張している時、またもや警察が突入してきた。

【ケミカル51 第20段落】  そのすきに狙撃者ダコタはマケルロイに銃を突き付け、屋上に上がっていく。しかし、所詮、女性は力では男性に負ける。マケルロイはダコタを屋上から吊り下げ、片手だけつかんで、取り分 10 %でどうか、いやなら手を放すと脅して、了解を得た。そうして非常はしごで二人して降りようとすると、ケイン刑事がピストルを手に目の前にいた。絶体絶命のピンチに、マケルロイのキルトつまりスカートの中から手が伸びて刑事は目を白黒、その瞬間ダコタの手が刑事を殴る!こういうクスクス笑いの出る箇所が至るところに散りばめられている。因みに、キルト大好き人間のサミュエル・L・ジャクソンは、嘘か真か知らないが、撮影中、キルトの中には何もつけなくて気持よかったとか。でも、流石このはしごの場面では、ヒトの迷惑になるから中に穿いたそうだけど。

【ケミカル51 第21段落】  一方、フィーリクスとイキは警察で事情聴取されている。取引の日時と場所と値段が分かれば知らせるという条件で釈放され、フィーリクスは廊下ですれ違った男から車のキーをすって、駐車場へ。そのキーがどの車の物かは一昔前までは分からなかったが、今は便利だ。
ロミオ・マスト・ダイ (2000) ROMEO MUST DIE 』でジェット・リーが殺された弟の車を探すのにも役立っていた、リモートコントロールのキーだから、ピッと光ってくれる。シルバーのスポーツ・カーで、チンピラのフィーリクスとしては大満足。

【ケミカル51 第22段落】  フィーリクスは自宅に帰ると、元恋人ダコタとマケルロイが仲良く母シャーリーの料理を食べている。フィーリクスとダコタはごく自然に二階の自室に上がり、久しぶりに結ばれる。この時の母とマケルロイの台詞が俗語っぽくこう言う。「 No shagging up there! 二階でするんじゃないよ!」この shag は
オースティン・パワーズ (1997) AUSTIN POWERSシリーズでよく使われる言葉だナ。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ケミカル51 第23段落】  イキとは、3時からのサッカーのキック・オフに合わせて、サッカー場の完全なプライバシーの保たれる所を取引現場に指定する。イキは借り切った特別観覧室で黒いブラジャーをして御機嫌でお待ちかね。イキってオカマだったのか!マケルロイとフィーリクスは、なぜかここでもゴルフバッグを担いで到着、身体検査を受けてスタジアム内へ。特別観覧室で2千万ドルの小切手とフォーミュラ(化学式)と交換だ。フォーミュラはマケルロイのメモに隠し絵にしており、ライターの火でかざすと化学構造式が現れた。

【ケミカル51 第24段落】  すると、そこにLAから飛んできたザ・リザードが出現。ザ・リザードは「イギリスがアメリカの The 51st State ( 51 番目の州)だ」と口走る。米国人は内心、みんなそんな風に思っているのかしら。タイトルのその文句をいつ言うか待っていたら、こんな最後の方にやっと言ってくれた。さて、テーブルに用意されたピンクのカクテルをザ・リザードもイキも飲む。ン?このピンクのカクテルはどこかで見覚えがある。確かマケルロイのLAの研究所にも?やはり、ただのお酒ではなかった。マケルロイが化学反応を計算して調合した液体で、体内に入ってから何秒かしたら爆発というものだったのだ。したたかなマケルロイめ!肉片と化したザ・リザード。あッ、ヒョッとして、ザ・リザードは、この結末の故に配役はミート・ローフだってこと?

【ケミカル51 第25段落】  薬学の知識を宝に2千万ドルも手に入れて、マケルロイは約束の取り分をフィーリクスとダコタに渡す。その後、もと恋人同士の二人は一緒に暮らすようになり(サッカーの試合が終わってからというシャレた注釈付き)、マケルロイに関しては、どうなったか誰も知らない。そして、マケルロイがなぜキルトを穿いているのかも誰も知らない…。ゴルフバッグを担いでキルト姿でキメて歩んでいくマケルロイでした。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず7993文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      アジアサッカー時代
      http://www.soccerage.com/jp/04/06681.html
      Oxnard Map - Large Clear California City Maps
      http://maps.of-california.com/oxnard.html
■映画『 ケミカル51 』の更新記録
2002/12/05新規: ファイル作成
2004/12/29更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/09/05更新: ◆データ追加
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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