アンジェラの灰
表紙目次読む映画試写会レヴュー観たい度映画予告編エッセイ日誌試写会情報リンク集
映画人解説・レヴュー一覧表映画ゲーム思い出映画ブロードバンド(B)版旅行の森てんこ森
映画の森てんこ森■映画レヴュー
アンジェラの灰 (1999)
ANGELA'S ASHES
 映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』をレヴュー紹介します。

 映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』を以下に目次別に紹介する。
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の解説及びポスター、予告編
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の映画データ
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の主なキャスト
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』のスタッフとキャスト
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 アンジェラの灰 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の結末
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の更新記録

>>
「映画解説・レヴュータイトル一覧表」へ(画面の切り替え)
幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』の解説及びポスター、予告編
アンジェラの灰
アンジェラの灰
Links:  Official Web Site
Trailers:  Quick Time 5Mb
Quick Time 16.8Mb
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の解説

 映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』は、1997 年ピューリッツァー賞を受賞したベストセラー作品を、「ミシシッピー・バーニング」( 1988 )「ザ・コミットメンツ」( 1991 )「エビータ」( 1996 )等を手がけたイギリス人監督、アラン・パーカーが映画化した 1999 年作品。原作は、ニューヨークの高校教師だったフランク・マコートが、不穏な 20世紀前半を貧しいアイルランドで過ごした自らの少年時代を描いた感動作。
 『 アンジェラの灰 』のプロット。アイルランドからアメリカへ渡ってきたが、時は世界恐慌。職を得られず、再びアイルランドへと戻ったマコート一家。父(ロバート・カーライル)は北アイルランド出身のため、母(エミリー・ワトソン)の家族も冷たく、アイルランドでも失業の日々が続き、一家の生活は極貧。悲惨な生活の中、息子のフランク(ジョー・ブリーン/キアラン・オーウェンズ/マイケル・レッグ)達は、愛と希望とユーモアを失わず、生き抜いていく…。
 『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』では、ロバート・カーライルの「フル・モンティ」( 1997 )の父親役とまた一味違ったダメ父ぶりが、心にしみた。 
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
▲TOPへ
■映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』の映画データ
 上映時間 145分
 製作国 アメリカ/アイルランド
 公開情報 アスミック・エース
 初公開年月 2000/10/28
 ジャンル ドラマ
▲TOPへ
■映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』の主なキャスト
●ロバート・カーライル as マラキ・マコート
トレインスポッティング (1996) TRAINSPOTTING
フル・モンティ (1997) THE FULL MONTY
アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES
007/ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) THE WORLD IS NOT ENOUGH
リトル・ストライカー (2000) THERE'S ONLY ONE JIMMY GRIMBLE
ケミカル51 (2002) THE 51st STATE (原題) / FORMULA 51 (米題)
家族のかたち (2002) ONCE UPON A TIME IN THE MIDLANDS

●エミリー・ワトソン as アンジェラ・マコート
『 奇跡の海 (1996) BREAKING THE WAVES 』
アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES
ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON
リベリオン (2002) EQUILIBRIUM
ライフ・イズ・コメディ! ピーター・セラーズの愛し方 (2004) THE LIFE AND DEATH OF PETER SELLERS
ティム・バートンのコープスブライド (2005) TIM BURTON'S CORPSE BRIDE
▲TOPへ
【『 アンジェラの灰 』のスタッフとキャスト】
監督: アラン・パーカー Alan Parker
製作: デヴィッド・ブラウン David Brown
    アラン・パーカー Alan Parker
    スコット・ルーディン Scott Rudin
製作総指揮: アダム・シュローダー Adam Schroeder
    エリック・スティール Eric Steel
原作: フランク・マッコート Frank McCourt
脚本: ローラ・ジョーンズ Laura Jones
     アラン・パーカー Alan Parker
撮影: マイケル・セレシン Michael Serezin
音楽: ジョン・ウィリアムズ John Williams

出演: エミリー・ワトソン Emilly Watson アンジェラ・マコート(母)
    ロバート・カーライル Robert Carlyle マラキ・マコート(父)
    ジョー・ブリーン Joe Breen フランク(幼年時代)
    キアラン・オーウェンズ Ciaran Owens フランク ( 10 代前半)
    マイケル・レッグ Michael Legge フランク( 10 代後半)
     ロニー・マスターソン Ronnie Masterson 祖母
    ポーリン・マクリン Pauline McLynn アギー伯母さん
    リーアム・カーニー Liam Carney キーティング伯父さん
    エアンナ・マクリアム Eanna MacLiam パット伯父さん

▲TOPへ
<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 アンジェラの灰 ANGELA'S ASHES 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【アンジェラの灰 第01段落】  世界恐慌期の 1935 年、アメリカ・ブルックリン。アイルランドからの移民家族マコート一家に女の子が誕生した。フランク(ジョー・ブリーン)、マラキ、双子のオリバーとユージーンの4人の男の子のあとにやっとできた女の子だったので、父マラキ(ロバート・カーライル)はとても喜び、マーガレット・メアリーと名付けた。しかし、貧困、不衛生のせいだろう、数日で彼女を天使が連れ去っていってしまった。

【アンジェラの灰 第02段落】  大恐慌の中、カトリックであるアイルランド人に職などあるわけがない。マコート一家は再びアイルランドへと戻る。しかし、駅に出迎えに来た母アンジェラ(エミリー・ワトソン)の家族は冷たかった。北アイルランド出身の父との結婚は、母の家族には受け入れられなかったのだ。祖母の家は狭かったので、母の姉のアギー伯母さん(ポーリン・マクリン:『 アイリス (2001) IRIS 』)の家のそばにアパートを借りた。

【アンジェラの灰 第03段落】  父はいつも面白い話を聞かせてくれた。もとIRA党員である父は、アイルランド人なら当たり前だが、イギリスを憎んでいた。また、気位が高く、石炭を運ぶ馬車が落とした石炭を拾ったり、慈善会の行列に並ぶことをしようとしなかった。北アイルランド人という事で、アイルランドの南西に位置するここリムリックでは職につけず、失業手当をもらっていた。そのお陰で、母は家族のために、父のしない<誇りを失ったもののすること>をしなければならなかった。
 
【アンジェラの灰 第04段落】  学校でもアイルランドの文化を知らないフランクには、風当たりが強かった。教師は徹底的にカトリックの教義とアイルランドへの愛国心を子供たちに教え込んだ。フランクは北アイルランドの子供と冷たくされながらも、次第に環境に馴染んでいくのだった。

【アンジェラの灰 第05段落】  金髪で青い目をして可愛かった双子の赤ちゃんオリバーが死に、もう一人のユージーンも死んだ。死のイメージが付きまとう家に辛くて住めず、マコート一家は引越しをする。新しい家は最悪だった。共同トイレの傍で悪臭が酷く、雨が降ると1階は水浸しになった。

【アンジェラの灰 第06段落】  父の職がやっと見つかった。セメント工場の仕事なのに、カラーとネクタイをつけて父は揚々と出かけていった。父曰く、ノータイの男は自分を卑しめているらしい。しかし、帰りは遅く、飲んだくれて帰ってきた。翌朝、父は仕事に行かず、クビになった。

【アンジェラの灰 第07段落】  フランク(キアラン・オーウェンズ:『 マグダレンの祈り (2002) THE MAGDALENE SISTERS 』)には、Hな話をしたり、一緒にイタズラをしたりする友達ができた。アイリッシュダンスのレッスンをサボってできたお金で、彼らと一緒に映画館で飴を食べながらアメリカ映画を見た。至福の瞬間だった。貧しい者への階級差別は激しかったが、子供たちは悲惨な生活の中でも楽しんでいた。

【アンジェラの灰 第08段落】  父は何度も職を断られていくうちに意欲をなくしていき、酒にのめりこんでいくようになる。お金ができればすぐにパブに飲みに行き、新しくできた赤ちゃんのお祝いのお金も家には一切入れず、酒代に消えた。

【アンジェラの灰 第09段落】  フランクは腸チフスにかかり、入院する。様子を見に来た父は感染を気にすることなく、フランクの額にキスをした。初めての父からのキスに、フランクは嬉しくて体が浮き上がりそうだった。入院中、隔離された病院の中で、フランクは読書に親しみ、シェイクスピアに傾倒するようになる。

【アンジェラの灰 第10段落】  退院の日、家族に会えるのが嬉しいフランク。フランクの父は<三位一体>だ。朝、フランク達に話を聞かせてくれる父、仕事を探してもアブれっぱなしの父、気に入らないけど、夜酒の匂いをさせて帰る父。そんな父をフランクは心から愛していた。

【アンジェラの灰 第11段落】  フランクは2ヶ月学校を欠席したため、留年となる。弟のマラキと同じ学年なんてイヤだ。でも奇跡が起こった。パブ<自由の女神>の前で1ペニーを拾い、そのお金で教会でろうそくを買って聖フランシスに祈った。留年しなくても済みますように…。すると、雨の多いリムリックを皮肉った自作の作文「キリストと天気」のお陰で、もとの学年に戻れることになったのだ。

【アンジェラの灰 第12段落】  気位ばかり高く働こうとしない父と、母との関係は少しずつ悪くなっていった。夜、父を拒否する母の声が聞こえる。父はイギリスに出稼ぎに行くことになった。週に3ポンドの送金で全てがよくなるとフランクたちは思ったが、父からの送金は来ず、母は残飯の施しを受けに行く。惨めだ。こうなったら、自分が働くしかない。フランクは石炭運搬の仕事につく。初めて稼いだ1シリングはとても嬉しかった。フランクは家族のために懸命に働くが、石炭の粉のために酷い結膜炎に罹り、仕事ができなくなってしまう。

【アンジェラの灰 第13段落】  クリスマスに待ちに待った父が帰ってきた。しかし、お金を持ち帰らなかった父と、母の仲はもう以前のようではない。父は翌朝にロンドンに旅立って行く。なんとなくもう会えないような気がしたフランクは、去って行く父の後を隠れながら追うのだった。フランクに気付き振り返る父。アメリカ映画ならここで「父さん、愛してるよ。」と叫ぶのだろうけど、ここリムリックじゃ恥ずかしくて言えない。翌週父からの3ポンドが届くが、それ以後永遠に届くことはなかった。

【アンジェラの灰 第14段落】  フランク(マイケル・レッグ)は、アメリカに行くことを夢見る少年に成長。家賃が滞り、祖母の口添えで、母のいとこのラマンの家に居候することになる。祖母(ロニー・マスターソン)はそのことで雨の中を歩いたため、肺炎に罹り、死んでしまった。ラマンはサイテーのデブ野郎だった。フランクに自分の胸糞悪くなる便器を掃除させた。もっと酷い耐えられないことは、奴と母との関係だった。住む場所を得るには手段は選べない。

【アンジェラの灰 第15段落】  フランクは頭はよかったが、大学に行くには貧しすぎた。学校をやめて、郵便局で働くことになる。学校最後の日に便器掃除をし忘れたためにラマンに文句を言われたフランクは、日頃の鬱憤が爆発して奴に殴りかかった。怪我をしてベッドでふてくされるフランクに、母は慰めのキスもせず、ラマンのいる二階へ上がっていった。フランクはその夜ラマンの家を出て、アギー伯母さん夫婦の家に転がり込む。

【アンジェラの灰 第16段落】  出勤に備えて、亡くなった祖母の服を着ながら一着しか持っていない自分の服を洗濯するフランク。しかし、洗っても臭い匂いは取れない。初出勤の朝。アギー伯母さんは出勤前のフランクを服屋に連れて行き、新しいスーツとシャツを買ってくれた。子供の頃から北アイルランドの血を引くフランクにずっと冷たかったアギー伯母さんの突然の優しさに、フランクは涙がこぼれた。

【アンジェラの灰 第17段落】  フランクは電報配達員として頑張って働く。そんな彼にこんな噂が耳に入る。カモーディ家に電報を持って行くと、1シリングのチップがもらえる。しかし、配達員は皆敬遠している。なぜならそこの娘のテレサが肺病を病んでいたから。彼女のように長く生きられない人間は、愛とかロマンスとかに燃えやすく、スケベだということだった。フランクがカモーディ家に電報を配達する日がやって来た。戸口に出てきたテレサは、自転車で転んでケガをしたフランクに、消毒をしてあげると、家の中に誘う。テレサにのしかかられ、フランクは病気がうつる不安と罪の意識なんて吹っ飛ばしてしまうのだった。

【アンジェラの灰 第18段落】  ある日、フランクがカモーディ家に電報を届けると、母親が出てきた。テレサは入院したらしい。それからすぐに彼女は死んでしまった。何度も家族を見送ったフランクだったが、こんな胸の痛みは初めてだった。・・・

▲TOPへ

◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【アンジェラの灰 第19段落】  幸運がやって来た。金貸しのフィヌーケン夫人へ電報を届けたお陰で、彼女のところで督促状を書くという副職ができた。貯金がたまってきた。それからパット伯父(エアンナ・マクリアム)さんに初めてパブに飲みに連れて行ってもらう。泥酔して帰宅したフランクに、母は父のようだと怒るが、母とラマンの関係が許せないフランクは「アバズレ!」と母を罵りその頬を打った。涙を流す母。

【アンジェラの灰 第20段落】  翌朝はフランクの 16 歳の誕生日だった。昨夜のことを後悔し、教会の聖フランシスの前で跪くフランクに、神父が助言を与える。人を、自分を許しなさい。そうすれば、愛のある人間になれる。自分との姦淫のせいで、テレサが地獄に行ってしまったのではないかと心配していたフランクだったが、神父から彼女は天国に行ったと言われ、ホッと安心し、また希望を取り戻すのだった。

【アンジェラの灰 第21段落】  フィヌーケン夫人に頼まれたシェリー酒を届けに彼女の家を訪れたフランクは、彼女がソファーの上で死んでいるのを見つける。フランクは、彼女のバッグと金庫からお金を盗み、町の中心を流れるシャノン川に借金の台帳を捨てる。そこには町のほとんどの人の名前が書かれてあった。もちろん母の名も。そしてアギー伯母さんの名前もあった。きっとスーツのお金だ。フランクは、このとき得たお金でアメリカに渡ることする。

【アンジェラの灰 第22段落】  アイルランド最後の夜は月食だった。家族や街の皆と一緒に空を見上げる。月食が終わると、皆、アメリカに行ってしまうフランクに声をかけて家の中へと戻っていった。一人外にいるフランクは、昔の自分に別れを告げるのだった。

【アンジェラの灰 第23段落】  アメリカへと向かう船の上、フランクの目の前に本物の自由の女神が現れる。

【アンジェラの灰 第24段落】  「アンジェラの灰」のというのは、 1981 年にアメリカで亡くなった母アンジェラの遺灰を、弟マラキと一緒にアイルランドに返しに行ったことからきている題名らしい。しかし、本を出版する際に、出版社側から本が長くなるとクレームがついたので、題名はそのままにして、内容をフランクがアメリカに移民するまでに切ったそうだ。

【アンジェラの灰 第25段落】 
 「アンジェラの灰」が事実とは反するという趣旨の本がアイルランドで出版されているらしいが、嘘でも真実でも、一つの作品として、ちゃんと感激できた。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず4438文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
       http://www.angelasashes.com/
■映画『 アンジェラの灰 (1999) ANGELA'S ASHES 』の更新記録
2002/08/24新規: ファイル作成
2004/07/08更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式
2005/03/18更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/07/02更新: ◆データ追加
▲TOPへ
幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
「映画の森てんこ森」へ 「旅行の森てんこ森」へ
映画解説・レヴュータイトル一覧表
映画の森てんこ森 バナー03

映画の森てんこ森 coda21幸田幸 クレジット バナー01
幸のイタリア各都市情報へ
旅行の森てんこ森 バナー03
136x70
本サイトの作文、データ及び画像などのコンテンツの無断転用はお控え下さい。
貴サイトへの御掲載についてはメールにてお知らせ頂ければ幸いです。
© 2002-2005 Sachi CODA at Eigano-Mori Tenko-Mori, CODA21. All Rights Reserved.