ニューオーリンズ・トライアル
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ニューオーリンズ・トライアル (2003)
RUNAWAY JURY
 映画『 ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY 』を紹介します。

 映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の主役
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』のスタッフとキャスト
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の結末
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の主なスタッフの作品
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』のポスター、予告編および映画データ
ニューオーリンズ・トライアル
ニューオーリンズ・トライアル

Links:  Official Web Site
Trailers:
上映時間 Runtime: 2:07
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Jury Productions [us]
Mojo Films
New Regency Pictures [us]
UNO Studios [us]
全米配給会社 Distributer: 20th Century Fox Film Corporation [us]
全米初公開 Release Date: 2003/10/17
日本初公開 R. D. in Japan: 2004/01/31
日本公開情報 : 東宝東和
ジャンル Genre: ドラマ/サスペンス
Drama / Thriller
MPAA Rating 指定: Rated PG-13 for violence, language and thematic elements.
日本語公式サイト
http://nt.eigafan.com/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の解説

 映画『 ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY 』は陪審員による評決をテーマとしたサスペンスである。舞台はルイジアナ州ニューオーリンズ。「ニューオーリンズでの裁判(トライアル)」だから、邦題が『 ニューオーリンズ・トライアル 』。『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』等のジョン・キューザック、『 コンスタンティン (2004) CONSTANTINE 』等のレイチェル・ワイズ、ジーン・ハックマン、ダスティン・ホフマンという大スター達が『 ニューオーリンズ・トライアル 』で競演し、スリルと重みのある出来に仕上がっている。

 『 ニューオーリンズ・トライアル 』はジョン・グリシャム原作の小説「ランナウェイ・ジュリィ The Runaway Jury (邦題:陪審評決)」の映画化であり、小説の方は夫が肺ガンで死亡した未亡人がタバコ会社を訴訟する裁判を描く。一方、映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』は、夫が会社で銃の乱射事件の犠牲となり、銃の製造会社を訴訟する話に変わっている。陪審員の答申をめぐる陰謀や取引が渦巻き、最後は思いがけない真実が浮かび上がる…。

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■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の主役

●ジョン・キューザック
フィオナが恋していた頃 (1998) THIS IS MY FATHER
シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS
セレンディピティ (2001) SERENDIPITY
アダプテーション (2002) ADAPTATION
アドルフの画集 (2002) MAX
“アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』
理想の恋人.com (2005) MUST LOVE DOGS

●レイチェル・ワイズ
ハムナプトラ2/黄金のピラミッド (2001) THE MUMMY RETURNS
アバウト・ア・ボーイ (2002) ABOUT A BOY
コンフィデンス (2003) CONFIDENCE
隣のリッチマン (2003) ENVY
コンスタンティン (2004) CONSTANTINE
ナイロビの蜂 (2005) THE CONSTANT GARDENER
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【『 ニューオーリンズ・トライアル 』のスタッフとキャスト】
監督: ゲイリー・フレダー Gary Fleder (Directed by)
製作: ゲイリー・フレダー Gary Fleder (producer)
    クリストファー・マンキーウィツ Christopher Mankiewicz (producer)
    アーノン・ミルチャン Arnon Milchan (producer)
製作総指揮: ジェフリー・ダウナー Jeffrey Downer (executive producer)
原作: ジョン・グリシャム John Grisham (novel The Runaway Jury)
脚本: ブライアン・コペルマン Brian Koppelman (screenplay)
    デヴィッド・レヴィーン David Levien (screenplay)
    リック・クリーヴランド Rick Cleveland (screenplay)
    マシュー・チャップマン Matthew Chapman (screenplay)
撮影: ロバート・エルスウィット Robert Elswit (Cinematography by)
編集: ウィリアム・スタインカンプ William Steinkamp (Film Editing by)
音楽: クリストファー・ヤング Christopher Young (Original Music by)

出演: ジョン・キューザック John Cusack as ニコラス・イースター Nicholas Easter
    ジーン・ハックマン Gene Hackman as ランキン・フィッチ Rankin Fitch
    ダスティン・ホフマン Dustin Hoffman as ウェンデル・ロア Wendell Rohr
    レイチェル・ワイズ Rachel Weisz as マーリー Marlee
    ブルース・デイヴィソン Bruce Davison as ダーウッド・ケイブル Durwood Cable
    ブルース・マクギル Bruce McGill as ハーキン裁判官 Judge Harkin
    ジェレミー・ピヴェン Jeremy Piven as ローレンス・グリーン Lawrence Green
    ニック・サーシー Nick Searcy as ドイル Doyle
    スタンリー・アンダーソン Stanley Anderson as ヘンリー・ジャンクル Henry Jankle
    ローダ・グリフィス Rhoda Griffis as リッキ・コールマン Rikki Coleman
    ビル・ナン Bill Nunn as ロニー・シェイヴァー Lonnie Shaver
    ノーラ・ダン Nora Dunn as ステラ・ハリック Stella Hulic
    クリフ・カーティス Cliff Curtis as フランク・ヘレラ Frank Herrera
    ガイ・トーリー Guy Torry as エディー・ウィーズ Eddie Weese
    ラスティ・シュウィマー Rusty Schwimmer as ミリー・デュピリー Millie Dupree
    コーリー・イングリッシュ Corri English as リディア・ディーツ Lydia Deets
    ルイス・ガスマン Luis Guzman as ジェリー・ヘルナンデス Jerry Hernandez
    ファンローニー・R・ハリス Fahnlohnee R. Harris as シルヴィア・デシャソ Sylvia Deshazo
    ジェニファー・ビールス Jennifer Beals as ヴァネッサ・レンベック Vanessa Lembeck
    ゲーリー・バーマン Gerry Bamman as ハーマン・グライムズ Herman Grimes
    ディラン・マクダーモット Dylan McDermott as ジェイコブ・ウッド Jacob Woods
    ジョアンナ・ゴーイング Joanna Going as ウッド未亡人 Celeste Wood
    セリア・ウェストン Celia Weston as ブランツ夫人 Mrs. Brandt

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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【ニューオーリンズ・トライアル 第01段落】  “♪Happy birthday to you ・・・”の歌と親子水入らずの楽しげなヴィデオから映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』は始まる。ジェイコブ・ウッド(ディラン・マクダーモット:
パーティ★モンスター (2003) PARTY MONSTER 』等)は妻セレステ(ジョアンナ・ゴーイング)と、一人息子ヘンリー(ジャック・マッシー)の 4 歳の誕生日を幸福に祝ったばかりの前途有望な会社員である。翌日、出勤して間もなくの午前 8 時 45 分、洗練されたオフィスに不釣り合いの銃声が突如として響き渡った。悲鳴を上げて逃げたり倒れたりする同僚たち。秘書が助けを求めて緊急電話をするが間に合わず、ウッドの部屋にも銃声が轟いた。その瞬間にウッドの三十年ばかりの命は奪われた…。

【ニューオーリンズ・トライアル 第02段落】  2年後。舞台はルイジアナ州ニューオーリンズ New Orleans, Louisiana 。アパートから出てくるニコラス・イースター(ジョン・キューザック)は電器店に勤め気楽な生活をしている独身男だ。ポストに入っている封書に目をやると、「Jury Summons (陪審員任命書)」と書かれている。

【ニューオーリンズ・トライアル 第03段落】  アメリカの裁判は、被告が有罪か無罪かを決定するのは陪審員であって、裁判官はその職権はない。陪審員はヘンリー・フォンダ Henry Fonda 主演の映画
十二人の怒れる男 (1957) 12 ANGRY MEN 』でもあったように、 12 人がランダムで選ばれる。答申はこの 12 人全員一致の評決でないと有効にならない。陪審員に召喚された人は無断欠席すれば法律に違反した事になって罰金を取られるそうだ。職業を持っている人は特別有給となる。交通費と昼食も出る。

【ニューオーリンズ・トライアル 第04段落】  オフィスでの銃の乱射事件の犠牲者の一人ジェイコブ・ウッドの未亡人は、銃の製造会社を訴えたのだ。その銃を売った店は銃の販売に関する法律を遵守していないことを、その銃製造会社は知っていたと未亡人は主張する。銃会社の社長はヘンリー・ジャンクル(スタンリー・アンダーソン:
スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN
シモーヌ (2002) SIMONE/S1M0NE
レッド・ドラゴン (2002) RED DRAGON
キューティ・ブロンド2 (2003) LEGALLY BLONDE 2: RED, WHITE & BLONDE 』)という横暴な男である。

【ニューオーリンズ・トライアル 第05段落】  ウッド未亡人についている法律家ウェンデル・ロアにはダスティン・ホフマン(
レインマン (1988) RAIN MAN
ジャンヌ・ダルク (1999) JOAN OF ARC / THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE
コンフィデンス (2003) CONFIDENCE 』等)が扮していい味を出している。ロアはいたって人間的で、良心のある法律家として描かれる。

【ニューオーリンズ・トライアル 第06段落】  対照的に描かれるのが、“陪審員のカウンセラー”という職業のランキン・フィッチ(ジーン・ハックマン:
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS 』等)。なお、ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンは若い頃パサデナ劇場 Pasadena Playhouse という所で同期だったそうで、二人とも「最も成功しそうにない」と苦言されていたそうだ。結局こんな大出世した二人だが、共演するのは何とこの映画が初めてだ。

【ニューオーリンズ・トライアル 第07段落】  “陪審員のカウンセラー”と言うのは一種の法律家であるが、被告に高給で雇われて、陪審員を被告無罪の評決へ導くのが仕事の人のことらしい。脅したり買収したり、何でも悪いことをやってでも無罪に持っていくのが仕事だから、選出された陪審員達を徹底的に研究する。ランキン・フィッチのアジトは非常にハイテクで、多数の最新式モニターやコンピュータで武装されている。そして陪審員一人一人のプロフィールを調べて、どうやって自分側につけるか対策を講じるわけである。

【ニューオーリンズ・トライアル 第08段落】  フィッチには部下が幾人もいて、その代表格はドイル(ニック・サーシー:
逃亡者 (1993) THE FUGITIVE
ストーカー (2002) ONE HOUR PHOTO 』)だ。ジョン・キューザック扮するニコラス・イースター愛称ニックが街を歩いているのも、彼に望遠カメラで盗み撮りされている。フィッチの手下の弁護士ダーウッド・ケイブル(ブルース・デイヴィソン:
X−メン (2000) X-MEN
X−MEN2 (2003) X-MEN 2
ウィラード (2003) WILLARD 』)はボスのような貫禄のフィッチの指図されるままに言動する。ニックが夜間大学に通っているというのも嘘らしいと彼は見破っている。

【ニューオーリンズ・トライアル 第09段落】  ニック以外の陪審員残る 11 人は:リッキ・コールマン(ローダ・グリフィス)、ロニー・シェイヴァー(ビル・ナン:
海の上のピアニスト (1999) THE LEGEND OF 1900
スパイダーマン (2002) SPIDER-MAN 』)、ステラ・ハリック(ノーラ・ダン:
わたしが美しくなった100の秘密 (1999) DROP DEAD GORGEOUS
ズーランダー (2001) ZOOLANDER
ブルース・オールマイティ (2003) BRUCE ALMIGHTY 』)、フランク・ヘレラ(クリフ・カーティス:
ピアノ・レッスン (1993) THE PIANO 』)、エディー・ウィーズ(ガイ・トーリー:
パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR 』)、ミリー・デュピリー(ラスティ・シュウィマー)、リディア・ディーツ(コーリー・イングリッシュ)。

【ニューオーリンズ・トライアル 第10段落】  それに、ジェリー・ヘルナンデス(ルイス・ガスマン:
ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS
ボーン・コレクター (1999) THE BONE COLLECTOR
マグノリア (1999) MAGNOLIA
モンテ・クリスト伯 (2002) THE COUNT OF MONTE CRISTO
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
ウェルカム トゥ コリンウッド (2002) WELCOME TO COLLINWOOD
プルート・ナッシュ (2002) THE ADVENTURES OF PLUTO NASH
コンフィデンス (2003) CONFIDENCE
N.Y式ハッピー・セラピー (2003) ANGER MANAGEMENT 』)、シルヴィア・デシャソ(ファンローニー・R・ハリス)、ヴァネッサ・レンベック(ジェニファー・ビールス:
フラッシュダンス (1983) FLASHDANCE
パルプ・フィクション (1994) PULP FICTION 』)、ハーマン・グライムズ(ゲーリー・バーマン)である。

【ニューオーリンズ・トライアル 第11段落】  ニックは審議の最初の日、陪審員として初めて法廷に足を踏み入れ、陪審員席についた。隣の若い女性陪審員リディアに話し掛け、これってずっと座っているわけか、なんて喋ってまだ真剣味はない。陪審員は、一人ずつ順番に証言席に呼ばれて質問される。ニックには、電器店に勤めていて強盗が来たらガンを使うのかとか質問されている。ジーン・ハックマン扮するフィッチは、そういう陪審員達のプロフィールを徹底的に洗え、誰にでも秘密はあるものだから、それを見つけろ、と部下達にハッパをかける。きっと弱みを握って脅迫して自分側につける手法なのだろう。

【ニューオーリンズ・トライアル 第12段落】  裁判官ハーキンはブルース・マクギル(
キャメロット・ガーデンの少女 (1997) LAWN DOGS
愛しのローズマリー (2001) SHALLOW HAL
アリ (2002) ALI
トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS
キューティ・ブロンド2 (2003) LEGALLY BLONDE 2: RED, WHITE & BLONDE 』等)が演じている。裁判官は事件の経過を説明している。そんな時、陪審員の一人の男が暴言を吐いて暴れたので休廷になった。

【ニューオーリンズ・トライアル 第13段落】  法廷が再開されると、盲人のハーマン・グライムズ(ゲーリー・バーマン)が、陪審員から盲人を自動的に削除するとは憲法違反だと主張しながら入廷してきた。陪審員の控え室で、ニックは、ハーマンだけが法律の事を知っているようなので、彼を陪審員の代表にしようと提案して、そう決まった。ニックは控えめながら、徐々に他の陪審員達と仲良く、信頼を得ていく。

【ニューオーリンズ・トライアル 第14段落】  原告ウッド未亡人につく法律家ロア(ダスティン・ホフマン)は、ウッド未亡人の夫が射殺された経緯を叙述する。十月の月曜日の朝 8 時 45 分、男がエレベーターを三階まで上がり、元同僚の 11 人を射殺し 5 人に重傷を負わせ、その直後自分を撃ったこと。たった二分に満たない極めて瞬時にこんな大それた事件を起こしたのは、容易く拳銃を闇ルートで入手できるからだ、という旨。残されたのはウッド夫人と 6 歳のヘンリー君。拳銃は原理的に犯罪の為に製造されたのだ、と述べる。

【ニューオーリンズ・トライアル 第15段落】  ここでレイチェル・ワイズが登場する。マーリーといい、ニックの恋人のようだ。ブロンドのカツラをつけて聴講していたマーリーは、さっと立ち上がって、ケイブル弁護士とフィッチに封書を渡して出て行く。「陪審員達は一日 16 ドル(二千円弱)と簡素な弁当では脅されないわよ。」という「ヒント」と 12 人の顔写真を切り取って張り合わせた写真が入っている。フィッチは一体その女性は誰なのか、指紋を調べて探させる。

【ニューオーリンズ・トライアル 第16段落】  マーリーは陪審員の昼食を段取りする係りに電話を入れて食事を配るのを忘れるようにさせる。陪審員は裁判所の建物の中にじっといなければならないらしいが、食事が届かなくて空腹の陪審員達を代表して、ニックが、外のレストランで美味しそうな食事をしているハーキン裁判官のところに訴えに行く。それで、本来のサンドイッチか何か簡素な弁当でなく、そのレストランで温かい料理を 12 人の陪審員は大騒ぎして喜んで食べる。マーリーとニックはこっそり連絡をとりながら行動しているのだ。マーリーは被告側のフィッチにも、原告側のロアにも電話して、陪審員を動かすのは私、お金次第よ、と語る。

【ニューオーリンズ・トライアル 第17段落】  法廷では、ニックがさかんに時計かポケベルを見ているのを裁判官は咎めたりして、初めは裁判官は素人の寄せ集めである陪審員達にちょっと威張っている。が、ある日、ニックの提案で、 12 人が起立して胸に手を当て、愛国心の歌を斉唱するので裁判官はびっくり。この日は、990 型-半自動式銃を 112 丁も買うのを何とも思わなかったのかと、安易に銃を大量に売ってさばいた店の男ジャノヴィッチ(ネスター・セラノ)は原告側から責められている。

【ニューオーリンズ・トライアル 第18段落】  その頃、ニックのアパートに男が侵入して、コンピュータの中を探って盗んでいるところにニックが帰宅した。ここで激しいチェイス。路地を追い詰め、車の中に隠れた男に、ニックはフロントガラス等をメチャメチャに割って応酬するが、男は逃げた。ニックは自室の壁に仕掛けたモニターでその男をチェックすると、フィッチの部下だった。フィッチのアジトに戻ったその男は、盗んできたものの中身を見ると空っぽだった。すると、マーリーからフィッチに電話がかかり、ニックの家に押し入ったわね、と脅してくる。ニックとマーリーはどうやら只者ではなさそう。

【ニューオーリンズ・トライアル 第19段落】  陪審員の一人リディア・ディーツは、法廷にウィスキーの瓶を持ち込んでこっそり口に入れている。それが見つかると、ニックはかばって自分のだと言うが、口紅の味がするのでリディアのだとばれてしまう。これで休廷。でもニックにはどんどん味方が増えていく。また、陪審員の一人エディー・ウィーズはHIVがプラス(つまりエイズ)だとフィッチ側は暴いて脅す。フィッチの陪審員達への追跡調査は一段と激しくなってきている。それに、あのマーリーという女は何者なのかを知りたくてフィッチは必死だ。

【ニューオーリンズ・トライアル 第20段落】  フィッチの部下の調査で、ニックにはボストン Boston とピッツバーグ Pittsburgh とシンシナティ Cincinnati での過去の足跡を見つけた。“陪審員9番”であるニックの家の床から隠しヴィデオが見つかり、このニックという男をもっとよく調べる必要があるとフィッチらは感じてくる。この辺りか、
アダルト♂スクール (2003) OLD SCHOOL 』)等のジェレミー・ピーヴンが出演している。

【ニューオーリンズ・トライアル 第21段落】  するとマーリーからフィッチに電話があり、市電の中で二人は初めて直接顔を合わせる。マーリーは自分の力で陪審員達の意見を「無罪」にも「有罪」にも操作でき、それはお金次第だと言うわけだ。「いくらなんだ?」というフィッチに、大胆なマーリーの発言がある。「 $10,000,000 ($1=¥ 120 換算で 12 億円)」と。笑い飛ばすフィッチは、$500,000 (約 6 千万円)の小切手で済まそうとして「オレの陪審員達から離れていろ」と怒るが、マーリーは冷静に拒否して相手にしない。

【ニューオーリンズ・トライアル 第22段落】  次はマーリーは良心派のロア(原告の未亡人側)のところにも現れて、やはり $10,000,000 ( 12 億円)を打診している。ロアは反対サイドのフィッチにハイテクのバックアップがついているのとは異なって、いたって自然で人間の良心を信じているタイプだ。だから、そんなお金で陪審員達を動かすなんて考えられないし、やりたくないが、もし敗訴になった場合を想像すると、原告のウッド未亡人と幼い息子のことを思ったら、哀れで、ちょっと誘惑に駆られそうにもなる。

【ニューオーリンズ・トライアル 第23段落】  ここまでを整理すると、銃製造会社を訴えた未亡人の側のロア(ダスティン・ホフマン)は「有罪」判決を望んでいる。一方、訴えられている社長の側の弁護士ケイブルを擁するフィッチ(ジーン・ハックマン)は無罪を勝ち取ろうとしている。その為に、米国社会の裁判の決め手「陪審員達」を操作して「無罪」の評決を出させるようにフィッチは圧力で働きかける。こういう二つのグループに、第三のグループ「ニックとマーリー」が存在すると判明してきたのだ。どうやら、ニックは「 inside 法廷内部」で仲間の陪審員達を操り、マーリーは「 street 街頭」で行動して、二人組んで大金をせしめようとしているのでは? 裁判所では、ロアとフィッチは敵同士ながらトイレ内で密会し、口論し合う。良心と勝ち目とを秤にかけて考えて、ロアでさえ、謎の女に千万ドル払うべきかどうか迷うのだ。

【ニューオーリンズ・トライアル 第24段落】  ところで、フィッチの部下は、デヴィッド・ランカスター David Lancaster という髭面の男が“陪審員9番”と何か絡んでいると探り出して、ニューオーリンズからオハイオ州シンシナティまで急行した。郵便物から、ブルーミントン大学 Bloomington University 出身と割り出して、その大学の卒業名簿を繰ると、髭面のデヴィッド・ランカスターとは、“陪審員9番”ニックつまりニコラス・イースターと同人物であった! 電器屋の店員をしている軽っぽいニックは偽りの姿だったのだ。でも一体どんな背景なのだろう?

【ニューオーリンズ・トライアル 第25段落】  フィッチはマーリーに連絡して $10,000,000 払うと言ってきた。でもマーリーは $15,000,000 (約 18 億円)に吊り上げる。そのためか、帰宅したマーリーに、潜んでいた男が襲い掛かって怪我を負わせる。明日は大切な日(判決の日)だから話し合おうと脅すのだ。その痛々しい体で、マーリーはニックに、ただ声が聞きたかったのと言って街角の公衆電話からかける。襲われたことは言わないで。

【ニューオーリンズ・トライアル 第26段落】  判決当日。ロアは陪審員達に銃の暴力を訴える。そしてモニターに、映画冒頭の“♪Happy birthday to you ・・・”の一家の幸福なヴィデオを流す。ロアの良識あり説得性のある訴えに一同はシーンと心を動かされていると見たフィンチは、ケイブル弁護士に指図を送って弁護側の訴えを強化させる。

【ニューオーリンズ・トライアル 第27段落】  この時、同時進行として、大学教授から手懸かりを得たフィンチの部下ドイルは、不動産を物色している振りをして、ある主婦ブランツ夫人(セリア・ウェストン:
リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY
イン・ザ・ベッドルーム (2001) IN THE BEDROOM
光の旅人 K−PAX (2001) K-PAX
エデンより彼方に (2002) FAR FROM HEAVEN
10日間で男を上手にフル方法 (2003) HOW TO LOSE A GUY IN 10 DAYS
ハルク (2003) THE HULK 』)の家を訪れる。ここで世間話をして情報を得ていると、凄い事実が浮かび上がった。この家の娘二人の写真があり、その一人はマーリーの学生時代のものだ。そして、もう一人の娘ギャビーは、高校の銃乱射事件の犠牲者の一人となっていたのだ!・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ニューオーリンズ・トライアル 第28段落】  裁判が進むにつれて、ロアは払わないことに腹を決めた。それを知ったフィッチは、払うと言う。マーリーの指示通りに、フィッチはケーマン島(又はカイマン諸島)連邦準備銀行 Cayman Island Reserve Bank の口座に $15,000,000 を送金した。と同時にニックはマーリーから「入金あり Money In 」とポケベルで連絡を受け、 11 人の陪審員の仲間達にリードして意見を述べ始める。

【ニューオーリンズ・トライアル 第29段落】  妹が銃乱射事件で死んだからマーリーは銃産業には反対だし敵意を持っていると悟ったドイルは、大慌てでブランツ夫人の家から飛び出してフィッチに電話する。「送金するな」と。しかし、遅かった。 $15,000,000 はもう送金されてしまっていた。そしてフィッチのハイテク機器のいっぱい備わったアジトには警察が急襲していた。完敗のフィッチ。

【ニューオーリンズ・トライアル 第30段落】  裁判所。陪審員達の「答申 verdict (評決のこと)」が発表された。ウッド未亡人の勝訴である。フィッチを睨みたおすヘンリー・ジャンクル社長。 $1,000,000 と $110,000,000 ( 1億 2千万円と 132 億円)がウッド未亡人の許へ慰謝料や損害賠償金として支払われることに決定した。誘惑に負けずに勝訴を手にしたロアは、ニックと見詰め合って、全てを見抜いたようにニヤッと微笑み返した。

【ニューオーリンズ・トライアル 第31段落】  ニックは、高校時代のマーリーの同級生だったのだ。或いは射殺されたギャビーのボーイフレンドだったのかもしれない。それは写真が物語っている。マーリーと組んで二人で銃社会へ挑んだ仇討ち。あのケーマン島連邦準備銀行へ振り込まれた $15,000,000 もの大金は、自分達で儲けようとしているのでなく、銃の事件の犠牲者の基金にしたのだ。悪知恵で大金をせしめるストーリーでなく、非常に社会性に富んだ結末であった。

【ニューオーリンズ・トライアル 第32段落】  映画『 ニューオーリンズ・トライアル 』の原作者ジョン・グリシャムは
ペリカン文書 (1993) THE PELICAN BRIEF
『 ザ・ファーム/法律事務所 (1993) THE FIRM 』
依頼人 (1994) THE CLIENT 』の原作となる法律関係の小説を得意とする作家で、この『 ニューオーリンズ・トライアル 』も陪審員による評決をテーマとしたサスペンスであった。煙草も身体に悪いし、銃の所有や所持も悪いに決まっている。だから、訴訟の対象が小説のタバコ会社から、映画では銃産業に変わっても全く構わないと思うのだが、米国人はパイオニア時代からの銃の所持慣習が日本人には想像できないくらい根強いようだ。劇中で、銃会社の社長が自己防衛のための銃の必要性を述べる箇所もあるくらいだ。だから、この映画で、ハリウッドが銃所持に反対し銃に対する偏見を抱いていると感じて、憤慨しているアメリカ人も少なくないようである。文化が違えば映画でも受けがこんなに異なるとは、人間の確執とは奥深いものだ。

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【ニューオーリンズ・トライアル 第33段落】  
 『 ニューオーリンズ・トライアル 』製作総指揮のジェフリー・ダウナーは
25年目のキス (1999) NEVER BEEN KISSED 』、
製作のアーノン・ミルチャンは
娼婦ベロニカ (1998) DANGEROUS BEAUTY / A DESTINY OF HER OWN
交渉人 (1998) THE NEGOTIATOR
真夏の夜の夢 (1999) WILLIAM SHAKESPEARE'S A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
ブロンド・ライフ (2002) LIFE OR SOMETHING LIKE IT
運命の女 (2002) UNFAITHFUL
デアデビル (2003) DAREDEVIL
恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE 』等という素晴らしい大ヒット・メーカーだ。

【ニューオーリンズ・トライアル 第34段落】  
 『 ニューオーリンズ・トライアル 』編集のウィリアム・スタインカンプは
セント・オブ・ウーマン/夢の香り (1992) SCENT OF A WOMAN 』、
撮影のロバート・エルスウィットは
ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS
マグノリア (1999) MAGNOLIA
パンチドランク・ラブ (2002) PUNCH-DRUNK LOVE
ジーリ (2003) GIGLI 』、
音楽のクリストファー・ヤングは
ギフト (2000) THE GIFT
犯罪の風景 (2000) SCENE DE CRIMES (原題) / CRIME SCENES (英題)
バンディッツ (2001) BANDITS
カントリー・ベアーズ (2002) THE COUNTRY BEARS
ザ・コア (2003) THE CORE
シェイド (2003) SHADE
エクソシスト ビギニング (2004) EXORCIST: THE BEGINNING 』と快進撃をあげているスタッフが揃っている。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず9442文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      陪審員任命書について
       http://www.ncwind.net/faq/july.html
      RUNAWAY JURY 公式サイト(英語版)
       http://www.runawayjurymovie.com/

いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年11月23日の時点で[ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE.
■映画『 ニューオーリンズ・トライアル RUNAWAY JURY 』の更新記録
2003/09/28新規: ファイル作成
2003/11/23更新: ◆俳優についてリンク
2004/12/21更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/04/29更新: ◆データ追加
2005/10/06更新: ◆追記
2006/02/16更新: ◆データ追加
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幸田 幸
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