“アイデンティティー”
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“アイデンティティー” (2003)
IDENTITY
 映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』をレヴュー紹介します。

 映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の主なスタッフ
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』のスタッフとキャスト
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 “アイデンティティー” 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレれ)です。※ご注意:映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の結末
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』のポスター、予告編および映画データ
“アイデンティティー”
“アイデンティティー”

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上映時間 Runtime: 1:50
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Columbia Pictures Corporation [us]
Konrad Pictures [us]
全米配給会社 Distributer: Columbia Pictures [us]
Sony Pictures Entertainment [us]
全米初公開
Release Date:
2003/04/25
日本初公開
R. D. in Japan:
2003/10/25
日本公開情報 : SPE
ジャンル Genre: ホラー/ミステリー/サスペンス/犯罪
Horror / Mystery / Thriller / Crime
MPAA Rating 指定: Rated R for strong violence and language.
日本語公式サイト
http://www.id-movie.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の解説

 映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』は、結末が思いもよらないサイコ・サスペンス。『 “アイデンティティー” 』は、低予算でもこんなに面白い映画が出来るという見本だ。主役は『 アダプテーション (2002) ADAPTATION 』でもカメオ出演しているジョン・キューザック、助演に『 コントロール (原題) (2004) CONTROL 』のレイ・リオッタ。
 映画『 “アイデンティティー” 』の雰囲気はアルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 監督の『 サイコ (1960) PSYCHO 』を彷彿とさせる。大雨の嵐の日、町外れの一軒のモーテルに十人が諸々の理由で集まることになる。リムジン運転手、 80 年代のTVスター、殺人犯と護送の警官、コールガール、新婚カップル、交通事故の一家三人連れ。こういう何の関係もない十人だが、一人、二人、と殺されていく。どうやらここに集められたのは偶然ではなさそう。一体何の因果が・・・。“アイデンティティー”とは何のことなのか・・・。

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■映画『 “アイデンティティー” (2003) IDENTITY 』の主なスタッフ

○『 “アイデンティティー” 』の監督は
17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED
ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』のジェームズ・マンゴールド、

○『 “アイデンティティー” 』製作は
クリスティーナの好きなコト (2002) THE SWEETEST THING 』のキャシー・コンラッド、

○『 “アイデンティティー” 』撮影のフェドン・パパマイケルは
パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE 』、

○『 “アイデンティティー” 』編集のデヴィッド・ブレナーは
パトリオット (2000) THE PATRIOT 』、

○『 “アイデンティティー” 』配役のリサ・ビーチは
アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT
タキシード (2002) THE TUXEDO 』、

○『 “アイデンティティー” 』音楽のアラン・シルヴェストリは
フォレスト・ガンプ/一期一会 (1994) FORREST GUMP
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH
ハムナプトラ2/黄金のピラミッド (2001) THE MUMMY RETURNS
リロ&スティッチ (2002) LILO & STITCH
メイド・イン・マンハッタン (2002) MAID IN MANHATTAN 』等で活躍しているスタッフだ。
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【『 “アイデンティティー” 』のスタッフとキャスト】
監督: ジェームズ・マンゴールド James Mangold (Directed by)
製作: キャシー・コンラッド Cathy Konrad (producer)
    ディクシー・J・キャップ Dixie J. Capp (associate producer)
製作総指揮: スチュアート・M・ベッサー Stuart M. Besser (executive producer)
脚本: マイケル・クーニー Michael Cooney (written by)
撮影: フェドン・パパマイケル Phedon Papamichael (Cinematography by)
音楽: アラン・シルヴェストリ Alan Silvestri (Original Music by)
編集: デヴィッド・ブレナー David Brenner (Film Editing by)
配役: リサ・ビーチ Lisa Beach (Casting by)
    セーラ・カッツマン Sarah Katzman (Casting by)

出演: ジョン・キューザック John Cusack エド Ed
    レイ・リオッタ Ray Liotta ローズ Rhodes
    アマンダ・ピート Amanda Peet パリス Paris
    ジョン・ホークス John Hawkes  ラリー Larry
    ウィリアム・リー・スコット William Lee Scott ルー Lou
    クリー・デュヴァル Clea DuVall ジニー Ginny
    ジョン・C・マッギンリー John C. McGinley ジョージ・ヨーク George York
    リーラ・ケンツル Leila Kenzle アリス・ヨーク Alice York
    ブレット・ローア Bret Loehr ティミー・ヨーク Timmy York
    レベッカ・デモーネイ Rebecca De Mornay キャロライン・スザンヌ Caroline Suzanne
    ジェイク・ビジー Jake Busey ロバート・メイン Robert Maine
    プルイット・テイラー・ヴィンス Pruitt Taylor Vince マルコム・リヴァーズ Malcolm Rivers
    アルフレッド・モリナ Alfred Molina 医師 Doctor
    カーメン・アルゼンチアノ Carmen Argenziano 弁護士 Defense Lawyer
    マーシャル・ベル Marshall Bell 地方検事 District Attorney
    マット・レッシャー Matt Letscher 地方検事助手 Assistant District Attorney
    ホームズ・オズボーン Holmes Osborne 判事 Judge
    スチュアート・ベッサー Stuart Besser 凍死体 Frozen Body

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 “アイデンティティー” 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【“アイデンティティー” 第01段落】  連続殺人鬼のファイルを調べる精神科の医師(アルフレッド・モリナ:
ブギーナイツ (1997) BOOGIE NIGHTS
マグノリア (1999) MAGNOLIA
ショコラ (2000) CHOCOLAT
フリーダ (2002) FRIDA
死ぬまでにしたい10のこと (2003) MY LIFE WITHOUT ME
コーヒー&シガレッツ (2003) COFFEE AND CIGARETTES
スパイダーマン2 (2002) SPIDER-MAN 2 』等に出演)。被害者達の現場写真や指紋。この大量殺人の容疑者マルコム・リヴァーズという男は逮捕され、審議にかけられている。 5 月 10 日が誕生日というこの犯人は、幼い時に地方のモーテルに捨てられていたという不幸な生い立ちを背負っている。裁判の結果、有罪で死刑を宣言された。しかし、あろうことか処刑の前夜に、彼の日記が物証となって、精神に異常をきたしているということで移送されることになった…。

【“アイデンティティー” 第02段落】  とある田舎道のハイウェイ。恐らくラスベガス Las Vegas とロサンゼルス Los Angeles の間の人里離れた地域のようだ。嵐のような大雨の深夜。灯りのともった一軒のモーテルに車が急停車して、ケガをした女性を抱いた男性が飛び込んでくる。モーテルの管理人室で気楽にテレビを見ていたラリー(ジョン・ホークス:
陽だまりのグラウンド (2001) HARDBALL 』等に出演)は何事かとびっくりする。男性が電話を貸してくれと緊急の様子なのでフロントの電話をかけようとするが、この大雨の所為でか、不通になっているのが判る。

【“アイデンティティー” 第03段落】  このケガをした女性を担ぎ込んだ男性は、ジョージ・ヨーク(ジョン・C・マッギンリー)と言って、妻アリス(リーラ・ケンツル)と小学生くらいの息子ティミー(ブレット・ローア)との3人で大雨の中を車を走らせていた。すると突然のパンクで立ち往生。夫はしゃがんでタイヤの交換をしている。車の中には息子が、傘を手に外で立っている母親に手を振っている。母親はそれに応えて、大丈夫よ、と言うように微笑みかけていた。そこへ高級車のリムジンが突っ込んで、立っていた女性アリス・ヨークをはねてしまった。

【“アイデンティティー” 第04段落】  その直前、リムジンには、TV女優の中年女性キャロライン・スザンヌ(レベッカ・デモーネイ)が後部席に陣取り、ケータイで話している。すると、ケータイの電池が切れ、スペアの電池をバッグから取り出すように運転手に非常に威張った態度で指示する。キャロライン・スザンヌはひと昔前に売れていたスターで、今ではプライドだけが残っている売れないタレントなのだ。運転しながら、助手席に置いたバッグの中を片手で手探りでバッテリーを探す彼女の専属運転手はエド(ジョン・キューザック)。後部座席からは、のろのろしないで目で見て探しなさいよ、という横暴な彼女の命令。暗くて大雨の嵐の中、この瞬間、エドは上述のヨーク一家の妻アリスをはねたのだ。

【“アイデンティティー” 第05段落】  ジョン・キューザックは
フィオナが恋していた頃 (1998) THIS IS MY FATHER
シン・レッド・ライン (1998) THE THIN RED LINE
ハイ・フィデリティ (2000) HIGH FIDELITY
アメリカン・スウィートハート (2001) AMERICA'S SWEETHEARTS
セレンディピティ (2001) SERENDIPITY
アダプテーション (2002) ADAPTATION
アドルフの画集 (2002) MAX
ニューオーリンズ・トライアル (2003) RUNAWAY JURY
理想の恋人.com (2005) MUST LOVE DOGS 』等に出演して、幸のお気に入りの俳優さんの一人だ。ジョン・キューザックがこの映画で一番のスターだから、多分彼が中心になって、これから起こるサイコ風の出来事を解決していくのだろうな、という予感。

【“アイデンティティー” 第06段落】  前後して、ラスベガスでコールガールをしていた若い女性パリス(アマンダ・ピート:
チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES
17歳の処方箋 (2002) IGBY GOES DOWN
恋愛適齢期 (2003) SOMETHING'S GOTTA GIVE
隣のヒットマンズ 全弾発射 (2004) THE WHOLE TEN YARDS 』等に出演)は客から札束を盗み取って、オープンカーで逃走していた。この札束を手にしたからは、もう足を洗って田舎で暮らそうと思って運転している。彼女は片手でバッグを開けたため、オープンカーの為に、中身がいくつか飛んでいってしまった。その中にはハイヒールの靴もあったのだ。その尖ったヒールが、さっきのヨーク一家のタイヤをパンクさせてしまったわけだ。更に、パリスは川の氾濫になった所でUターンし、その際に、電話線の電信柱に車をぶつけて故障させ、そのために、この付近の電話が不通となったのだ。

【“アイデンティティー” 第07段落】  ジョン・キューザック扮するエドであるが、モーテルの電話が不通、おまけにケータイも電池切れということで、管理人のラリーから聞いて、 32 マイル(1 mile = 1.6 km 換算で約 50 km )東にあるという緊急施設まで助けを呼びにリムジンに乗り込む。何しろエドは人を轢いてしまったのだ。女優のキャロライン・スザンヌは事件に巻き込まれたくないのでつべこべ言うが、エドは人が変わったように、そんなキャロラインを強硬に引き摺り下ろして車を出発させる。すると、洪水で進めなくなって車がエンストしていたコールガールのパリスがずぶ濡れで立ち尽くしている。そして、川は氾濫で通り抜けられないことを教え、乗せてくれるよう、エドに頼む。こうして、救急の助けを求められないまま、エドはパリスを伴ってモーテルに戻る羽目になった。

【“アイデンティティー” 第08段落】  そこに次に立ち寄ったのは、結婚ホヤホヤの新婚カップルの車。新郎はルー(ウィリアム・リー・スコット:
パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR
バタフライ・エフェクト (2004) THE BUTTERFLY EFFECT 』等に出演)、新婦はジニー(クリー・デュヴァル:
17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED
21グラム (2003) 21 GRAMS
THE JUON/呪怨 (2004) THE GRUDGE 』等に出演)。エドとパリスは、洪水で先には進めない旨を伝え、仕方なくこのカップルもモーテルに泊ることになる。客室に入ると、ジニーは冷たいものを感じて気味が悪い思いをする。

【“アイデンティティー” 第09段落】  最後に到着したのは、殺人犯を移送しているパトカーだ。護送される男はロバート・メイン(ジェイク・ビジー)といい、護送の警官はローズ(レイ・リオッタ)という。エドはパトカーの無線を使わせてもらおうとするが、警官は使えない状態だと言う。そしてエドは、女性に車で重傷を負わせてしまって、今、手当てできずに安静にさせているだけなことも伝えた。レイ・リオッタは
ハンニバル (2001) HANNIBAL
NARC ナーク (2002) NARC
ジョンQ−最後の決断− (2002) JOHN Q
コントロール (2004) CONTROL 』等に出演しており、元メジャーリーグ投手で現阪神タイガース球団の伊良部秀輝選手に似ているナとつくづく思いながら観ていた。警官ローズのシャツの背中に血がついているのが気になった。

【“アイデンティティー” 第10段落】  さて、こうして嵐の深夜にモーテルに集った十人をおさらいしよう。(1)リムジンの運転手エド、(2)その雇い主の売れない女優キャロライン・スザンヌ、(3)タイヤをパンク修理していたジョージ・ヨーク、(4)その妻で、エドにはねられて重傷のアリス、(5)その息子の十歳くらいのティミー、(6)コールガールで札束と共に逃走しようとしていたパリス、(7)新婚の夫ルー、(8)新婚の妻ジニー、(9)警官のローズ、(10)護送されていた殺人犯ロバート・メイン。それに、(11)モーテルの管理人のラリーも含めると、全員で 11 人。ここから一人ずつ殺されていこうとは誰が想像しただろう。

【“アイデンティティー” 第11段落】  各人はグループごとに部屋を取ってチェックインする。4号室にはヨーク一家が入り、重傷の女性アリスをエドが裁縫道具の糸と針で縫い合わせている。どうにか縫い終わると、女性の夫ジョージは少しホッとして、本音を漏らすようになった。息子のティミーは実は妻の連れ子で、自分には普段からあまり話さないことを。それに、こんな事態で動揺を押さえて怪我を縫い合わせたエドは、元LAPD(ロサンゼルス市警)の警官だったことを語る。

【“アイデンティティー” 第12段落】  ここで各室の様子が…。女優キャロライン・スザンヌにはケータイがかかってきて、大雨の戸外に誘われるように出て行った。そこで姿が見えなくなるが、気がついたエドが探すと、ランドリー室の乾燥機の中で、彼女の頭部が血まみれでドンドンと鈍い音を出して回転しているのが発見される。エドは驚いて、警官ローズと管理人ラリーを呼んで蓋を開けると、頭と一緒に 10 号室の鍵もあった。 10 号室は、護送中の殺人犯を閉じ込めた部屋だ。三人が急行すると、洗面所のパイプに手錠を繋がれていたのが、外されて、逃走した後だった。

【“アイデンティティー” 第13段落】  新婚カップルは新婚さんなのに変に冷たい関係だ。夫は派手なパリスに視線が行っていたし、妻はイライラしている。ハネムーンでラスベガスに向かう途中なのだろうが、新妻は、妊娠なんて嘘だったと突然告白し、夫は物凄い剣幕で怒っている。妻はトイレに篭(こも)って夫の激怒から逃げていると、夫ルーはその間に何者かに刺されて殺されていた。

【“アイデンティティー” 第14段落】  護送中の殺人犯ロバート・メインはパイプに繋がれた手錠を切って大雨の中を逃げているうちに、閉店のレストランに入って隠れる。が、そこはさっきのモーテルの一部だった。明かりの方に来たつもりだったが、暗くて雨で、元の所に戻ってきてしまったのだ。警官ローズとエドが見つけて再び動けないように縛り付けて、管理人ラリーに見張らせる。しかし、ラリーが怖くてその場を離れたスキに、その護送中の殺人犯はバットで殴り殺されていた。そばには8号室の鍵が落ちていた。これで3人が死んだ。

【“アイデンティティー” 第15段落】  コールガールのパリスはバッグの中の札束を見て確認している。そして怖いので、バッグを持って、みんなに黙って逃げようとしたが止められる。その最中に、ドアを開けると、凍死体が倒れ掛かり、キャ〜!この凍死体の役はスチュアート・M・ベッサーで、何と、この映画の製作総指揮をしている本人なのだ。
クリスティーナの好きなコト (2002) THE SWEETEST THING 』を製作した人物だ。凍死体に扮するなんて、茶目っ気のある人なのかな。

【“アイデンティティー” 第16段落】  この凍死体のことで、モーテルの管理人ラリーが当然殺したと疑われる。そこで、ラリーが真実を語る。ラリーがこのモーテルに立ち寄ると、もう死んでいたそうなのだ。それで、家族とか知人とかが後で知ったら腐敗しない方がいいと思って冷凍させておいたのだと。また、その本当の管理人の名は偶然か、ラリーというそうで。しかし誰もそんなことは信じられない。すると、ラリーは怯えて逃げようと、気が狂ったように車を急発進させる。するとその真ん前にヨーク家の息子のティミー少年が丁度立っていたので、父親(継父であるが)のジョージ・ヨークがかばって轢かれてしまった。これで4人。

【“アイデンティティー” 第17段落】  その頃、冒頭の連続殺人犯の審議が行われている。判事ホームズ・オズボーン(
ウインドトーカーズ (2002) WINDTALKERS
『 愛の落日 (2002) THE QUIET AMERICAN
WAKING UP IN RENO (2002)
12人のパパ (2003) CHEAPER BY THE DOZEN 等に出演)や検察官、弁護士、医師たちが討論している。

【“アイデンティティー” 第18段落】  モーテルに戻ろう。重傷で意識不明だったアリス・ヨークは意識を取り戻した。しかし、その後、死んでいるのが見つかる。傍らには6号室の鍵が残されていた。これで死んだのは5人。モーテルの部屋の鍵がどの死体のそばにも置かれていることから、ニセ管理人ラリーに轢かれて死んだジョージ・ヨークの遺体を見に改めて行くと、7号室の鍵がやはりあった。このように奇怪な殺人が連続して起こるので、新婚で夫が殺され残された妻ジニーと、両親に死なれて残ったヨーク家の息子ティミー少年を、取り合えずここから脱出させよう。エドと警官ローズはそう思い、車で逃げさせた。すると、その途端に車は爆発して、二人は爆死。これで死んだのは7人。しかしティミー少年の死体は見つからないが。

【“アイデンティティー” 第19段落】  11 人のうち、あと残ったのはエド、警官ローズ、ニセ管理人ラリー、コールガールのパリスの4人となる。この中に犯人が? 4人は怖くなって語るうちに、残っているこの4人だけでも誕生日が皆同じ、 5 月 10 日だと分かる。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【“アイデンティティー” 第20段落】  舞台変わって診察室。ジョン・キューザック扮するエドは、精神科の医師に、この前の診察に来なかった理由を尋ねられている。すると、モーテルに缶詰にされて、一人ずつ殺されていったのだと答えるエド。そして・・・そのジョン・キューザックのハンサムな顔は、禿頭の太った男(プルイット・テイラー・ヴィンス:
ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
ザ・セル (2000) THE CELL
シモーヌ (2002) SIMONE/S1M0NE
コール (2002) TRAPPED
モンスター (2003) MONSTER
コンスタンティン (2004) CONSTANTINE
等に出演)に変身する。この男こそ大量連続殺人犯マルコム・リヴァーズ。そう言えば冒頭シーンで、誕生日が 5 月 10 日だと語られていたっけ。

【“アイデンティティー” 第21段落】  実は、この男は多重人格障害 Multi personality syndrome にかかっていて、全ては幻想。マルコム・リヴァーズはモーテルの 11 人の一人ずつの人格になり代わっていたのだ。だから、アイデンティティ< Identity ━━ n. 同一であること; 極度の類似性; 本人であること(の証明), 身元; 個性, 独自性; (物の)正体; 【心】アイデンティティ;( EXCEED 英和辞典より)>がないのだ、と医師は説明する。この映画のタイトルの由来がこれで解決!
ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY 』でも、記憶喪失に陥ったスパイの主人公(マット・デイモン Matt Damon )が自分を見出していくというストーリーで、アイデンティティという語がそこでも使われていた。

【“アイデンティティー” 第22段落】  これで解決かな、と思ったら、まだ続きがあった。モーテルに立ち寄ったパトカーであるが、あの警官ローズも偽物だったのだ。ローズ自身も護送されている囚人で、ロバート・メインとローズの二人が護送されていた時、本物の警察官を殺してローズが警官の振りをしていたのだった。だから無線が使えないと言ったり、殺して奪った警察官の制服を着ていて背中が血がついていたりしたのか。この事実をパリスが見つけ、ラリーがローズを殴ろうとするが、ローズに射殺されてしまう。これで死んだのは8人。そしてエドとローズは撃ち合って、二人とも息絶える。主役ジョン・キューザックも死んでしまうのだ!これで 10 人。

【“アイデンティティー” 第23段落】  残ったのは?そう、コールガールのパリス1人。アッ、多重人格の太ったマルコム・リヴァーズの顔が、若い女性パリスの顔になった。・・・マルコム・リヴァーズは、身体は罪を犯したが、精神は罪を犯していない、という結論が出て、精神病院に送られるようになった。

【“アイデンティティー” 第24段落】  オレンジ畑を抜けて、田舎の一軒家に辿り着いた、1人生き残ったパリス。日光を燦々と浴びて、平和を取り戻して幸福感に浸っている。土いじりをしていると、ハッ、モーテルの1号室の鍵が掘り返されて出てきた!と同時に、目の前には殺気を帯びた少年ティミーが仁王立ちしている!パリスは少年の持つ'熊手'で殺された。ティミー少年は、あの車の爆発の時に死体が見つからなかったように、生きていたのだ。パリスが死んで、プラスマイナス0で、結局死んだのは 10 人。

【“アイデンティティー” 第25段落】  ということは、幻想の中であれ、最終的に 10 人を殺したのはティミー少年になり切っている一つの人格だ。やはり邪悪な精神の持ち主が、一つの人格に宿っていたのだ。・・・今、精神病院に向かって走る一台の車。そこには護送されているマルコム・リヴァーズが乗っている。マルコム・リヴァーズは後部席で心身の異変を演じて、フロントシートの精神科の医師を絞殺、次いで運転の役人も殺す。あぁ、極悪人はやはり存在するのだ。こうして観る者はラストまで怯えて慄(おのの)いて、この映画を噛み締めるのだ。

【“アイデンティティー” 第26段落】  実力スタッフに固められているが、役者はジョン・キューザックが大スターくらいで、出演俳優はたった 22 人( IMDb の Full Cast and Crew for Identity による)。ロケもセットもほぼモーテルと会議室だけという非常に低予算で出来ている映画だ。それなのに、ドキドキの連続の、とっても観応えのあるサイコ・サスペンスだった。大雨の効果が大きかったのだろう。観ているだけに、自分が雨でびしょびしょになっている気になって、疲れてしまったもの。怖くて面白かった。考えられなかった結末。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず7534文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
       http://www.sonypictures.com/movies/identity/

いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年05月20日の時点で[ データ ]及び [ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE.
■映画『 “アイデンティティー” 』の更新記録
2003/05/20新規: ファイル作成
2004/12/26更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/10/06更新: ◆追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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