アバウト・シュミット
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アバウト・シュミット (2002)
ABOUT SCHMIDT
 映画『 アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』をレヴュー紹介します。

 映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』のスタッフとキャスト
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 アバウト・シュミット 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』の結末
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』のポスター、予告編および映画データ
アバウト・シュミット
アバウト・シュミット

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上映時間 Runtime: 2:05
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
Avery Pix [us]
New Line Cinema [us]
全米配給会社 Distributer: New Line Cinema [us]
全米初公開
Release Date:
2002/12/13
日本初公開
R. D. in Japan:
2003/05/24
日本公開情報 : ギャガ=ヒューマックス
ジャンル Genre: コメディ/ドラマ
Comedy / Drama
MPAA Rating 指定: Rated R for some language and brief nudity.
日本語公式サイト
http://www.gaga.ne.jp/as/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 アバウト・シュミット ABOUT SCHMIDT 』の解説

 映画『 アバウト・シュミット (2002) ABOUT SCHMIDT 』では、アカデミー賞 2002 年作品のノミネートに、主演男優賞にジャック・ニコルソンが、助演女優賞にキャシー・ベイツが。LA批評家協会賞には作品賞・脚本賞・ジャック・ニコルソンが男優賞に輝く。更にゴールデン・グローブには脚本賞・ジャック・ニコルソンが男優賞(ドラマ)に輝く。『 アバウト・シュミット 』は感動の話題大作。
 『 アバウト・シュミット 』のストーリーは、保険会社に勤務の主人公ウォーレン・シュミット(ニコルソン)が定年退職になって、生活のリズムと張り合いを喪失。そこに老いばかり目だって何かと気に障っていた妻の急死で、夫婦の空気みたいな関係に愛情があったのか初めて戸惑う。また、巣立っている年頃の娘には結婚話、それも相手もその家族もどうも気に食わない人達。
 人生の下り坂で初めて遭遇する諸問題のトリプル・パンチに、シュミットはトレーラー・ハウスを運転して思い出の場を廻り、人生を改めて見直す。映画『 アバウト・シュミット 』は、そんな密度の濃いメーセージのあるドラマだ。
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【『 アバウト・シュミット 』のスタッフとキャスト】
監督: アレクサンダー・ペイン Alexander Payne (Directed by)
製作: マイケル・ベスマン Michael Bessman (producer)
    ハリー・ギテス Harry Gittes (producer)
製作総指揮: ビル・バダラート Bill Badalato (executive producer)
    レイチェル・ホロヴィッツ Rachael Horovitz (executive producer)
原作: ルイス・ベグリー Louis Begley (novel)
脚本: アレクサンダー・ペイン Alexander Payne (screenplay)
    ジム・テイラー Jim Taylor (screenplay)
撮影: ジェームズ・グレノン James Glennon (Cinematography by)
編集: ケヴィン・テント Kevin Tent (Film Editing by)
音楽: ロルフ・ケント Rolfe Kent (Original Music by)
プロダクション・デザイン: ジェーン・アン・スチュワート Jane Ann Stewart (Production Design by)
配役: リサ・ビーチ Lisa Beach (Casting by)

出演: ジャック・ニコルソン Jack Nicholson (ウォーレン・シュミット)
    ホープ・デイヴィス Hope Davis (ジーニー・シュミット)
    ジューン・スキッブ June Squibb (ヘレン・シュミット)
    キャシー・ベイツ Kathy Bates (ロバータ・ハーツェル)
    ダーモット・マルロニー Dermot Mulroney (ランドール・ハーツェル)
    ハワード・ヘッセマン Howard Hesseman  (ラリー・ハーツェル)
    シェリル・ハマダ Cheryl Hamada (サンドラ)
    マーク・ベンユイゼン Mark Venhuizen (ダンカン・ハーツェル)
    レン・キャリオー Len Cariou (レイ・ニコルズ)
    マット・ウィンストン Matt Winston (ゲイリー・ノーディン)
    ハリー・グローナー Harry Groener (ジョン・ラスク)
    コニー・レイ Connie Ray (ヴィッキ・ラスク)
    マッケナ・ギブソン McKenna Gibson (ジーニー6歳)
    ステファニー・カーティス Stephanie Curtis (ジーニー12歳) 
    アブダラ・ムトゥル Abdallah Mtulu (Ndugu ンドゥグ)

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 アバウト・シュミット 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 私は日本公開前に字幕スーパーなしの英語で観たので、わかる範囲でレヴューします。映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、語学力と経験・常識不足のため、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【 アバウト・シュミット 第01段落 】  アメリカ合衆国のど真ん中、ネブラスカ州の都市オマハ Omaha, Nebraska のビルや街並がカメラのスナップショットのように数枚、順次映し出される。最後のショットが、ある近代ビルの一室で時計を睨んでデスクにじっとしている男ウォーレン・シュミット(ジャック・ニコルソン)。彼は 66 歳、今日が定年退職の日なのだ。ウッドメン保険会社 Woodmen Insurance Corporation の保険経理士として 44 年間という長年勤務。 assistant vice-president (副社長補佐?)という相当高い地位まで昇りつめて成功してきた、いわゆる会社人間の典型だ。

【 アバウト・シュミット 第02段落 】  彼のオフィスの部屋はしっかり後片付けされ、書類は新品の十余のダンボール箱に収められ、あとは壁の時計が5時を指すのを待つだけだ。実際のジャック・ニコルソンも役柄と同じ 66 歳、
郵便配達は二度ベルを鳴らす (1981) THE POSTMAN ALWAYS RINGS TWICE
イージー・ライダー (1969) EASY RIDER
『 シャイニング (1980) THE SHINING 』『 バットマン (1989) BATMAN 』
マーズ・アタック! (1996) MARS ATTACKS!
N.Y.式ハッピー・セラピー (2003) ANGER MANAGEMENT
恋愛適齢期 (2003) SOMETHING'S GOTTA GIVE 』と、どんな役でも容姿までその人物に成り代わって演じることのできる貴重な俳優だ。アカデミー主演男優賞を二回、助演男優賞を一回受けている実力者。秒針が5時を回るのを確認して、シュミットはおもむろに立ち上がり、もう一回部屋を見回し、ダスターコートを手にして社を後にする。定年退職の人の寂しそうな顔つきが、このシーンだけでもよく出ている。

【 アバウト・シュミット 第03段落 】  夜には、老妻ヘレン(ジューン・スキッブ:
セント・オブ・ウーマン/夢の香り (1992) SCENT OF A WOMAN 』等に出演)を伴って、ジョニーズ・カフェ Johnny's Cafe (オマハに実在するレストラン)で行われる退職記念パーティに出席した。これは会社が主催してくれる大規模なディナー・パーティで、結婚式の披露宴のような感じ。ここでは、シュミットの後任に決まっている若手のゲイリー・ノーディン(マット・ウィンストン:
ギャラクシー・クエスト (1999) GALAXY QUEST 』等に出演)のおかしくもないスピーチを聞かされたり、同僚のレイ・ニコルズ(レン・キャリオー:
13デイズ (2000) THIRTEEN DAYS 』等に出演)の「いまいましい事 God-damned things 」をやたら強調するスピーチを聞かされたり。レイは人生で本当に意味のあることを見つけようとか熱弁を振るう。そしてずっと続く友情を期し、栄光の退職をみんなで祝した。

【 アバウト・シュミット 第04段落 】  さあ、翌日からが大変。朝 6 時59分には会社時代と同じに目を覚ます。キングサイズのベッドには、妻へレンはいびきをかいてまだスヤスヤ眠っている。パジャマにガウンを羽織って、妻が起きるまでパズルをして時間潰し。暫くすると、妻のご機嫌な声が家の外から聞こえる。退職に合わせて購入したトレーラー・ハウスの中で、朝食を夫婦ですることに。妻へレンは、夫が退職したらこうしようと約束していてワクワク嬉しそうだが、シュミットは別に老妻相手にこんなことしたいとも思っていない。このトレーラー・ハウスは 35フィート(約 10.5 メートル)もある大型で最新式。台所から、トイレ、リビング、ベッドまで内装のある立派な車だ。なお、シュミットの屋敷はアメリカ中流家庭の奇麗な立派な家だ。

【 アバウト・シュミット 第05段落 】  することがないからテレビを居間で見まくる。退職して自宅にいるようになった男性の大部分が直面するであろうこの姿は、日本でも勿論以前から話題に上っているし、社会問題の一つである。この西洋の会社人だったシュミットだって、やはり日本の会社人とソックリだ。TVのどのチャンネルも面白くない。その中で、一つシュミットの心を動かすTV広告があった。 Child Reach という里親を募る団体の広告で、アフリカ等の未開発国の子供に寄付をして下さいという内容。一人の子の里親になるには一ヶ月 22 ドル($1=¥ 120 換算で 2,640 円)でよく、そうすれば学校に通わせて成長するのを助けられる、子供・家族・地域社会のためになる、とその広告は訴えていた。里親制度でも、これは完全に離れた所の子に経済援助する、つまり足長おじさんになるという制度だが、
きみの帰る場所/アントワン・フィッシャー (2002) ANTWONE FISHER 』のように、自宅に引き取って里親になる制度もある。

【 アバウト・シュミット 第06段落 】  TVを見るしかやる事がないので、会社に背広を着て出かけた。後任のゲイリー・ノーディンが、シュミットの昨日までのオフィスを全く模様替えして椅子の主として収まっている。三十代のこのゲイリーに「何か困ったことないかと思って…。質問でもあるんじゃないかと思って来たんだ。」でも、ゲイリーは若手でそれなりに忙しそうに"現役"している。お呼びじゃない、という雰囲気。仕方なく社を出ると、会社の一階の駐車スペースに、シュミットの整理した書類のダンボール箱がそのまま放置されていた。ンーン、もうここは俺のいる場所ではない…。

【 アバウト・シュミット 第07段落 】  ボーっと元気なく帰宅する。妻ヘレンは台所でチキンを料理している最中。年をとっても、女性のほうは、長年"家事"をし続けているから、何やかやとすることは山ほどある。このヘレン役のジューン・スキッブはまさに適役だとうなってしまった。ふくよかで、年齢独特の風貌と仕草、可愛いおばあちゃん主婦というその何とも言えないお顔。配役のリサ・ビーチは
17歳のカルテ (1999) GIRL, INTERRUPTED
クリスティーナの好きなコト (2002) THE SWEETEST THING
タキシード (2002) THE TUXEDO 』でも担当していて、上手に選んだなぁと感心してしまった。それにジューン・スキッブの演技力であるのも違いないが。

【 アバウト・シュミット 第08段落 】  郵便物の中に、TVで見た里親募集の団体 Child Reach からの封筒があった。それ自体に感動していたし、退職して心にポッカリと穴が空いた状態のところだったので、すぐに応募することに決める。同封の書類に署名をして、毎月の 22 ドルを払っていくことに同意。シュミットの里子になるのは、アフリカの某国の Ndugu Umbo (アブダラ・ムトゥル)という6歳くらいの少年だ。ンドゥグと発音するらしい。その案内書には、寄付の署名だけでなく、個人的な手紙も書き添えて欲しいと記されていたので、シュミットは自筆で書き始める。ちょっと形式だけ書けばいいだろうに、こんな時期のシュミットだったので、書き始めたらブレーキがきかなくなって、次のような愚痴をいっぱい書くのだ。

【 アバウト・シュミット 第09段落 】  先ず住所、年齢、定年退職のこと。後任の若手のヤツは全然仕事がわかっちゃいないこと。年をとると、皺(しわ)・しみ等の皮膚の老化、血管が浮き出るといった醜さが出てきて肉体的に衰えてくること。妻ヘレンとは結婚 42 年だが、妻は年をとり、やることなすことに腹が立つこと━車に乗るのに、早くからキーを出している、飾り物の小物のコレクションをして棚に並べている、喋り方・体臭・ヨイショといったドスンという座り方。(この映画はジャンルは主にドラマだが、風刺っぽいコメディなので、もうこの辺を観ている頃から、中年の母は妙に納得してビミョーな反応していた。このストーリーは中年から初老の人が観たらたまらないだろう。)手紙はまだ続く。一人娘ジーニー(子役:マッケナ・ギブソン、ステファニー・カーティス)は小さい頃から可愛がって育ててきたこと。今は家を出て独立しており、最近婚約をしたこと。その相手はウォーター・ベッドのセールスをしているランドール・ハーツェルという気に食わないヤツだということ。

【 アバウト・シュミット 第10段落 】  思わずいっぱい自分の事を書き連ねて、最後に「このお金で何か食べるものを買ってください。」その手紙を郵便局に出しに行く。アメリカは広いから、ちょっとそこまで、ではない。車で町まで背広を着て出かけるのだ。妻へレンはミニ掃除機を使って、老体で床を這いつくばっている。「郵便局まで行くけど、何か買ってくるものあるか?」「別に。」その言葉が最後になるとは誰が予測したろう。帰宅すると、妻は脳溢血?で倒れて帰らぬ人となっていた。傍らにはミニ掃除機がスイッチがついたまま…。身近の人の死が、こんなあっけない形で訪れることって案外あるのかもしれない。葬儀社を手配し、葬式の段取り、棺えらび。棺屋さんは、まるで楽器店にピアノが壁に沿って何種類も陳列してあるようで、こんなこと言ったら申し訳ないけれど興味深かった。仏壇屋さんの感じのようでもある。

【 アバウト・シュミット 第11段落 】  娘ジーニー(ホープ・デイヴィス)がコロラド州デンバー Denver, Colorado から飛行機で帰って来た。コロラド州は実家で父ウォーレン・シュミットが住むネブラスカ州の南西に接する、やはり中西部の州だ。父シュミットは空港まで迎えるが、婚約者ランドール・ハーツェル(ダーモット・マルロニー)も一緒で何やら面白くない。葬式も済ます。葬式の話やお墓のシーンは
デュエット (2000) DUETS
イン・ザ・ベッドルーム (2001) IN THE BEDROOM
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (2001) THE ROYAL TENENBAUMS
K−19 (2002) K-19: THE WIDOWMAKER
アナライズ・ユー (2002) ANALYZE THAT
ムーンライト・マイル (2002) MOONLIGHT MILE
Mr.ディーズ (2002) MR. DEEDS
コーリング (2002) DRAGONFLY 』や中国映画
ハッピー・フューネラル (2001) BIG SHOT'S FUNERAL/大腕(原題) 』等、随分ある。

【 アバウト・シュミット 第12段落 】  葬式の後、シュミットが友人・親戚からの慰めのカードを読んでいるところに、娘の婚約者ランドールが部屋に入ってきて、「お辛いでしょう、大丈夫ですか。」と言ってきた。それだけならいいのに、こんな時に、投資の話を持ってくるのだ。いつまでもウォーター・ベッドのセールスをしていたくないから、投資の好機を共有したいと。何たるヤツ!シュミットは余計に眉間に皺が深くなる。シュミットは定年退職、妻の急死、一人娘の結婚、という、ダブルパンチどころか、トリプルパンチに直面することになったしまった。

【 アバウト・シュミット 第13段落 】  葬儀の翌朝か翌々日、久しぶりに娘ジーニーに朝食を作ってもらって、嬉しそう。トーストの焼き具合にポテトチップスの味の種類まで、好きなことを注文している。そして、「お母さんが亡くなってしまったからお前がここに残って、お父さんの面倒を見てよ。」とシュミットは言い出す。娘は、「エッ、そんな…。私は帰らなければならないわよ、お手伝いさんを雇ったらいいじゃない。」父は「そんな余分な出費はしたくないよ。結婚式を延期すればいいじゃないか。」娘「そんなこと出来ないわよ!お母さんと毎日電話し合って準備してきたのに。招待客のことも、挙式も、ドレスや披露宴の段取りも。」娘の口調はだんだん激しくなる。「それにしても、お父さん、なぜお母さんの棺を一番安いのに選んだの?」父「一番安くはないぞ。もう一つ安いほうを見せられたけど、それは断った。」…てな具合に父と娘は喧嘩だ。

【 アバウト・シュミット 第14段落 】  婚約者ランドールにせかされて、二人はデンバーへ帰る身支度する。あと数週間後の結婚式でお会いしましょう、と二人は空港のゲートへと消えていった。見送る父シュミット…。曇天の空に、気持ちまでが重くなる。足取りも重い。空港から自分の車で帰ろうとすると、エンジン・トラブルで動かない。悪いことばかりだ。修理業者に持っていってもらって(その後、この車は登場しないから、もう直らなかったらしい)、タクシーで、誰も待つ者のいない自宅へ戻る。こういうシーンと並行して、シュミットは何通か里子のンドゥグに手紙を書き、ジャック・ニコルソンのナレーション風にBGに流れる。保険会社で寿命を扱ってきた関係上、シュミットは余命は計算できるものだとンドゥグに書く。でも、人生は短い。1分でも無駄にしないように、そして、現在あるものがまだあるうちに感謝しておくように、とも記す。

【 アバウト・シュミット 第15段落 】  妻の死後、二週間経った。部屋は脱ぎ捨てた衣服やモノでゴチャゴチャ。テーブルの上は残飯や汚れた皿でいっぱい。台所はごみの山。逆に、食べるものはない。冷蔵庫も、キッチンの収納にも、殆ど何も残っていなくなった。…これが、日常生活の慣れていない男性の独りになった姿。「人生を大変革しなくちゃ」(と言っても、今まで妻が全部やっていた買い物のこと)と、シュミットは大型トレーラー・ハウスに飛び乗って、初めて一人で買い出しに行く。スーパーで、食糧を手当たり次第に買い込んで、 10 袋くらいになった。これで食べ物の心配はなくなると、妻を想って感傷的になる。妻が恋しい。"あんな"妻がいてよかったということが、死んで初めて分かった、と。クローゼットで妻の服や靴に触れて、愛しく思う。

【 アバウト・シュミット 第16段落 】  すると、靴の空き箱の中から、何十年も前のラブレターの束が出てきた。それは、シュミットの同僚のレイ(退職記念パーティでスピーチした人)からのものだった。妻は別の男と!と怒りと嫉妬に狂うシュミットは、床屋から出てくるレイを待ち伏せて、「よくも妻と!」と怒って殴りかかる。まぁ、老人同士だから、殴り合いといってもそんな力は出せていないだろうが。レイとしたら、ずっと昔の事で、「すまない!でも大昔のことだから。」と言うほかない。シュミットは帰宅しても落ち着かない。ヘンな行動にも出る。(バスタブにオシッコしたり!)寝付かれない。突然、起き出して、トランク二つを提げて、トレーラー・ハウスを運転し始めた。

【 アバウト・シュミット 第17段落 】  米国中西部の高速道路をどんどん飛ばす。郊外の緑が美しく過ぎていく。ヨーロッパ映画とはまた違う、アメリカの広大な大地と、力強く疾走する白い大型トレーラー・ハウスが美しく映える。シュミットは考え直したのだ。オマハの家に何故いる必要があるのか。娘の所に行けばいいのだ。そして結婚式の準備とかを手伝ってやろう。それを、高速道路の途中の公衆電話で娘ジーニーに電話して話す。しかし、娘の応えは父親の予想とは全くかけ離れていた。そんなこと、やめてよ!結婚式のニ、三日前に来てくれればいい。デンバーの娘の所には夕方には到着しようとしていたのに、娘からのきついパンチを食らって、だだっ広い田舎道を前にして、ただただうな垂れるシュミット…。

【 アバウト・シュミット 第18段落 】  ンドゥグへの手紙ではこう書いている。「娘から早く来てと頼んできたのですが、思い出の地を廻っていくことにしました。」悲しいシュミットの心が溢れている。シュミットは自分を奮い起こして、先ず自分の生家に立ち寄っていくことにした。ネブラスカ州のホールドリッジ Holdrege, Nebraska の生家に車を向かわせる。その番地に行くと、現在は生家はなく、タイヤ・ショップになっていた。でも、この位置に何々があって、と店員相手に独り、昔を偲ぶ。故郷はいいものだ、と。次はカンザス州ローレンス Lawrence, Kansas にある母校のカンザス大学へ。男子学生会館 Fraternity House に入っていって、学食で若い学生を相手に喋ったり、自分の二十歳の頃の顔写真を見つけて喜んでみたり。この学生写真はジャック・ニコルソンの本当の若い時分の写真なのか、サイトの写真集で調べて見たけど、あまりにも若かりし頃のなので、判断できなかった。

【 アバウト・シュミット 第19段落 】  地理的には、カンザス州は自宅オマハのあるネブラスカ州の真南に隣接し、娘の住むコロラド州の真東に隣接する位置関係だ。シュミットはまたネブラスカ州に舞い戻って、パイオニア・ヴィレッジ( Pioneer Village, Minden, Kearney 郡だと思います)に寄ったり、バッファロー・ビル・コーディの故郷( "Buffalo Bill" Cody's home, North Platte, Nebraska )を見に行ったりして過ごす。映画はこのようにアメリカ中西部を行ったり来たりして有名な史跡等を見せてくれるので、それだけでも十分楽しめる。こういう所のアンティークの土産物店で、シュミットは数体の人形を買い、自分が亡き妻と同じ(馬鹿にしていた)事をしていることに気付く。

【 アバウト・シュミット 第20段落 】  キャンピング・カー・パークは米国は設備が非常に整っている。ヨーロッパ映画
ロゼッタ (1999) ROSETTA 』の定住の暗いイメージとは違って、全国各地をキャンピング・カーやトレーラー・ハウスで移動しながら旅行していく人達のための短期・長期を問わない施設だ。キャンピング・カーで8メートル程度以上のものをトレーラー・ハウスと呼ぶようだ。パークは広い敷地で、生活手段の水道・ガス・電気等の設備が整備され、料金体系も明解で、おまけに清潔ときている。ここに一時的に停泊したシュミットのトレーラー・ハウスに、そのパーク内で停めている中年男性ジョン・ラスク(ハリー・グローナー:
パッチ・アダムス (1998) PATCH ADAMS
ロード・トゥ・パーディション (2002) ROAD TO PERDITION 』等に出演)が"ホーイ!"と言って好奇心いっぱいにして訪れる。"ホーイ Hoy "は古代ヴァイキングの戦いの鬨(とき)の声が由来で、現在では" Hello "や" Hi "とほぼ似た意味の挨拶言葉らしい。

【 アバウト・シュミット 第21段落 】  ジョンはウィスコンシン州 Wisconsin 出身だと簡単に自己紹介して、シュミットの最新型の大型トレーラー・ハウス内部を見せてもらい、感嘆の声を上げる。そして妻の料理に招待する。一人ぼっちのシュミットは喜んで招待を受け、缶ビールを手土産に夕食をいただきにラスク夫妻のキャンピング・カーに行った。ご馳走になって、夫ジョンはいびきをかき、妻ヴィッキ・ラスク(コニー・レイ:
タイムマシン (2002) THE TIME MACHINE 』等に出演)がアルバムを見せて食後を過ごしていると、ヴィッキはシュミットが表面と違って本当は悲しい人だと見抜く。悲嘆を越えて、怒り・恐怖・孤独だと。ほんの一時間そこらしか会っていないのに自分を見抜いたヴィッキを、「 42 年間一緒に暮らした妻よりも理解がある、もっと早くお会いしたかった。」と、シュミットは子供のように彼女の胸に顔をうずめる。「悲しいかたなのですね。」とちょっと当惑して言うヴィッキに、シュミットは強烈に突然のキス。ヴィッキは怒って、すぐ追い出す。シュミットは負け犬のようにキャンピング・カー・パークを後にした。

【 アバウト・シュミット 第22段落 】  このように人生の悲哀を
妹の恋人 (1993) BENNY & JOON 』等の製作総指揮のビル・バダラートや、
セブン・イヤーズ・イン・チベット (1997) SEVEN YEARS IN TIBET 』等の製作のマイケル・ベスマンは、非常に巧くこのドラマを展開させて見せていく。この後、シュミットは道端の公衆電話からレイ(妻と浮気した同僚)に電話をかけ、あれは昔のことだから、もういい、と留守電に伝える。また晴れた青空の下、中西部の高速道路をぶっ飛ばすシュミット。地方柄、ホルスタインの牛を積んだトラックと平行して走って、牛の目と目が合って、アイツも生きてるんだ、って感じ。夕方、湖畔にトレーラー・ハウスを停めて、湖を眺めて過ごす。夜には、トレーラー・ハウスの屋根に座り、空の星に向かって、妻へレンに話し掛ける。「俺は本当にお前の欲していた男なのかい?それとも失望した男?レイとの事は遠い昔のことだから、許すよ。俺は亭主関白だった。許してくれ。」アンティーク店で買った数体の小さな人形を並べて、蝋燭をともして何やら儀式めいた雰囲気。

【 アバウト・シュミット 第23段落 】  翌朝、屋根の上で目覚めたシュミットは「荒野での夜が過ぎて、僕は生まれ変わった。」と、急アクセルを踏み、出発。屋根の上の小さな人形たちは、シュミットが妻との葛藤から逃れたかのように、走る屋根から滑り落ちていった。娘のいるデンバーへ、回り道をしていたけれど、遂に行こう!トレーラー・ハウスを快適に飛ばして、デンバーに着いた。娘ジーニーの婚約者ランドールの実家を訪れるシュミット。出迎えてくれたのは、ランドールの母親ロバータ・ハーツェル(キャシー・ベイツ:
タイタニック (1997) TITANIC
コーリング (2002) DRAGONFLY 』等に出演)。ひと癖もふた癖もありそうな恰幅のいい初老の威勢のいい女性。

【 アバウト・シュミット 第24段落 】  ロバータはランドールを生んでから離婚して、離婚した夫ラリー・ハーツェル(ハワード・ヘッセマン)は、再婚か同棲の東洋系中年女性サンドラ(シェリル・ハマダ)と同じ家に同居しているような、おかしな関係の家だ。更に得体の知れない兄か弟のダンカン・ハーツェル(マーク・ベンユイゼン)もいる。二日後に控えた結婚式の準備で大変なジーニーとランドールも加わって、歓迎の食事会をする。でも、ロバータを筆頭にヘンな一家をシュミットは敬遠したのだろう、娘に、この男と結婚するなと言ってしまう。ヘンな連中ばかりだ、ヘンな夢を見るんじゃない、と。ジーニーは反発してこう言う。「あさっての結婚式では黙って、楽しむか応援して。さもなければ今すぐ帰って!」

【 アバウト・シュミット 第25段落 】  頭を抱えるシュミット。トレーラー・ハウスは家の前の道路に駐車して、このハーツェル家に泊らせてもらうが、流石ランドールが扱っているからベッドはウォーター・ベッドだ。グニュグニュに流動する水の入ったマットレスになじめず、シュミットは翌朝、首が回らなくなった。娘のそばに来て、こんな日にこんなことになるなんて。痛み止めの薬をロバータはシュミットにあげると、効きすぎて、教会での挙式のリハーサルでは意識が朦朧(もうろう)。食事会でも同じ状態だ。こんなことで明日の結婚式は大丈夫だろうか。夜には、ハーツェル家の裏庭のジャグジー Jacuzzi の露天風呂に入って痛みを和らげるよう、ロバータが提案。ゆっくり浸かっていると、ロバータがバスタオル一枚で家から出てきた。ロバータつまり 54 歳のキャシー・ベイツがオール・ヌードになって一緒に入ってくるのだ。これにはシュミットはまいって、観客もまいった!観たくないヨ〜。海パンのシュミットは、首の痛いのも忘れて、トレーラー・ハウスに逃げ帰る。こういうコメディ要素もいっぱいあるにはある。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【 アバウト・シュミット 第26段落 】  ジーニーの結婚式の当日となった。ロバータが、この家庭はクリエイティヴ creative な家庭だと言った通り、式もちょっと変わっていたかも。ウェディング・マーチでなく、女性達のフォークソング的な歌が流れる中、式は挙げられる。哀しかったり楽しかったり喜怒哀楽の多いこのストーリーでは音楽も大変だったと思う。音楽担当のロルフ・ケントは
ベティ・サイズモア (2000) NURSE BETTY
ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD 』で手堅く仕上げている人だ。注目のシュミットは、娘の挙式をぶち壊すことなく、また首も回るようになったようで、常識人らしく臨席した。娘が別の男性と結ばれていく式次第を感慨深く見つめる。

【 アバウト・シュミット 第27段落 】  披露宴で、花嫁の父親のスピーチを求められ、立派にやり遂げる。「昨夜、よく眠れなかったので」と前置きし、「二人は巡り合い、新しい人生の道を一緒に歩むようになりました。ご存知のように私は最近妻を亡くし、ジーニーにとっては母親を亡くし、今、一緒にここにいてくれればよかったのにと思います。ジーニーがいい人と巡り合えてよかった。実は初めはヘンな奴と思っていたのですが…。本当に言いたいことは『有難う』。ランドール君、娘によくしてくれて有難う。ロバータさん、寛大な心で、家庭を開けっぴろげに見せてくれて有難う。ラリーさん、あなたはいい人だ。サンドラさん、あなたの手芸(恐らく中国系として、中国刺繍)は凄い。ダンカン君、あなたは思慮深いいい人だ。…この特別な佳き日、私は大変嬉しく思っています。」これを聞いて娘は泣く。

【 アバウト・シュミット 第28段落 】  帰り道は、往きと違って回り道しないでまっすぐオマハの自宅を目指した。途中一箇所だけシュミットは立ち寄ったところがある。コロラド州とネブラスカ州の境にある The Great Platte River Road Archway Monument だ。高速道路をアーチ型に跨いで建つ、木造風の開拓時代の記念館のような建築物。西部に渡って行った人達が州を越えた記念に造られたそうだ。ここでも観客はめったに行けない名勝を観られて、得した気分。シュミットは、昔の開拓時代の人々が成し遂げた勇気を褒め称え、大平原を横断し、ローキー山脈を越えた幌馬車隊の直面したであろう幾多の困難を思うと、自分のデンバーへの旅は些細なことに思われてきた。

 The cowards never started.
 The weak died on the way.
 Only the strong arrived.
 They were the pioneers.
 臆病者は決して出発しなかった。
 弱者は途中で死んだ。
 強者だけが辿り着いた。
 彼らこそが開拓者だった。(幸の訳)
米国の西海岸のフロンティア目指して行ったパイオニア達を、このように端的に記念碑に表現している。アメリカの開拓精神を見る思いがした。

【 アバウト・シュミット 第29段落 】  俺がいるからと言って何がよくなるというのだ。自宅に帰って考えるシュミット。俺は弱い人間だ。俺は失敗者だ。もうすぐ死ぬ。 20 年先か明日か分からない。誰でも死ぬ。俺がいると言って、誰に影響すると言うのか。誰にも影響なんかしない…。留守中にたまっていた郵便物をチェックしていると、一通のエアメールに気付いた。アフリカのタンザニアからで、里子ンドゥグの面倒を見ている修道院のシスター・ナディングチ?からの手紙だった。それはシュミットの里親としての献金を感謝し、シュミットが出した数通の手紙をンドゥグ君が喜んでいること。あなた様が幸福で健康であられますように祈っていること。ンドゥグ君は6歳だから字の読み書きが出来ないので、絵を同封するので見てやってください、ということ。そしてンドゥグ君の描いた素朴な絵を見て、シュミットは泣く…。

【 アバウト・シュミット 第30段落 】  絵は、大人一人と子供一人が手を繋いでいる。シュミットは、自分の存在は誰にも影響なんかしないという空虚で悲観的人生観に達しかけていたところに、地球に一人でも影響を及ぼしている人間がいるのを知って、この映画は終わるのだ。実に重い内容の映画だった。子供が見たらこのような人生の襞(ひだ)は解せないだろう。幸のように二十代だと、娘の気持ちと親の気持ちが少し解る。中年以降は、老いと病、親と子の関係と、夫婦関係と、寿命、死、というものを痛切に考えさせられるだろう。非常にリアルだから、それはそれは観ていて苦しく、時にはウルウルし、コメディどころではない。近年の中身の軽い諸映画と比べると、ズーンと重い内容の 125 分だった。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず11689文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
      http://www.aboutschmidtmovie.com/
      Jack-Nicholson.Co.Uk -an unofficial site -
      http://www.mobil.net/jnichol/photo.html
      Kearney County #52 county seat: Minden
      http://www.nctc.net/counties/kearney/
      Buffalo Bill State Historical Park
      http://www.ohwy.com/ne/b/bufbishp.htm
      Origin of Hoy
      http://www.jeffhoy.com/about/hoyhoy.html
      Straight Dope Staff Report: What's the origin of "ahoy"?
      http://www.straightdope.com/mailbag/mahoy.html
      Archway Monument: over I-80
      http://www.archway.org/
      The Great Platte River Road Archway Monument
      http://www.westerninnsouth.com/area_attractions/tgrram/

いつも参考にしておりますallcinema ONLINE さんには、2003年02月15日の時点で[ 解説 ]は出ていませんので、これをアップしました。Thanks to allcinema ONLINE.
■映画『 アバウト・シュミット 』の更新記録
2003/02/15新規: ファイル作成
2004/12/04更新: ◆部テキスト追記と書式変更および再登録
2004/12/27更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/05/28更新: ◆データ追加
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幸田 幸
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