LOVERS
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LOVERS (2004)
十面埋伏 (原題) / HOUSE OF FLYING DAGGERS (英題)
 映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 (原題) / HOUSE OF FLYING DAGGERS (英題) 』をレヴュー紹介します。

 映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 LOVERS (2004) HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の主なスタッフ
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の音楽
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の製作
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のあらすじ
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のトリビア
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の日本配給
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のスタッフとキャスト
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 LOVERS 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の結末
■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 LOVERS (2004) HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のポスター、予告編および映画データ
LOVERS
LOVERS
Links:  Official Web Site
Trailers:  Quick Time: 300k
上映時間 Runtime: 1:59
製作国 Country: 中国/香港
China / Hong Kong
製作会社
Production Company:
Beijing New Picture Film Co. [cn]
全米配給会社 Distributer: Focus Features [us]
Sony Pictures Classics
全米初公開 Release Date: 2004/12/03 予定
日本初公開 R. D. in Japan: 2004/08/28 予定
日本公開情報 : ワーナー
ジャンル Genre: アクション/ドラマ/ロマンス/歴史劇
Action / Drama / Romance / Historical
MPAA Rating 指定: Rated PG-13 for sequences of stylized martial arts violence, and some sexuality.
日本語公式サイト
http://www.lovers-movie.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の解説

 映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 (原題) / HOUSE OF FLYING DAGGERS (英題) 』はアジアの巨匠チャン・イーモウ監督でジェット・リー Jet Li 主演の『 HERO (2002) HERO (英題) / 英雄 (原題) 』の続投とも言える作品なので、邦題は『 HERO 』と同じに全角大文字の英語『 LOVERS 』としたのかも。『 LOVERS 』の中国の原題は「十面埋伏」。英語題「 HOUSE OF FLYING DAGGERS 」は中国語で「飛劍之家」と書く。邦題が「飛ぶ剣の家」では収まらないので『 LOVERS 』で落ち着いたのだろう。『 HERO 』が史実と創作で悲壮感漂う作品だったのに対し、この『 LOVERS 』は娯楽色がずっと大きい。チャン・ツィイーのボーイッシュな面と妖艶な面とが巧く使い分けられている。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の主なスタッフ

 映画『 LOVERS 』のスタッフは、『 HERO 』と同じメンバーが本当に目立つ。『 LOVERS 』監督・製作・脚本の三役を務めるチャン・イーモウ(『 2046 (2004) 2046 』等)、『 LOVERS 』共同脚本のリー・フェンとワン・ビン、『 LOVERS 』製作総指揮チャン・ウェイピン、『 LOVERS 』製作のチャン・ツェンヤンとウィリアム・コン、『 LOVERS 』衣装デザインのワダエミ(『 宋家の三姉妹 (1997) 宋家皇朝 / THE SOONG SISTERS 』)、それに『 LOVERS 』アクション監督のチン・シウトン(『 少林サッカー (2001) SHAOLIN SOCCER / 少林足球 (原題) 』『 沈黙の聖戦 (2003) BELLY OF THE BEAST 』)ら、みんな『 HERO 』のスタッフだった。二匹目の柳の下のドジョウを当然狙っているのだろう。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の音楽

 映画『 LOVERS 』の音楽は、衣装の和田恵美さんと同様、日本人の梅林茂さん(『 花様年華(かようねんか) (2000) 花様年華 / IN THE MOOD FOR LOVE 』『 2046 (2004) 2046 』等)が担当している。それに、『 LOVERS 』のテーマソングを歌うのはオペラ歌手のキャスリーン・バトルを選んだとチャン・イーモウ監督は語っている。

 『 LOVERS 』は他に、音響関係の裏方さんとして、
ブラックマスク2 (2001) BLACK MASK 2: CITY OF MASKS (英題) / 黒侠II (原題) 』のスティーヴ・バージェス、
『 愛の落日 (2002) THE QUIET AMERICAN
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING 』のマーク・フランケン、
クローサー (2002) SO CLOSE / 夕陽天使 (原題) 』のクリス・グッズ、
スクービー・ドゥー (2002) SCOOBY-DOO
ピーター・パン (2003) PETER PAN 』のヴィック・キャスパー、
パイレーツ・オブ・カリビアン2 (仮題) (2006) PIRATES OF THE CARIBBEAN 2: TREASURES OF THE LOST ABYSS 』のジョー・ミョン、
M:I−2 (2000) MISSION: IMPOSSIBLE 2 / M:I-2
ヘブン・アンド・アース (2003) WARRIORS OF HEAVEN AND EARTH 』のアンドリュー・ニール、
ロミオ&ジュリエット (1996) WILLIAM SHAKESPEAR'S ROMEO & JULIET / ROMEO + JULIET
ハッピー・フューネラル (2001) BIG SHOT'S FUNERAL / THE FUNERAL OF THE FAMOUS STAR / 大腕 (原題) 』のポール・ピロラ、
ムーラン・ルージュ (2001) MOULIN ROUGE!
イン・ザ・カット (2003) IN THE CUT 』のブレア・スレイターら
が活躍している。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の製作

 映画『 LOVERS 』は、一、二年前の『 HERO 』がオスカーの外国語映画賞にノミネートされるほど成功したし、中国での興行成績もすこぶるよかったのに続く勢いで製作された。『 LOVERS 』制作費は『 HERO 』と同じに $30,000,000 ($1=¥ 110 換算で 33 億円)か、少なくとも $20,000,000 ( 22 億円)だろうと推測されている。

 『 LOVERS 』のロケは四川省の永川市 Yongchuan, Sichuan にセットが造られて行なわれた。
グリーン・デスティニー (2000) 臥虎藏龍 (原題) / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
シャンハイ・ヌーン (2000) SHANGHAI NOON
キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1
キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2 』等の撮影が行なわれた北京 Beijing は、『 LOVERS 』はロケというよりも音響の仕事がされた所。
 また、ウクライナ Ukraine は
海の上のピアニスト (1999) THE LEGEND OF 1900 』でもロケされたが、『 LOVERS 』でも、景色が素朴だし諸コストが安く済むという理由でロケに使われている。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のあらすじ
※本作『 LOVERS 』のあらすじは、日本公開前に幸田幸が書いたものです。作成現時点で出来るだけ正確な情報を心掛けていますが、データや内容に誤りや適切でない表現があるかもしれません。どうか宜しくご了解いただきお読みくださいますようお願いいたします。本コンテンツの複写や転用等はお控えください。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。映画会社や配給会社や宣伝担当会社からの情報提供はこちらをお読みください。
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 映画『 LOVERS 』の舞台は9世紀、西暦 859 年、中国は唐 Tang Dynasty の時代である。玄宗皇帝の治世であるが、皇帝の悪政に反乱する不満分子たちが地下組織を作っていた。その組織の名が、この映画『 LOVERS 』の英語タイトルになっている「 House of Flying Daggers 」つまり漢字で「飛劍之家」又は「飛刀門」というのだ。因みに、『 LOVERS 』原題の「十面埋伏 Shi mian mai fu 」とは英語サイトでは「 Ambushed From Ten Directions 」と説明されていた。「十方向から待伏せされる」という意味かな。

 その反乱軍組織「 House of Flying Daggers 飛劍之家」の首謀者を突き止め逮捕するために、朝廷から二人の官吏が隠密に任務に出される。ジン(金城武)
ターンレフト・ターンライト (2003) 向左走・向右走 (原題) / TURN LEFT, TURN RIGHT (英題) 』等

とリウ(アンディ・ラウ)
フルタイムキラー 全職殺手 (2001) FULLTIME KILLER
インファナル・アフェア (2002) 無間道 (原題) / INFERNAL AFFAIRS (英題)
インファナル・アフェア 終極無間 (2003) 無間道III (原題) / INFERNAL AFFAIRS III (英題)
マッスルモンク (2003) 大隻[イ老] (原題) / RUNNING ON KARMA / AN INTELLIGENT MUSCLE MAN(英題)
インファナル・アフェア 終極無間 (2003) 無間道III (原題) / INFERNAL AFFAIRS III (英題)
マジック・キッチン (2004) 魔幻厨房 / MAGIC KITCHEN
ベルベット・レイン (2004) 江湖 (原題) / BLOOD BROTHERS (英題)
イエスタデイ、ワンスモア (2004) 龍鳳門 (原題) / YESTERDAY ONCE MORE (英題) 』等
だ。二人は「飛劍之家」攻撃のための計画を綿密に練る。

 ジンは偽名の一匹狼の戦士になりすましてシャオメイ(チャン・ツィイー)
グリーン・デスティニー (2000) 臥虎藏龍 (原題) / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON
MUSA−武士− (2001) MUSA
天上の剣 The Legend of ZU (2001) 蜀山伝 / THE LEGEND OF ZU
HERO (2002) HERO (英題) / 英雄 (原題)
パープル・バタフライ (原題) (2003) 紫胡蝶 / PURPLE BUTTERFLY (英題)
2046 (2004) 2046
SAYURI (2005) MEMOIRS OF A GEISHA 』等
を監獄から救い出すように企てる。シャオメイ自身、反乱軍組織「 House of Flying Daggers 飛劍之家」のメンバーなので、救出すればジンは信用されて、「 House of Flying Daggers 飛劍之家」のアジトまでついていかれるという策略であった。

 その救出計画は成功するが、アジトまでの道中で思いもしない展開となる。ジンとシャオメイは恋に落ちるのだ(そりゃ美男・美女の組み合わせだもの、「LOVERS」になるのも当然!)。二人は愛し合っているが、お互い自分の秘密を暴くことは出来ず、心のどこかでは相手を心から信じることはができないできっと苦しむのだろう。竹林の中でいい雰囲気でいる二人は、危険に囲まれる。中国映画特有の竹林の中のワイヤーアクションやカンフーが凄いらしい。それに、英題「 House of Flying Daggers (飛劍之家)」の通り、竹で出来た剣が無数に飛んでくる襲撃が見ものだそうだ。中国語原題「十面埋伏 」つまり「十方向から待伏せされる」というから、攻撃とその応酬のアクションも期待できそう。

 そこに、もう一人の官吏、アンディ・ラウ扮するリウが絡む。リウは同じ立場でもジンとは別の行動で「 House of Flying Daggers 飛劍之家」撲滅を図るらしい。そして、美しい女性シャオメイをめぐってリウとジンとで三角関係が生じる。愛する女性は皇帝に反する立場の女性だから、その愛は不運の不毛の愛に終わるのだろうか。こういう‘愛’‘愛する者たち’を描くので、邦題を『 LOVERS 』としたのだろう。『 LOVERS 』は、CGI も駆使して、カンフー(功夫)を十二分に見せる映画だけど、不運な三角関係の所謂メロドラマを見せたかったのだそうだ。

 なお、このあらすじは映画『 LOVERS 』を観る前に書いたものです。鑑賞後に書いたレヴューは下記<もっと詳しく>にあります。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』のトリビア

 チャン・ツィイー扮するその美しいシャオメイであるが、「 Peony Pavilion <直訳:牡丹(ボタン)とか芍薬(しゃくやく)の館>」という遊郭で娼婦をしている盲目の女性である。この映画『 LOVERS 』で盲人を演じるに当たって、チャン・ツィイーは撮影開始前に二ヶ月間、実際に盲目の女性と共に暮らして役作りしたそうだ。その人は 12 歳の時、脳腫瘍の為に視力を奪われたそうで、目が見えないという感覚を初めて分かったとチャン・ツィイーは述べている。

 病気と言えば、アニタ・ムイ 梅艶芳 Anita Mui が当初はある役柄でキャスティングが決定していたが、癌で亡くなったので実現できなくなった。彼女に敬意を払って、チャン・イーモウ監督は代役を立てずに脚本を書き直してこの映画を撮影し終えたという経緯がある。早期には、代役としてミシェール・ヨー 楊紫瓊 Michelle Yeoh (『 マスター・オブ・リアル・カンフー/大地無限 (1993) 太極張三豊 (原題) / THE TAI-CHI MASTER (英題) 』等)やブリジット・リン 林青霞 Lin Ching-Hsia の名も上がったそうだが。

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■映画『 LOVERS (2004) 十面埋伏 / HOUSE OF FLYING DAGGERS 』の日本配給
 日本での配給はワーナーだ。近年だけでも
恋愛適齢期 (2003) SOMETHING'S GOTTA GIVE 』『 オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE
キャットウーマン (2004) CATWOMAN
コンスタンティン (2004) CONSTANTINE
スクービー・ドゥー2 モンスター パニック (2004) SCOOBY-DOO 2: MONSTERS UNLEASHED
テイキング・ライブス (2004) TAKING LIVES
トルク (2004) TORQUE
トロイ (2004) TROY
ニューヨーク ミニット (2004) NEW YORK MINUTE
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN
ビッグ・バウンス (2004) THE BIG BOUNCE
ポーラー・エクスプレス (2004) THE POLAR EXPRESS
チャーリーとチョコレート工場 (2005) CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY
と、凄く充実したラインナップを持っている。
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【『 LOVERS 』のスタッフとキャスト】
監督: チャン・イーモウ 張藝謀 Zhang Yimou (Directed by)
アクション監督: チン・シウトン 程小東 Ching Siu-Tung (action choreographer)
製作: ウィリアム・コン 江志強 William Kong (producer)
    チャン・イーモウ 張藝謀 Zhang Yimou (producer)
    チャン・ツェンヤン Zhang Zhenyan (associate producer)
製作総指揮: チャン・ウェイピン 張偉平 Zhang Weiping (executive producer)
脚本: チャン・イーモウ 張藝謀 Zhang Yimou (Writing credits)
    リー・フェン 李馮  Li Feng (Writing credits)
    ワン・ビン 王斌 Wang Bin (Writing credits)
撮影: チャオ・シャオディン Zhao Xiaoding (Cinematography by)
衣装: ワダエミ 和田恵美 Wada Emi (Costume Design by)
音楽: 梅林茂 Umebayashi Shigeru (Original Music by)
主題歌: キャスリーン・バトル Kathleen Battle (Theme song singer)

出演: 金城武 Kaneshiro Takeshi as Jin ジン
    チャン・ツィイー 章子怡 Zhang Ziyi as Mei シャオメイ
    アンディ・ラウ 劉徳華 Andy Lau as Leo リウ
    ソン・タンタン 宋丹丹 Song Dandan as Yee 牡丹坊の女将

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 LOVERS 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー
 映画データについては調査した時点と公開される時点で異なる場合があります。本作の内容については、間違いや勘違いや適切でない表現があるかもしれません。どうかご理解賜りますようお願いいたします。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。
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【LOVERS 第01段落】  映画『 LOVERS 』の舞台は西暦 859 年、唐の大中 13 年のことだ。玄宗皇帝の朝廷軍と、悪政への不満を募らす反乱軍との死闘が繰り広げられていた。朝廷軍の奉天縣<ほうてんけん>の捕吏<ほり>詰め所で、捕吏つまり隊長である二人、ジン(金城武)とリウ(アンディ・ラウ)が話している。朝廷からは、反乱軍の飛刀門<ひとうもん>の頭目<とうもく:よからぬ集団の長についていう。かしら。親分のこと>を十日以内で殺せという命令が届いたのだ。二人は飛刀門の以前の頭目はもう殺したので、また、新しい頭目を殺さなければならない。

【LOVERS 第02段落】  因みに、金城武が扮するジンは漢字では「金」で、アンディ・ラウ 劉徳華 が扮するリウは漢字では「劉」だ。演ずる俳優さんの苗字から役名をとっているのはお遊びかしら。さて、新しく出来た遊郭の一番の売れっ子が飛刀門の一味だという情報があるので、リウはジンに探りに行かせることにした。ジンはプレイボーイ的で丁度いい。でも、一言、リウはジンに忠告:「決して本気になるな。」

【LOVERS 第03段落】  その遊郭は牡丹坊といい、目映く華麗なインテリアが優雅で贅沢だ。女性達の衣装もカラフルでエキゾチックで美しい。ここに潜入して女性たちに囲まれて酒に酔っているふりをしているジンは、女将(ソン・タンタン)に、一番の売れっ子を連れてこいと命じた。女将は、チップをもらうと了解するが、その踊り子は盲目なのだと告げる。

【LOVERS 第04段落】  そして現れたのが、シャオメイ(チャン・ツィイー)という色香溢れる美女。この辺りのシーンはこの映画『 LOVERS 』で一番色鮮やか。衣装デザインの和田恵美さんによるコスチュームは繊細で優雅で挑発的で、ものすごく綺麗である。『 HERO (2002) HERO (英題) / 英雄 (原題) 』の時は、シーンごとに赤とか黄色とか青とか一色に統一していたので、衣装もそれに合わせて一色の無地だった。それに対し、『 LOVERS 』のこの牡丹坊での衣装は色彩と柄の豊かさに目を奪われた。

【LOVERS 第05段落】  シャオメイに扮するチャン・ツィイーは北京舞踏大学付属中学と北京の中国中央演劇学院の出身なので、さすが本物の体の柔らかさ! 脚は頭まで上げるし、両足を 180 度開いて跳んだりと、踊りやアクションでの身のこなしは、これまで観たチャン・ツィイーの映画のどれよりも感心してしまった。夢のような衣装で、東洋的化粧を施したチャン・ツィイーは、童顔と色香の混ざった独特の魅力を発揮している。

【LOVERS 第06段落】  連れてこられたシャオメイの美しさにジンは魅惑され、俺を楽しませてくれたらお前を野山に連れて行ってやろうと約束。踊り始めたシャオメイをジンは酔ったふりをして抱き寄せる。必死に抵抗するシャオメイを羽交い絞めにして乱暴するので、女将や他の女性達が離そうとしているところに、リウ隊長が率いる朝廷軍の一隊が駆け込み、その場を収めた。そして、ジンもシャオメイも逮捕。しかしジンは自分も兵士だと名乗り、ちょっとやりすぎだと叱られた。シャオメイの方はここの単なる踊り子なのだからと、女将はとりなした。すると、リウは「鼓打ちの舞」を正確にすれば釈放してやると約束する。

【LOVERS 第07段落】  そして前半、冒頭近くのハイライト、「鼓打ちの舞」のダイナミックで華麗なシーンだ。円形に太鼓を数十個並べ、リウが豆か何かをどれかの太鼓に投げる。すると当たった音がする。盲目のシャオメイは、その音のした太鼓を目指して、衣装の長〜い袖の先を当てて、正しければいいのだ。リウは正確に当てたシャオメイを嘲笑うかのように、これでもか、これでもか、と複雑な鼓打ちを挑戦する。シャオメイは見事に踊って、長いピンクの袖を翻して鼓打ちに応える。

【LOVERS 第08段落】  と、その時、シャオメイは袖の先に短刀をつけてリウを襲った。「朝廷の犬どもは残らず切る!」と言って。そしてリウとシャオメイ二人の戦いになる。激しい戦いも、リウがシャオメイを水に沈めて、決着を見た。艶やかな衣装と艶やかな化粧だったシャオメイは、濡れ鼠の囚人になってしまった。リウは拷問で脅して、飛刀門のアジトを教えろと迫り、一日だけ決断する猶予を与えた。

【LOVERS 第09段落】  詰め所でジンとリウはまた話している。飛刀門のメンバーのシャオメイを捕らえてご褒美をもらえるわけだが、リウは更にもう一つの計画をジンにもちかけた。それは、飛刀門の頭目の娘は盲目で、家出をしているそうなので、シャオメイこそ頭目の娘に違いない。再び彼女に近づき、芝居して信用させるようにして飛刀門のアジトにたどり着くという策略である。リウはジンにその役をさせ、また「本気になるな」と警告した。

【LOVERS 第10段落】  ジンは覆面で忍者のように詰め所の牢獄に押し入り、カンフーを駆使してシャオメイを救い出した。ジンとシャオメイは森の中を逃避行する。その忍者然とした男が昨日遊郭で会ったばかりのジンだと知ってシャオメイは驚く。ジンは、朝廷には愛想が尽きたからだと言い訳し、シャオメイが携えていて没収されていた飛刀門の独特の武器=飛刀<ひとう:柄がカーブしている独特の短刀で手裏剣のようなもの>セットも、返してあげる。

【LOVERS 第11段落】  しばらく進んで、その飛刀セットを落としたと分かったのでジンが探しに行くと、その間にシャオメイは朝廷軍の数人の男たちに襲撃されていた。盲目でもシャオメイは果敢に戦ったが、まさに危機一髪の時、飛刀を見つけてジンが戻ってきた。そして捕らえられたシャオメイを救うため、離れた地点から矢を射る。矢は竹林を縫って飛び、四人に的中した。こうしてジンはシャオメイを窮地から救ったので、シャオメイの信頼を得ることが出来たようだ。

【LOVERS 第12段落】  飛刀門のアジトはひたすら北へ進めばあるのだと言う。二人は北上を続け、池の畔でシャオメイに水浴びさせてあげた。この際、男性に見られるのは嫌だから、男性は剣を木に当てて音を出して遠くにいることを示す。これは同じくチャン・ツィイーが『 グリーン・デスティニー (2000) 臥虎藏龍 (原題) / CROUCHING TIGER, HIDDEN DRAGON 』でも洞窟でお風呂に入るとき、相手の男性は歌を歌って遠くにいることを示しているのと同じだ。でも、ジンの場合、ちょっとズルして、彼女の水浴を間近で盗み見していたのだけど。

【LOVERS 第13段落】  シャオメイはそれに気づいていた。でも、命の恩人だから見られてたって構わないと言って、二人は抱き合って求め合う。しかし、シャオメイは途中で冷静な顔に戻ってしまう。ジンは俺は本気だと言う。黒い囚人服のシャオメイには着替えを貸してやった。ジンの衣装と色違いの男物の服だ。それに身を包んだシャオメイはキュート。ボーイッシュな魅力が出ている。

【LOVERS 第14段落】  翌朝、ジンは眠っているシャオメイに気づかないように、朝靄の中を森を戻り、リウと落ち合った。そして途中経過を伝える。昨日、竹林の中で射ったあの矢は、実は芝居だったことも分かる。兵士達は死んではいない。捕らえられたシャオメイを‘救った’ので、彼女はジンを信頼したと思えること。ここでも、リウは「本気になるな」と警告。

【LOVERS 第15段落】  その後、シャオメイとジンはまた北上し、一面に野花の咲く箇所に出た。シャオメイは、約束通りに野山に連れてきてくれたことを喜び、ジンは馬上からスタントまがいに綺麗な花を摘んで、花束をシャオメイに差し出した。二人とも素直に好き同士になってしまったようだ。そこへ朝廷の役人たちが二人を捕らえに来てしまった。ジンは、俺は仲間だと小さい声で伝えるが、信用しない。斬り合いとなり、ジンは横腹に傷を負った。シャオメイは飛刀門のあの飛刀=手裏剣を投げて応酬し、二人は手に手を取って逃走する。また危機一髪になると、どこからか矢が放たれ、追っ手の役人は倒れた。果たして、その助っ人は飛刀門の仲間だろうか。シャオメイによると、違うと言う。

【LOVERS 第16段落】  今度こそあなたを信じるとシャオメイは言った。もう一人で大丈夫とシャオメイは言うが、ここまで来てそうもいかないとジン。この後、また途中経過の報告でジンはリウと落ち合う。さっきの役人達は将軍が派遣した兵だったそうなのだ。飛刀門の人間は一人残らず切れとの命令なのだ。ところで、リウはじっとジンとシャオメイの後を追って様子を窺っているわけで、二人の親密さを見ていると気が変になりそう。

【LOVERS 第17段落】  シャオメイはジンに、本気なのかと尋ねる。そう訊かれて、ジンは、俺は風のようなもの、気ままにしていくのだとうそぶく。すると、あなたなんて必要ないから消えて、とシャオメイは言って馬上の人となった。幽玄の美の竹林。そこを独り進むシャオメイに、竹の上から何人も襲ってくる。ワイヤーアクションだが、忍者のように高い竹を不気味に移動し、竹の刀を射ってくる。そしてシャオメイが危機に陥ると、またもやジンは虫の知らせか、戻ってきて、彼女を助けるのだ。

【LOVERS 第18段落】  靄の中、竹林では、竹で作った刀が何百本と飛んでくる。二人は地面の罠の穴に落ちて、捕まった。すると、別の竹の刀が敵に放たれた。これこそ、まさにタイトルの「 House of Flying Daggers 」=「飛劍之家」つまり、「飛刀門」の頭目だっだ。「シャオメイ、お帰り」と言う「飛刀門」の頭目は、何と、遊郭の牡丹坊の女将だったのだ。

【LOVERS 第19段落】  飛刀門のアジトで、ジンは、シャオメイが好きなら妻にしなさいと言われていると、上から網が落ちてきて、身体を縄でグルグル巻きされてしまう。と同時に、リウも捕まって縄で縛られている。ジンとリウの朝廷軍の二人は、遂に反乱組織飛刀門に捕らえられてしまった。・・・

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【LOVERS 第20段落】  実は、アンディ・ラウ扮するリウは飛刀門のメンバーで、三年前に朝廷軍に潜入した密偵だった。片や、シャオメイはシャオメイなのだが、飛刀門の頭目の娘なのではなくて、いわゆる影武者、代役であった。頭目の娘は盲目なので、シャオメイは盲目のふりをしていたにすぎなかった。そしてシャオメイとリウは飛刀門仲間で恋人同士だったのだ。だから、あの女将だった頭目<実はこれも代役で、本物の頭目は顔を見せない>は、シャオメイとリウを二人きりになるよう取り計らってくれる。

【LOVERS 第21段落】  三年ぶりでやっと二人きりになれたリウは、シャオメイを抱き締めるが、シャオメイは途中で遮る。「あいつか。あいつには未来なない。忘れろ。」とリウは悔しそうに呟く。リウは三年間もシャオメイを思い続けているのに、シャオメイはジンとたった三日なのに心がジンに移っている。悔しそうなリウ。リウは拒むシャオメイを激しく求める。とその時飛刀=手裏剣が飛んできて、リウの背中に刺さった。頭目が投げたものだった。緑のロングコートで編み笠を被った頭目が言う。「嫌がっているではないか。無理強いはよせ」。飛刀=手裏剣が刺さったままで偵察に戻って役人を欺くようリウは命じられ、そしてシャオメイは、ジンを連れ出して殺せと命じられてしまう。飛刀門の掟なのだ。

【LOVERS 第22段落】  シャオメイは、縄で括られたジンを野に連れ出した。あなたを飛刀門のアジトまで連れてきたら殺されるのは分かっているから、あの時わざと独りで去ったのに、とシャオメイは惜しそうにジンに言う。でも殺せない。投げた飛刀=手裏剣は彼の縄だけを切った。そして二人は堰を切ったように激しく求め合い、結ばれた。

【LOVERS 第23段落】  飛刀門と朝廷の争いが続く限り、ジンとシャオメイはただのコマである。だから、ジンは二人で逃げようと提案する。しかし、シャオメイは踏ん切りがつかず、残った。ジンは孤独に馬で去っていった。しばらく森を走ると、ジンはシャオメイが追ってくる予感がして立ち止まった。その頃、その予感は的中し、シャオメイは馬でジンの後を追い始めた。これでやっとハッピーエンドか、とホッとしたのも束の間、嫉妬の権化と化したリウが見ていて、シャオメイに飛刀門の刀を投げて落馬させた。シャオメイは心臓に刀を受けてもうダメだ。

【LOVERS 第24段落】  またもや虫の知らせか、ジンはシャオメイの危機を悟り、急いで戻ってくる。致命傷を負い野に倒れているシャオメイをジンは抱き起こす。そこへ、ジンを襲ってくるリウ。これで初めて、共に朝廷軍の隊長だと信じていたリウが飛刀門だったと知るのだ。リウは「本気になるな」とあんなに警告しただろと。ジンとリウは寂しい野原で斬り合いが始まる。切られても切られても延々と続く。その象徴のように、辺りは秋の風景から、雪になり、地面も木々も真っ白になった。それでも二人の戦いは続く。

【LOVERS 第25段落】  飛刀=手裏剣の刺さったままのシャオメイは起き上がり、飛刀=手裏剣を抜こうとする。抜けば出血多量ですぐに死んでしまうから抜くなとジンは叫ぶ。でも、リウは飛刀=手裏剣をまさに投げようとしている。そしてリウが飛刀=手裏剣を投げる仕草をした瞬間、シャオメイも刺さっていた飛刀を心臓部から抜いて投げた。しかし・・・リウは実際は飛刀を投げていなかった。それに、シャオメイは百発百中の腕前なのに、的を外して投げていた。つまりは、リウもシャオメイも心の中で相手を思いやっていたのだ。こうして男二人、リウとジンは深い傷を負いながらも死なずに済み、シャオメイが息絶えるのである。

【LOVERS 第26段落】  『 LOVERS 』は、チャン・イーモウ監督の「不運な三角関係を描きたかった」という言葉通りの映画だった。冒頭、チャン・ツィイーが踊りながらハスキーな声で歌った「♪北に佳人あり 比類なき絶世の美女なり ひと目見れば 城を傾け ふた目見れば 国を傾ける 城を失い 国を滅ぼしたとしても 手に入れたい女」という「佳人曲」。中国語では、「北方有佳人,□世而独立,一□傾人城,二□傾人国,□□傾城和傾国,佳人□再得」という古典の詩歌らしい(□印は日本の漢字でない字)。それが、ラストでは、吹雪の中で、悲しい運命のライバル同士の男二人が空洞になった心で去っていくシーンで再び流される。誠に思いもかけないどんでん返しの面白い作品だった。そう言えば、飛刀門のアジトは北へ行けばあると美女シャオメイは言っていたっけ。この「♪北に佳人あり・・・手に入れたい女」の伏線だったのか。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず6244文字/文責:幸田幸

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参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      張藝謀武侠巨作《十面埋伏》
       http://ent.163.com/ent_2003/editor/movie/film/040518/040518_246623.html
      公式サイト(英語版)
       http://www.houseofflyingdaggersmovie.com
■映画『 LOVERS 』の更新記録
2004/06/08新規: ファイル作成
2004/07/27更新: ◆テキスト一部とリンクおよびファイル書式更新:
2004/11/30更新: ◆テキスト一部更新:
2004/12/12更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/02/24更新: ◆リンク追記
2005/10/30更新: ◆レヴュー作成
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幸田 幸
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