マルホランド・ドライブ
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マルホランド・ドライブ (2001)
MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE
 映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』をレヴュー紹介します。

 映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の主なスタッフ
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の主なキャスト
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の受賞
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』のあらすじ
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』のトリビア
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』のスタッフとキャスト
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 マルホランド・ドライブ 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の結末
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の幸の疑問点と推理解明
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の感想
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』のポスター、予告編および映画データ
マルホランド・ドライブ
マルホランド・ドライブ
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Trailers:

Quick Time:11.8Mb

上映時間 Runtime: 2:26
製作国 Country: フランス/アメリカ
France / USA
製作会社
Production Company:
Les Films Alain Sarde [fr]
Asymmetrical Productions
Babbo Inc.
Le Studio Canal+ [fr]
The Picture Factory (original version)
全米配給会社 Distributer: Universal Focus [us]
全米初公開 Release Date: 2001/10/19 (limited)
日本初公開 R. D. in Japan: 2002/02/16
日本公開情報 : コムストック
ジャンル Genre: ドラマ/ミステリー/スリラー
Drama / Mystery / Thriller
MPAA Rating 指定: Rated R for violence, language and some strong sexuality.
日本語公式サイト
http://www.mulholland.jp/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』の解説

 映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』は原題は『 MULHOLLAND DR. 』ではあるが、エンディング・クレジットでは『 MULHOLLAND DRIVE 』と出るし、ポスターやフランス等でも『 MULHOLLAND DRIVE 』になっている。
 『 マルホランド・ドライブ 』は、当初は米国 ABCテレビ用に企画されたものだったが、ABC は辞退して、結局、フランスの Studio Canal 社が映画製作として引き受けた。だから『 マルホランド・ドライブ 』は米国・フランス合作で、TV向きの要素と映画の要素が混じり合った独特のシュール(シューレアリズム Surrealizm)なデヴィッド・リンチの作品とした仕上がりを見せる。ヒロインはナオミ・ワッツ。

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■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』の主なスタッフ

○『 マルホランド・ドライブ 』の監督・脚本・音楽: デヴィッド・リンチ
『 ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 (1992) TWIN PEAKS: FIRE WALK WITH ME 』
砂の惑星 (1984) DUNE
『 エレファント・マン (1980) THE ELEPHANT MAN 』

○『 マルホランド・ドライブ 』の製作: ニール・エデルスタイン
ザ・リング2 (2005) THE RING TWO 』
ザ・リング (2002) THE RING

○『 マルホランド・ドライブ 』の製作: マイケル・ポレール
チームアメリカ★ワールドポリス (2004) TEAM AMERICA: WORLD POLICE
ソラリス (2002) SOLARIS
フル・フロンタル (2002) FULL FRONTAL

○『 マルホランド・ドライブ 』の製作: アラン・サルド
ヴェラ・ドレイク (2004) VERA DRAKE
ライフ・イズ・ミラクル (2004) LA VIE EST UN MIRACLE (仏題) / LIFE IS A MIRACLE (英題)
恍惚 (2003) NATHALIE... 』
戦場のピアニスト (2002) THE PIANIST
シェフと素顔と、おいしい時間 (2002) DECALAGE HORAIRE (原題) / JET LAG (英題)
女はみんな生きている (2001) CHAOS
デュラス 愛の最終章 (2001) CET AMOUR-LA
オーギュスタンの恋々風塵 (1999) AUGUSTIN ROI DU KUNG-FU (原題) / AUGUSTIN KING OF KUNG FU (米題)

○『 マルホランド・ドライブ 』の撮影: ピーター・デミング
ツイステッド (2004) TWISTED
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー (2002) AUSTIN POWERS IN GOLDMEMBER
フロム・ヘル (2001) FROM HELL
オースティン・パワーズ (1997) AUSTIN POWERS: INTERNATIONAL MAN OF MYSTERY

○『 マルホランド・ドライブ 』の配役: ジョアンナ・レイ
キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2
キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1
スターシップ・トゥルーパーズ (1997) STARSHIP TROOPERS

○『 マルホランド・ドライブ 』の音楽・出演: アンジェロ・バダラメンティ
ダーク・ウォーター (2004) DARK WATER
ロング・エンゲージメント (2004) UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES (原題) / A VERY LONG ENGAGEMENT (英題)
バレエ・カンパニー (2003) THE COMPANY
ソン・フレール ―兄との約束― (2003) SON FRERE (原題) / HIS BROTHER (英題)
キャビン・フィーバー (2002) CABIN FEVER
ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター (2002) AUTO FOCUS

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■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』の主なキャスト

●ナオミ・ワッツ as ベティ・エルムス/ダイアン・セルウィン
エリー・パーカー (原題) (2005) ELLIE PARKER
キング・コング (2005) KING KONG
ザ・リング2 (2005) THE RING TWO 』
ハッカビーズ (2004) I HEART HUCKABEES / I LOVE HUCKABEES
リチャード・ニクソン暗殺を企てた男 (2004) THE ASSASSINATION OF RICHARD NIXON
21グラム (2003) 21 GRAMS
ル・ディヴォース/パリに恋して (2003) LE DIVORCE
『 ザ・リング (2002) THE RING 』
マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE
『 エリー・パーカー (2001) Ellie Parker 』
娼婦ベロニカ (1998) DANGEROUS BEAUTY / A DESTINY OF HER OWN

●ローラ・エレナ・ハリング as リタ/カミーラ・ローズ
パニッシャー (2004) THE PUNISHER
ウィラード (2003) WILLARD
ジョンQ−最後の決断− (2002) JOHN Q
リトル★ニッキー (2000) LITTLE NICKY

●ダン・ヘダヤ as ヴィンツェンツォ・カスティリアーネ
ロボッツ (2005) ROBOTS
プール (2002) SWIMFAN / SWIMF@N

●ジャスティン・セロー as アダム・ケシャー
おまけつき新婚生活 (2003) DUPLEX
チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル (2003) CHARLIE'S ANGELS: FULL THROTTLE
ズーランダー (2001) ZOOLANDER

●マーク・ペルグリノ as ジョー・メッシング
ナショナル・トレジャー (2004) NATIONAL TREASURE
ツイステッド (2004) TWISTED
ハンテッド (2003) THE HUNTED
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク (1997) THE LOST WORLD: JURASSIC PARK

●ブレント・ブリスコー as ニール・ドムガード刑事
スパイダーマン2 (2002) SPIDER-MAN 2
グリーンマイル (1999) THE GREEN MILE

●ロバート・フォスター as ハリー・マックナイト刑事
コンフィデンス (2003) CONFIDENCE

●キャサリン・タウン as シンシア・ジェンセン
メラニーは行く! (2002) SWEET HOME ALABAMA
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH

●メリッサ・ジョージ as カミーラ・ローズ
恋は邪魔者 (2003) DOWN WITH LOVE

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■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』の受賞

◎『 マルホランド・ドライブ 』はカンヌ国際映画祭 2001 Festival de Cannes / Cannes Film Festival でデヴィッド・リンチが『 バーバー (2001) THE MAN WHO WASN'T THERE 』と同点で監督賞を獲得、
パルムドール Palme d'Or / Golden Palm にはノミネートされた。

◎『 マルホランド・ドライブ 』はセザール賞 2002 Les César du Cinéma / Cesars Film Awards でデヴィッド・リンチが外国映画賞に輝いた。

○『 マルホランド・ドライブ 』はゴールデン・グローブ 2001 Golden Globes で監督賞・脚本賞・音楽賞の三賞でノミネートされた。

○『 マルホランド・ドライブ 』はアカデミー賞 2001 Academy Awards でデヴィッド・リンチが監督賞にノミネートされた。

◎『 マルホランド・ドライブ 』は、その他、多数の受賞を果たしている。

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■映画『 『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』 』のあらすじ

【マルホランド・ドライブ あらすじ第01段落】  マルホランド・ドライブ Mulholland Drive というのは、ロサンゼルス Los Angeles の山手を横断する曲がりくねって歩道の無い実在する道路の名前だ。そこからはハリウッド Hollywood も見渡せるし、ローレル・キャニオン(『 しあわせの法則 (2002) LAUREL CANYON 』参照)もマルホランド・ドライブに沿った所にある。有名なサンセット大通り Sunset Boulevard やサンセット・ストリップ Sunset Strip もその南方にほぼ並行して走っている。
マルホランド・ドライブの地図はここから見れます。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第02段落】  マルホランド・ドライブ付近のハリウッドを目指して、叔母を頼ってはるばるカナダのトロント Toronto 空港からロサンゼルス空港 LAX に到着したのは、ベティ・エルムス(ナオミ・ワッツ)という綺麗で清楚な若い女性。ベティはカナダのオンタリオ州ディープリバー Deep River, Ontario, Canada から、女優志願でハリウッドにやって来たのだった。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第03段落】  ベティが向かう豪華なアパートメント・コンプレックスはココ(アン・ミラー)という女性が経営・管理している。すると、先着がいて、シャワーを浴びていた。黒髪というかブルネットの魅力的な若い女性で、ベティは叔母の知り合いだと思った。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第04段落】  そのブルネットの女性はカミーラ・ローズ(ローラ・エレナ・ハリング)といい、マルホランド・ドライブでの自動車事故の後、ひしゃげたリムジンから降りて、この邸宅にたどり着いたのだ。でも、ベティに名前を訊かれて、ポスターにあったリタ・ヘイワース Rita Hayworth の‘リタ’をとっさに名乗る。そして記憶喪失になってしまったのだと説明した。負傷もしているそんな‘リタ’を、カミーラは親身に面倒を見た。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第05段落】  ハリウッドの映画監督アダム・ケシャー(ジャスティン・セロー)は、新作の配役で問題を抱えている。映画資金を出す黒幕的人物、ローク氏(マイケル・J・アンダーソン)と短気なヴィンツェンツォ・カスティリアーネ(ダン・ヘダヤ)は、主役女優に自分達の好みの女優を使うように強いている。しかしケシャー監督はそれが気に入らず、断ると、ケシャーの人生は急に狂いだした。妻には捨てられるし、破産はするし、人生お先真っ暗になる。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第06段落】  警察は、ハリー・マックナイト刑事(ロバート・フォスター)らが‘リタ’のあの交通事故の件を調べている。本当は‘リタ’カミーラ・ローズはマルホランド・ドライブで狙撃されるところだった。それが、自動車事故の為に偶然に命を拾われたのだった。マルホランド・ドライブのどこかが目的地である筈だけど、それも覚えがない。こういう‘リタ’を、ベティは心から気の毒に思って、記憶を取り戻してあげよう、‘リタ’のこれまでの事を調べてあげよう、と一生懸命になる。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第07段落】  ついに二人はダイアン・セルウィンという名の女性をつきとめて訪問するが、ベッドで死体となっているのを発見する。そして取り乱す‘リタ’を思いやるベティ。‘リタ’はベティの好意を受けて一緒にベッドに入ると、二人はレズの関係になるのだ。

【マルホランド・ドライブ あらすじ第08段落】  ‘リタ’は一体何者なのか? ベティはハリウッドで名優やスターになれるのか? ‘リタ’とベティの関係はどうなるのか? そして映画『 マルホランド・ドライブ 』に登場する色々な謎の人物は? 理解しがたいシーンの繋がりはどうなっていくのか? 観れば観るほどミステリーが交錯し、重なり被さっていく・・・。

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■映画『『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DR. / MULHOLLAND DRIVE 』のトリビア

 映画『 マルホランド・ドライブ 』で‘リタ’カミーラ・ローズの役のオーディションに向かっていた女優ローラ・エレナ・ハリングは、運転手付きのリムジン(大型高級乗用車)に乗っていて、劇中と同じにやはり交通事故に遭っていたそうだ。ちょっとした事故だったけど。
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【『 マルホランド・ドライブ 』のスタッフとキャスト】
監督: デヴィッド・リンチ David Lynch (Directed by)
製作: ニール・エデルスタイン Neal Edelstein (producer)
    トニー・クランツ Tony Krantz (producer)
    マイケル・ポレール Michael Polaire (producer)
    アラン・サルド Alain Sarde (producer)
    メアリー・スウィーニー Mary Sweeney (producer)
    ジョイス・エライアソン Joyce Eliason (co-producer)
製作総指揮: ピエール・エデルマン Pierre Edelman (executive producer)
脚本: デヴィッド・リンチ David Lynch (written by)
撮影: ピーター・デミング Peter Deming (Cinematography by)
編集: メアリー・スウィーニー Mary Sweeney (Film Editing by)
配役: ジョアンナ・レイ Johanna Ray (Casting by)
音楽: アンジェロ・バダラメンティ Angelo Badalamenti (Original Music by)
    デヴィッド・リンチ David Lynch (additional music)
    ジョン・ネフ John Neff (additional music)
    ロイ・オービソン Roy Orbison (song "Crying"/"Llorando"ジョランドー)

出演: ナオミ・ワッツ Naomi Watts as Betty Elms/Diane Selwyn ベティ・エルムス/ダイアン・セルウィン
    ローラ・エレナ・ハリング Laura Elena Harring as Rita/Camilla Rhodes リタ/カミーラ・ローズ
    アン・ミラー Ann Miller as Catherine 'Coco' Lenoix ココ・ルノワ
    ダン・ヘダヤ Dan Hedaya as Vincenzo Castigliane ヴィンツェンツォ・カスティリアーネ
    ジャスティン・セロー Justin Theroux as Adam Kesher アダム・ケシャー
    マイケル・J・アンダーソン Michael J. Anderson as Mr. Roque ローク氏
    マーク・ペルグリノ Mark Pellegrino as Joe Messing ジョー・メッシング
    ブレント・ブリスコー Brent Briscoe as Detective Neal Domgaard
    ロバート・フォスター Robert Forster as Detective Harry McKnight
    アンジェロ・バダラメンティ Angelo Badalamenti as Luigi Castigliane
    キャサリン・タウン Katharine Towne as Cynthia Jenzen
    メリッサ・ジョージ Melissa George as Camilla Rhodes

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR./MULHOLLAND DRIVE 』の「テキストによる未公開映画の再現」レヴューは、現在まだ書けておりませんが、本作の映画手法の特殊性から、幸はサスペンスの推理仕立てにレヴューして代用します。例によって話の流れ上当然ネタばれを含みますので、十分ご注意下さい。
ATTN: Please stop reading here because my review reveals the movie content.

【『 マルホランド・ドライブ 』の幸の推理レヴュー】

 映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR./MULHOLLAND DRIVE 』のDVDでは、デヴィッド・リンチ監督は、音楽は意味を理解するものではなく、感覚で聞くもの。この映画マルホランド・ドライブも音楽と同じように感覚で見るものと仰っている。当然日本でも話題作だったのだが、前知識なしで一回だけ映画館で観ても納得のいかない箇所がいくつも出てきた。まあ、ビデオやDVDが出てから何度も観ればいいやッでそのままにしておいた。
 その後DVDで実際何回か観た。何だか釈然としない箇所があっても所謂リンチの作品だからそんなものかと思ってレヴューしていなかった。特にこの作品はストーリー的に観てレヴューしにくい。でも意を決して遅れ馳せながら書く事にした。

 幸は、映画『 マルホランド・ドライブ 』のシーンからナオミ・ワッツ扮するダイアン・セルウィンについて、幸の理解した事実を、推理も入れて論理的に順を追って先ず書いてみる。
 本作『 マルホランド・ドライブ 』レヴューの形式は、先ず「幸の事実認識」そして劇中での「なんで?」「それはこうだから!」というような「疑問点」と「推理解明」というスタイルにします。劇中のベティとカミーラのように素人探偵になっている映画『 マルホランド・ドライブ 』を追求していきます。
 それでは、先ず必ず【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識】からお読みください。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
  ATTN: This review reveals the movie content.Please don't say that I didn't say!

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識01】  ダイアン・セルウィンはカナダのオンタリオ州の田舎町出身。彼女はジルバの大会で優勝して、叔母からの少しばかりの遺産を持って、ハリウッドにやって来た映画女優志望の女性である。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識02】  ダイアンは、たった一人でカナダから単身でロサンゼルス空港に着いた。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識03】  ダイアンは、女優になるためにオーディションを受け、絶賛されて合格したが、落ち目のプロデューサー、ウォーリー・ブラウンの映画に、おそらく出演または主演する予定だったのだろうが、キャスティング・エージェンシーのリニー・ジェームズの言う通りその映画は日の目を見なかったのだろう。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識04】  ダイアンの前にオーディションを受けたという黒髪の女性はおそらくカミーラ・ローズ(ローラ・エレナ・ハリング)だろうが、落ちたのだろう。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識05】  しかし、カミーラ・ローズはハリウッドの大物ローク(『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 (1992)』の小人役 マイケル・J・アンダーソン Michael J. Anderson)のバックアップで主役を勝ち取り、売れっ子若手監督であるアダム・ケシャー監督に見初められてスターダムにのし上がっていく。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識06】  ダイアンは、カミーラ・ローズの代表作ボブ・ルッカー監督の“シルヴィア・ノース物語”でカミーラ・ローズと知り合った。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識07】  ダイアンは、カミーラ・ローズと愛し合うようになり、レズビアンの関係になった。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識08】  ダイアンは、チャンスに恵まれず、カミーラ・ローズの口利きでお情けで配役をもらっていた。これは幸の推測だが、彼女のドラッギーな震えや幻覚的な映像から、この辺りで自暴自棄になって麻薬中毒になっているのかもしれない。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識09】  ダイアンはおそらく根っからのレズだろうが、カミーラ・ローズはどちらもこなせる野心家だったのだろう。ダイアンはカミーラ・ローズからレズビアンな関係を拒まれ、二人の中はギクシャクするようになった。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識10】  ダイアンとカミーラの関係は、アダム・ケシャー監督の存在で既に壊れていたが、ダイアンはどうしても認めたくなかった。
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【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識11】  ダイアンは、ある日の夜、カミーラの電話での誘いを受けて、迎えの黒のリムジンでマルホランド・ドライブ(マルホランド通り)6980の丘の上にあるアダム・ケシャー監督の屋敷を訪問することになった。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識12】  ダイアンは途中で降ろされ、そこにカミーラが迎えに現れ、二人は仲良く連れ立って近道をしてアダム・ケシャー監督の家に遅れて行った。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識13】  ダイアンはパーティでアダム・ケシャー監督の母親ココに紹介された。ココは席につくとダイアンの自己紹介に理解を示してくれ好意的だった。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識14】  ダイアンは、カミーラの別のレズの相手の存在を知り、苦々しく思っているところに、カミーラとアダム・ケシャー監督との婚約発表を聞いて切れて席を立った。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識15】  ダイアンは、カミーラという恋人を失い、女優の夢も破れた。そのやる方のない怒りと憤懣、羨望と絶望の代償として、カミーラの殺害を殺し屋ジョー・メッシングに依頼した。成功報酬として金額は不明だが叔母が残してくれた遺産のお金を払う、成功すればブルーのキーを置いておくと決めた。後戻りはできなかった。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識16】  ダイアンは愛しているカミーラを殺害することに自責の念もあり、失敗してほしいとも思ったかもしれない。がしかし殺害は成功した。

【マルホランド・ドライブ 幸の事実認識17】  ダイアンは罪悪感と絶望と恐怖の中で禁断症状が起こり錯乱、狂ったように突発的に銃を取り出して自分の頭を打ち抜いた。ダイアンは自殺した。

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【『 マルホランド・ドライブ 』の幸の疑問点と推理解明】

 以下の幸の疑問点と推理解明は、映画後半部分の約 20 分間の種明しをベースに推理しています。

◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点01---オープニングの踊りは何なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ジルバです。オンタリオで開かれたジルバ大会でベティ(ダイアン)が優勝しました。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点02---オープニングのダイアンと両側に白く浮かぶ二人は誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンの故郷の叔父さん叔母さんです。叔母さんは死んで遺産を残しましたが、叔父さんももう既に亡くなっているのではないかと幸は思っています。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点03---オープニングの赤い布は何なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンの住んでいたアパートのベッドカバーです。このシーツがズームインしていくのは、ダイアンが外出から戻ってきてベッドで横になるダイアンの目線で眠りに入る瞬間です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点04---リタはキャデラック・リムジンに乗ってどこに行くところだったの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:このリタは、ダイアンの夢(妄想)内のダイアン本人の化身です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点05---リタは車内で銃を突きつけられて脅されたのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンはカミーラに電話で呼ばれてリムジンに乗せられて連れて行かれる途中に、急に車が止められ降ろされた時の驚きを、リタの殺害を計画とダブらせて夢(妄想)したことからです。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点06---交通事故は偶然なのかそれとも殺し屋ジョー・メッシングの仕組んだものなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:どちらとも言えない。交通事故がなければ後にベティと会わないことになる。しかし、殺し屋ジョーが撃ち殺した男の話の中で交通事故というクダリがあるが無視していいのでは。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点07---リタが隠れた家は本当にベティの叔母ルース・エルムスのお家なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:リタが隠れた家自体はダイアンの夢(妄想)の産物。ベティの叔母ルース・エルムスもダイアンの夢(妄想)の産物です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点08---レストランウインキーズで、二度見た同じ怖い夢を告白する青年は、お化けのような(ホームレスの)男を見て本当に死んだの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:映画では死んだことになっているが、これもダイアンの夢(妄想)です。この青年はダイアンが、カミーラ殺害を依頼した時にいた人です。彼に殺害計画を知られているので警察に知らされたら困るので、所謂目撃者は消せのノリですか。
◆マルホランド・ドライブ 幸疑問点09---ベティ・エルムスの叔母は本当にルース・エルムスで、ルース叔母さんは存在するの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアン本人には、遺産を残してくれた叔母さんはいたが、ベティ・エルムスはダイアンの夢(妄想)の産物なのでルース・エルムスは存在しません。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点10---ベティがロサンゼルスに着いたとき、一緒にいた老夫婦は誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンの叔父さん叔母さんですが、二人はダイアンと一緒にLAに来たわけではありません。ダイアンは叔母さんの遺産をもらってLAに来たわけですから。しかし、機内で彼らのような人に会っているかも知れません。
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◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点11---ヘブンハースト1612の邸宅にいた管理人(Manager)のルノワ(ココ)は本当に存在したの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンの夢(妄想)の産物です。ココは実際はアダム・ケシャー監督の母親です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点12---映画の製作会議(キャスティング)で後からやってくる二人は映画界の大物なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:彼らはヴィンチェンツォとルイージのカスティリアーネ兄弟で、映画に資金を出す人たちです。ひょっとしてマフィア関係の人かも知れません。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点13---エスプレッソを口から吐き出したのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:エスプレッソとはイタリアンコーヒーですが、会議の度にエスプレッソを飲んでは不味いので吐き出している様子。そのたびに取引がボツになっているのかも知れません。この人はアンジェロ・バダラメンティ Angelo Badalamenti という人で、最後のパーティの場面でも出てきます。本作『 マルホランド・ドライブ 』の音楽担当です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点14---ハリウッドの大物ロークに報告し指示を伺っている時のカミーラ・ローズとは一体誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ01推理解明:アダム・ケシャー監督に主演をさせるようカスティリアーネ兄弟が推薦するチャーミングな金髪の女性。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点15---リタは大金を持っているのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:大金の入っているバッグはダイアンが殺害を依頼したときの黒いバッグのようです。ダイアンが女優の夢敗れて生活に困っていたのでもっとお金がほしいという憧れからかも。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点16---ポルシェで家に帰るというアダム・ケシャー監督と車の電話で喋っているシンシアって誰なの。そしてレイって誰なの。映画に登場するの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:シンシアは実際にアダム・ケシャー監督の秘書か、又はアダム・ケシャー監督が所属する会社の従業員でしょう。レイは会社責任者か重要な役職にある人でしょう。少なくともアダム・ケシャー監督に命令できる人でしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸疑問点17---アダム・ケシャー監督には本当に奥さんロレインがいたの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。いました。それは後半の種明しのシーンでアダム・ケシャー監督は、「僕はプールを、彼女はプールマンを手に入れた」というクダリがあることから分かります。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点18---アダム・ケシャー監督は本当に奥さんロレインに不倫されていたの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。そしてその不倫の事実が裁判で勝訴し、妻を追い出して、カミーラと婚約発表までこぎつけたのでしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点19---奥さんロレインの不倫相手はジーンという名で、“GENE CLEANING”と書かれたトラックに乗っている清掃業だが何のクリーニングなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:この場合はプールだったのです。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点20---リタは、レストラン・ウインキーズ(Winkie's)のウエイトレスの胸の“ダイアン”という名札を見て自分が“ダイアン・セルウィン”という名前だと思い込むが、本当にそういう名前なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:違います。リタというのはカミーラ・ローズです。
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◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点21---アダム・ケシャー!と何度も呼んで奥さんと不倫相手を殴りとばす力士のような大きい白人の男は何なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:おそらく、アダム・ケシャー監督にチャーミングな金髪の女性の方のカミーラ・ローズを主演に推すカスティリアーネ兄弟の手先でしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点22---アダム・ケシャー監督が身を隠している汚いパークホテルの16号室になぜ泊まっているの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:この話自体はダイアンの夢(妄想)ですが、カミーラを盗んだアダム・ケシャー監督への憎しみと仕返しの願望の表れでしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点23---パークホテルの主人?クッキーはアダム・ケシャー監督が破産してパークホテルに泊まっていることをなぜ知っているの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:アダム・ケシャー監督はどこに身を隠してもカスティリアーネ兄弟とその世界の人たちは知っているから。
◆マルホランド・ドライブ 幸疑問点24---シンシアに手配してもらって、アダム・ケシャー監督が会ったカウボーイは一体誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:カスティリアーネ兄弟とその世界の人たちの手先です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点25---翌日ベティはルース叔母さんの友達でプロデューサー・ウォーリー・ブラウンのところにオーディションを受けに行って、前夜の練習とは全く違う演技を本当にして合格したの?
 ◇マルホランド・ドライブ01推理解明:はい。したかも知れません。しなかったかも知れません。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点26---俳優ウディ・カッツが「この前みたいにくっついてやりたいね、黒髪の女性の時みたいに」という「黒髪の女性」とはリタのことじゃないの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。そう考えるほうが論理的です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点27---皆が喜んでいるのに、ボブ・ルッカー監督が秘書と知らぬ振りで何か指示しているように見えるのはなぜ?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:後半でダイアン本人が、ボブ・ルッカー監督には気に入られてなかったと告白しているので、おそらく黒髪の女(リタ)が選ばれたのかも知れません。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点28---ボブ・ルッカー監督はこのオーディションの後、実際ベティを起用したの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:おそらく起用していないでしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点29---オーディションの後ベティが案内されたアダム・ケシャー監督のスタジオで、アダム・ケシャー監督がベティが気になる(ベティに気がある)ような目つきはどういうことなの?
 ◇マルホランド・ドライブ01推理解明:リタ=カミーラを選ぶ前にアダム・ケシャー監督は自分にも気があったのに、自分はレズだから彼の誘いに乗らなかったダイアンの女性のプライドからか。それにリタの記憶を取り戻すためにチャンスを逃がしたのよっという気持ちがあるような気がする。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点30---脅されてアダム・ケシャー監督が選んだカミーラ・ローズは、後に本当のカミーラ・ローズ(リタの実名)とどうなっているの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:映画のこの進行時点でカミーラ・ローズ=リタの実名を明かすと映画が成り立たないので、別の当て馬カミーラ・ローズを出した。そして彼女は実際のカミーラのレズの相手である。
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◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点31---町のあちこちで誰かがリタを探しているシーンが出てくるが、なぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアンがカミーラ殺害依頼をしているので。ダイアンの誇張した形の夢(妄想)になっている。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点32---シエラ・ボニータ2590の庭付きアパート12号室にはダイアン・セルウィンには住んでいたの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。その後何らかの理由で17号室に替わっている。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点33---ダイアン・セルウィンは部屋を取り替えて17号室に替わったのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:17号室は端の部屋です。カミーラとの愛の巣としてプライヴァシーが守れて好都合だったか、それとも部屋代の問題とか考えられるでしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点34---ベッドで死んでいた女性は誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ダイアン・セルウィン本人です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点35---ダイアン・セルウィンの死体を見て酷いショックを受けたのはリタだけのようで、ベティはさほどではないのはなぜ?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ベティはダイアン・セルウィンの夢(妄想)の人格です。ダイアン・セルウィンは自殺しているのですが、死ぬ前にカミーラはダイアンの死を見てどう反応するか知りたかったし、自分の死にショックを受けて悲しんで苦しんでほしいという願望の表れです。それで冷静です。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点36---リタは取り乱し、泣きながら黒髪を切り、金髪に染めるかウィッグをつけるのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:リタはこの時点では自分がダイアン・セルウィンでないかと思っていて、死んでいるダイアン・セルウィンから精神的に逃れたかったのではないかな。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点37---その夜、ベティとカミーラは愛し合ったのは現実なの?それとも夢なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:夢(妄想)の中ですが、事実です。
◆マルホランド・ドライブ 幸疑問点38---カミーラは夜中の2時にクラブ・シレンシオ(Silencio)へ行きたがったのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:彼女の記憶が戻ってきたのでしょう。実際ダイアンとカミーラは、ダイアンの生前一緒にこのようなクラブに行った経験があるのかもしれません。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点39---司会が「楽団はいません。これは全部テープです。オーケストラはいない。これらは何もかもまやかしです。お聞きを」と言って雷が鳴ると、ベティが大きく震えを起こすのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:これは、今までの映画のストーリーはすべてダイアンの夢(妄想)であり、この映画のプロット自体もまやかしだとデヴィッド・リンチ監督が言っているのかも知れません。ベティの存在自体がまやかし(illusion)だとばれたショックからかな。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点40---舞台に出てくる赤いタキシードのプレゼンターは、アダム・ケシャー監督が泊まっていたホテルの主人クッキーではないの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。
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◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点41---ロサンゼルスの泣き女レベッカ・デル・リオの歌を聞いて、ベティとカミーラは涙するのはなぜ? なにか特別の意味があるの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:夢(妄想)でベティはカミーラを愛していた。カミーラも私の事を愛していたでしょうという思いの産物。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点42---青い箱は何なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:映画のプロット的には、浦島太郎の玉手箱とかパンドラの箱のような、物語によくある小道具。手品の箱。これから種明しということかな。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点43---クラブ・シレンシオから家に帰ってきたベティとカミーラだけど、急にベティがいなくなったのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:種明かしが始まったわけだから、ベティは存在しない人物です。
◆マルホランド・ドライブ 幸疑問点44---青い箱を明けたリタも急に消えたのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:これまでの話はダイアンの夢(妄想)だから、もう既にカミーラは殺されている。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点45---カウボーイがダイアンの寝室を開け、「起きる時間だ」っていうのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:これまでは、ダイアンは眠って夢を見ているので、夢の中で起こされている。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点46---ダイアンの前に急に赤いドレスを着た眩いカミーラが現れたのは夢、現実、それとも思い出なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:付き合っていた時の思い出か、殺してしまってからの未練と妄想かな。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点47---コーヒーを入れてソファーを見たとき、裸のカミーラが寝そべっていて、ダイアンと愛し合うが、このシーンは夢、現実、それとも思い出なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:思い出です。そこでカミーラからレズの関係を拒まれるのです。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点48---急に映画撮影のシーンで若手俳優の演技指導でカミーラとアダム・ケシャー監督が絡む場面をダイアンが少し離れて見ているが、この映画はカミーラが主演で、ダイアンは出たの。
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。この映画はカミーラが主演で、たぶんダイアンはカミーラの口利きで出た端役でしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点49---火を焚き壁の裏にいた怖い男は一体誰なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:ホームレスっぽいが、ダイアンが嫉妬のためカミーラを殺してしまいたいという邪悪な気持ちを具現化したものかも。そしてハリウッドに蔓延(はびこる)悪など。例えばカミーラのような野心家の黒々しい欲望の表れとも取れなくはない。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点50---火を焚き壁の裏にいた男は青い箱をなぜ持っているの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:火を焚き壁の裏にいた男を黒々とした闇の欲望の象徴とするなら、欲望が妄想を見せる手品の箱を持っていてもいいのかも。
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◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点51---ロサンゼルスへの機内で一緒だった老夫婦は小さくなって青い箱から出てきたのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:もし、この青い箱がパンドラの箱と考えるなら、最後に残った小さなお叔父さんお叔母さんの姿は、お叔父さんとお叔母さんがダイアンに残した最後の希望であり、ダイアン自身が彼らに恩返しをしたいと思う希望ではないのかなあ。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点52---ロサンゼルスへの機内で一緒だった老夫婦は小さくなって青い箱から出てきてダイアンに迫っていくのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:女優の夢にも恋にも破れ、よくしてくれて女優になることを祝福してくれ、期待もしてくれたお叔父さんお叔母さんへの自責の念と、自己嫌悪で脅迫観念の表れでしょう。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点53---映画の最後にクラブ・シレンシオのバルコニーで青い髪の女性が「シレンシオ Silencio お静かに!」と言うのはなぜなの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:「シレンシオ」いう言葉は、スペイン語です。英語の“Silence 沈黙”です。観客に、映画『 マルホランド・ドライブ 』を観た後であれこれ言うな!というデヴィッド・リンチ監督の本心でもあり、バルコニーで青い髪の女性を演じている脚本スーパーバイザーのコーリ・グレイザー Cori Glazer の本音の言葉かも知れません。実際の処辻褄の合わない事もありますから。
◆マルホランド・ドライブ 幸の疑問点54---エンドロールで<DEDICATED TO JENNIFER SYME (1972-2001)>とあるが、この映画『 マルホランド・ドライブ 』はデヴィッド・リンチ監督が若くしてこの世を去ったジェニファー・サイムという女優に捧げた映画なの?
 ◇マルホランド・ドライブ 推理解明:はい。確かに本作『 マルホランド・ドライブ 』はジェニファー・サイムに捧げられています。ジェニファー・サイムは余り知られていませんが、キアヌ・リーヴスの恋人だったことでアメリカでは知られています。彼女は交通事故で死去、29歳の若さだった。デヴィッド・リンチ監督との関係は、監督の助手として働き、『 ロスト・ハイウェイ (1997) LOST HIGHWAY 』で端役でも出演。それでこの映画でデヴィッド・リンチ監督はジェニファー・サイムを追悼しました。
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■映画『 マルホランド・ドライブ MULHOLLAND DRIVE 』の感想

【マルホランド・ドライブ 感想01段落】  それにしてもデヴィッド・リンチ監督は、色々面白い推理をさせてくれる。実際はこの映画『 マルホランド・ドライブ 』のプロットは、田舎娘がハリウッドを目指し、女優とレズになり、結果その恋にも夢にも破れ自殺したというだけの簡単なもの。それでも色々な栄誉ある映画賞をとり、話題をかもし出した凄い手腕の監督であることは間違いがいない。

【マルホランド・ドライブ 感想02段落】  でも実際のところ、この映画『 マルホランド・ドライブ 』の中で新鋭清冽ナオミ・ワッツと元ミスアメリカのローラ・エレナ・ハリングを裸にして絡ませたかったのじゃないのかなって思った幸は、捻くれているのかしら。元々私はデヴィッド・リンチ監督の映画は嫌いじゃないですよ。いえ、デヴィッド・リンチ監督の独特のシュール(シューレアリズム Surrealizm)が好きだとかいうわけではないですが、わたし的にはこの映画『 マルホランド・ドライブ 』は好きな部類にはいる。この所謂リンチ・ワールドといわれている映画の作り方は、もうマンネリ化しているけどね。

【マルホランド・ドライブ 感想03段落】  この映画『 マルホランド・ドライブ 』ではナオミ・ワッツの可憐さや汚れた部分や彼女の女優としての可能性を遺憾なく発揮した。映画『 娼婦ベロニカ (1998) DANGEROUS BEAUTY / A DESTINY OF HER OWN 』では別に目立ちもしない女優さんで気にも留めなかったけど、この『 マルホランド・ドライブ 』ではナオミ・ワッツは演技しているッ!一生懸命でここまでやれるんだ!と思わせるぐらい頑張ったって感じ。堕ちていく女性を見事に演じている。

【マルホランド・ドライブ 感想04段落】  一方、ローラ・エレナ・ハリングは、映画『 マルホランド・ドライブ 』では、記憶喪失したリタの弱弱しさやベティに色々世話を焼いてもらう受動的な役柄を演じている。彼女の英語のセルフが少ないのは、酷いスペイン語訛りでもあってなのかなって思ったりもしたけど、そうではないみたい。『 マルホランド・ドライブ 』劇中のケッシャー監督と付き合い女優として名を上げ、ダイアンを捨てようとするカミーラ・ローズの態度も難なく演じ、凄みの出てくる強かな女性を演じ分けている。黒髪も金髪姿も魅力的だ。ヘアースタイルであれほど雰囲気が変わるのだなあとつくづく思った。

【マルホランド・ドライブ 感想05段落】  IMDbからローラ・エレナ・ハリングのバイオグラフィーを見ると、映画『 マルホランド・ドライブ 』で背が高く見えたが、案外の、168cmだとはチョッと驚いた。ローラ・エレナ・ハリングは1964年3月3日にメキシコに生まれ、10年間過ごし、それから家族とともにアメリカ・テキサスのサンアントニオ San Antonio, Texas, USA に移住。1985年の21歳ではミス・アメリカで優勝。1987年には、カール・エドワード・フォン・ビスマルク伯爵と結婚。1989年に離婚したが彼女はまだ伯爵夫人の肩書きを持っている。 この映画『 マルホランド・ドライブ 』がローラ・エレナ・ハリングにとって初めての主役級の映画だった。今彼女はロサンゼルスに住んでいる。やはりマルホランド・ドライブの豪邸に住んでいるのかしら。やはり女は顔とスタイルだよねなんて思っている私はどうなるのよぉ〜!幾ら何でも『 シュレック2 (2004) SHREK 2 』のプリンセス・フィオナのようにいかないのよね。

【マルホランド・ドライブ 感想06段落】  この映画『 マルホランド・ドライブ 』の推理にあたって、小物がとても効いている。青い鍵と青い小箱、黒表紙の本、芥子色のコーヒーカップ、名札、灰皿、ランプ、電話、ゴルフのクラブ、バスローブ、真っ赤なシーツ。これらをうまく利用して要所要所でストーリーを繋いでいる。

【マルホランド・ドライブ 感想07段落】  また、この映画『 マルホランド・ドライブ 』は映画館で一回見ても理解できない。後にビデオやDVDなどの二次使用の媒体でもって何度も繰り返し観て、あーそうなのかって分かるように作ってあるというか、さすがアメリカの商業主義的映画だなって気もしないではない。

【マルホランド・ドライブ 感想08段落】  簡単などこにでもあるプロットをリンチワールドのフィルターに通すとこんな作品になるといういい見本だ。これならTV用に幾らでも長尺にできる。作る側にしてみれば、最後の種明し部分の約 20 分間だけを先にしっかり作っておけば、その前にはどんな勝手な物語を持ってきても良い。小物で繋いでさえおけば自由な発想で映画の中で遊べる。重厚な映像作り、美人、エロ、グロ、オカルト、暴力、アクションなど、観客を歓喜・恐怖・驚嘆・悲痛などの感覚に訴えるものなら何でも挿入できる。この映画作りの手法は二度と使えない技だけど、この技を編み出したデヴィッド・リンチ監督はさすが偉い。監督や脚本家などの映画人も、やられたー!こんな手があったか!って世界かも。私も中学生の時『 ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間 (1992) 』で引っ張りに引っ張られて、最後はえ〜、何これ?!って思った口だ。これに陥らないように、デヴィッド・リンチ監督は映画『 マルホランド・ドライブ 』で気を使ったのかも?デモね・・・。

【マルホランド・ドライブ 感想09段落】  この映画『 マルホランド・ドライブ (2001) MULHOLLAND DR./MULHOLLAND DRIVE 』は、2001年カンヌ国際映画祭で監督賞(デヴィッド・リンチ)、2001年全米批評家協会賞で作品賞と主演女優賞(ナオミ・ワッツ)、 2001年NY批評家協会賞で作品賞、LA批評家協会賞で監督賞、ゴールデン・グローブではいくつかにノミネート、英国アカデミー賞で編集賞、インディペンデント・スピリット賞で撮影賞 (ピーター・デミング)、セザール賞では外国映画賞と輝かしい。

【マルホランド・ドライブ 感想10段落】  本作『 マルホランド・ドライブ 』は、フランス・セザール賞も獲得しているのは、フランス人は映画について日本人が想像する以上に鑑賞後の感想や映画論であれこれ言うのが国民気質なのだから、いい話の種ができただろう。お互いわいわいカフェでの話題に花咲かせてくれてありがとうという意味で外国作品賞受賞は、フムフムと納得できるよね。

【マルホランド・ドライブ 感想11段落】  間違いなくデヴィッド・リンチ監督は偉い人です。

【マルホランド・ドライブ 感想12段落】  大家デヴィッド・リンチ監督はいつまでこの技を使うのかしら? これも映画『 マルホランド・ドライブ 』を鑑賞した後で感じるミステリーの一つだ。

【マルホランド・ドライブ 感想13段落】  最後にクラブ・シレンシオでレベッカ・デル・リオ Rebekah Del Rio の口パクのロイ・オービソン Roy Orbison の♪ジョランドー"Llorando"の楽曲は印象的でした。
 そして、“ No hay banda. Il n'y a pas d'orchestre. There is no band. It is all a recording,...”のあの声は耳に残ります。
 「ノー・アイ・バンダ」

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず13890文字/文責:幸田幸

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト(英語版)
       http://www.bacfilms.com/mulholland
      マルホランド・ドライブの地図
       http://www.mulhollandraceway.org/roads/mulholland_drive.html
■映画『 マルホランド・ドライブ 』の更新記録
2005/03/25新規: ファイル作成
2005/03/28更新: テキスト追記
2005/05/04更新: ◆データ追加
2005/05/22更新: ◆データ追加
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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映画解説・レヴュータイトル一覧表
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