パパにさよならできるまで
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パパにさよならできるまで (2002)
DISKOLI APOCHERETISMI: O BABAS MOU (原題)
HARD GOODBYES: MY FATHER (英題)
 映画『 パパにさよならできるまで (2002) DISKOLI APOCHERETISMI: O BABAS MOU (原題) / HARD GOODBYES: MY FATHER (英題) 』を紹介します。映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』は 2004/08/07 の時点で邦題が分からないので「グッドバイ・マイ・ファーザー (仮題)」としておいたら『 パパにさよならできるまで 』に決定した。

 映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 パパにさよならできるまで (2002) 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の主なスタッフ
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の音楽
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』のあらすじ
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の受賞
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』のスタッフとキャスト
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 パパにさよならできるまで 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)です。※ご注意:映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の更新記録

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幸の観たい度: 8つ星 
■映画『 パパにさよならできるまで (2002) 』のポスター、予告編および映画データ
パパにさよならできるまで
パパにさよならできるまで
Links:  Official Web Site
Trailers: ここで観られます。
上映時間 Runtime: 1:48
製作国 Country: ギリシャ/ドイツ
Greece / Germany
製作会社
Production Company:
Alpha TV [gr]
Greek Film Center [gr]
Twenty Twenty Vision Filmproduktion GmbH [de]等
全加配給会社 Distributer: Vagrant Films [ca] (Canada)
全米初公開 Release Date: 2002/10/04 (Chicago International Film Festival)
日本初公開 R. D. in Japan: 2007/02/24 予定
日本公開情報 : シネカノン
ジャンル Genre: ドラマ Drama
MPAA Rating 指定: Australia:M
日本語公式サイト
http://www.eiga.com/official/papanisayonara/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の解説

 『 パパにさよならできるまで 』は文字通り、父親と死別した少年がその事実を受け入れるまでの過程を感動的に描いたギリシャ映画だ。愛する父親との突然の別れはあまりにショックが大きくて、認めることが出来ない。そんな幼い少年の心の成長を涙なしでは観られないとか。『 パパにさよならできるまで 』は、父と息子を描いた『 息子の部屋 (2001) LA STANZA DEL FIGLIO (伊題) / THE SON'S ROOM (英題) 』の逆の立場の映画でもある。

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■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の主なスタッフ

 映画『 パパにさよならできるまで 』の監督・脚本を兼任するのはペニー・パナヨトプル。‘新人’とよく言われるが、本人(女性です)が言うには、「これが最初の映画だとは思っていません。」 パナヨトプルはアテネのスタフロコス映画学校 Stavrakos Film School と英国の中央ロンドン科学技術学校 Polytechnic of Central London の二校へ通って、これまでにもドキュメンタリー番組をテレビ用に何本も撮ってきたし、短編映画四本と中編映画一本を製作したこともあるからだ。こういう経験と、長編を創造したいという衝動、および映画製作に於ける詳細な技術面へのしっかりした目が、このパナヨトプル監督の初の長編映画を作る機会へと繋がった。

 『 パパにさよならできるまで 』撮影はパナヨトプル監督自らが、監督と同時にヴィデオで撮っていったという。撮影助手を務めた Simon Sarketzis は、
ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY
トゥームレイダー2 (2003) LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE
等のメジャー作品にも携わっている。

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■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の音楽

 映画『 パパにさよならできるまで 』の音楽担当つまり作曲者名は IMDb にも載っていない( 2004/08/07 時点)。従って、オリジナル曲を使わずに、既にある音楽を巧みに使っていると考えられる。情報によると、映画冒頭の宇宙船発射のシーンは、『 イージー・ライダー (1969) EASY RIDER 』でも流された「♪鳥になりたい If You Want to Be a Bird 」というホリー・モダル・ラウンダーズ the Holy Modal Rounders の曲。まさに、この映画のキーポイントである米国の月面着陸成功の年 1969 年の映画に使われていたとは。

 『 パパにさよならできるまで 』のラストは、映画「博士の異常な愛情 (1964) Dr. Strangelove 」のエンディングと同じ終わり方である「♪また会いましょう We'll Meet Again 」のギリシャのカントリー音楽バージョンになるそうだ。このように映画の時代設定とリアルタイムで音楽まで合わせているのは、やはりパナヨトプル監督は相当、映画研究し尽くした人物なのだろう。

 『 パパにさよならできるまで 』音響は、カイ・テベル:
プリンセス&ウォーリアー (2000) DER KRIEGER UND DIE KAISERIN (原題) / THE PRINCESS AND THE WARRIOR (米題)
ヘヴン (2002) HEAVEN
アナトミー2 (2003) ANATOMIE 2 (原題) / ANATOMY 2 (英題)
グッバイ、レーニン! (2003) GOOD BYE, LENIN! 』等で活躍のドイツ人だ。

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■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』のあらすじ
※本作『 パパにさよならできるまで 』のあらすじは、日本公開前に幸田幸が書いたものです。作成現時点で出来るだけ正確な情報を心掛けていますが、データや内容に誤りや適切でない表現があるかもしれません。どうか宜しくご了解いただきお読みくださいますようお願いいたします。本コンテンツの複写や転用等はお控えください。また、リンクやメールをいただく場合はここを必ずお読みくださいますように。映画会社や配給会社や宣伝担当会社からの情報提供はこちらをお読みください。
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 映画『 パパにさよならできるまで 』の舞台は 1969 年の夏、ギリシャのアテネ Athens, Greece 。アテネと言えば、アテネオリンピック Athens 2004 Olympic Games で今( 2004/08/07 現在)は話が持ちきりだが、映画の面ではギリシャは疎遠になりがちだ。「映画の森てんこ森」ではアテネは
ソフィーの世界 (1999) SOFIES VERDEN / SOPHIE'S WORLD
ケイティ (2002) ABANDON
バナナ★トリップ (2002) BOAT TRIP
アレキサンダー (2004) ALEXANDER 』等、

ギリシャは
眺めのいい部屋 (1986) A ROOM WITH A VIEW
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング (2002) MY BIG FAT GREEK WEDDING
永遠の語らい (2003) A TALKING PICTURE
トロイ (2004) TROY
等で多かれ少なかれ触れています。

 アテネに住む一家の十歳の男の子エリアス(ヨルゴス・カラヤニス)が『 パパにさよならできるまで 』の主人公。エリアスは感情的な瞳の持ち主で、感受性の強い子だ。父親(ステリオス・マイナス)は各地を自動車で回る行商人をしている。父が行商各地からお土産に買ってきてくれるチョコやキャンディをエリアスはブリキ製容器に大切にしまっている。父は滅多に家にいないけれど、エリアスは父親が大好きで憧れている。母親(イオアンナ・ツィリグーリ)は家を留守ばかりしている夫と喧嘩ばかり。十代の兄アリス( Hristos Bouyotas )は不機嫌なお年頃。たまに父親が在宅していると、夫婦喧嘩が絶え間なく、アリスとエリアスの兄弟は見ちゃいられなくて耳を塞いでいる始末だ。

 そういう一家四人に、あとの主な登場人物は、エリアスの祖母と叔父だ。エリアスは時々この二人の所に遊びに行く。叔父はアルコール中毒気味で、そこらへんをうろつく困った人。祖母は父の実母にあたり、大変老醜が激しく、気難しい。アルツハイマー病を患っているらしい。唯一の‘趣味’は、息子(エリアスの父)に‘嫁(エリアスの母)’と別れるように色々‘嫁’をけなすこと。そうされているのをエリアスの母は知っているからこそ、夫婦喧嘩が激しいのだ。

 1969 年と言うと、米国のアポロ11号(『 アポロ13 (1995) APOLLO 13 』参照)が人類初の有人月面着陸に成功した年である。父はまた行商に出発する際、幼い息子とこう約束した。帰ってきたら、アメリカの宇宙船の月面着陸を一緒にテレビで見よう、そしてその後、一緒に月旅行しよう、と。月面着陸は7月だったから、父の出発はその数週間前くらいだろうか。父が大好きなエリアスはその約束を楽しみに父の帰りを待っていた。しかし・・・父は行商先で交通事故で突然この世を去ってしまう。この父親の死は映画の半ばより前である。

 父が死亡したことを知らされても、エリアスはその事実を受け入れられない。必ずTVで一緒に月面着陸を見ると約束したお父さんが戻らないはずはない、と。これにこだわる訳は、当時、ギリシャではテレビは一般に普及したばかりだったから、TVでそういうハイライトを見るというのは現代で想像する以上にずっと重大な出来事だったこと。それに、エリアスと父の月旅行の約束は現実的でないが、両親の喧しい口げんかが嫌だったから、父と一緒に月まで飛んで行って喧嘩から逃避したいということもあったという。

 エリアスは父親がまるで生きているかのように行動する。父のお守り、父の背広、父が読んでくれたお話の本、お土産のチョコやキャンディ、こういうものを屋上の倉庫に父を祭るような場所をこしらえて置き、父と‘会話’するのだ。そして、父が旅先から書いているような空想の話の葉書を、高齢の祖母が喜ぶようにエリアスは書く。サインまで父のサインをして。こういうシーンは、幼い子供だから文面がユーモラスになってしまって観客を笑わせもするが、ジーンとなってしまうという。また、エリアスは学校の教師にも父の死を知らせない。黒い喪の腕章をしているのを、クラスメイトにはこう説明する。「これをつけていれば先生に当てられないんだ」という‘計略’なのだと。

 エリアスはこうして空想の世界に入り浸ったまま、父親の死をどうしても受け入れられない。ニール・アームストロング Neil Armstrong が月面を歩くのを一緒に見るために、父さんは戻ってくるのだと。家族の誰かが、もう父さんは戻ってこないんだよ、とでも言いようものなら猛烈に怒るのだ。しかし、宇宙船の月面着陸の日が近づくにつれ、彼は現実に戻らなければならない。ラスト半時間が稀に見る(良い意味で)耐えられない脚本であるそうだ。父の死という事態の把握と現実とのギャップが非常に大きいので簡単には解決できない。だから英語題は「お父さんとの辛い別れ」というニュアンスだ。

 『 パパにさよならできるまで 』は、子供でなく、ある程度の大人がさようならを言わなければならないことについてのお話だそうだ。『 パパにさよならできるまで 』はまた、時の経過、物事の変化、喪失するものに関してのお話なのである。監督は、『 パパにさよならできるまで 』は自叙伝ではないけれど、暮らしていけば誰でも必ず直面する普遍的な「失ったものへの深い悲嘆」についての映画だと言っている。人が死ぬと、自分の生活の深遠さを思い出させてくれると監督は考えている。同時に、大切な家族の死で、家庭というものはいかにして団結できるかを考えさせる。夫が亡くなって妻は悲しみ衝撃を受けるが、強くなる。兄はまだ成長段階でも、男性として一家の大黒柱として頑張ろうという自覚が生まれる。祖母は息子を失った永久の失望を抱えながら、悲しみを諦めなければと葛藤していく。

 エリアスは子供だけど、どうしても父の死を受け入れなければならないし、最後には受け入れるのだろうから、そういう意味で精神的にやや大人になるわけだ。ギターとブズキ(マンドリンのようなギリシアの弦楽器)の軽快なつま弾きのBGMの中、エリアスは一種の感情的な大虐殺を通り抜けていくかのような苦しさ・悲嘆さを経験する。そして大虐殺から生き残るというような。これが大人へ近づいていくということなのだ。『 パパにさよならできるまで 』のラストの半時間は観客の男の人ですら涙を拭き、映画が終わると皆、沈黙、という感動作品らしい。

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■映画『 パパにさよならできるまで HARD GOODBYES: MY FATHER 』の受賞

 映画『 パパにさよならできるまで 』は、 2003 年のベルギー・モンス市 Mons, Belgium のモンス国際映画祭 Mons International Festival of Love Films で2部門で受賞。 2002 年のギリシャのテサロニキ映画祭 Thessaloniki Film Festival でも2部門で受賞。

 また、 2002 年のスイス Switzerland のロカルノ国際映画祭 Locarno International Film Festivalでも、ヨルゴス・カラヤニス少年が最優秀主演男優賞に史上最年少で輝いた。審査員賞には監督・脚本のペニー・パナヨトプルが輝いた。因みに、この時の金豹賞 Golden Leopard ノミネートには
ジェリー (2002) GERRY
ストーカー (2002) ONE HOUR PHOTO 』等。

ある日、突然。 (2002) TAN DE REPENTE (原題) / SUDDENLY (英題) 』が銀豹賞 Silver Leopard 獲得、
ベッカムに恋して (2002) BEND IT LIKE BECKHAM 』が視聴者賞 Audience Award を獲得している。
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【『 パパにさよならできるまで 』のスタッフとキャスト】
監督: ペニー・パナヨトプル Penny Panayotopoulou (Directed by)
製作: Thanos Karathanos (producer)
    Kostas Lambropoulos (producer)
    George Louizos (producer)
    Thanassis Karathanos (co-producer)
脚本: ペニー・パナヨトプル Penny Panayotopoulou (Writing credits)
撮影: Simon Sarketzis (assistant camera)
編集: ペートル・マルコヴィッチ Petar Markovic (Film Editing by)
音響: Nikos Papadimitriou (Sound Department)
    Kai Tebbel (Sound Department)

出演: ヨルゴス・カラヤニス Yorgos Karayannis as Elias
    ステリオス・マイナス Stelios Mainas as Elias' Father
    イオアンナ・ツィリグーリ Ioanna Tsirigouli as Elias' Mother
    デスポ・ディアマンティドゥ Despo Diamantidou as Elias' grandmother
    Hristos Bouyotas as Aris, Elias' brother
    Christos Stergioglou as Elias' uncle

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ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。

 映画『 パパにさよならできるまで (2002) DISKOLI APOCHERETISMI: O BABAS MOU (原題) / HARD GOODBYES: MY FATHER (英題) 』の「テキストによる未公開映画の再現」レヴューは、現在まだ書けておりません・・・。

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
■映画『 パパにさよならできるまで 』の更新記録
2004/08/07新規: ファイル作成
2004/12/08更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2006/12/27更新: ◆タイトル変更
2007/01/06更新: ◆データ追加
2007/02/05更新: ◆データ追加
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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