ソフィーの世界
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ソフィーの世界 (1999)
SOFIES VERDEN / SOPHIE'S WORLD
ソフィーの世界
ソフィーの世界
【『 ソフィーの世界 』の解説】
 映画『 ソフィーの世界 (1999) SOFIES VERDEN / SOPHIE'S WORLD 』を紹介します。映画『 ソフィーの世界 (1999) SOFIES VERDEN / SOPHIE'S WORLD 』の題名を見て、不勉強の私は、ソフィー・マルソー(『 真夏の夜の夢 (1999) WILLIAM SHAKESPEARE'S A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM 』『 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) THE WORLD IS NOT ENOUGH 』『 あなたにも書ける恋愛小説 (2003) ALEX AND EMMA 』等)か誰かのフランス映画かな?と思ってしまいました。でも知人に映画『 ソフィーの世界 』の内容を簡単に教えてもらい、想像とまるで違うノルウェー映画だと知ってから観た次第です。
 映画『 ソフィーの世界 』は、ノルウェー出身のヨースタイン・ゴルデル著の同名の世界的ベストセラー小説の映画化。英語では SOPHIE'S WORLD 、原題はノルウェー語で SOFIES VERDEN。日本では「ソフィーの世界〜哲学者からの不思議な手紙」というのが本の名だ。この題が示すように、映画『 ソフィーの世界 』は、ソフィーという少女が時空を旅して、実在した哲学者や学者・芸術家を見ていってヨーロッパの歴史を学び、自分とは何かということを初めて意識する話。
 映画『 ソフィーの世界 』は、ギリシャのソクラテスに始まって、ロシア革命まで、子供にも解るように(特に地元欧州の子供にとって身近で不可欠な哲学の歴史を)、ファンタジーと絡ませて、美しい映像で撮れている。
映画『 ソフィーの世界 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)
ご注意:『 ソフィーの世界 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
映画『 ソフィーの世界 』 ソフィーという名前
映画『 ソフィーの世界 』のストーリー
映画『 ソフィーの世界 』のあとがき
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■「映画の森てんこ森」内にあるファンタジー映画。
シザーハンズ (1990) EDWARD SCISSORHANDS
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サンタクロース・リターンズ! クリスマス危機一髪 (2002) THE SANTA CLAUSE 2: THE MRS. CLAUSE
ニューヨークの恋人 (2001) KATE & LEOPOLD
スリーピー・ホロウ (1999) SLEEPY HOLLOW
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チャーリーと14人のキッズ (2003) DADDY DAY CARE
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ピノッキオ (2002) PINOCCHIO
ハリー・ポッターと賢者の石 (2001) HARRY POTTER AND THE SORCERER'S STONE / HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE
ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2002) HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS
フレディVSジェイソン (2003) FREDDY VS. JASON
ホット・チック (2002) THE HOT CHICK
アンダーワールド (2003) UNDERWORLD
ホーンテッド・マンション (2003) THE HAUNTED MANSION
ブラザー・ベアー (2003) BROTHER BEAR
ハットしてキャット (2003) THE CAT IN THE HAT
ルーニー・テューンズ: バック・イン・アクション (原題) (2003) LOONEY TUNES: BACK IN ACTION
サウンド・オブ・サンダー (2004) A SOUND OF THUNDER
(03/10/06現在)
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
■『 ソフィーの世界 』のデータ
 上映時間 111分
 製作国 ノルウェー
 公開情報 ギャガ=ヒューマックス
 初公開年月 2000/07/29
 ジャンル ドラマ/ファンタジー
 《米国コピーTagline》
【『 ソフィーの世界 』のスタッフとキャスト】
監督: エリック・グスタヴソン
製作: オッドヴァー・ブル・トゥハス
    ヨン・エム・ヤコブセン
原作: ヨースタイン・ゴルデル Jostein Gaarder
脚本: ペッター・スカヴラン
撮影: キエル・ヴァッスダル Kjell Vassdal
美術: ビャルテ・ウルフステン
衣装: エルス・ルンド
    トーキル・ラナム
音楽: ランダル・メイヤーズ

出演: シルエ・ストルスティン Silje Storstein ソフィー・アムンセン
                             ヒルデ・ムーレル・クナーグ
    トーマス・ヴァン・ブロムセン Tomas von Bromssen アルベルト・クノックス
    アンドリン・サザー Andrine Sather ソフィーの母
    ビョルン・フロバーグ Bjorn Floberg アルベルト・クナーグ少佐(ヒルデの父)
    ミンケン・フォシェイム Minken Fosheim ヒルデの母
    エダ・トランダム・グリォサイム Edda Trandum Grjotheim ヨールン
    ハンス・アルフレソン Hans Alfredson ソクラテス
    スヴェン・ヘンリクセン Svend Henriksen プラトン
    マーク・タンディー Mark Tandy ウィリアム・シェイクスピア
    エスペン・スキョンベリ Espen Skjonberg レオナルド・ダ・ヴィンチ
    アインドリデ・アイドスヴォルド Eindride Eidsvold ミケランジェロ
    Christian Skolmen マキシミリアン・ロベスピエール
    Lars Arentz-Hansen 国連兵
    Arne Haakonaasen Dahl ゲオルク
    Nils Vogt ソフィーの学校の教師
    Andrea Gustavsson 赤頭巾
    Geir Pettersen 怪傑ゾロ
    Christoffer Staib  ロビン・フッド
<もっと詳しく>
ネタばれ御注意!
 このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 ソフィーの世界 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

 まず、本作『 ソフィーの世界 (1999) SOFIES VERDEN / SOPHIE'S WORLD 』の「テキストによる映画の再現」レヴューに入る前に、ソフィーという名前について触れてみる。

【映画『 ソフィーの世界 』 ソフィーという名前】
 そもそも主人公 SOFIE(英語表示で SOPHIE )という名の意味からして映画の狙いが読み取れよう。ソフィーは劇中ではソフィーアと発音している。Sophie や Sophia はギリシャ語で「 wisdom 知恵」という意味だ。哲学 philosophy という単語にも sophy という字が入っている。イタリアの大女優ソフィア・ローレンやフランスのソフィー・マルソーにもついている。上智大学は Sophia University 、海外では早くからソフィア・ユニバーシティの名で知られ、このソフィアはギリシャ語で意味は「人間存在の完成に関しての道徳行為において体現せられる英知」である、と校名の由来に掲載されている。

【映画『 ソフィーの世界 』のストーリー】

【ソフィーの世界 第01段落】  主人公ソフィー・アムンセンは 14 歳の中学生の少女。この少女が精神の旅をする。この役に選ばれたのはシルエ・ストルスティンという、ノルウェーの首都オスロに住む、本当に中学生の愛くるしい素人。13 歳でオーディションに臨み、4500 人の中から抜擢されて彗星のごとく映画デビューした。金髪で透明なグレイ・グリーンの瞳の典型的な北欧乙女。髪型も体型もごく標準的な健康的な中学生だ。これから成長していくと、目映いほどの美しさになるだろう。

【ソフィーの世界 第02段落】  最初のシーン。中年男性が、コンピュータに何か字を打って、タバコをふかして外の兵士達を見ている。外は暑くて埃っぽい様子。デスクの上にはアラビア語の新聞と、可愛いティーンエイジャーの女の子の写真立て。

【ソフィーの世界 第03段落】  ソフィー(シルエ・ストルスティン)は母親(アンドリン・サザー)と、ノルウェーの自然の残る町リレサンに住んでいる。父親イヴァーは石油タンカーの仕事の関係で今はアラビア半島のカーグにいて暫く留守だ。父からの手紙は母親宛によく届く。ソフィーは、女友達のヨールン(エダ・トランダム・グリォサイム)とジーパン等で学校に通っている 14 歳のごく普通の少女。ヨールンは近所に住み、髪の毛を赤く染めたりしてちょっとススンでいる娘。ヨールンの父親は町で本屋を営んでいて、白い(古い型の)ベンツ。ソフィーの母親は気が優しくあわてん坊で、太った猫シェレカンをペットにし、赤いフォルクスワーゲン・ビートルに乗っている。

【ソフィーの世界 第04段落】  ある日、学校から帰ると、ソフィーは郵便受けに差出人の名前も書いてなく切手も貼ってない一文の手紙を見つける。ソフィー宛で、文面は「あなたは誰?」だけ。自分のことなんて考えてみたこともなかったソフィー。それを見て、母親に「私は誰?」と尋ねる。家の窓の外に犬が座ってソフィーを見つめているのが気にかかる。次の日。学校では男性教師( Nils Vogt )が機嫌が悪い。さらに歴史の授業の作文の宿題をソフィーは忘れてきた。宿題を集める男子生徒ゲオルク( Arne Haakonaasen Dahl )が「やってこなかったの?」と訊いて、ソフィーが「ええ」と顔を横に振るのは、西洋では内容的に否定なら、No と答えるから。教師に怒られるのではとドキドキのソフィー。帰宅すると、昨日と同様の一文の手紙「世界はどこから来た?」。また、あの犬が。体重 50 kg は優にありそうな、茶色で顔がいやに黒っぽい大きな犬だ。

【ソフィーの世界 第05段落】  学校では不思議なことが起こる。あの作文の宿題をソフィーはやってこず、提出しなかった。それなのに、添削されて返ってきた中にソフィーの作文があるのだ。教師はソフィーの作品を褒めて、クラスメイトの前で発表させる。ソフィーは長い力作「神話が描く世界像」を読み上げる。「…神話は人間の理解を超える現象を説明するためのものであった…。こうして神話は謎を解き明かす。」自分で書いた覚えのない北欧神話の作文の朗読に合わせて、天候は荒れ、暴風や雨や雷が。終わると大拍手。外には、またあの犬が。

【ソフィーの世界 第06段落】  そして、もうすぐ15 歳。母親とその話をしたばかりだ。ソフィーが郵便受けに見つけたのは、今度は「ヒルデ・ムーレル・クナーグ」宛になっている絵葉書。ヒルデって一体だれ?どうして、自分の所に届くの?砂漠にラクダの写真の絵葉書には「もうすぐ 15 歳の誕生日だね、おめでとう。父より」となっている。でも「この葉書はソフィーに送る」とある。どういうこと?ソフィーは母には隠す。母親はソフィーへのラブレターかと思う。ソフィーは電話番号を調べるが、ヒルデ・ムーレル・クナーグなる人物はいないとわかる。また、あの犬はあるビデオを入れた包みをくわえて家の中に入ってきた。このビデオもこっそり隠す。夜、居間でビデオを母親に隠れて観てみるソフィー。

【ソフィーの世界 第07段落】  すると現れた画像では、ギリシャのアテネのアクロポリスをバックに、アルベルト・クノックス(トーマス・ヴァン・ブロムセン)という中年男性が親しげにソフィーに語りかける。ギリシャの歴史からソフィーを案内するつもりなのだ。(あ、そうだ、ソフィーはさっきの作文事件の際に「神話」の世界を先に学んだ。)時は紀元前、今から 2400 年前、ギリシャ時代のソクラテスの哲学からだ。因みに Sokrates 又は Socrates ソクラテスの名の意味はギリシャ語で「全ての力」。フムフム…。

【ソフィーの世界 第08段落】  ソクラテス(ハンス・アルフレソン)は「もっとも賢い人は、自分が知らないということを知っている人だ」と説く。しかし、ソクラテスは毒殺され、彼の教え子のプラトン(スヴェン・ヘンリクセン)が登場する。
 プラトンは「イデア論」や「洞窟の比喩」を説く。

【ソフィーの世界 第09段落】  こうして夜明けまで謎のビデオを観たソフィーがソファで居眠りしているのを母親が見つけ、ザーッとなっている画面を巻き戻して観てみると、ギリシャ・ツアーの観光案内の広告だった。魔法みたい…。不思議でし方がないソフィー。自分の存在も、世界がどこから来たのかも、初めて考えるようになっている。アルベルトの指示に従ってピンクの封筒を買いに行き、ラブ・レターを書くのかと誤解されからかわれながらも、角砂糖1個と封筒を例の犬に渡すと、犬がついて来いと言う様子。

【ソフィーの世界 第10段落】  犬の後を追って家の近所から森の中に入っていく。美しいノルウェーの緑の森と青い空。ン?赤頭巾ちゃん( Andrea Gustavsson )が覗いている。三銃士が見つかって照れくさそうに隠れた。池にぶち当たった。靄っぽい池の向こうにあばら家風の小屋が建っている。犬はそこで待っている。ボートを漕いで池を渡りその小屋の中に入ると、ヒルデ・ムーレル・クナーグと書いたノートがあり、鏡があり、ソフィーと同じ顔なのに違う動作をする誰かが映っている。更に、鏡に手を差し入れると、吸い込まれそうになった!怖くなるソフィー。帰宅しても何か恐ろしくて泣いてしまう。

【ソフィーの世界 第11段落】  ビデオに出ていたアルベルトはあの差出人のない手紙を出した張本人。「協力し合おう、彼に包囲されそうだ」とソフィーに電話してくる。彼って?「少佐」だと言う。そして明朝4時に聖マリア教会で会う約束をする。時刻通りに行くと、廃墟の教会は一瞬に立派に生まれ変わり、ビデオに映っていたアルベルトが現れる。彼は「時空を超えた旅をしよう」と言って、ソフィーと一緒に古代や中世の世界へタイムトリップする。

【ソフィーの世界 第12段落】  説明はイエス・キリストの誕生から始まり、中世が西暦 400 年から 1000 年間続いたことを語り始める。ヨーロッパの歴史は人間の一生のようだとアルベルトは説明する。古代はヨーロッパの子供時代、中世は長い学生時代、ルネサンスは 15 歳の誕生日という流れだ。ここからソフィーはアルベルトに引っ付いて、歴史の中で思想の変遷を目の前で経験していくのだ。周りの状況はもはや現代ではない。歴史の世界。馬に乗った民衆、死者を抱える人達…。
 F・ベーコンの「知は力なり」。
 ローマ帝国の分裂。

【ソフィーの世界 第13段落】  ソフィーは「少佐」のこと、「小屋」のこと、「鏡」のこと、「自分とそっくりの少女」のことの疑問をアルベルトにぶつける。アルベルトは「待つんだ、君を賢くすることが僕の役目」とソフィーに優しく言い聞かす。
 十字軍の騎兵がいる。
 ビンゲンのヒンデガルトは 1098 年〜 1179 年の修道女、「神に選ばれた者」「グレゴリオ聖歌」作曲。
 トーマス・アクィナスが13世紀に現れ、信仰と哲学を統合。
 150 年後ヨーロッパでペスト大流行、いわゆる「黒死病」。

【ソフィーの世界 第14段落】  夢うつつで中世の旅をしていたソフィーは教師にいじわる質問され、中世とは?と問われ、5世紀から 15 世紀、 400 年から 1400 年までです、とクラスで一人だけ明確に答える。そして、今、アルベルトから習ったばかりのアクィナスとヒンデガルトの功績をスラスラ述べて、教師を唖然とさせる。ヨールンは親友として鼻高々。眼鏡の似合うハンサムなゲオルクはソフィーに気があるみたい。嬉しそうな誇り高そうな表情。

【ソフィーの世界 第15段落】  またあの犬が来ていると母に言われ、ソフィーは飼い主に返しに行くとか口実をつけて、犬の後を追う。建物に入り、階段を上がっていき、屋根裏部屋に案内される。すると、何とあろうか、その犬が、ちょこんとお座りして、顔をうなだれると…中年男アルベルト・クノックスに変身した! 1999 年の映画なのでCGはこのようにバッチリだ。びっくりするソフィーにアルベルトは「哲学講座が続く限り安全だ」と言い、「少佐は君が何をしてるか知るまい」とか「少佐は僕らの創造主だ」とか発言する。

【ソフィーの世界 第16段落】  そこに壁を爆破して入ってきたのは建築家のロッコ・スピノッティ。
 外に広がる世界はルネサンス。ソフィーはいつのまにか赤い長い服になっている。
 ウィリアム・シェイクスピア(マーク・タンディー)が「ハムレット」の稽古をしている。
 ポーランド人コペルニクスの「地動説」。
 レオナルド・ダ・ヴィンチ(エスペン・スキョンベリ)は芸術に科学に万能。建築家・数学者・技術者。「モナ・リザ」。
 ミケランジェロ(アインドリデ・アイドスヴォルド)はダ・ヴィンチの宿敵。
 グーテンベルクの「活版印刷の発明」。
 バスコ・ダ・ガマの孫がインドから紅茶をもたらした。
 ジョヴァンニ(ゲオルクと二役 Arne Haakonaasen Dahl )がソフィーに声をかける。

【ソフィーの世界 第17段落】  ルネサンスから戻って、相変わらずアルベルトに問い掛けるソフィー。自分はヒルデなのか?ヒルデが私なのか?アルベルトが父なのか?怪傑ゾロが馬にまたがって通り過ぎる…。そして自宅に戻って、母親には自分たちは小説の登場人物で、現実に存在しないのかも、と言う。母は「センティオ・エルム・スム」「われ感じる、ゆえに、われ在り」と教える。アルベルトにもソフィーは自分の存在を質問する。すると彼はこう言うのだ。

【ソフィーの世界 第18段落】  16 世紀のデカルトの「コギト・エルム・スム」「われ思う、ゆえに、われ在り」。
 そして、コンピュータでアルベルト・クナーグ少佐と対話し、いつまで続くのか?と尋ねる。答えは「本の最後のページまで」つまり、「少佐が小説を書いている間だけ僕達は存在するのだ」と解けてくる。二人は森の池の向こうの小屋に赴く。そこで黒い服の人物が額縁の中から出てきた。

【ソフィーの世界 第19段落】  アイルランドの主教ジョージ・バークリだ。「神の力」を説き、身体より魂を信じた人。
 それを聞いた二人は悶々と考え続ける。果たして少佐は神なのか?ヒルデは天使?人間は不完全なもの…。

【ソフィーの世界 第20段落】  舞台は変わって、ヒャルクリの湖のほとりの白い綺麗な家。朝、パジャマ姿で眼鏡をかけた方のヒルデ(シルエ・ストルスティン/ソフィーと二役)が自室のベッドで読書にふけっている。壁にはレオナルド・ディカプリオのブロマイドが。デスクには国連軍の制服姿の父親の写真立てが。母親(ミンケン・フォシェイム)が 15 歳の誕生日のバースデー・ケーキを部屋に持ってくる。ソフィーの母親と同じタイプだ。あわてん坊で、ケーキをひっくり返しそうになる。ソフィーの母親も、朝食のセットを載せたお盆ごとひっくり返したことがあったっけ。ところで、北欧では、(または西洋一般では?)誕生日のケーキは昼や夜のお祝いのテーブルでではなくて、朝、本人のベッドルームに持ってくるものなのかしら?(同じ時刻、ソフィーの家でも、 15 歳の誕生日のバースデー・ケーキを母と娘がベッドの上でおいしそうに食べている。)パパがソフィーを創った。「ソフィーの世界」を。最終章は帰国の時よ、とヒルデの母はヒルデに話している。

【ソフィーの世界 第21段落】  また場所は森の中の池の向こうの小屋。アルベルトがソフィーに解き明かし始めている。「僕らはなぜ存在する?リレサンに住む少佐の娘の誕生日の余興として創作されたからだ。」「僕らの言動は全て少佐が作り出している。」哲学講座を続けている限り存在するわけなので、哲学講座を続けて少佐の裏をかこうとソフィーは提案する。降参していたアルベルトは、それを聞いて哲学講座を続ける。

【ソフィーの世界 第22段落】  バークリの死後 30 年の 1789 年、フランス革命が起こる。「自由・平等・友愛」。
 ルソー「人間は生まれつき不可侵の権利」。
 ロベスピエール( Christian Skolmen )は革命政府の代表。
 ダントンはジャコバン派で、ロベスピエールと対立、処刑される。
 オランプ・ド・グーシュ(シルエ・ストルスティン三役)は暴力を批判して民衆の敵とされ、革命の敵として断頭台でギロチンに。1791 年「女性の権利宣言」を発表。

【ソフィーの世界 第23段落】  このように、ソフィーは実体験で思想の流れを着実に把握していく。教師が、フランス革命を率いたのは男性だけだと言うと、ソフィーはスッと反論する。「…オランプ・ド・グーシュがいます。彼女は…。」またまたクラスメイトの輝く顔々。ソフィーのあまりの博識ぶりに頭に来た教師は、飼っていた金魚蜂を割って去っていく。…また池の向こうの小屋で二人。

【ソフィーの世界 第24段落】  ニーチェ「神は死んだ」。
 キルケゴール「決断こそ重要だ」。

【ソフィーの世界 第25段落】  少佐は最終章まで僕らを逃がしはしないと言うアルベルトに、反撃するのよ、とソフィーは何か耳打ちする。池のほとりでロビン・フッド( Christoffer Staib )がこっちを観ている。アルベルトはボートに乗って冷たい池の中にわざと跳び込む。同時にソフィーは小屋の中の例の鏡に片手を差し入れ、アルベルトは水からスローモーションで戻り、ソフィーは鏡から手を押し出される。成功よ!と喜ぶソフィー。

【ソフィーの世界 第26段落】  へーゲルの弁証法「テーゼ・アンチテーゼ・ジンテーゼ」。ピノキオが木の陰から覗いている。物事には対立する二つの考え方テーゼとアンチテーゼがある。それにもう一つ、第3の考え方ジンテーゼだ。そこで、この第3の考え方に「脇役」を使おうと決心する。

【ソフィーの世界 第27段落】  ロシア革命をソフィーは家のすぐ横で体験する。若い兵士は、またゲオルクの顔だ。( Arne Haakonaasen Dahl 三役)
 「共産党宣言」のマルクス主義。ソフィーが真っ赤な表紙の「共産党宣言」の本を抱えているのを見て、母親は夫に早く帰ってほしいなと思う。

【ソフィーの世界 第28段落】  その頃、アルベルト・クナーグ少佐(ビョルン・フロバーグ)は中東の灼熱砂漠の国連軍赴任地から帰国の途に就こうとしていた。冒頭や度々画面に登場してきた人物だ。可愛がっていたヤギにさよならして。国連兵( Lars Arentz-Hansen )に車で送られ、ベイルート国際空港から飛行機に乗りこんだ。機上でクナーグ少佐はコンピュータのノート型を取り出し、何やら嬉しそうに記述している。そう、この少佐こそがヒルデの父親だ。娘のヒルデに、長い、世界の思想史の物語を書き綴ってきたのだ。もうすぐ最終章だ。・・・

◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ソフィーの世界 第29段落】  今日は夏至祭のイヴ、ソフィーの 15 歳の誕生日パーティの日だ。ソフィーの母は、近所のヨールンと両親、ソフィーのクラスメイト達をガーデンパーティに招待している。アルベルト・クノックスもソフィーの新しい哲学の友人として皆に紹介している。庭の長〜いテーブルで大人達はワインで乾杯し、ティーンエイジャー達はご馳走を食べている。アルベルトはスピーチを始める。「僕とソフィーは古代ギリシャから現代の哲学者まで、哲学を探求してきて、判明した。僕達は少佐の意識の中の存在でしかないことを。クナーグ少佐が娘の 15 歳の誕生日のプレゼントにそのこと全てを書いた本を贈ろうとしている。」

【ソフィーの世界 第30段落】  と、その時、ヨールンの父親のベンツのキーをソフィーが背広のポケットから抜き取った。「これしかないの、生死の分かれ目よ」と、キーをボーイフレンドっぽいゲオルクに渡して何か頼み込んでいる。ゲオルクはおもむろに立ち上がり、裏通りに停めてあった白いベンツを発車させる。それを追いかける出席者達。その間にアルベルトとソフィーは全速力でパーティ会場から抜け出し、森の中を疾走する。

【ソフィーの世界 第31段落】  ここが、ソフィーという作中人物が少佐という作者に反抗する大事な場面だ。それを説明するのは言葉不足になるといけないので、「ソフィーの世界」監修の須田朗氏の言葉を引用させてもらう。「中世哲学は神が世界を創ったと教えたが、近代以降の哲学は人間の自由を説く。その哲学に教えられて、ソフィーは、自分の世界を作った神から自由になろうと企てる。「神は死んだ」(ニーチェ)、「決断こそ重要だ」(キルケゴール)という近代哲学に励まされて、ソフィーの反乱は始まるのだ。そしてついにソフィーはプラトンの洞窟から、影のような「ソフィーの世界」からイデアの世界に脱出することに…。」

【ソフィーの世界 第32段落】  森の中を疾走するアルベルトとソフィー。ボートを漕いで池の向こうの例の小屋に着いた。そして二人は思いきって鏡に突入する。ここもCG。鏡の裏側の世界に入り込んだ二人の目の前にギリシャ時代からロシア革命までの映像が流れていく。全て先日来、自分の目と体で経験してきた光景が走馬灯のごとくに。そして、その後に出てきた実際の光景は、ヒャルクリの湖のほとりの家の中。でも二人の姿は家人には見えていない。家の裏庭の湖畔の船着場で湖を眺め続ける一人の少女。父の帰国を待っているのだ。その母親も温かく見守っている。この少女こそヒルデだ。ソフィーと同じ顔、でも眼鏡をしているけれど。その真横にソッと座るソフィー。目の前に手をかざしてもヒルダには見えない。そして、遂に父親クナーグ少佐は北国の湖畔に小船タクシーで戻ってきた。娘のヒルデが父を迎える。父はバランスを崩して船着場から湖に落ち、娘と笑い合う。少佐は普通の人間なのだ。「神がかり」ではなかった。母親も笑う。

【ソフィーの世界 第33段落】  こうして、真横にいても自分は見られていないということから、ソフィーは自分が現実には存在していないとはっきり気付くのだ。鏡の向こうにいると思っていたヒルデという自分と同じ顔の少女の方が本物で、現実に生きている存在。そして、「ソフィーの世界」は、クナーグ少佐が娘ヒルデのために書いた小説の架空の世界だったのだ、と理解するソフィー。でも、更に、文学少女ヒルデの方も、父から宇宙のビッグバンの話をしてもらって、自分とは一体何なのか、と考え始めている。永遠の課題…。なお、二役をしているシルエ・ストルスティンは、ヒルデの方は、眼鏡をかけているのが違うだけでなく、雰囲気が違い、顔つきがほっそり見える。ソフィーの方は天真爛漫でふっくらした感じ。冒頭の少佐のタバコのシーン、後で観なおして気付いたが、写真立ての女の子は眼鏡をかけていた!

【ソフィーの世界 第34段落】  ソフィーは小説の中の、実際に存在しないものなのだが、少佐の書く小説で記述されるままでなく、最後は自分の力で、自分は小説の中の架空の存在であることを、小説内で案内されてきた哲学を大いに活用して、自分で自己を見つけ出す。大昔からの優れた哲学者の思想や画期的な発見や後世に残る偉大な芸術をなした人物達に出会って、具体的に歴史の流れが捉えられる。その上、有名な物語の主人公達にリアルタイムで、また等身大の彼らを見かけたり出会ったりして、その出演を観るのも楽しい。

【ソフィーの世界 第35段落】  自分たちは小説の最後の直前に逃亡してきたわけだ。では。ゲオルク達はどうなったろう?ベンツで無事に逃げられたのだろうか?二人は今きた道を逆に戻ってみる。赤・青・黄色といったカラフルなデコレーションに花火の賑やかな夜景に、また怪傑ゾロや、赤頭巾や、三銃士や、シャーロック・ホームズや、マッチ売りの少女や、ロビン・フッド等が賑やかに出演。ここは現実の世界ではない。現実では人間は死ぬ。ここは「イデア」の世界!現実の人達より長生きするのだと喜ぶソフィー。「私達はイデア。永遠の型。永遠の命。」アルベルトも「プラトンのイデアの世界。僕らは本物の哲学者。」と。そばではゲオルクとヨールンたちが手を振る。哲学を利用して自分たちの力で永遠の命「イデア」を勝ち取ってハッピーエンド。

【映画『 ソフィーの世界 』のあとがき】
 なお、哲学の旅案内をしたアルベルト・クノックス役のトーマス・ヴァン・ブロムセンは、 1985 年スウェーデン映画の「 MITT LIV SOM HUND (マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ)」で主人公イングマルのグソネル叔父さんの役をしていた名優だそうだ。この映画、「宇宙船に乗せられて、心臓と脳にワイヤーを付けた状態で、食物が尽きるまで地球を5ヶ月回って飢え死にしたあのライカ犬のことを考えれば、どんな不幸だってましだ」と少年が自分に言い聞かせて不幸を我慢していくという内容。飼っていた最愛の犬にも死に別れるという。犬の可哀想な話にはヨワイ私は、秀作と聞いていますが、どうしてもこの映画は観られません…。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず9348文字/文責:幸田幸

参考資料:IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      原作
      ヨースタイン・ゴルデル著 須田朗監修 池田香代子訳「ソフィーの世界〜哲学者からの不思議な手紙」
      ソフィーの世界 http://www.sophies-world.net/frame.html
      北欧関連固有名詞対照表 http://www.jsmcnet.com/JSMC/library/namelist/
      WONDERS OF THE WORLD DATABANK
      http://www.pbs.org/wgbh/buildingbig/wonder/structure/hagia_sophia.html
      BEHIND THE NAMES the etymology and history of first names
      http://www.behindthename.com/
      上智大学校章と校名の由来 http://www.sophia.ac.jp/J/first.nsf/Content/kousyo
(■解説とネタばれ:2002/06/16ファイル作成 ◆俳優についてリンク更新:2003/10/06)
■テキスト一部とリンクおよびファイル書式更新:2004/07/12
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