夏休みのレモネード
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夏休みのレモネード (2003)
STOLEN SUMMER
 映画『 夏休みのレモネード (2003)  』をレヴュー紹介します。

 映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』のトリビア
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の主なスタッフ
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の主なキャスト
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』のあらすじ
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』のスタッフとキャスト
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 夏休みのレモネード 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の結末
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の感想
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』のエッセイ「夏休みのレモネード」
■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』のポスター、予告編および映画データ
夏休みのレモネード
夏休みのレモネード
Links:  Official Web Site
Trailers:
上映時間 Runtime: 1:34
製作国 Country: アメリカ USA
製作会社
Production Company:
All Nighter Inc.
LivePlanet
Miramax Films
Project Greenlight
米国配給会社 Distributer: Miramax Films
米国初公開 Release Date: 2002/01 Sundance Film Festival
2002/03/22 Limited
2002/09/24 video premiere
日本初公開 R. D. in Japan: 2003/06/28
日本公開情報 : メディア・スーツ
ジャンル Genre: ドラマ Drama
MPAA Rating 指定: Rated PG for thematic elements and language.
日本語公式サイト
http://www.mediasuits.co.jp/lemonade/
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』の解説

 映画『 夏休みのレモネード 』は、 1997年アカデミー賞脚本賞、ゴールデン・グローブ脚本賞など受賞した『 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (1997) GOOD WILL HUNTING 』のベン・アフレックマット・デイモンが、オンライン脚本コンテスト“プロジェクト・グリーンライト”で選んだ1本だ。監督は、シカゴ出身のピート・ジョーンズ。ピート・ジョーンズにとっては初監督作品だが、初作品とは思えない出来に仕上がっている。製作にベン・アフレックとマット・デイモン、そしてショーン・ベイリーが参画している。脚本の良さとベテラン俳優の度量と少年の素直さが際立つ佳作だ。
 “プロジェクト・グリーンライト”とは、ベン・アフレックとマット・デイモンが新人発掘のために発案し、ミラマックス・フィルムズ、HBO、ライブ・プラネットの3社協賛によるオンライン脚本コンテストで、2000年秋にスタートした。
 映画『 夏休みのレモネード 』は12000本の中から厳選された秀作だ。本作『 夏休みのレモネード 』の日本公開時のキャッチ・コピーは、<あの夏の日。ぼくが見上げた空は今までで一番遠かった――。>1970年代のシカゴを舞台にして、カトリックの少年とユダヤ教で病弱な少年の交流を瑞々しく描く爽やかな人間ドラマ。少年たちの演技は、両父親役の渋いエイダン・クインケヴィン・ポラック,
そしてピートの母親役ボニー・ハントの存在で一層輝いて見える。決して「お涙頂戴」を前面に出した映画ではないが、泣ける。ラストは清清しい。遅ればせながらビデオ『 夏休みのレモネード 』を観た後、ほっとする余韻を楽しんだ。

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■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』のトリビア

【夏休みのレモネードのトリビア その1】  映画『 夏休みのレモネード 』は、『 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち (1997) GOOD WILL HUNTING 』といくつかの類似点がある。二人の少年と二人の青年。一方が他方を手助けする。短い共有する時間。そして旅立ち。友情と人間の成長だ。

【夏休みのレモネードのトリビア その2】  邦題『 夏休みのレモネード 』にもなっているレモネードは当時実際映画のような扱われ方をしていて、教会や集会の少年たちがボランティアまたは小遣い稼ぎをしている。

【夏休みのレモネードのトリビア その3】  大家族の家長ジョー・オマリーを演じるアイダン・クイン自身は、シカゴ出身である上にアイルランド系カトリック教徒の大家族出身でもある。

【夏休みのレモネードのトリビア その4】  又妻マーガレットを演じたボニー・ハントもまたシカゴ出身のアイルランド系カトリック教徒であり、7人兄弟で育っている。

【夏休みのレモネードのトリビア その5】  ラビ・ジェイコブセンを演じたケビン・ポラックは、ボルチモアに住む東欧移民の家族を描いたバリー・レヴィンソン監督作品『 わが心のボルチモア (1990) AVALON 』 でアイダン・クインと共演した経験がある。

【夏休みのレモネードのトリビア その6】  映画の舞台は1970年代シカゴにしてあるのは、当時はカトリックとユダヤ教の対立が鮮明で、今と違って、お互い口に出して対立感情を露にしていた無垢な時代だからと監督が述べている。

【夏休みのレモネードのトリビア その7】  “プロジェクト・グリーンライト”の門出の作品のためか、本作『 夏休みのレモネード 』の監督はじめ製作総指揮や編集や撮影や音楽は余りキャリアのない人が多い。

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■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』の主なスタッフ

○『 夏休みのレモネード 』の監督: ピート・ジョーンズ Pete Jones
 本作『 夏休みのレモネード 』が初監督作品。シカゴのアイリッシュ系カトリックの大家族に育ったピート・ジョーンズ(当時32歳)はスポーツ番組のアンカーや保険の仕事をしながら、映画の世界に参加するのを願っていた。実際脚本は、本作『 夏休みのレモネード 』で7本目である。(『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』プレスデータより)

○『 夏休みのレモネード 』の製作:ベン・アフレック Ben Affleck
 『 恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE
 『 パール・ハーバー (2001) PEARL HARBOR
 『 チェンジング・レーン (2002) CHANGING LANES
 『 トータル・フィアーズ (2002) THE SUM OF ALL FEARS
 『 デアデビル (2003) DAREDEVIL
 『 ジーリ (2003) GIGLI
 『 ペイチェック 消された記憶 (2003) PAYCHECK
 『 世界で一番パパが好き! (2004) JERSEY GIRL 』等

○『 夏休みのレモネード 』の製作:マット・デイモン Matt Damon
 『 リプリー (1999) THE TALENTED MR. RIPLEY
 『 オーシャンズ11 (2001) OCEAN'S ELEVEN
 『 ジェリー (2002) GERRY
 『 スピリット (2002) SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON
 『 ボーン・アイデンティティー (2002) THE BOURNE IDENTITY
 『 コンフェッション (2002) CONFESSIONS OF A DANGEROUS MIND
 『 ふたりにクギづけ (2003) STUCK ON YOU
 『 世界で一番パパが好き! (2004) JERSEY GIRL
 『 ボーン・スプレマシー (2004) THE BOURNE SUPREMACY
 『 オーシャンズ12 (2004) OCEAN'S TWELVE
 『 ブラザーズ・グリム (2004) THE BROTHERS GRIMM
 『 シリアーナ (2005) SYRIANA 』等

○『 夏休みのレモネード 』の製作:ショーン・ベイリー Sean Bailey
 『 卒業の朝 (2002) THE EMPEROR'S CLUB 』
 『 ザ・コア (2003) THE CORE
 『 マッチスティック・メン (2003) MATCHSTICK MEN 』等

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■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』の主なキャスト

●エイダン・クイン Aidan Quinn as ジョー・オマリー@夏休みのレモネード
 『 妹の恋人 (1993) BENNY & JOON
 『 フィオナが恋していた頃 (1998) THIS IS MY FATHER
 『 歌追い人 (2000) SONGCATCHER
 『 アウト・オブ・タイム (2004) NINE LIVES / UNSTOPPABLE 』等

●ケヴィン・ポラック Kevin Pollak as ラビ・ジェイコブセン@夏休みのレモネード
 『 ユージュアル・サスペクツ (1995) THE USUAL SUSPECTS
 『 バッファロー'66 (1998) BUFFALO '66
 『 サンタクロース・リターンズ! クリスマス危機一髪 (2002) THE SANTA CLAUSE 2: THE MRS. CLAUSE
 『 ホステージ (2005) HOSTAGE 』等

●ボニー・ハント Bonnie Hunt as マーガレット・オマリー@夏休みのレモネード
 『 レインマン (1988) RAIN MAN
 『 グリーンマイル (1999) THE GREEN MILE
 『 12人のパパ (2003) CHEAPER BY THE DOZEN 』等

●エディ・ケイ・トーマス Eddie Kaye Thomas as パトリック・オマリー@夏休みのレモネード
 『 アメリカン・パイ3: ウェディング大作戦 (2003) AMERICAN WEDDING

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■映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』のあらすじ
 以下は配給会社からのプレスデータです。
 1976年、シカゴ。カトリックの家庭に育つ8歳のピートは消防士のパパ、優しいママ、そして7人の兄弟に囲まれて元気に暮らしていた。2年生の終わり、夏休みの前にシスターから“悪魔の道を選ぶか神の道を行くかは今年の夏の行ないで決まります”と言われ気にするピート。そんな時、兄シェイマスから、異教徒をカトリックに改宗させれば聖人になって天国に行ける、と聞き、早速ユダヤ教の教会堂へ通い始めるピート。やがて、教会のラビと顔馴染みになったピートは、ある出来事をきっかけにラビの息子ダニーとも仲良くなるのだったが…。

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【『 夏休みのレモネード 』のスタッフとキャスト】
監督: ピート・ジョーンズ Pete Jones (Directed by)
製作: ベン・アフレック Ben Affleck (producer)
    ショーン・ベイリー Sean Bailey (producer)
    マット・デイモン Matt Damon (producer)
    クリス・ムーア Chris Moore (producer)
製作総指揮: パトリック・ピーチ Patrick Peach (executive producer)
    ミシェル・サイ Michelle Sy (executive producer)
脚本: ピート・ジョーンズ Pete Jones (Writing credits)
撮影: ピーター・ビアギ Peter Biagi (Cinematography by)
編集: グレッグ・フィーザーマン Gregg Featherman (Film Editing by)
音楽: ダニー・ラックス Danny Lux (Original Music by)

出演: エイダン・クイン Aidan Quinn as Joe O'Malley ジョー・オマリー
    ボニー・ハント Bonnie Hunt as Margaret O'Malley マーガレット・オマリー
    ケヴィン・ポラック Kevin Pollak as Rabbi Jacobsen ラビ・ジェイコブセン
    アディール・スタイン Adiel Stein as Pete O'Malley ピート・オマリー
    ブライアン・デネヒー Brian Dennehy as Father Kelly ケリー神父
    マイク・ワインバーグ Mike Weinberg as Danny Jacobsen ダニー・ジェイコブセン
    エディ・ケイ・トーマス Eddie Kaye Thomas as Patrick O'Malley パトリック・オマリー
    リサ・ドッドソン Lisa Dodson as Mrs. Jacobsen ジェイコブセン夫人

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
■映画『 夏休みのレモネード 』の「テキストによる映画の再現」レヴューはまだ書けていません。
 エッセイ『 夏休みのレモネード 』はここをクリック・・・

 なお、以下のあらすじは映画『 夏休みのレモネード 』のプレスデータから引用したものです。ネタバレがありますのでご注意ください。

【夏休みのレモネード P.1】  ぼくはピート・オマリー。8歳。家族は消防士のパパと、子どもたちの世話でいそがしいママと、4人のおにいちゃんにおねえちゃんが1人と妹が2人。シカゴに住んでいる。2年生の終わり、夏休みに入る前、ぼくはシスター・レオノラにいわれた。「悪魔の道を選ぶか神の道を行くかは今年の夏の行ないで決まります」って。地獄行きになったらどうしよう。

【夏休みのレモネード p.2】  そうしたら、おにいちゃんのシェイマスがいいことを教えてくれた。〈探求〉のために異教徒をカトリックにさせれば、聖人になれて天国に行けるって。ぼくはさっそくユダヤ教の教会堂に行った。そこで出会ったラビ・ジェイコブセンに、教会堂の前で“天国へのレモネード”を無料で配らせてって頼んだ。ラビはぼくをミスター・オマリーって呼んでくれて、こころよく許可してくれた。

【夏休みのレモネード P.3】  だけどレモネードをもらいに来る人はさっぱりいない。シェイマスおにいちゃんと教会堂の前で暇つぶしをしていると、消防車の音が鳴りひびいた。燃えているのはラビ・ジェイコブセンの家だった!ぼくたちの勇敢なパパが燃えさかる家の中に入って、ラビの息子ダニーを救出。だけどダニーの子守りをしていたエスターという女性は死んじゃったらしい。

【夏休みのレモネード P.4】  ダニーは7歳で、白血病なんだって。ぼくはダニーに、天国に行けるようにしてあげるって約束した。これがぼくの〈探求〉だ!ぼくはぼくらの教会の神父さんにいろいろ質問した。天国へ行ったことがある人はいる?なぜ聖体拝領は3年生になるまでできないの?テストみたいなものに受かれば3年生になる前でも聖体拝領を受けられる?

【夏休みのレモネード P.5】  ぼくとダニーでそのテストを考えた。きっと“10個の課題”みたいなものを全部クリアすればいいはずだ。それで、ミシガン湖でダニーに「洗礼」をほどこして、砂浜を走ったり、石投げをしたり、ハードルをした。ダニーはどれもとても上手にこなした。最後に残ったのは遠泳だ。
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【夏休みのレモネード P.6】  湖のブイのところまで泳いで帰ってくればテストは完了だけど、ダニーはなかなかできない。途中で目を上げてブイが見えなくなると急に怖くなっちゃうんだって。目をつぶったままでも泳げるように、ぼくは泳ぎながらストロークを数えてみた。行きは50回で帰りは55回だ。ダニーはぼくより小さいから、60回数えて戻ってくればいい。

【夏休みのレモネード P.7】  ある晩、ラビがうちを訪ねてくる。一番上のおにいちゃんのパトリックは医大に行きたがっているけれど、うちにはそんな余裕がないから市役所に勤めろってパパはいう。そのことを前にぼくがラビに話したんだ。ラビは、教会堂で毎年出している奨学金をパトリックに与えることが決まったって教えにきてくれた。だけどパパはすぐに断っちゃった。貧しいアイルランド系カトリックの家族をユダヤ人が助けてあげるっていう宣伝行為だって。ほどこしなんか受けないって。

【夏休みのレモネード P.8】  よけいな話をラビにしたって、ぼくはまたもやパパに叱られちゃった。部屋から一歩も外に出ちゃいけないって。部屋にこもっていると、ダニーがそっと入ってきた。また病気がぶりかえしたんだって。だから早くテストを終わらせようっていいに来たんだけど、ぼくは追い返しちゃった。だってダニーのせいでパパに叱られて、地獄行きになりそうなんだもん。
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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【夏休みのレモネード P.9】  パトリックの奨学金のことは、ママがパパを説得したみたいだ。それから、パパが素敵なニュースを教えてくれた。ダニーは“10個の課題”をやり遂げた!行きが71回で帰りは86回だったって。すごいぞ!だったら早くダニーにメダルを持っていってあげなくちゃ!ぼくは教会の棚から聖体をとる。神父さんにみつかっちゃったけど、ダニーは“10個の課題”に全部クリアしたから資格があるんだっていって、病院に駆けつけた。だけど、おそかった…。
 ダニーは死んじゃった。「天国で会おう」ってぼくに伝言を残して。ぼくは考えた。こう思うんだ。大人たちはいろいろなことをいうけれど、天国に行く道はひとつなんかじゃない。

【夏休みのレモネード P.10】  神様はものすごく心が広いんだから。誰の名前で祈ったっていいんだ。だから、ダニーにしばらく会えないのはさびしいけれど、ママがいうとおり良心の声に耳を傾けていれば、いつかきっとまた天国でダニーに会える。そうしたらまた2人で一緒に湖のブイまで泳ごう。また一緒に石投げをしよう。そうだ、新しい遊びも覚えてダニーに教えてあげよう。また会える日まで、ぼくはダニーのぶんも、いっぱい生きるんだ。

※以上のあらすじは、映画『 夏休みのレモネード (2003) STOLEN SUMMER 』のプレスデータから引用し、幸田幸が編集したものです。

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■映画『 夏休みのレモネード STOLEN SUMMER 』の感想

【「夏休みのレモネード」感想 01段落】 70年代のアイルランド人とユダヤ人。カトリックとユダヤ教。これらは繊細で難しい問題だ。移民の国・人種の坩堝(るつぼ)アメリカが潜在的に抱える問題の一つでもある。これらを解決する手だては、拳や武器ではない。お互いの文化を認め理解しようとする姿勢・異文化コミュニケーションと相互理解の努力だ。

【「夏休みのレモネード」感想 02段落】 大人の信仰する神や宗教の対立は、純真無垢な9歳の少年ピートと8歳のダニーにとって何の意味もない。ただ天国に行きたいだけなのに色々とルールや約束がある。なぜ人は別々の神様を信じるの?アイルランド人とユダヤ人はなぜ仲良くしないの?カトリックとユダヤ教は喧嘩をしているの?誰だって子供なら自然と疑問が湧いてくる事柄だ。

【「夏休みのレモネード」感想 03段落】 少年ピートは、年齢と異教の子のためできないと言われたダニーの聖体拝領の儀式として、ダニーに試練としてテストを課す。彼らなりに真剣に考えたミシガン湖での10種競技のようなテスト。ダニーはどうしても怖くて出来ないブイまでの遠泳は、勇気を振り絞って自分で乗り越えるが、最後は、その努力で体力が消耗したのか不幸にも白血病がぶり返し倒れる。

【「夏休みのレモネード」感想 04段落】 この映画のタイトルになった「レモネード」は、ピートが天国に行くための夏休みの課題として関わったユダヤ教の集まりでのアイテム。そして「火事」。「父オマリーの勇敢な人命救助」→「ラビ一家の感謝」→「ピートとダニーの交流」→「ラビの奨学金申し出」→「オマリーの断り」→「父ジョー・オマリーと長男パトリックのやりとり」→「ダニーの試練」→「ダニーの死」→「ピートの成長」→「オマリーとラビの仲直り」と映画のストリーを繋いでいく。

【「夏休みのレモネード」感想 05段落】 「レモネード」の受付でラビにミスターをつけてもらって大人扱いされたピートは、ラストシーンで今度はラビに大人口調っぽくミスター・ヤコブセンと言って別れる。彼が大きく成長したことの表現だ。因みに、ラビ rabbi とはユダヤ教の牧師のこと。

【「夏休みのレモネード」感想 06段落】 決して豊かでないアイルランド系カトリックの大家族。プアーホワイト〔注〕っぽい?オマリー一家の中で、父ジョーの生き方に批判的で事あるごとに意見が食い違う長男パトリックは、大学を目指しているがお金がないために市役所に勤めるしか手がない。そこに父ジョーの勇敢な人命救助のお陰で、ラビから「奨学金」の話が持ち上がる。パトリックにとっては、「奨学金」は渡りに船、喉から手が出るくらいほしい。しかし父は頑固にも断る。カトリック教徒がユダヤ教から施しを受けたくない。世間の目や口もある。それにラビの「奨学金」はユダヤ教の宣伝活動の一環だと厳しく非難までする。カトリックとユダヤ教の対立は根深いものだ。
 〔注〕「プアーホワイト」:「プアホワイト」とも表記。「プアホワイト poor white」とは米口語では「white-trash」ともいう。「アメリカ南部諸州の貧乏な白人。農業労働者,未熟練工などが多い。」(現代用語の基礎知識2001年版 (c)2001 株式会社自由国民社参考)

【「夏休みのレモネード」感想 07段落】 しかし決して子供や他人の前では一家の長であるジョーに逆らわない妻マーガレットは、夜ジョーにパトリックの大学進学と奨学金を許してくれるよう頼む。そして認めてあげなければ離婚も辞さない構えだとジョーは悟る。正しいと思ったことを身を挺してでも説得するという良妻賢母の良きアメリカの家族である。

【「夏休みのレモネード」感想 08段落】 翌日父ジョーは息子パトリックに缶ビールを勧め大学進学に期待と応援を送る。頑固で無教養だが、息子思いの良きパパである。

【「夏休みのレモネード」感想 09段落】 おしゃべりなピートへのお仕置きとして部屋に閉じ込めていたピートとのキャッチボールやこの缶ビールは父と息子との対話と理解の絵に他ならない。1970年代のシカゴ。ミシガン湖での水泳。ピートの自転車乗り。野球カード。タイトルのレモネードなどアメリカ人には郷愁を誘うキーワードがこの映画に沢山盛り込まれている。

【「夏休みのレモネード」感想 10段落】 父ジョーは能のない自分には守るべき家族がある。そのために一生懸命生きてきた。息子パトリックも父に学ぶ。そして主人公ピートは、自分の背丈で天国・神・宗教という、大人でも解けない難問に果敢に取り組む姿は、消防士の父ジョー譲りだ。“SELF-HELP セルフヘルプ(自助・自立)”を地で行っている。アメリカそのもののような気がした。
※エッセイ「夏休みのレモネード」はこちらから・・・

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず4235文字/文責:幸田幸

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参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      公式サイト
       http://www.mediasuits.co.jp/lemonade/
■映画『 夏休みのレモネード 』の更新記録
◆2005/08/20新規: ファイル作成
◆2005/08/22更新:本文一部修正と感想の追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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