ラヴェンダーの咲く庭で
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ラヴェンダーの咲く庭で (2004)
LADIES IN LAVENDER
 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』を紹介します。映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』は 2004/09/18 の時点で邦題が分からなかったので「レディース・イン・ラベンダー」としておいたら『 ラヴェンダーの咲く庭で 』に決まった。

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の主なスタッフ
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の二人のレディース・イン・ラベンダー
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の原作
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』のキャッチコピー
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』のあらすじ(ネタばれあり!)
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の結末(ネタばれあり!)
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』のスタッフとキャスト
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の更新記録

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幸の観たい度: 8つ星 
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で LADIES IN LAVENDER 』のポスター、予告編および映画データ
ラヴェンダーの咲く庭で
ラヴェンダーの咲く庭で
ポスターはhttp://www.djdchronology6.com/
より引用させて頂きました。

Links:  Official Web Site
Trailers: 公式サイトで観られます。
上映時間 Runtime: 1:45
製作国 Country: イギリス
UK
製作会社
Production Company:
Scala Productions [gb]
全米配給会社 Distributer: Roadside Attractions [us]
全米初公開 Release Date: 2005/04/29 (limited)
日本初公開 R. D. in Japan: 2005/06/04 予定
日本公開情報 : 日本ヘラルド映画
ジャンル Genre: ドラマ
Drama
MPAA Rating 指定: Rated PG-13 for brief strong language.
日本語公式サイト
http://www.herald.co.jp/official/lavender/index.shtml
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の解説

 『 ラヴェンダーの咲く庭で 』は、ジュディ・デンチとマギー・スミスの名女優二人に、『 グッバイ、レーニン! (2003) GOOD BYE, LENIN! 』の若手ダニエル・ブリュールを競演させた、むせび泣いてしまいそうなドラマだ。イギリスの同名の短編小説の映画化である。年配になるまで独身を通して共同生活を送ってきた姉妹‘レディース・イン・ラベンダー’のところに、ある日、荒れた海から異国の美しい青年が流れ着いた…。

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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の主なスタッフ

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』はイギリスの叙情豊かなドラマとあって、堅実なスタッフが固めている。

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の監督・製作総指揮・脚本: チャールズ・ダンス
初監督作品だけど、
ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK
スイミング・プール (2003) SWIMMING POOL
等、数十作に出演のベテラン俳優でもある。

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の製作: ニック・パウエル
リトル・ヴォイス (1998) LITTLE VOICE
レオポルド・ブルームへの手紙 (2002) LEOPOLD BLOOM / LEO

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の製作総指揮: ロバート・ジョーンズ
ユージュアル・サスペクツ (1995) THE USUAL SUSPECTS
ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK
堕天使のパスポート (2002) DIRTY PRETTY THINGS
猟人日記 (2003) YOUNG ADAM
CODE46 (2003) CODE 46
シルヴィア (2003) SYLVIA

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の撮影: ピーター・ビジウ
トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW
運命の女 (2002) UNFAITHFUL

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の撮影: エド・ラザフォード
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の編集: マイケル・パーカー
カレンダー・ガールズ (2003) CALENDAR GIRLS

○『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の美術: キャロライン・エイミス
ギャザリング (2002) THE GATHERING

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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で LADIES IN LAVENDER 』の二人のレディース・イン・ラベンダー

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で(レディース・イン・ラベンダー) 』のヒロインは英国を代表する熟年女優さん二人だ。タイトル直訳「 Ladies in Lavender =淡紫色の服を着た婦人たち」そのままに、風雅漂う上品なお二人である。

●ジュディ・デンチ as 妹アーシュラ・ウィディントン
真夏の夜の夢 (1999) WILLIAM SHAKESPEARE'S A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
眺めのいい部屋 (1986) A ROOM WITH A VIEW
恋におちたシェイクスピア (1998) SHAKESPEARE IN LOVE
007/ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) THE WORLD IS NOT ENOUGH
ショコラ (2000) CHOCOLAT
アイリス (2001) IRIS
007/ダイ・アナザー・デイ (2002) DIE ANOTHER DAY
ホーム・オン・ザ・レンジ/にぎやか農場を救え! (2004) HOME ON THE RANGE
リディック (2004) THE CHRONICLES OF RIDDICK
ジュディ・デンチは『 恋におちたシェイクスピア (1998) 』でアカデミー助演女優賞に輝き、他にも主演・助演女優賞でノミネート三回されている。

●マギー・スミス as 姉ジャネット・ウィディントン
眺めのいい部屋 (1986) A ROOM WITH A VIEW
ハリー・ポッターと賢者の石 (2001) HARRY POTTER AND THE SORCERER'S STONE / HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER'S STONE
ゴスフォード・パーク (2001) GOSFORD PARK
ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密 (2002) DIVINE SECRETS OF THE YA-YA SISTERHOOD
ハリー・ポッターと秘密の部屋 (2002) HARRY POTTER AND THE CHAMBER OF SECRETS
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN
ハリー・ポッターと炎のゴブレット (2005) HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE
マギー・スミスは『 ミス・ブロディの青春 (1968) 』でアカデミー主演女優賞、そして『 カリフォルニア・スイート (1978) 』でアカデミー助演女優賞に輝き、主演・助演女優賞のノミネート四回も経験している。二人とも実力派なんだ。

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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の原作

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』は英国人俳優レズリー・ミッチェル Leslie Mitchell の叔父で小説家のウィリアム・J・ロック著の短編小説が基になっている。ウィリアム・J・ロック( 1863 - 1930 )は英国領 西インド諸島生まれの小説家で、この同名の作品「 Ladies in Lavender 」は「Far Away Stories Collection 」の中の短編小説である。邦題や日本の出版社など確認できなかったところを見ると、2004年9月18日このファイルを作成した現時点では「レディース・イン・ラベンダー Ladies in Lavender 」は日本では出版されていない模様だ。

 『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の原作小説「レディース・イン・ラベンダー」では姉妹の年齢設定は 48 歳と45 歳なのだが、映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』ではジュディ・デンチもマギー・スミスも実年齢は 1934 年 12 月生まれの 70 歳だ。だから原作より二回りほど上になっている。 48 歳〜45 歳くらいでは理想的な女優さんは見つからなかったのかも。

 また、映画原題「レディース・イン・ラベンダー Ladies in Lavender 」という語句は、原作の小説の中で姉妹のことをそう表現している箇所があるのを見つけた。それは「ラベンダー色の服を着た婦人たちは…」という風に使われているのだが、邦題では「ラヴェンダーの咲く庭で」にしてある。庭にラヴェンダーが咲いているような風情のある邦題に出来ていると思う。

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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』のキャッチコピー

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の英語キャッチコピーは「 The story of two sisters who saved a stranger, and the stranger who stole their hearts. (異国人を救った二人姉妹と、姉妹のハートを虜にした異国人の物語)」という。<訳は幸田幸によります。> まさにその通りのお話。

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■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』のあらすじ

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で 』は上記キャッチコピーと原作小説名が分かっているだけで、映画のあらすじは 2004/09/18 時点で未発表。だから、読んだ英語原作に仮に忠実だとして書き進めてみよう。例によって、もし幸の読解力不足や、誤字・脱字などあればご容赦ください。そして原作の内容についてのお問合せにはお答えできませんのでご了承くださいますように。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第01段落】  『 ラヴェンダーの咲く庭で 』の舞台はイングランド南西端の州コーンウォール Cornwall, England という牧歌的な辺鄙(へんぴ)な地。時代は 1930 年代のことである。ジャネット・ウィディントン(マギー・スミス)とアーシュラ・・ウィディントン(ジュディ・デンチ)は三歳違いの未婚の姉妹。 20 年前に亡くなった父親は元海軍の兵士で、退役後、幼い娘二人を連れて、コーンウォールの海を臨む崖近くに家を建て、過酷な自然の地に住み着くようになった。それ以来、二人は決して現れることのない王子さまを待ち焦がれて、独身のまま今日まできている。父の死後、女二人だけで、この家にずっと肩寄せ合って暮らしているのだ。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第02段落】  昨夜は嵐だったのが嘘のように、朝、目を覚ますと晴天だった。姉妹は海の様子を見に行こうと誘い合って、崖の端にかけた欄干から体を乗り出して朝のいい空気を吸った。そして朝食に戻ろうとすると、アーシュラは下方に何か見えた。男性が浜に流れ着いて倒れているのだった。生きているのか死んでいるのか確かめに、二人は浜辺に降りる。こういうことは珍しくなかった。荒れた海で命を落とした人がこれまでに何人も流れ着いていたから。岩場に下りて、倒れている男性を調べると息がある。「生きているわ!」と喜ぶアーシュラ。それに、ジャネットは「こんな綺麗な顔を見たことある? 気付けにブランデーを持ってこよう。」 その男性はこの未婚の老女二人が今まで見たこともないほど美しい若者だった。アーシュラはまるでギリシャの彫刻の若者みたいだと呟くし、ジャネットはため息をつく。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第03段落】  そして助っ人を呼びに行くことにした。家からちょっと離れた所に村がある。そして医者のミード(デヴィッド・ワーナー:『 タイタニック (1997) TITANIC 』『 PLANET OF THE APES 猿の惑星 (2001) PLANET OF THE APES 』)も呼ぼう。妹のアーシュラはこの美しい男性のそばに残っていたかったけれど、一応妹だから従順に、直ちに呼びに行く係になった。一方、姉のジャネットは男性の傍らで残り、自分のジャケットを脱いで枕にしてあげた。そして四肢が楽になるような姿勢にさせ、体を擦(さす)って意識が戻るのを待った。でも擦っても変わりがないので止めて、岩に腰掛け、この人はどんな人でどこから来たのだろうと思い巡らす。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第04段落】  若者の服装はえたいの知れないズボンにフランネルの襟付きシャツ。首のところはボタンでなくて房飾りで留めてある。足は裸足になっている。髪は黒っぽくて長めで額にかかっている。そして手足は荒っぽい漁師や船乗りのものとは全然違った。柔らかくて繊細で美しい。どうしてなんだろう。目を開けて欲しいと思いながらじっと待つ。やがてアーシュラが村人を連れて戻ってきた。担架に乗せながら、村人達はじっとその溺れた男性を観察し、どうやら外国人だろうということになる。難破したならその手掛かりとなるものも流れ着くだろうに、それもないから、どうやって一人だけここに流れ着いたのかと不思議がる。すると、足首が骨折しているのが分かった。だからさっきから呻いていたのだ。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第05段落】  どこに運び込むかということになって、姉妹は阿吽(あうん)の呼吸で自分達の家に運んでいいと声を合わす。空いている客用寝室があるし、家政婦ドルカス(ミリアム・マーゴリーズ:『 ロミオ&ジュリエット (1996) WILLIAM SHAKESPEAR'S ROMEO & JULIET / ROMEO + JULIET 』『 マグノリア (1999) MAGNOLIA 』『 モディリアーニ 真実の愛 (2004) MODIGLIANI 』)もいて面倒見られますからと。もうこの時から、この神の贈り物、ギリシャ彫刻のような若者は、姉妹の心を掴んでしまった。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第06段落】  姉妹の家で、若者はまだ意識を戻さないが安眠していた。8マイル(約 12.8 km )離れた所から来てくれたミード医師は、足首の骨折も、できる限りの治療をして帰っていった。今は穏やかな時が流れている。衣服は、家政婦ドルカスが厚手のねまきを貸してくれている。このドルカスの息子二人も海に命を奪われているから、彼女は息子みたいに親身に面倒を見てくれている。お二人の薄いネグリジェだけでなくてよかったですよね、なんて冗談も言っている。ジャネットは昼寝をしに自室に篭っていった。今はアーシュラ独りが、その若者を見つめながら編み物をして部屋にいる。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第07段落】  すると突然、若者は目を覚ました。「怖がらないで! みんな味方よ。」とアーシュラが言うと、彼は何か呟くが、聞き取れない。英語ではない。フランス語でもない。そしてドイツ語だと判明した。実際はポーランド人だと言っているのだけどそこまでは通じない。この美しい若者の役が、『 グッバイ、レーニン! (2003) GOOD BYE, LENIN! 』のダニエル・ブリュールで、彼はバルセロナ Barcelona, Spain 生まれのスペイン系ドイツ人だからドイツ語を話すポーランド人の役に抜擢されたのだろう。原作の小説では 20 歳くらいの設定で、ダニエル・ブリュールは 1978 生まれだから 26 歳かな。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第08段落】  彼は安全な所に保護されたことを理解し、安堵の表情を見せる。と同時に、体を動かしたから、骨折の激痛で自分の体の状態も悟った。アーシュラはジェスチャーで、これまでの過程を必死に説明すると、彼ははっきり分かった様子で、感謝して手の平にキスをしてくれた。そんなロマンチックな光景の所にジャネットが入ってきた。若者は、この女性も同等に自分を救ってくれたのを知って、ジャネットの手にも口付けて感謝の意を表した。するとアーシュラは顔を赤らめて目をそらす。若者が姉にキスするのを見たくなかったのだ。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第09段落】  こうして若者が意識を取り戻してベッドにいる間、アーシュラもジャネットも、言葉が通じないけど色々話しかけてみる。学生時代のドイツ語の教科書まで取り出してきて、ドイツ語文法に則(のっと)って簡単な質問をしてみたり。身の周りの英語の単語を教えたり、とにかく二人はこの青年が家にいるのが楽しくて嬉しくてたまらないのだ。彼がポーランド人だということも、言葉の端くれから分かって、本人もそれが通じて喜ぶ。更に名前もアンドレア・マロフスキーだと分かった。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第10段落】  ドイツ語を片言でも分かる人とか、楽器を弾く人とか、村人などで登場するのはこんな俳優たち:
●トビー・ジョーンズ
エバー・アフター (1998) EVER AFTER
ジャンヌ・ダルク (1999) JOAN OF ARC / THE MESSENGER: THE STORY OF JOAN OF ARC
ネバーランド (2004) FINDING NEVERLAND
●フレディー・ジョーンズ
モンテ・クリスト伯 (2002) THE COUNT OF MONTE CRISTO
●クライヴ・ラッセル
キング・アーサー (2004) KING ARTHUR
●スコット・ハインズ
シャンハイ・ナイト (2003) SHANGHAI KNIGHTS
バットマン ビギンズ (2005) BATMAN BEGINS 』

【ラヴェンダーの咲く庭で 第11段落】  元気になるにつれ、男性用の衣服が必要ね、という話にもなる。亡き父親の残した下着なんかもあるけど。青年アンドレアのポケットには一銭もお金が入っていないから、ジャネットは、三年前に叔母から貰った 25 ポンド(現在の1 pound =約 200 円換算で五千円だけど、当時のお金の値打ちは今と全然違うと思われる)を大切にしてあって、それで服を買ってあげようとか申し出る。すると、いい気のしないアーシュラは、二人で救ったのだから、支出も共同のお金から出しましょうと口答えしたり。でも実は、アーシュラが編み物をしていたのは、青年のために姉にも内緒でソックスを作っていたのだった。このように、アーシュラとジャネットは様々な場面において、アンドレア青年を巡り、多少の自惚れ・嫉妬・競争心などを少しずつ感じている。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第12段落】  ある時、ジャネットがピアノを弾いてみると、アンドレア青年が様子が変になった。驚いてアーシュラは姉に伝えてピアノをやめてもらうが、彼は笑ってバイオリンを弾くジェスチャーをする。そこで、音楽ならバイオリンだけが好きらしいと考え、村人でバイオリンを弾ける人を呼んできて演奏してもらうと、アンドレアの反応が凄かった。そして、ベッドの中だけれどもそのバイオリンで一・二曲見事に弾いたのだ。一同は目を丸くして驚く。すると、庭から「アンコール!」という若い女性の声。それはこの地で見かけない旅行者の画家のようだった。こんな所から失礼、とは言うけれど、その若い‘よそ者’女性の態度が何となく姉妹は気に入らない。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第13段落】  その女性は、その演奏は実力のある有名な演奏家に違いない、一体誰が弾いているのかとしつこく尋ねる。女性の兄がボリス・ダニロフ Boris Danilof というバイオリニストだから興味があるんですと訴える彼女は、オルガ・ダニロフ(ナターシャ・マケルホーン:
トゥルーマン・ショー (1998) THE TRUMAN SHOW
RONIN (1998) RONIN
しあわせの法則 (2002) LAUREL CANYON 』
フィアー・ドット・コム (2002) FEAR DOT COM
シティ・オブ・ゴースト (2002) CITY OF GHOSTS
ソラリス (2002) SOLARIS 』)という。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第14段落】  ベッドで「ボリス・ダニロフ」という名を耳にしたアンドレア青年は興奮して身を乗り出すが、オルガは老姉妹にあまり相手にしてもらえないので去っていった。それからオルガは姿を現さない。そうしているうちに、季節も変わって春になり、アンドレア青年は松葉杖で歩けるようになった。ジャネットもアーシュラも、春の麗しい景色の中を、青年に寄り添って散歩するのが最高に幸せ。勿論、姉妹は交替で散歩係をするから、片方が行っている間はそわそわヤキモチ焼く。アンドレアがバイオリンを弾くという噂は村中に直ぐ広がって、アンドレアが立てるようになると老姉妹の家には村人達が押し寄せて、演奏に耳を傾ける。アンドレアに亡き父の海軍の制服を着せると、それはまた惚れ惚れするほど綺麗だった。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第15段落】  姉妹にとって、家で青年を中心にゆったりと午後のお茶を飲んだりして過ごすほどの至福はなかった。そんな時、先日のパレットと絵筆を持っていたあの若い女性が門の所にじっと立っていて、また去っていった。老姉妹は、クリスチャンでこんなこと言ったらいけないけど、どうも嫌いだわ、と噂している。青年はどんどん回復して、若者らしい元気いっぱいの生活になった。もう家に閉じこもりでなく、バイオリンを片手に村まで遊びに出て行っても、姉妹は心配していない。必ず戻ってきているから。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【ラヴェンダーの咲く庭で 第16段落】  ある日、村から午後遅く戻った紅顔のアンドレアは、その日の出来事を興奮して老姉妹に話して聞かせた。勿論ドイツ語でだから、姉妹には何を喋っているのか皆目分からないけど、「ヤーJa ( はいという意味)」とご機嫌で相づちは打っている。そして話し終わると、青年は二人の手にキスをするのだ。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第17段落】  その二日後の朝、アンドレアはこの日はバイオリンを持たないで出かけていった。アーシュラは何の疑いも持たず、幸せに、途中までついていって見送った。・・・アンドレアの行った先は、あの若い画家の女性オルガ・ダニロフのいる小屋だった。「おばあさんたちには話したの?」と訊くと、「ああ、話したよ」。ジャネットとアーシュラの老姉妹(‘おばあさんたち’)に興奮して語ったのは、オルガと会ったことだったらしい。でも通じていないけど。そして、出し抜けにオルガがこう伝える。「兄ボリス・ダニロフから手紙が届いて、直ちにロンドンに私と来るようにと言ってきた」と。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第18段落】  オルガは名バイオリニストの兄に、アンドレア・マロフスキーというやはり名バイオリニストがこの地にいることを知らせて、是非一緒に演奏活動するように勧めたに違いない。このまますぐに、昼のロンドン往きの列車に乗っていくと聞いて、「今日?」と戸惑うアンドレア。でも、兄は時間がないの、パリへ出発するのも、あなたに会うために一日延ばしたのだから、とオルガ。「切符を買うお金もないし、僕を救ってくれた女性達のこともあるし・・・」とぐずる彼に、オルガは手厳しい。ロンドンに着けば前金を兄はくれるし、それに有難がることもない。第一に、私達は芸術家仲間であること。第二に、これは全くビジネスの問題なのだということ。ニューヨークのレストランのオーケストラで演奏するよりも、兄ボリスの傘下でヨーロッパで運と財産をつくる方がずっといいでしょ。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第19段落】  こうして昼の列車でオルガと共に、アンドレアはこのコーンウォールの田舎を発った。老姉妹には電報を打とうと思えば打てて駅まで来てもらうことくらいはできただろうが、敢えてそうはしなかった。車上の人になると、もう過ぎたことは忘れて輝く未来を夢見ている。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第20段落】  老姉妹は、家で、夕食も始めずにアンドレアを待ち続けている。あまりに遅いので心配になって、村人に小遣いを上げて調べてきてもらった。そしてあの女性と去ってしまった事実を知る。その愕然ぶりは想像するのも可哀想なくらいだ。二人はお互い腕を回して抱き合い、床に崩れ落ちた。よそ者の女が彼を私達から奪い去った。若者は若者に磁石のように引っ付いていった。自分達は顧みられずに置き去りになってしまった。

【ラヴェンダーの咲く庭で 第21段落】  アンドレアからはやがて便りが届いて説明が書いてあるだろう。でも、ジャネットがそれを読んでくれと言わないことを祈ろうとアーシュラは思う。彼がどこから来てどこへ行ったか、そんなことはもはや知りたくない。今までで最高の美しい思い出を胸に抱いていく方がずっといい。王子さまを待っていてもちっとも現れなかったのが、御伽の国から、海から投げ出されて、実際に現れたのだから。短期間だったけど、凝縮された幸福を味わうことができたのだから。アーシュラは一皮向けて、強く成長した。月夜と海を前に、彼女は涙を流して一歩前進する。これまで妹として姉に指図されるだけだったのが、今回、初めて、姉を慰め、方向付けてあげようと決意するのだった…。

 ラベンダー色のポスターは、彼の化身バイオリンが流れ着いたイメージだろうか。
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【『 ラヴェンダーの咲く庭で 』のスタッフとキャスト】
監督: チャールズ・ダンス Charles Dance (Directed by)
製作: ニコラス・ブラウン Nicolas Brown (producer)
    エリザベス・カールセン Elizabeth Karlsen (producer)
    ニック・パウエル Nik Powell (producer)
製作総指揮: ビル・アラン Bill Allan (executive producer)
    チャールズ・ダンス Charles Dance (executive producer)
    エマ・ヘイター Emma Hayter (executive producer)
    ロバート・ジョーンズ Robert Jones (executive producer)
    マイケル・ワイク Michael Whyke (executive producer)
    テレンス・イアーソーン Terrence Yason (executive producer)
原作: ウィリアム・J・ロック William J. Locke (story)
脚本: チャールズ・ダンス Charles Dance (screenplay)
撮影: ピーター・ビジウ Peter Biziou (Cinematography by)
    エド・ラザフォード Ed Rutherford (extra cinematography
編集: マイケル・パーカー Michael Parker (Film Editing by)
美術: キャロライン・エイミス Caroline Amies (Production Design by)
音楽: ナイジェル・ヘス Nigel Hess (Original Music by)

出演: ジュディ・デンチ Judi Dench as Ursula Widdington
    マギー・スミス Maggie Smith as Miss Janet Widdington
    ナターシャ・マケルホーン Natascha McElhone as Olga Daniloff
    ダニエル・ブリュール Daniel Bruhl as Andrea Marowski
    ミリアム・マーゴリーズ Miriam Margolyes as Dorcas
    デヴィッド・ワーナー David Warner as Dr. Francis Mead
    トビー・ジョーンズ Toby Jones
    フレディー・ジョーンズ Freddie Jones
    クライヴ・ラッセル Clive Russell
    スコット・ハインズ Scott Hinds

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ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。

 映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の「テキストによる未公開映画の再現」レヴューは、現在まだ書けておりません・・・。

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      Novel 'Ladies in Lavender' by William J. Locke
■映画『 ラヴェンダーの咲く庭で (2004) LADIES IN LAVENDER 』の更新記録
2004/09/18新規: ファイル作成
2004/12/07更新: ◆一部テキスト追記と書式変更
2005/03/20更新: ◆タイトル変更
2005/05/12更新: ◆データ追加
2005/05/27更新: ◆データ追加
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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