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 シャイな幸の独り言
グリニッジ天文台へリバー・でボートで
グリニッジ天文台へ リバー・ボートで
2004年01月13日火曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 グリニッジ Greenwich にリバー・ボートが近づいて来た。グリニッジ船着場 Greenwich Pier にいる小さな可愛い二人の女の子達がリバー・ボートの操縦室にいる乗組員に大きく手を振る。乗組員の若いお兄さんは少女たちに応えて手を振り返す。彼女たちを連れた家族はロンドン London 中心部に向かうつもりのようだ。このリバー・ボートは今度はテムズ川 The Thames を遡ってウェストミンスター Westminster へと戻っていく。 11 月から 3 月までの間は、 40 分ごとにグリニッジからウェストミンスターまで出航しているそうだ。短い船旅が余りに素晴らしかったので、やっぱり往復チケットにして、帰りもリバー・ボートに乗ることにすればよかったかなぁ、なんて思いながら、本初子午線 the Meridian Line が通る、世界遺産の港湾都市グリニッジに降りた。
グリニッジ 01
グリニッジ船着場

グリニッジ 02
カティー・サーク号

グリニッジ 03
奥に見えるのが旧王立海軍学校


グリニッジ 04
旧王立海軍学校
 グリニッジ船着場を出ると、旅人たちを迎えるのが 1869 年に建造された 963 トンの快速帆船、カティー・サーク号 Cutty Sark 。帆船が海を滑走した 19 世紀、 嘗ては最速だったというカティー・サーク号は、中国やインドのお茶やオーストラリアの羊毛等をイギリスにもたらした。現在は水のない乾ドックに停泊し、博物館となっている。明治の初めにこんな洗練された帆船を造っていたなんて、スゴイな。スコッチ・ウィスキーの名前にもなっているものね。

 グリニッジのツーリスト・インフォメーション・センターを訪ねる。カティー・サーク号から道を挟んだ左手にあるインフォメーション・センターも、歴史ある建造物なのかなぁ。緑の芝生に白い建物が美しい。その向こうにさっきリバー・ボートからその威風堂々とした姿を見た、旧王立海軍学校 Old Royal Naval College 。早く見に行きたい気持ちを抑えて、インフォメーション・センターにグリニッジの地図を貰いに行く。

 グリニッジやイギリスに関するお土産物もそこでは売られていて、映画『 マスター・アンド・コマンダー (2003) MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD 』の原本などもあった。カフェもあるし、グリニッジの歴史を紹介する展示もある。トイレももちろんキレイ。

 さぁ、旧王立海軍学校へ!丸屋根を持つ二つの建物のちょうど真ん中に立ってその中庭を眺めると、柱廊の間から大英帝国を築いた若者たちの足音やざわめきが聞こえてくるような気がする。シンメトリーなそれらの建造物の丸屋根部分に、それぞれ時計と南北に針が真っ直ぐの方位磁針が付いている。グリニッジに来たんだなぁと実感!設計を手掛けたというクリストファー・レン Sir Christopher Wren ( 1632-1723 :セント・ポール大聖堂 St Paul's Cathedral も彼の作品)はスゴイ!

 グリニッジの旧王立海軍学校の建物は、現在テムズ川に対して左手がトリニティ音楽大学 Trinity College of Music (中を通るとピアノなど色んな楽器の音がした。)と演劇芸術のジャーウッド図書館 Jerwood Library of Performing Arts 、右手がグリニッジ大学 University of Greenwich となっている。こんなところの学生になれたら素敵だろうなぁ。気に入った海外の町に来ると、いつもそんな憧れを抱いてしまう。中も素晴らしいそうなのだが、天文台にも行きたいし...。あぁ、ロンドンはどうしてこんなに日暮れが早いの!
グリニッジ 05
クイーンズ・ハウス
グリニッジ 06
国立海洋博物館
グリニッジ 07
グリニッジ・パークの丘の上にあるグリニッジ天文台
散歩してもらっている犬がとてもかわい

 次は、旧王立海軍学校から真っ直ぐ後方に見える白亜のクイーンズ・ハウス The Queen's House を目指して、その間の道路 Romney Road を渡る。クイーンズ・ハウスもその横に連なる国立海洋博物館 National Maritime Museum もとてもキレイ。クイーンズ・ハウスの後ろに出ると、なだらかな斜面が美しいグリニッジ・パーク Greenwich Park が広がっている。その緑の小高い丘の上には、かのグリニッジ天文台 Royal Observatory Greenwich ( ROG )。ロンドンにはハイド・パーク Hyde Park など沢山の美しい公園があるが、ゆっくりとその中を歩くのはここが初めて。広大な芝生の上を歩くのは、何て清々しいのだろう!私もそこのオジさんみたいにカワイイ愛犬を連れてお散歩したいよ〜!
 グリニッジ・パークの坂を上がり、グリニッジ天文台に到着!入り口にある、グリニッジ標準時刻を示す時計の前で観光客たちが記念写真を撮っている。もちろん私も。グリニッジ天文台への入場は無料だが、入り口近くのブースでチケットを貰い、それを見せて入らなければならない。グリニッジ天文台では、 2003 年 12 月 27 日から 2004 年 2 月 29 日まで、 14 時 30 分と 15 時 30 分にプラネタリウムのショーがある。これは有料で、大人が£ 4.00 、子供が£ 2.00 (約 800 円と 400 円)かかる。

 グリニッジ天文台は、 1675 年にチャールズ 2 世 Charles U( 1630-1685 :イギリス、スチュアート朝の王〔在位 1660-1685 〕。チャールズ 1 世の次男。ピューリタン革命によりフランスへ亡命、1660年王政復古により帰国。ルイ一四世と密約を結び旧教復活を企て、議会との対立を深め名誉革命の遠因をつくった。「大辞林」)によって建設された。現在天文台としての機能は果たしていないが、本初子午線は変わることなく通っている!記念撮影のために集まる観光客の間隙をぬって、私も赤く光るラインの上でパチリ。このラインの右が東半球、左が西半球だ。両半球の間に立っているなんて、なんだかウレシイ!

 グリニッジ天文台から見える眺めはまた最高だ。まだ午後3時頃だというのにすでに空は薄暗くなり始めているが、リバー・ボートから見たロンドンの名勝の幾つか(それにしてもロケットのようなスイス・リ・インシュランス・タワー Swiss Re-Insurance Tower は目立つ)やテムズ川対岸の再開発地区ドックランズの高層ビル群、映画『 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ (1999) THE WORLD IS NOT ENOUGH 』で登場した、同じく対岸にある世界一の大きさを誇るドーム、ミレニアム・ドーム Millennium Dome なんかも見える。今見てきたばかりの旧王立海軍学校なども本当に素晴らしい。

 さてさて、時間が無いので、中をサッと見学しよう。当時の部屋や器具などを見る。ややッ!この展示されている顕微鏡は、生物の資料集などで見たことがあるロバート・フック Robert Hooke ( 1635-1703 :イギリスの科学者。光学・力学など幅広い分野で活躍。フックの法則など多くの発見をし、また科学器具を考案した。惑星運動についての逆二乗法則で万有引力理論の数理的展開を促した。 Cell 〔細胞〕という語の提唱者。「大辞林」)が細胞を初めて発見したというもの!(レプリカだけど)その近くで顕微鏡を見ながらスケッチをする体験コーナー(?)があり、そのスケッチ用紙にはロバート・フックの名が印刷されている。記念にその用紙を 3 枚ほど貰って行こう!ショップでお土産(父へのお土産の方位磁針のカフス・ボタンはメチャかわいい!)などを買って、天文台を後に。薄暗くなってきた空にお月様が顔を出している。あー、お腹空いた。
グリニッジ 08
グリニッジ標準時刻を示す天文台の時計
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本初子午線
グリニッジ 10
グリニッジ天文台を通る本初子午線の上に立つ
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グリニッジ天文台からの眺め
グリニッジ 12
グリニッジ天文台
グリニッジ 13
夕闇迫るグリニッジの町
 グリニッジの町で中華料理店「大碗麺 Tai Won Mein 」に入る。中華料理屋なのに何故か「大盛り」という日本語も看板に掲げている。こっちの人にとっては、中国語も日本語も変わりがないのだろう。私は焼きそばを注文。大きなお皿に2人前くらい入っていて、お腹一杯。海老がプリプリして美味しく、数日振りに食べる東洋の味に何だかホッ。隣に座っていたインド系っぽいオバさんのオーダーは、ご飯の上に海老のチリソースがかかっているもの。美味しそうだけど、日本人目からするとご飯が4人分くらい入っているような感じ。それをさらっと食べてしまうのだから、こっちの人はスゴイ。「日本人ですか。」と私に話しかける中国人の店員さんに、そうだと答え、日本のラーメンのCMで聞いたように大中国語で「おいしい:好吃(ハオチー)」と言ってみる。伝わらない。”チー”の部分がおかしいのだ。正しい発音を教えてもらい、一応マスター?この店は、高くないし(私が食べたのは£ 3.20 〔1ポンド=約 201 円換算で 634 円〕で、物価の高いロンドンでは安い!)、今度再びグリニッジを訪れることがあったら、またこの店に来よう。再見(ツァイツェン)!
グリニッジ 14
大碗麺 Tai Won Mein
グリニッジ 15
大碗麺の焼きそば
 グリニッジからは、テムズ川の下を通って帰る。ドックランズ・ライト・レイルウェイ Docklands Light Railway (DLR)に乗るのだ。DLRは完全に自動運転の電車だが、乗客の保護や、ドア制御、車内アナウンス、チケットの確認などの為に乗務員がおり、強風のような特定の状況下では、彼らが電車のスピードをコントロールするらしい。地下鉄 London Underground  ではない(でも、地下鉄の路線地図 Tube map に載っている)が、テムズ川を渡る時は地下をもぐる。高度な掘削技術を要したテムズ川底のトンネル工事は、日本の企業が請け負ったそうだ。その地下区間にあるカティー・サーク・フォー・マリタイム・グリニッジ駅 Cutty Sark for Maritime Greenwich から乗車する。再開発の結果、ロンドンの最先端地区となったドックランズ Docklands の高層ビルの明かりが、人で混み合う車内の窓に映る。ロンドン東部にあるそのドックランズの中心地カナリー・ウォーフ Canary Wharf で下車し、地下鉄ジュビリー・ライン Jubilee line に乗り換えて、ウェストミンスター Westminster まで行く。

 カナリー・ウォーフの駅はとても大きくて、まさに大都会という感じ。思わず口を開けて、高〜いビルを見上げる田舎者の私。家路を急ぐたくさんのロンドンのサラリーマンが、ジュビリー・ラインの大きな地下通路を足早に歩いていく。そんな中、1ペニー(約2円)拾う。少額だけど新年からお金を拾うのは幸先がいいかも。エヘ。ウエストミンスター駅で降り、往きと同じように出口1から外へ。ライトアップされた国会議事堂 House of Parliament が美しい。午後6時のビッグ・ベン Big Ben の鐘が鳴り始めた。本当は、ウェストミンスター駅からディストリクト・ライン District line に乗り換えて、ホテルのあるハマースミス Hammersmith へ行こうと思っていたけど、この素晴らしい夜景を見て、プラン変更!二階建てバスで夜のロンドンを眺めながらハマースミスまで帰ろう。幸運にも国会議事堂のバス停には、ハマースミス往きの 211 番バスが来る!あっ!バスだ!一日券 Day Travelcard を運転手に見せ、乗車。バスはまだ空いていて、2階の最前列の席に座れた。ウレシー!
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カティー・サーク・フォー・マリタイム・グリニッジ駅
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カナリー・ウォーフ駅
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カナリー・ウォーフ駅
グリニッジ 19
夜の国会議事堂
 バスの途中、これから再開発となる地区(名前は見逃した)を通る。もう人が余り住んでいないらしくて、暗くてコワい感じだ。この荒んだ感じが、 70 年代の不況だった頃のイギリスの雰囲気に似ているらしい。あっ、そうそう、余談だが、イギリスの不況をバックグラウンドにして話題になった映画には、『 ブラス! (1996) BRASSED OFF 』『 フル・モンティ (1997) THE FULL MONTY 』『 リトル・ダンサー (2000) BILLY ELLIOT 』などがあったけ。ここも都市開発で荒廃地区から最先端ビジネス地区へと生まれ変わったドックランズのようになるのかな。現在イギリスの経済は、世界経済停滞による影響を受けつつも、依然として堅調に推移しているそうだ。その順調な経済のお陰だろう、私が今回のイギリス旅行で訪れた町々は、整然として美しかった。(ポンドが高いのは困りものだけど。)

 グリニッジは、海洋王国として世界に君臨した大英帝国の栄華を感じることのできる町。この町の本初子午線上に建設されたミレニアム・ドームで、 Time to Make a Difference (変革の時代)をテーマに、 2000 年を迎える国を挙げてのお祝い事業がなされたそうだ。 2004 年の年初め、0度の経線が通り、世界標準時の基準となるイギリスのグリニッジに来ることができてとても嬉しい。今年は私にとっての Time to Make a Difference の年となるかな?また、是非グリニッジに初詣してみたい。

参考資料:「CLAIR:(財)自治体国際化協会」ホームページ等
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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