マディソン郡の橋
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マディソン郡の橋 (1995)
THE BRIDGES OF MADISON COUNTY
マディソン郡の橋
マディソン郡の橋

【『 マディソン郡の橋 』の解説】
 映画『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』を紹介します。映画『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』は、世界中で大ベストセラーとなったロバート・J・ウォラーの同名小説の映画化。映画『 マディソン郡の橋 』は、西洋風の中年同士の不倫のお話。と一言では表せない、切実に心に訴えるものがある映像とストーリーだ。ラストの雨のシーンは感動もの。映画『 マディソン郡の橋 』は、監督・製作・出演ともクリント・イーストウッド(『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』等)。主人公は他の俳優、例えばロバート・レッドフォードとか、ハリソン・フォードとか、ケヴィン・コスナーとか、に置き換えて頭の中でキンケイドを演じさせてみたが、別の味になってしまう。クリント・イーストウッド自身が、同題の小説『 マディソン郡の橋 』のこのロマンスを実現させたかったのだ。映画『 マディソン郡の橋 』を観ていたら本気でのめり込んでしまったから、やはり演出も脚本もイーストウッドの演技も上手い証拠だ。この『 マディソン郡の橋 』には実の息子まで動員している。
 また、フランチェスカ役のメリル・ストリープ(『 アダプテーション (2002) ADAPTATION 』『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』等)は、これまでの映画の冷たい印象から 180 度転換して、たくましい体の田舎の平凡な主婦を完全にはまり役で演じきった。ファインダーを通した、はしゃいだ初々しい笑顔が、この主婦の内面をうまくかもし出していた。
映画『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタばれ)ご注意:『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』の内容やネタばれがお好みでない方は読まないで下さい。
映画『 マディソン郡の橋 』出演のクリント・イーストウッドとメリル・ストリープ
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めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS
イザベル・アジャーニの惑い (2002) ADOLPHE
コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』等があります。
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
■『 マディソン郡の橋 』のデータ
 上映時間 135分
 製作国 アメリカ
 公開情報 WB
 初公開年月 1995/09
 ジャンル ロマンス
 《米国コピーTagline》
【『 マディソン郡の橋 』のスタッフとキャスト】
監督: クリント・イーストウッド Clint Eastwood
製作: クリント・イーストウッド Clint Eastwood
    キャスリーン・ケネディ Kathleen Kennedy
原作: ロバート・ジェームズ・ウォーラー
脚本: リチャード・ラグラヴェネーズ Richard LaGravenese
撮影: ジャック・N・グリーン Jack N. Green
音楽: レニー・ニーハウス Lennie Niehaus
 
出演: クリント・イーストウッド Clint Eastwood
    メリル・ストリープ Meryl Streep
    アニー・コーレイ Annie Corley
    ヴィクター・スレザック Victor Slezak
    ジム・ヘイニー Jim Haynie
    サラ・キャスリン・シュミット Sarah Kathryn Schmitt
    クリストファー・クルーン Christopher Kroon
    ミシェル・ベネス Michelle Benes
    カイル・イーストウッド Kyle Eastwood
<もっと詳しく>
ネタばれ御注意!
 このレヴューは「テキストによる映画の再現」を目指して作文しています。よって、ストーリー展開の前知識やネタばれがお好みでない方は、読まないで下さい。
■『 マディソン郡の橋 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【映画『 マディソン郡の橋 』出演のクリント・イーストウッド】
 クリント・イーストウッドは凄い人だなあと思う。TVシリーズ「ローハイド」の若々しいロディ・イエーツ役でアメリカでも日本でも大ヒット。映画では低迷していたが、 64 年にイタリアに招かれて出演した「荒野の用心棒」が世界的ヒットになり大ブレイク。イーストウッドもセルジオ・レオーネ監督も音楽のエンニオ・モリコーネもこの映画の成功でトップにのし上がった。この三人組で「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」も撮り、マカロニ・ウェスタン・ブームの絶頂を極めた。

 イーストウッドはまだツキがまわっている。マカロニ・ウェスタンだけで尽きなかった。 71 年「ダーティハリー」のハリー・キャラハン役がまた当たって、興行収入の稼ぎ頭になる。これも数部作のシリーズになった。マカロニ・ウェスタン・ブームで成功させてくれた恩人セルジオ・レオーネ監督に捧げる意味で、最後の西部劇として 92 年「許されざる者」を自ら監督・製作・出演した。この作品でアカデミー作品賞と監督賞を受賞。 2000 年にはやはり自ら監督・製作・出演の「スペース カウボーイ」で話題をさらって、健在活躍中。

 これだけでは終わらない。イーストウッドは 86 年、カリフォルニア州カーメル市の市長に当選、2年間執務に就いた。アメリカってこういう国なのだなぁ。人気があって、やる気を見せると(勿論こなせるだけの実力もある)、芸能人でも政治家になれる!例えば、 1985 年の第 40 代アメリカ合衆国大統領のロナルド・レーガン氏も、以前 Ronald Reagan という俳優だった方だ。 66 年からカルフォルニア州知事も二期務めている。 39 年「愛の勝利」から 64 年「殺人者たち」まで 20 本も出演している。ファーストレディのナンシー・レーガンさんも昔 Nancy Davis という名で3本出演した女優さんだった。(余談ですが、アーノルド・シュワルツェネッガーは、奥さんがケネディ家の出身だから、心臓の手術などでアクション俳優が苦しくなったら、ひょっとして政界に出馬するかも、なんて勝手に推測しています。ケネディ一族の大ファミリー写真にシュワルツェネッガーも一緒におさまっているくらいですから…。)

【映画『 マディソン郡の橋 』出演のメリル・ストリープ】
 一方、共演のメリル・ストリープは、 78 年の「ディア・ハンター」でニューヨーク評論家協会助演女優賞受賞。 79 年「クレイマー、クレイマー」でアカデミー助演女優賞受賞、 82 年「ソフィーの選択」で遂にアカデミー主演女優賞受賞。アカデミー賞ノミネートも 10 回ある。アメリカを代表する大女優と言われている。近年では 2001 年「A.I.」で声の出演をしている。

【映画『 マディソン郡の橋 』のストーリー(ネタばれ含む)】

【マディソン郡の橋 第01段落】  さあ、舞台は現代、アイオワ州マディソン郡の小さな町ウィンターセット。ウィンターセットは、往年のハリウッド大スター、ジョン・ウェインの生誕地だ。昼下がり、この町の小奇麗な家で、二人の男女が片付けものをしている。女性はキャロリン、男性はマイケル。二人は、母親の葬儀のため、実家を訪れているところ。母フランチェスカ(メリル・ストリープ:『 ディア・ハンター (1978) THE DEER HUNTER 』『 クレイマー、クレイマー (1979) KRAMER VS. KRAMER 』『 ソフィーの選択 (1982) SOPHIE'S CHOICE 』『 恋におちて (1984) FALLING IN LOVE 』『 愛と哀しみの果て (1985) OUT OF AFRICA 』『 永遠に美しく… (1992) DEATH BECOMES HER 』『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』『 ミュージック・オブ・ハート (1999) MUSIC OF THE HEART 』『 A.I. (2001) ARTIFICIAL INTELLIGENCE:AI 』『 アダプテーション (2002) ADAPTATION 』『 めぐりあう時間たち (2002) THE HOURS 』等)が亡くなり、娘と息子のキャロリンとマイケルは遺品の整理をしているのだ。

【マディソン郡の橋 第02段落】  すると、母親の部屋から二人には覚えのない小さな箱が見つかった。その箱の中には、プロの使うカメラ一式と日記と1通の手紙が入っている。どうしてプロ用のカメラが?なんとなく驚く二人。しかも、その手紙は二人にあてたものだった。遺書とも違う…。娘と息子は戸惑いながらその手紙を読み始める。この映画はこうやって、回想シーンから始まる。

【マディソン郡の橋 第03段落】  時はさかのぼって 10 年以上前。アメリカ中部のアイオワ州マディソン郡の片田舎。晴れた日だった。辺りは一面のとうもろこし畑。初老の男ロバート・キンケイド(クリント・イーストウッド:『 荒野の用心棒 (1964) PER UN PUGNO DI DOLLARI (原題) / A FISTFUL OF DOLLARS (米題) 』『 夕陽のガンマン (1965) PER QUALCHE DOLLARO IN PIU (原題) / FOR A FEW DOLLARS MORE (米題) 』『 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 (1966) IL BUONO, IL BRUTTO, IL CATTIVO (原題) / THE GOOD, THE BAD AND THE UGLY (米題) 』『 ダーティハリー (1971) DIRTY HARRY 』『 ダーティハリー2 (1973) MAGNUM FORCE 』『 ダーティハリー3 (1976) THE ENFORCER 』『 ダーティファイター (1978) EVERY WHICH WAY BUT LOOSE 』『 アルカトラズからの脱出 (1979) ESCAPE FROM ALCATRAZ 』『 ブロンコ・ビリー (1980) BRONCO BILLY 』『 ダーティハリー4 (1983) SUDDEN IMPACT 』『 ダーティハリー5 (1988) THE DEAD POOL 』『 許されざる者 (1992) UNFORGIVEN 』『 ザ・シークレット・サービス (1993) IN THE LINE OF FIRE 』『 マディソン郡の橋 (1995) THE BRIDGES OF MADISON COUNTY 』『 真夜中のサバナ (1997) MIDNIGHT IN THE GARDEN OF GOOD AND EVIL 』『 スペース カウボーイ (2000) SPACE COWBOYS 』『 ブラッド・ワーク (2002) BLOOD WORK 』『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』等)がピックアップに一人乗って埃っぽい田舎道を走っている。(因みに、女性は車の種類をあまりご存知ないかも知れないので意味を載せます。ピックアップとはセダンに似た前席を備え、ボディー外板を運転台と一体に作られた小型無蓋トラックのこと。「大辞林国語辞典」より)彼は「ナショナル・ジオグラフィック」誌で風景を撮るカメラマン、ロバート・キンケイドという。このアイオワ州マディソン郡にある屋根付き橋「ローズマン・カバード・ブリッジ( Roseman Covered Bridge )」の写真を撮りに来たのだ。

【マディソン郡の橋 第04段落】  このローズマン・カバード・ブリッジは、 1883 年に造られた全長約 30 メートル強の木造の屋根付き橋だ。日本ではあまり見かけないが、アメリカ・カナダでは、百年以上も前には、木の屋根も壁もある橋が田園地帯で造られていた。(カステラの外側を覆うトンネル状の形を思い浮かべてみてください。)私の考えだが、雨や雪をしのぎ、川への転落も予防した目的で、橋が覆われていたのだろう。この屋根付き橋を馬車が通っている郷愁のある風景画は米国でよく目にする。それから、屋根付き橋はマディソン郡にこれ一つという意味ではない。題名の THE BRIDGES OF MADISON COUNTY でもわかるように、橋は複数あるのだ。調べてみると、舞台のマディソン郡ウィンターセット周辺には、最高 19 もあった。この映画で有名になったローズマン・カバード・ブリッジは、 19 のうち今でも残っている6つのうちの一つで、これまで幾度も修復され、現在でも使われているそうだ。

【マディソン郡の橋 第05段落】  さて、舞台となる、農家ジョンソン家は、とうもろこし農場で一日中働き、牛の飼育もしている、アメリカ中部の典型的な一家だ。娘キャロリンと息子のマイケルはティーンエイジャーか二十歳くらい、毎日、父親の農場仕事を手伝っている。ヒロインの中年主婦フランチェスカ・ジョンソンは、そんな家族の食事の用意と雑用を家でこなすだけの単調な毎日だった。彼女はフランチェスカという名が示すように、イタリア系で、元、学校の教師をしていた。

【マディソン郡の橋 第06段落】  この日も、仕事をしている三人を昼ご飯で呼んでも、三人は黙して無感情で淡淡と食べるだけ。何も悪いことはないが…。夫も誠実で、平凡で、何の落ち度もないごく普通の人だ。作業服で泥と埃にまみれ、毎日、まさに淡淡と生きている。今日は夫と娘と息子が三人で遠くの町まで牛の品評会に出かける日だ。四日間帰ってこない。「いってきまぁーす」と三人は出発していった。暑い日だった。見送るフランチェスカは汗を腕でぬぐう。

【マディソン郡の橋 第07段落】  クリント・イーストウッド扮するキンケイドは、屋根付き橋の写真を撮りに来たわけだが、途中で道に迷ってしまった。道を訊く為に、地元のジョンソン家の庭に車を乗り入れる。この家は、典型的なアメリカ中部の農家で、広い農地に囲まれており、実際に 1870 年に建てられたものだ。それを、映画製作に際し製作会社ワーナーブラザーズが購入して、撮影後は一般に公開され、観光客が後を絶たないという。

【マディソン郡の橋 第08段落】  次のシーン。「誰が来たのだろう?」とフランチェスカは軒先に立った。都会から来たらしい。ローズマン・カバード・ブリッジへの道順を訊いている。雑誌に載せる写真を撮る人なんだ。フランチェスカはちょっと緊張して作り笑いをする。髪の毛の乱れも気にする。でも、感じ悪くなさそうだ。「アイスティでもいかが?」という言葉が自然に出た。これが二人の運命の出会いだった。

【マディソン郡の橋 第09段落】  家族はみんな留守だし、暇だし、ちょっとときめいたフランチェスカは、キンケイドをローズマン・ブリッジまで、ピックアップの助手席に同乗して案内することにした。自分でも自分の積極性にびっくりする。着くと、キンケイドは橋だけでなく、フランチェスカの顔をファインダーで追い求めるのだった。彼女は走り回り、口元に手を当てて無邪気な少女のようにはにかんで、彼のフィルムに収まる。毎日の平穏な単調な生活からは想像もつかない興奮。彼女は橋の入り口に走り書きの手紙を貼り付けて、キンケイドを夕食に誘う。

【マディソン郡の橋 第10段落】  彼はフランチェスカの家で夕食をご馳走になる。食堂で二人はとりとめのない話をしては笑い、まるで何年も前から知っているかのよう打ち解ける。決してロマンチックは語り合いの場面ではない。朝、夫と子供たちが食事をしている、台所のテーブルだ。フランチェスカはただただ楽しかった。自分でも生き生きしているのがわかる。

【マディソン郡の橋 第11段落】  キンケイドの方は、社会に適合しないタイプの人物として設定されているらしい。雑誌の契約カメラマンとして旅をしながら暮らしている。一定の場所にも特定の人にも自分というものを出せない、孤独の人生。妻とは離婚している。このキンケイドが、フランチェスカとは、しっくりいくのだ。緊張もいらない、遠慮もいらない、猜疑心もいらない、肩がこらない。愛しくさえ感じる。彼女は彼にとって、心の平和をもたらすのだった。

【マディソン郡の橋 第12段落】  二人は急速に心を通わせていく。でも、家族は四日間の遠出。あと三日しかない。途中、娘から「牛の評価が高くついたの。嬉しいわ。」という電話が入ったりして、ちょっと現実の母親の顔に戻る。また、近所の主婦がおしゃべりに立ち寄って、ルーシーという女性が不倫をして隣近所のウワサの的よ、と話して帰っていったりする。ドキッとするフランチェスカ。

【マディソン郡の橋 第13段落】  キンケイドとフランチェスカは毎日出会い、おしゃべりをし、一緒に家庭料理を食べて、ますますお互い惹かれ合う。そして、泊まっていらしたら?ということになり、ついに一線を越えてしまう。深く愛してしまった二人。でも、別れの時は近づいてくる。

【マディソン郡の橋 第14段落】  四日目の朝が来た。フランチェスカの家族が今日戻ってくる。「僕と一緒に来てくれ」とキンケイドは言う。悩むフランチェスカ…。

【マディソン郡の橋 第15段落】  夜、町の中心部。フランチェスカは、遠出から帰ってきた夫とスーパーマーケットに買い物に来ている。大雨である。両手に買い物の大きな袋を抱えて車に戻ったフランチェスカが見たものは…。信号の角に一時停車しているピックアップの前。雨の中、傘もささずに、頭からびしょびしょに濡れて、キンケイドがフランチェスカを見つめているではないか。大雨の効果。彼女は、それを夫の車の助手席で、雨に打たれるガラス越しで見つめる。すがるようなキンケイドの眼差し。ドキドキする観客。ワイパーが音を立てて動いている。…息も出来ないフランチェスカ。・・・

◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !


【マディソン郡の橋 第16段落】  信号が青に変わった。フランチェスカは車から飛び降りる?アッ、降りない!夫の車は発進した。ウーン…フランチェスカは降りられなかった。ぐっとこらえてしまった。雨に濡れるリアガラスの向こうに、キンケイドの立ちすくす姿。ワイパーだけが音を立てている。キンケイドの姿は遠のいていく。涙をこらえるフランチェスカ。放心状態のフランチェスカを、隣の夫が「どうした?」という目で気遣う。彼女は夫や子供たちを捨てることは出来なかった…。

【マディソン郡の橋 第17段落】  後記だが、フランチェスカは、あの不倫をして田舎町中のウワサの的になった女性のルーシーと親友になった。恐らく何も打ち明けなくても、お互い気持ちが通じ合ったのだろう。そしてルーシーとキンケイドが後に出会ったというレストランのノースサイド・カフェは、町の中心部に実際にあり、地元の人で盛況だそうだ。

【マディソン郡の橋 第18段落】  舞台はまた現代に戻る。娘のキャロリンと息子のマイケルは、手紙を読み終えた。そこには母親の心に秘めた四日間のロマンスの一部始終が綴られていた。二人は自分たちが想像したことのない、夢にも思わなかった母親の姿を垣間見る思いだった。母は、一人の男との永遠の愛を手に入れ、宝物として心に秘めたまま、一生を終えたのだ。しかも、たった四日間で燃えた生涯の愛を。

【マディソン郡の橋 第19段落】  手紙と一緒にその箱に入っていたプロ用カメラは、キンケイドから送られたものだった。キンケイドは晩年、養老院のような施設で生涯一人身で過ごし、亡くなるとき、この思い出のカメラをフランチェスカ・ジョンソンに送るように託していたのだ。二人は離れ離れになっても、一生心の中で結ばれていた…。フランチェスカの遺志で、遺骨は思い出の地にまかれた。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず6348文字/文責:幸田幸

参考資料:IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
(■解説とネタばれ:2002/08/24アップ ◆俳優についてリンク更新:2003/10/02)
■テキストとリンク一部およびファイル書式更新:2004/07/08
coda_sati@hotmail.com
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