超大作・大作映画
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 超大作映画・大作映画@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言)
超大作映画・大作映画
超大作映画、大作映画って?
2004年11月12日金曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 先週末から今週にかけて、大作といわれる映画を3本観た。イザベル・アジャーニの『 ボン・ヴォヤージュ (2003) BON VOYAGE 』と、アジアの巨匠ウォン・カーウァイ監督の『 2046 (2004) 2046 』、そして旧作だがスティーヴ・マックィーンの『 パピヨン (1973) PAPILLON 』だ。そのうち『ボン・ヴォヤージュ』と『パピヨン』をレヴューした。

 この3本を観て、急に「超大作映画って?」「大作映画って?」と思った。それで、ネットで「超大作映画とは」「大作映画とは」とか入力してキーワード検索して調べたが、明確に「超大作映画」「大作映画」の定義付けをしているページを見つけられなかった。

 一体「超大作映画」「大作映画」とはどんな映画なのだろう?
 余談だが、「超大作」または「大作」は、英語では“blockbuster”という。

 映画『 2046 (2004) 2046 』は、<「花様年華」「ブエノスアイレス」の巨匠ウォン・カーウァイ監督が、トニー・レオンや木村拓哉らアジアを代表するトップ・スターたちを結集し手掛けた壮大なSFラブ・ストーリー。>とallcinema ONLINEで紹介されている。
 また、映画『 ボン・ヴォヤージュ (2003) BON VOYAGE 』は、現時点で日本未公開で、12月公開だが、パンフによると<豪華スター競演 激動の時代を華麗に描く、壮大なエピックラヴロマン>とある。
 そして、映画『 パピヨン (1973) PAPILLON 』のキャッチ・コピーは<悪魔島よおさらばだ! 自由への闘志をたぎらせて7回脱獄−− 執念の8度目に挑む男パピヨン 世界1000万部の 超ベストセラー! 40億の巨費を投じて映画化成る!(リバイバル時)>とある。

 これら3作は、紹介文やキャッチ・コピーを読むと、「壮大な」と「巨費」という言葉が気になる。どれもが「大作映画」のようだ。でも今まで、配給会社や何らかの宣伝文句で、「大作」とか「超大作」とか謳っている場合もないことはない。観てみると「エー?これが大作なの?」と拍子抜けする時もある。そうなると「大作」とか「超大作」の言葉は客観性を欠くことになる。それでは一体何の基準で「大作」とか「超大作」と決められるのだろうか?私はその客観的な基準が具(つぶさ)に分からない。
 先ず「大作」映画とはどんなものか、チョッと考えてみる。

ボン・ヴォヤージュ
ボン・ヴォヤージュ (2003)
BON VOYAGE

画像は日本語公式サイトより引用・編集
 私は、映画は今まで少なからず観てきたので、私なりに「大作」とか「超大作」の区別をすると、結論的に一言で言うと、乱暴だが「製作費」だと思っている。だから、映画の調査をするときにはいつも先ずその映画の「Budget」をチェックする。

 映画製作の予算が多ければ多いほど、人件費が十分使える。優秀な監督、脚本、撮影などの製作スタッフ、複数の大スターの出演が確保できる。勿論ロケやセットや特殊効果や音楽や美術などに手を抜かなくて良い。そして別予算で大々的に宣伝。すると宣伝に見合った観客数が動員できる。映画の完成度は、優秀な監督と原作や脚本がよければ、余程のことがない限り、観てそれなりに納得できる。
 因みに、ここ2004年以降に日本で公開された洋画で、私の観た映画で、私が「大作映画」と思った作品は、ロード・オブ・ザ・リングシリーズ、オーシャン・オブ・ファイヤー、コールド マウンテン、トロイ、ハリー・ポッターとアズカバンの囚人、ヴァン・ヘルシング等かなぁ...。

 私の勝手な、映画の「大作」「超大作」分類の基準である製作費を、IMDb(推定だが)データを参考にして、日本円に換算してみて以下に箇条書きにする。
■『 ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING 』 $94,000,000=10,340,000,000円→約103億円
■『 オーシャン・オブ・ファイヤー (2004) HIDALGO 』 $78,000,000=8,580,000,000円→約89億円
■『 コールド マウンテン (2003) COLD MOUNTAIN 』 $83,000,000=9,130,000,000円→約91億円
■『 トロイ (2004) TROY 』 $185,000,000=20,350,000,000円→約204億円
■『 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (2004) HARRY POTTER AND THE PRISONER OF AZKABAN 』 $130,000,000=14,300,000,000円→約143億円
■『 ヴァン・ヘルシング (2004) VAN HELSING 』 $160,000,000=17,600,000,000円→約176億円
※1ドル=110円換算。千万単位で四捨五入。この分類については、私の勝手な思い込みですので、ご質問やご意見メールにはお応えできませんので、ご了承ください。

 これらの「大作映画」の中から、「超大作映画」を選ぶことになるのだが、『トロイ』の製作費が群を抜いて大きい。製作費なら『トロイ』だが、『ロード・オブ・ザ・リング』も『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』も『ヴァン・ヘルシング』も面白かったから、捨てれないし、さあ、困った。超大作となると製作費だけで決められない。歴史的ドラマ、アドヴェンチャー、ラヴロマン・思想や人生観などのメッセージ・原作・話題性などの要素や観客動員数と興行成績、映画の受賞、時には製作期間なども考慮に入れなければならない。ちょっと決めかねる。

 冒頭のスティーヴ・マックィーンの『 パピヨン (1973) PAPILLON 』は、アメリカとフランスが製作国だが、当時$12,000,000=約36億円(1ドル=300円換算)の製作費で、興行収入は$53,267,000=約160億円(1ドル=300円換算)だったというから、70年代(この映画公開年には私は生まれていない)にしては凄い。これはメガヒットなので製作会社側からすると「超大作」になるのでは...。
 IMDbの映画『パピヨン』のキーワードを調べると、随分ある。引用して網羅すると、<1940s(1940年代)、based-on-novel(小説に基づく)、native(原住民)、guillotine(ギロチン)、leprosy(ハンセン病)、sailing(航海)、shark-infested-waters(サメ横行する水域)、crocodile(わに)、coconut(ココナッツ)、prison(刑務所)、homosexuality(同性愛)、nun(尼)、fugitive(逃亡者)、escape(脱走)、jungle(ジャングル)、dream-sequence(夢の挿入)、high-jump(飛び込み)、capital-punishment(死刑)、based-on-true-story(実話に基づく)、sea(海)、devil's-island(悪魔島)、raft(いかだ)、ship(船)、free-fall(株価の大暴落)、execution(刑の執行)、surreal(超現実的)、throat-slitting(喉を切り裂くこと)、tattoo(刺青・軍楽パレード)、swamp(湿地)、falsely-convicted(冤罪 )、island(島)、1930s(1930年代)、catholic-missionary(カトリック宣教師)、impalement(杭囲い)、pearl(真珠)、independent-film(インディ映画)、brutality(残酷)、deportation(追放)、headlock(ヘッドロック )、sniper(狙撃兵)、french-guiana(フランス領ギアナ)、river(川 )、latin-america(ラテンアメリカ =中・南米,メキシコ,西インド諸島など)、escape-attempt(脱走試み)、violence(暴力)、leper-colony(ハンセン病患者植民地)、decapitation(首切り)、bounty-hunter(賞金稼ぎ)、cockroach(ゴキブリ)、topless-native-women(トップレスの原住民女性)、blockbuster(超大作または大作)※カッコ内の日本語は幸の勝手な和訳>と、これだけのキーワードが盛り沢山に鏤(ちりば)められている映画は、内容的にもさすが“blockbuster ブロックバスター”である。

 また、『 ボン・ヴォヤージュ (2003) BON VOYAGE 』はフランス映画で、本国では娯楽大作といわれているらしいが、製作費は$20,000,000=約22億円(1ドル=110円換算)だ。ハリウッド映画からするとこれはかなり少ない。がしかし、フランス映画で大作と思われている映画は、
■『 クリムゾン・リバー (2000) THE CRIMSON RIVERS / LES RIVIERES POURPRES 』 $14,100,000=約15.5億円
■『 TAXi 2 (2000) TAXI 2 』 $10,370,000=約11.4億円
■『 アメリ (2001) AMELIE POULAIN / LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN 』 $11,400,000=約12.5億円
■『 ヴィドック (2001) VIDOCQ 』 $22,500,000=約24.8億円
■『 ジェヴォーダンの獣 (2001) LE PACTE DES LOUPS (原題) / BROTHERHOOD OF THE WOLF (英題) 』 $30,000,000=約33億円
■『 クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち (2004) CRIMSON RIVERS 2: ANGELS OF THE APOCALYPSE 』 $30,000,000=約33億円
で、これらの映画から見ると、20〜30億円はフランスでは少なくはない、寧ろ巨額を投じた映画ということになる。

 要は、ハリウッド映画、フランス映画、中国・香港映画であろうが、その国の映画製作の常識において、巨額の製作費をかけて作った映画=「大金をつかって作った」=「大作」として考え、「大作映画」という言葉には映画の内容や出来の良し悪しは関係ないと理解すると分かりやすい。
 「大作」や「超大作」の噂や宣伝に振り回されず、自分の観たい映画を映画データサイト(幸のこの「映画の森てんこ森」を参考にしていただくとありがたい)で調べて、映画館に行って観て素直に感動できれば、それは自分にとって、もう立派な「大作+名作」映画だ。

 さあ、あなたはウォン・カーウァイ監督の『 2046 (2004) 2046 』をどう感じましたか?そして、11月27日公開される『 スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー (2004) SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW 』は?

 自分の基準で「大作」「超大作」映画を見つけてみようよ!

参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com

Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
coda_sati@hotmail.com
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