マゴニア | |
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マゴニア@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言) | |
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映画「マゴニア」を観て | |
2004年09月08日水曜日 ![]() |
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日本では殆ど知られていないが、映画『 マゴニア (2001)
MAGONIA 』に興味を持った。調査すると日本では東北新社が配給するそうだ。それで東北新社さんに特別にプレスVTRを見せて頂いた。 ■映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』について(本頁) ◆映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』の第一話(幸のあらすじ) ◆映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』の第二話と第三話のスチル ■映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』の読む映画試写会/映画レヴュー(別頁) ■映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』の感想(別頁) 映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』は、幸の想像通り、いい映画だった。東北新社さん、ありがとうございます。 因みに、幣サイト「映画の森てんこ森」では、東北新社配給の映画は、『 ヴァージン・スーサイズ (1999) THE VIRGIN SUICIDES 』『 ゴヤ (1999) GOYA / GOYA IN BORDEAUX 』『 デーモン・ラヴァー (原題) (2002) DEMONLOVER 』『 ディープ・ブルー (2003) DEEP BLUE 』『 ワンダーランド殺人事件 (仮題) (2003) WONDERLAND 』『 ロスト・イン・トランスレーション (2003) LOST IN TRANSLATION 』等を書いてある。 映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』は、イスタンブール国際映画祭のゴールデン・チューリップ賞など、各国の映画祭で評価されたオランダ映画だ。東北新社の映画データを引用すると、<マゴニア---それは神秘的で想像力あふれる詩的な世界 果てしなくのびた地平線 透き通るような海に囲まれた美しい島 父は息子に愛にまつわる三つの物語を優しく語る。少年はその世界に魅了され、父と子のイマジネーションは空高く舞い上がって行くかに思えたが・・・>とある。 詩的で伝説的な寓話が悲しくも美しい映画『 マゴニア 』は、希望を柱に三つの話からできていると、この本作『 マゴニア 』を観終えて幸は思った。配給元・東北新社のデータでは、「第一話 愛と神を唄う青年 愛情と忠誠心に裂かれる思い」、「第二話 砂漠で焼け石を拾う父と子 未知の世界と親愛」、「第三話 嵐の港で、恋人を待つ女 愛の幻想」と解説がある。 映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』は“希望”についての神秘的で詩的な寓話だ。ギリシャ神話にパンドラの箱の物語がある。パンドラが箱を開けると、災いという災いがこの世の中に飛び出した。箱の中に唯一残ったものは、“希望”。人は希望なしに生きていけない。 映画の中で、息子である少年は父に聞く?「父さん、希望が消えるとどうなる?」と。 希望を失うとどうなるのか?そして、希望を失わないで持ち続けるとどうなるのか?映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』はその答えを私達に提示する。女性監督イネケ・スミツのつき付ける真理は決して楽観的ではない。しかし、そんな業を背負いながら生き続ける人間という存在が愛おしく思える。 実は、この映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』は、父が息子に話して聞かせる物語は三つだが、希望を捨てないで生き続ける父自身の生き様も、最後の第四話だと私は受け止めている。 本作『 マゴニア (2001) MAGONIA 』の三つの物語の中は、どれもそれなりに興味深いが、私は最初の「第一話 愛と神を唄う青年 愛情と忠誠心に裂かれる思い」が気に入った。少しブラックだがコメディーとしても成り立つこのプロットだけでも十分見ごたえがある。 第一話だけ、作品紹介のデータを下敷きに、あらすじを幸の観点で以下に紹介してみる。 ◆映画『 マゴニア (2001) MAGONIA 』第一話 愛と神を唄う青年 愛情と忠誠心に裂かれる思い 【『 マゴニア 』第一話 イントロ】 --昔々のこと --南に向かう渡り鳥はアブドル・アブドルドランの歌を聴きに村へ下りてきた 青く澄み切った爽やかな空高く白い鳥が飛んでいく。その先にはモスクの塔がある。名もない小さなイスラムの町が映し出される。 白衣の長老が回想する。公衆浴場の女風呂の煙突から覗く男の子を尻目に、私達に語りかける。 |
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![]() マゴニアの一場面 |
--アブドル・アブドルドランは皆を礼拝に呼ぶのが仕事 --アブドルが歌うと狼が羊のようにおとなしくなる --彼の祈りは余りに甘美で浴場の女たちは急いで服を着た --淫らな思いにふけらぬように --礼拝所は常に満員 --皆が神の言葉に従い美しく生きていた --今や見る影もない |
【『 マゴニア 』第一話 第01段落】 「アッラー〜!」「アッラー、ア、アグバルッ(神は偉大なリ)」と濁った声を苦しそうに出す男の顔がアップになる。アブドル・アブドルドランだ。人々の生活は決して豊かそうではないが、逞しく生きている。しかし、歌の時刻には街の通りは閑散としている。今では神の詩など聴こうとしない。犬の泣き声さえも歌をからかっているようだ。 【『 マゴニア 』第一話 第02段落】 青年メメドは毎朝、師である神学者を背負い、塔に登る。師は青年に支えられ、渾身の力で歌うが、嘗て美声で人々を魅了してきた師の声は枯れ、街の人々には届かない。だだ皮肉にも耳の遠いハダスだけがモスクにくるだけだった。メメドは今日も無為に歌い終えたアブドル・アブドルドラン師を背負い、家に送る。通りには一難去った後のように活気が戻っている。アブドル・アブドルドラン師には余命幾許もない。青年は師の敬虔な祈りの歌に魅了され、師を強く敬愛する一方で、師の妻イルクメールに思いを寄せていた。 【『 マゴニア 』第一話 第03段落】 毎朝空舞う白い鳥は、師の妻イルクメールの恋慕をこめて青年メメドが折った紙飛行機だった。イルクメールもまた青年を思い焦がれていた。彼女は毎日舞い降りる彼の紙飛行機をいとおしく鳥篭に集めて貯めていた。 【『 マゴニア 』第一話 第04段落】 ある日、青年はいい考えを思いついた。イルクメールと墓地で逢引をした時、師を案じる彼女に“声の出ない師の声を蘇らせる”と約束して古びたアンプとマイクを借りてきたのだ。イスラムの名もない小さな街の空にノイズとハウリングが響く。拡声機から出た師の声は、敬虔な神の声とは決して言いがたい耳障りな音だった。街の衆は耳を塞ぎ、窓を閉じ、彼らにとって有難い筈のイスラムの教えの歌を拒絶した。事態は更に悪化した。ハダスさえも訪れなくなった。モスクにはもう誰一人として祈りに来るものはいなかった。 【『 マゴニア 』第一話 第05段落】 青年メメドはアブドル・アブドルドラン師がこのままアッラーの時刻を告げる歌を唄いつづける以上モスクには誰も来ないことを強く恐れた。師の妻にもう唄わないように師に伝えるよう示唆する。 メメド---時には... メメド---時には大切な物を手放すしかないことがある イルクメール---それがたとえ愛する人でも? メメド---そうだ メメド---愛していればこそ 【『 マゴニア 』第一話 第06段落】 青年には美声があった。今日もマイクから聞こえる耐え難い悪声は、もう人々の限界に達していた。師が妻イルクメールの方に目を遣ると、彼女は耳を両手で塞いでいた。妻は態度で示したのだ。師は悲しく苦渋の表情をする。ついにメメドは思い余って、握って離さない師からマイクを強く取りあげた。そして師の代わりに祈りの歌を唄うのだった。初めは静かに、そして朗々と謳いあげるのだった。 【『 マゴニア 』第一話 第07段落】 青年の声と祈祷の歌は、街の人々を魅了した。しかし青年の有頂天も束の間。青年にとっても苦渋に満ちた残酷な事態が待ち構えていた。 【『 マゴニア 』第一話 第08段落】 青年は毎朝歌う。青年の、師の妻イルクメールへの恋慕の紙飛行機は師の家の戸口に塵屑のように溜まっていく。 【『 マゴニア 』第一話 第09段落】 アブドル・アブドルドラン師は決意していた。厳粛に正装し、衰えた肉体に鞭打ちコーランを読経し続ける。彼はコーランの全114章の第1章から始め、かた時も休まずひたすら詠い続ける。6200の詩篇をすべて口にするまで、全くの飲まず食わずで。アブドル・アブドルドランはそういう男だと皆はいう。 【『 マゴニア 』第一話 第10段落】 アブドル・アブドルドラン師は、2日間読経し続け、生き仏のように絶命した。 【『 マゴニア 』第一話 第11段落】 ある日の朝、師に去られてたった一人ぼっちの妻は決心をした。鳥篭をもって赤茶けた屋根に上り、鳥篭に保管していた紙飛行機を空に向けて放つ。紙飛行機は何十羽もの白い鳥となって大空に飛び立っていく。 【『 マゴニア 』第一話 第12段落】 青年は歌う塔からこの一部始終を見て、彼も決断するのだった。 師アブドル・アブドルドランと妻イルクメールと青年メメドにとって、時には大切な物を手放すしかないことがあり、愛していればこそ愛する人でも手放すしかないことがあるのだ。 ◆以下は、第二話と第三話のスチルです。 |
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![]() マゴニア第二話の一場面 第二話 砂漠で焼け石を拾う父と子 未知の世界と親愛 |
![]() マゴニア第三話の一場面 第三話 嵐の港で、恋人を待つ女 愛の幻想 |
参考資料:東北新社「マゴニア」作品資料 「映画の森てんこ森」映画タイトル集『 マゴニア (2001) MAGONIA 』 IMDb allcinema ONLINE Nostalgia.com CinemaClock.com ※トップのタイトル画像と各スチルは、東北新社に使用許諾を申請中です。 |
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Text by Sati |
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。 coda_sati@hotmail.com |
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