華氏911(華氏911)
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 華氏911(華氏911)@映画の森てんこ森(シャイな幸の独り言)
華氏911(華氏911)
華氏911(華氏911)
2004年06月26日土曜日 「シャイな幸の独り言」トップへ
 このエッセイのページで映画『 華氏911 (2004) FAHRENHEIT 9/11 』を取り上げたのは、『華氏911(華氏911)』が話題になり、日本の各紙面を賑わしているからだ。そして、先月5月に幸はこの『華氏911(華氏911)』の解説を書いたが、その後色々な情報が飛び交って整理する必要があると考えたからだ。

 『華氏911(華氏911)』はあの『 ボウリング・フォー・コロンバイン (2002) BOWLING FOR COLUMBINE 』で監督・製作・脚本の三役を務めたマイケル・ムーア Michael Moore の作品だ。この『華氏911(華氏911)』でも彼は監督・製作・脚本・出演の四役を務める。あの大きな体で汗を一杯かいてまさに「華氏911(華氏911)」の頑張りようで、多彩だ。因みに『華氏911(華氏911)』の公式サイトのコピーは“華氏911(華氏911)-それは自由が燃える温度”と気が利いている。

 この『華氏911(華氏911)』ほど話題になり、社会問題になっている映画も最近では珍しい。2004 年カンヌ国際映画祭 Festival de Cannes / Cannes Film Festival で最高賞のパルムドール Palme d'Or / Golden Palm 受賞している実力派映画でありながら、政治的意味合いも深く、アメリカ合衆国だけでなく世界にも大きな問題提起を投げかける。

 この『華氏911(華氏911)』の受賞の際、カンヌ映画審査委員長のクエンティン・タランティーノ(『 フェティッシュ (1996) CURDLED 』『 キル・ビル (2003) KILL BILL: VOLUME 1 』『 キル・ビル Vol.2 (2004) KILL BILL: VOL. 2 』)が、“政治は受賞に何の関係もない。単に映画が面白かったから君に賞を贈ったのさ。”と言い切っている。

 また、あのフランスの巨匠ジャン・リュック・ゴタール監督は“ムーアが考えているほどブッシュは馬鹿ではない。このブッシュ攻撃は敵を利するだけだ。”と言ったらしい。なるほど色々な意見があるものだ。

 俳優で監督でもあるショーン・ペン(『 イッツ・オール・アバウト・ラブ (原題) (2003) IT'S ALL ABOUT LOVE 』『 ミスティック・リバー (2003) MYSTIC RIVER 』『 21グラム (2003) 21 GRAMS 』)はこの『華氏911(華氏911)』のプレミアを見て、“ここでは極悪極まる腐敗政権が描かれている”とまで言う。日本の有名な俳優が小泉政権にこのようなことを言っているのを幸の知る限りでは聞いたことがない。ホワイトハウスが“ムーア氏の受賞で米国が思うことを発言できる自由な国であることを改めて教えてくれた。”とコメントするのも流石言いたい放題・ああ言えばこう言う弁論の国、表現の自由の国だ。
華氏911(華氏911) ポスター
華氏911 (2004) FAHRENHEIT 9/11
Filmography links and data courtesy of
The Internet Movie Database &
Nostalgia.com.
 ここで少しマイケル・ムーアの映画経歴を調べてリストしてみる。
*『 ボウリング・フォー・コロンバイン (2002)BOWLING FOR COLUMBINE 』/監督・脚本・出演
*『 ジョン・キャンディの大進撃 (1994) CANADIAN BACON 』/監督・製作・脚本
*『 ロジャー&ミー (1989) ROGER & ME 』/監督・製作・脚本
*『 ドラゴン爆破指令 (1967) KILL A DRAGON 』/監督
*『 ハワイアン・パラダイス (1966) PARADISE, HAWAIIAN STYLE 』/監督
*『 ミズーリ大平原 (1953) PONY EXPRESS 』/ 出演
*『 失われた少年 (1953) LITTLE BOY LOST 』/出演
*『 第十七捕虜収容所 (1953) STALAG 17 』/出演
*『 シルバー・シティ (1951) SILVER CITY 』/出演
 『 華氏911 (2004) FAHRENHEIT 9/11 』の原題にある‘ 9/11 ’や邦題『 華氏911(華氏911) 』の‘911(911)’とは、同時多発テロの起こった 9 月 11 日を示している。映画は先ず、ブッシュ大統領がホワイトハウスの主となった最初の8ヶ月から映し出す。それは、マイケル・ムーア監督のベストセラー本「 Stupid White Men 邦題:アホでマヌケなアメリカ白人(柏書房)」の始まり方と同様らしい。白熱の大統領選に勝利した様子と、 9/11 へ当惑した反応を見せるブッシュ大統領。この後、映画『 華氏911(華氏911) 』は大体二つの部分に分けられる。前半は同時多発テロの 9 月 11 日の事件、後半はイラク戦争である。

 前半で、マイケル・ムーア監督は、ブッシュ氏が色々な石油会社の委員会に顔を出している時代から概説する。ブッシュ一族が、サウジアラビア Saudi Arabia のオイルマネーの恩恵にどんなに与(あず)かっていたのか。特にアルカイダ al-Qaeda の指導者オサマ・ビン・ラディン Osama Bin Laden の一族からは恩恵がどんなに莫大だったか。 9/11 直後の二、三日の間に、米国内に居住していたビン・ラディン一族の 24 人がいかにして国外脱出を許されたのか。テロ攻撃の調査をブッシュ大統領がいかに反対し、議会記録から 28 ページも削除してしまったかということ。ブッシュ大統領がサウジアラビア大使と非常に親しい間柄だったということ。

 それに、最も驚異的なのは、米国特殊部隊がアフガニスタン Afghanistan にビン・ラディンを捜しに行く二ヶ月も前に、ブッシュ大統領がビン・ラディンを去らせたという事実である。戦争好きの大統領は、新しいターゲットを作ったとムーア監督は指摘する。そのターゲットは何とアメリカ国民。ブッシュ政権が米国民に恐怖の要素を持たせてしまったので、ブッシュ大統領はサウジアラビアとビン・ラディン一族との自分の接点から国民の目をそらせる為に、国民の注目をイラク Iraq という国家に向けたのだとムーア監督は論ずる。

 この『華氏911(華氏911)』の前半 45 分間ではムーア監督はスクリーンに姿を見せないが、後半になって映画『 華氏911 』がイラク戦争に焦点を置くようになると、監督は頻繁に登場する。ムーア監督はワシントンDC Washington DC ではアイスクリーム屋の車に乗って街を走って、声を大にして USA Patriot Act (反テロ法・テロ対策法案・愛国者法などと訳される)から議案を読み上げていった。議員達が忙しすぎて、議案が通過する前に議案を読めないといけないと案じてであった。また、ムーア監督の故郷ミシガン州で、経済的に貧しいフリント Flint, Michigan の町にも帰り、米国軍隊が貧困な若い男女を徴兵し始めていることを教えた。キャピトル・ヒル Capitol Hill (ワシントンDCの国会議事堂のある小丘)にも赴いて、議員達に、イラク戦争へ自分の子だったら行かせるかと尋ねもする。息子をイラク戦争で亡くした女性にも話しかけ、この戦争に対するムーア監督の怒りは頂点に達する。

 以下に、『華氏911(華氏911)』の公式サイトに掲載されていた『華氏911(華氏911)』の関連記事がとても興味深いので引用(一部編集)しておく。

*2004年夏: ギャガ・コミュニケーションズ×博報堂DYメディアパートナーズ×日本ヘラルド映画が提供配給、ギャガGシネマ海×オフィスエイト宣伝による『華氏911(華氏911)』が、日本では、東京恵比寿ガーデンシネマ、大阪梅田ガーデンシネマ他にて全国拡大ロードショーされる予定だ。

*2004年6月14日:米映画協会『華氏911(華氏911)』をR指定に!米映画協会は、17歳未満の鑑賞に保護者同伴を義務付ける 「R指定」に決めた。監督側は「2,3年後にイラクに派兵されるかもしれない15,16歳は、この映画を見る権利がある」と主張。日本での公開レーティングは未定。日本とアメリカでは審査の基準も社会的背景も異なる。何にせよ、まだ試写ができないため審査も受けておらず、なんともいえない状況だ。

*2004年6月13日:ブレア首相テーマ作は冗談!次回作のテーマにブレア英首相を検討中と述べたムーアだが、自身のホームページで「トニー(ブレア首相)、怖がらせてごめんね。マイケルは冗談を言っただけなんだよ」。

*2004年6月11日: 次回作のテーマは、ブレア英首相!? ムーア監督は次回作のテーマにブレア英首相を検討中であることを明らかにした。ムーア氏曰く、「今回のイラク戦争について個人的にはブッシュよりブレアの方が責任が重いと考えている。なぜならブレアはブッシュのようにアホではないから」。

*2004年6月10日:『華氏911(華氏911)』の題名“パクリ”騒動!「華氏451度」などを代表作とするアメリカSF作家レイ・ブラッドベリ氏が「題名を盗まれた」と非難する騒ぎがおこる。ムーアはブラッドベリに「敬意を表して」題名をつけたと告白。

*2004年6月1日: 全米での公開、6月25日に決定!ワインスタイン兄弟と米国の映像プロダクションなどが共同で配給することが決定していた『華氏911(華氏911)』だが、遂に6月25日より1000館規模で公開されることが決定。

*2004年5月31日: イラクの反武装勢力に首を切られ殺害された米民間人ニコラス・バーグさんが、『華氏911(華氏911)』用のインタビューを受けていたことが発覚。編集段階でカットして使われなかった16分の映像を遺族に贈る。

*2004年5月30日: 幾多のトラブルを経て、ついに『華氏911(華氏911)』、アメリカ公開決定!ディズニーから配給を拒否され、全米での公開が危ぶまれていたが、ミラマックスの創業者であるワインスタイン兄弟が個人的に権利を買い取り配給することが決まる。

*2004年5月22日: パルムドール(最高賞)に『華氏911(華氏911)』! M・ムーア感涙!ついに発表されたパルムドール!その政治的内容に受賞はないという声もあったが、見事『華氏911(華氏911)』が受賞!ムーアはスタンディングオベーションの中、何度も感激の涙を拭った。ちなみにこの日、ブッシュはマウンテンバイクで転倒した。

*2004年5月12日: ムーア監督の新作、米国にて新たな配給元探しで合意 米娯楽・メディア大手ディズニー傘下のミラマックスは、『華氏911(華氏911)』の新たな配給元を探すことでディズニーとの間で合意した。

*2004年5月11日: マイケル・ムーア監督の新作、英国では配給決まる!英紙フィナンシャル・タイムズは、『華氏911(華氏911)』が今夏に英国では公開されると伝えた。

*2004年5月9日: ディズニー、マイケル・ムーア監督のブッシュ批評映画配給を禁止! 米娯楽産業大手のディズニーが、傘下のミラマックス・フィルムズに対してブッシュ大統領に批判的なドキュメンタリー映画『華氏911(華氏911)』の配給を禁止した。

 以下は「Goo 映画 」からの引用させていただきリンクはそのまま貼っておいた。

*マイケル・ムーア監督、ブッシュ不支持層に目を覚ますよう促す  6月22日 ロイター・ジャパン
*マイケル・ムーア監督、「華氏911」のR指定に抗議  6月15日 ロイター・ジャパン
*M・ムーア監督「英首相に関する映画製作発言、単なる冗談」  6月14日 ロイター・ジャパン
*ムーア監督、次回作のテーマはブレア首相か  6月12日 ロイター・ジャパン
*映画「華氏911」、カナダでも25日公開  6月10日 ロイター・ジャパン
*映画「華氏911」、25日に米国公開へ  6月2日 ロイター・ジャパン
*米映画配給各社、ムーア監督の「華氏911」に注目  5月28日 ロイター・ジャパン

■2004年07月03日(土)更新
 「映画の森てんこ森」によく訪問して頂く、アメリカ・ワシントンDCに在住のジャーナリストのN氏から「華氏911(華氏911)」についての以下のメールを頂戴した。幸はN氏のメールの内容が興味深く思ったので、N氏のプライバシーの侵害のないように注意を払って掲載させて頂く。※掲載許可はメールにて連絡済み。
華氏911 のメール01


※参考資料:
 The Internet Movie Database (IMDb)
 allcinema ONLINE
 nostalgia.com
 Goo 映画
  http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFRJAPAN-147492/
 『華氏 911』オフィシャルサイト
  http://www.kashi911.com/news.html
Text by Sati
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
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