![]()
|
パトリオット THE PATRIOT 【解説】 監督のローランド・エメリッヒと製作のディーン・デヴリンは組んで「ゴジラ」「 VISITOR 」シリーズ「インデペンデンス・デイ」「スター・ゲイト」等の娯楽作品を成功させている。撮影は「アンナと王様」のキャレブ・デシャネル。主演はメル・ギブソン、「マッド・マックス」でブレイクして「リーサル・ウェポン」シリーズや「ブレイブハート」で不動の地位を手にした。 メル・ギブソンは「バード・オン・ワイヤー」や「リーサル…」ではお笑い系をいっているが、「ブレイブ…」や「身代金」では真面目な顔で渋い演技を見せてくれる。この「パトリオット」は「愛国者」という意味だから、深刻なほうかな、と想像して観たら、やはりそうでした!メル・ギブソンの鍛え上げた肉体が、カッコイイ。 アメリカ独立戦争で、愛する家族を失ったりしながら、愛国心を募らせていく男の姿を雄大に描いた戦争ドラマ。ギブソンがいい格好しすぎという声も聞こえるが、結構見応えある作品。 |
||||
【スタッフとキャスト】 監督: ローランド・エメリッヒ Roland Emmerich 製作: ディーン・デヴリン Dean Devlin マーク・ゴードン Mark Gordon ゲイリー・レヴィンソン Gary Levinsohn 製作総指揮: ローランド・エメリッヒ Roland Emmerich ウテ・エメリッヒ Ute Emmerich ウィリアム・フェイ William Fay 脚本: ロバート・ロダット Robert Rodat 撮影: キャレブ・デシャネル Caleb Deschanel 音楽: ジョン・ウィリアムズ John Williams 出演: メル・ギブソン Mel Gibson ベンジャミン ヒース・レッジャー Heath Ledger ガブリエル ジョエリー・リチャードソン Joely Richardson シャーロット ジェイソン・アイザックス Jason Isaacs ウィリアム・ダビントン大佐 クリス・クーパー Chris Cooper バーウェル大佐 チェッキー・カリョ Tcheky Karyo ジャン・ビルヌーブ少佐 ルネ・オーベルジョノワ Rene Auberjonois オリバー牧師 リサ・ブレナー Lisa Brenner アン・ハワード トム・ウィルキンソン Tom Wilkinson コーンウォリス将軍 ドナル・ローグ Donal Logue ダン・スコット レオン・リッピー Leon Rippy ジョン・ビリングス アダム・ボールドウィン Adam Baldwin ウィルキンス大尉 <もっと詳しく> サウス・カロライナの広い農園で、妻に先立たれて七人の子の父親として平穏に暮らしている主人公ベンジャミン・マーティン(メル・ギブソン)。 17 歳の長男を頭に 14 歳の次男、 10 歳くらいの男の子三人、女の子二人がいる。一番下の小さな女の子は言葉を発するのが遅い。一家は黒人のメイドたちとも仲良く、またベンジャミンは亡き妻の独身の妹シャーロット・セルトン(ジョエリー・リチャードソン)ともお互いに惹かれながらも平行線をたどりつつ、農家をして平和に暮らしていた。 そこに独立戦争が勃発して、イギリス軍がアメリカに侵入してきたため、町や村では義勇軍をつくる動きが出てきた。ベンジャミンは自分は百姓であり、平和な家庭生活を守りたいので義勇軍には入りたがらない。そんな父親に長男のガブリエル(ヒース・レッジャー)は反発し、 18 歳になるやいなや勝手に志願して戦場に出て行く。親はどうしてこんなに臆病なのか、愛国心がないのか、と不満を抱いて。 しばらくして戦火が迫り、軍服姿の長男のガブリエルは、伝令役の途中、怪我を負って我が家にへとへとになってたどり着く。そこにイギリス軍の一行が休息や怪我の治療をしにこの館に立ち寄り、負傷しているアメリカ軍のガブリエルをスパイ容疑で無理やり隊に連れ去ろうとする。ベンジャミンの次男トーマス(グレゴリー・スミス)が駆け寄って引きとめると、イギリス軍のウィルアム・タビントン大佐(ジェイソン・アイザック)はベンジャミンの目の前で次男を殺してしまう。そして長男を連行していく。 ここでベンジャミンは闘争の本能が芽生えた。下の息子たちネイサン(トレバー・モーガン)とサミュエル(ブライアン・シャフィン)を従え、彼らの行く先回りをして、陰から奇襲攻撃をする。息子たちには馬の乗り方もライフルの撃ち方も教えてあった。「よーく狙って撃て」を息子たちは守った。当のベンジャミンはチェロキー・インディアンの斧を使って、まるでシルベスター・スタローンの「ランボー」の如く、ゲリラ攻撃をして、やっつける。そう、ベンジャミンは昔、フランス軍とインディアンの戦いで名の知れた、凄腕の戦士だったのだ。だから、闘争本能が芽生えた、のではなく、闘争本能が戻ったというのが正しい。こうして長男ガブリエルは、力ずくで手元に戻せた。 ベンジャミンと息子のガブリエルは、民兵をもっと募る必要性をまじまじと感じ、村々に人集めをしにいく。教会で礼拝中にも入っていって、村人たちを説得する。最初、顔を見合わせて消極的だった村人たちも、一人、二人、と意志を固めていき、オリバー牧師(ルネ・オーベルジョノワ)さえもが入隊した。夫、父、息子、兄、こういった普通の農家の家庭の男たちが、妻、母、姉妹、子供たちとしばしの別れを覚悟し、参加する。ベンジャミンは戦いの経験のない彼らに銃の使い方を教え、ゲリラ戦法でじわじわイギリス軍を負かしていく。 当時の正攻法はと言うと、隊列を組んだ歩兵が、数十メートル向こうで同じく隊列を組んだ敵側の歩兵に発砲して、弾が当たった兵士は倒れ、その間に弾をこめて、また次の隊列に向かって発砲する、というのんびりした方法であった。一番前列の歩兵たちは「人間の盾」となって、否が応でも弾を体に受けるのであった。だから、民兵であるベンジャミンたちは、木陰や小丘のかげに隠れて、通りすがりのイギリス兵たちをゲリラ的に襲うので、効果的だった。ベンジャミンはこのように一瞬にしてイギリス兵を負かすので、「ゴースト(幽霊)」と呼ばれ、イギリス軍の脅威の的になった。 こうして村人たちの「素人」軍団は日々に愛国心を高めて闘争していった。たまに我が家に戻って、つかの間の家族団らんで気分転換するのが憩いだった。長男ガブリエルは相思相愛の幼馴染の娘アン・ハワード(リサ・ブレナー)と結婚する。そしてベンジャミンは妻の妹と寄り添う。一番下の女の子は父のいない間に言葉が話せるようになっていた。「お父さん、私たちを置いて行かないで!」と言えるようになった。 この映画は「愛国心」と「戦争」の話なので、ベンジャミン役のメル・ギブソンが真面目に演じてはいるが、所々にコミカルな味も散りばめてある。そんなシーンを挙げてみると: 長男ガブリエルが恋人アンの家に求婚しに行って、頑固者の父親ピーター・ハワード(ジョイ・D・ビエラ)を奥さん(メアリー・ジョー)が自分の若い頃を思い出せば?とか言ってカップルの味方をする。でも、夜は、ガブリエルはアンの部屋に寝るのを許されるが、アンの母親に頭以外の全身をシーツに包まれて、しかも、針と糸でシーツを縫われてしまう。手出しが出来ないわけだ。これって、アメリカの古き習慣なのかな?娘の両親が未婚の男女の同衾を予防する?でも、裏では、わし等も若いときは、ああされても、翌朝は、糸を切ってしまっていたよな、と笑いながら話している。 また、イギリス軍のチャールズ・コーンウォリス将軍(トム・ウィルキンソン)は大きなドーベルマンを二匹飼っていたが、ベンジャミンがガブリエルを取り戻すためにチェロキー・インディアンの斧で奇襲攻撃したとき、英国軍の馬車から走り出て、ベンジャミンが保護した。見た目は狂暴なイカツイ犬なのが、犬好きのベンジャミンにかかると、ヒーヒー声になって、ひっくり返って甘える。それ以来、ベンジャミンのお供をしている。後日、元の飼い主である将軍と再会しても、ベンジャミンの口笛一つでターッと二匹は駆け寄り、ベンジャミンの後に従う。何か楽しくなる場面だ。 ベンジャミンがコーンウォリス将軍の陣取る砦に、かけひきに行った時も面白い。数キロ先でイギリス軍の将校たちを大勢捕虜にしたから、と言って、その方向を指差す。なるほど赤い軍服の英軍の 20 人ばかりが立って縛られているのが遠くに見える。馬を渡さなければあの将校たちを処刑すると言って、コーンウォリス将軍からまんまと複数の馬を手に入れる。ベンジャミンがニタニタしながら、その場を離れて、将軍が直後に望遠鏡でよく見ると、捕虜になって立たされているのは、赤い軍服を着せられた「かかし」だった!メル・ギブソンのニンマリ顔は「リーサル・ウェポン」シリーズでお馴染み。彼の笑い顔はなかなかいい。 さて、民兵たちがまた結集して闘いを再開すると、イギリス軍のあの、次男を殺したタビントン大佐らは、ベンジャミンたちの好戦を憎み、どうにかして打ち砕こうとする。ベンジャミンの故郷の家は焼き払い、ガブリエルの新婚の妻を含めて礼拝中の村人たちを教会ごと焼き殺すという残忍な仕打ちをする。これもベンジャミンやガブリエルをおびき寄せる作戦だったのだ。ガブリエルは新妻を殺された怒りと悲しみで爆走し、敵の狙い通りに殺される。 最愛の長男まで殺されてベンジャミンは力が抜けてしまう。野戦テントの中でぐったりと寝たままだ。しかし、それまで何かと心を通わせなかった、フランス人のジャン・ビルヌーブ少佐(チェッキー・カリョ)らが慰める。「子供が生まれて、君の長男の名前"ガブリエル"とつけたよ。」この一言で、ベンジャミンは力が蘇る。 ベンジャミンは気持ちを入れ替えて、あの憎きイギリス軍のタビントン大佐をやっつけるまで戦い進む。そして遂に息子たちの仇を討つ。そのあとは、ベンジャミンは復讐とかの思いを超越して、真の「愛国者」となってアメリカの軍服に身を包み、アメリカの星条旗を馬上で掲げ、誇り高く邁進するのだった。ギブソンの軍服姿が凛々しい。 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず3063文字/文責:幸田幸 |
|||||
【映画の森てんこ森】へ |