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恋人たちのニューヨーク
SERENDIPITY

【解説】
 日本では 2002 年の5月に「恋人たちのニューヨーク」(配給:アミューズ・ピクチャーズ)という題で放映されるらしいが、原題は「Serendipity」。 Serendipity とは、映画ではたしか<幸運な偶然の出会い>と言っていたと思うが、辞書では<思わぬ発見をする特異な才能>と載っていた。大都会ニューヨークで、ニューヨーカーのジョナサン(ジョン・キューザック)とイギリス人のサラ(ケイト・ベッキンセイル)の間に<Serendipity>が起こる。ピーター・チェルソム監督のロマンチック・ラブコメディ。
 クリスマス間近のある不思議な夜、ジョナサンは、サラと出会った。ジョナサンはサラに一目惚れだが、サラは運命を信じている。お互いを知る手がかりを運命に任せ、二人は離れ離れに。数年後、別々の場所で、それぞれの恋人と結婚を控えた二人だが、あの夜のソウル・メイトのように感じた相手が忘れられなくて探し出そうとする…。

※左のポスターは nostalgia.com、予告編リンクはCinemaClockの許諾を得ています。
【スタッフとキャスト】

監督: ピーター・チェルソム Peter Chelsom
製作: ピーター・エイブラムス Peter Abrams
    サイモン・フィールズ Simon Fields
    ロバート・L・レヴィ Robert L. Levy
製作総指揮: ジュリー・ゴールドスタイン Julie Goldstein
    ボブ・オシャー Bob Osher
    エイミー・スロトニック Amy Slotnick
脚本: マーク・クライン Marc Klein
撮影: ジョン・デ・ボーマン John De Borman
音楽: アラン・シルヴェストリ Alan Silvestri
 
出演: ジョン・キューザック John Cusack ジョナサン
    ケイト・ベッキンセイル Kate Beckinsale サラ
    ジェレミー・ピヴェン Jeremy Piven ディーン
    モリー・シャノン Molly Shannon イヴ
    ジョン・コーベット John Corbett ラルス
    ブリジット・モイナハン Bridget Moynahan ハリー
    ユージン・レヴィ Eugene Levy ブルーミングデールの店員
    ルーシー・ゴードン Lucy Gordon キャロライン・ミッチェル

<もっと詳しく>
 この作品の日本初公開の 2002 年5月に先駆けて見る機会に恵まれたのでストーリーを以下に書きますが、話の筋を知りたくない方は、読まないで下さい。

 クリスマスを控えた混雑するマンハッタンの高級デパート<ブルーミングデール>で、ジョナサンとサラはカシミアの黒い手袋に同時に手を伸ばす。お互いの恋人に贈るために二人が偶然選んだクリスマスのプレゼントが、デパートに一つしか残っていないこの手袋である。サラは手袋を譲ってくれたジョナサンに御礼として「Serendipity」というお店でのお茶に誘う。(二人が飲んでいたフローズン・ホット・チョコレートはとても美味しそう!飲んでみたい!)すっかり打ち解けた二人だが、初対面ということもあって、一線を超えようとはしない。そのまま別れる。

 しかし、別れた後、ジョナサンはマフラーを、サラは譲ってもらったカシミアの黒い手袋を忘れたことに気付いて、もう一度お店に戻る。そして再び会う。偶然の再会に、何か特別なものを感じた二人は、もう少しデートをすることに。セントラル・パークでスケートをする。滑って転んだサラを介抱するジョナサンは、彼女の腕にカシオペア座の形に配置されたホクロを見つける。そして優しく腕にキスをする。

 お互いの気持ちのままに流されようとするジョナサンに対し、サラは運命論を持ち出す。ジョナサンの名前と電話番号の書いた5ドル札で飴を買う。また、サラが持っていた「 LOVE IN THE TIME OF CHOLERA 」という本の初版に彼女自身の名前と電話番号を書いて、翌日古本屋に売ると言う。もし、サラがその5ドル札を、そしてジョナサンがその本を手に入れることができれば、二人は一緒になる運命なのだ。二人はホテルへ向かい、そこでも運命を確かめようとする。

 別々のエレベーターに乗って、無作為に階のボタンを押す。もし互いの押したボタンが同じ階のものなら、二人はそうなる運命だというのだ。エレベーターの扉が閉まる瞬間に、サラは黒いカシミアの手袋の片方が入った赤い袋をジョナサンに放り投げ、自分の名前を告げる。サラとジョナサンは偶然にも同じ 23 階のボタンを押す。しかし、事はそう簡単には運ばない。ジョナサンのエレベーターに、途中の階から悪魔のコスチュームを着た少年とその付き添いの男性が乗ってきた。腕白な少年がエレベーターのボタンを押し捲ったために、エレベーターは各階に止まる羽目に。ジョナサンが 23 階で降りた直前、先に 23 階に辿り着いていたサラは待ちくたびれて帰ってしまう。結局二人はお互いを探し出す情報を得ることなしに離れ離れになる。

 数年後、ジョナサンはニューヨーク、サラは 3000 マイルも離れたところ(アメリカ・ウェストコーストとかカナダのトロントとか、幸は調べたけどわかりませんでした)で別々の人生を歩み、それぞれ別々の人と結婚しようとしていた。「ニューヨーク・タイムズ」の記者であるジョナサンはハリー(ブリジット・モイナハン)という美しい女性と、また、神経科医の卵のサラは新進気鋭の東洋音楽趣味ミュージシャンのラルス(ジョン・コーベット)とだ。結婚を間近に控えて、ジョナサンとサラは、お互いを思い出させるものばかりが目に入り、ニューヨークでの<Serendipity>が頭から離れない。結婚する前に、もう一度会ってきちんと気持ちの整理をしておきたいと考えた二人は、それぞれお互いを探し始める。

 ジョナサンは親友のディーン(ジェレミー・ピヴェン)と一緒に、サラ探しを行う。ディーンはハリーとの幸せな結婚を前に、なぜそんなことをするのかと訝るが、「ハリーは<ゴッド・ファーザー2>で、<ゴッド・ファーザー1>を見なければその本当の良さを知ることができない」というジョナサンの説得に納得する。(私も納得しました。確かに<ゴッド・ファーザー2>は<ゴッド・ファーザー1>を凌ぐ良い作品ですが、<ゴッド・ファーザー1>を見なければ、ストーリーを完全に理解したことにはなりません。)新聞記者の彼らは、ジョナサンが偶然に見つけた、例のカシミアの手袋を買ったときのレシートや、サラがカシミアの手袋に潜ませていた名前を書いた紙を使って、サラの割り出しに奔走する。サラ探しに協力?するのは、<ブルーミングデール>の店員さん(ユージン・レヴィ)や、不動産屋の社員、以前ラルスとサラのルーム・メイトだったフランス人画家(この人物にはウケました! )。

 一方サラも、親友のイヴ(モリー・シャノン)と一緒に、ジョナサン探しにニューヨークへと旅立つ。自分の仕事とラルスの公演のおかげで、結婚式や新婚旅行の準備は大変で、サラは混乱していた。ラルスは自分の公演の事で頭が一杯。サラは結婚前に気持ちをスッキリさせたいからとラルスに言って旅行の許可を得る。イヴは自分の誕生日にサラが気前良くニューヨーク旅行をプレゼントしてくれたと大喜びだったが、実はジョナサン探しだと知り、怒って帰ろうとするが、サラの真摯な気持ちに打たれ、協力することに。サラのインスピレーションに任せて、ジョナサンを求めてニューヨークの街を闊歩する。

 途中イヴはプラダの偽物財布プラドを路上で買う。なんと思い出の店「Serendipity」でイヴはあの5ドル札を手に入れるのだが、二人ともそのことには気付かない。そして、これも、なんと宿泊するホテルでジョナサンの結婚相手ハリーと出会う。イヴとハリーは大学時代の知り合いで、ハリーは結婚式にイヴを招待する。ジョナサンとハリーはこのホテルで結婚式を挙げるのだ。物凄い偶然の連続!イヴは結婚式のリハーサルに出るが、ハリーの横にいるジョナサンがサラの探し人であるとは思いもよらない。

 先に一人ホテルの部屋に戻ってきたサラは、部屋の前に婚約者のラルスがいるのを見つける。彼は寂しさのあまりサラを追ってきたのだ。二人でロマンチックにセントラル・パークでデートをするが、目の前にはあのスケートリンク、そして空には輝くカシオペヤ座。そばにラルスがいても、思い出すのはジョナサンだ。公演キャンセルの知らせがラルスの携帯にかかり、ラルスは慌てて戻らなくてはならなくなる。

 結婚式のリハーサルの後、ハリーはジョナサンに花婿へのプレゼントに「 LOVE IN THE TIME OF CHOLERA 」の初版を渡す。本を開くと、なんとサラ・トーマスという名前と電話番号が。驚いたジョナサンに「本屋さんに行くと、いつもその本を手にとっていたから」と言うハリー。ついにサラの現住所を突きとめたジョナサンは、結婚式の前日にも拘らず、ディーンと一緒に飛行機に乗ってサラのもとへと向かう。サラの家に着くと、もちろん誰もいない。がっくりとしたジョナサンとディーンはニューヨークへと戻る。

 ジョナサン探しをあきらめ、ラルスとの婚約も解消したサラは、ニューヨークを後にしようと、飛行機に乗る。スチュワーデスから機内用のイヤフォンを買おうと、お財布を出すと、イヴの<プラド>だ。サラは笑って、そこからあの5ドル札をスチュワーデスに渡す。次の客にイヤフォンを売るスチュワーデスの手に5ドル札を発見したサラは、その5ドルをスチュワーデスから取って、慌てて飛行機を降りる。

 ジョナサンのアパートに向かったサラは、そこで今日がジョナサンの結婚式の日であることを知り、結婚式の執り行われるホテルへと急ぐ。ホテルでは、結婚式の後片付けをしているみたい。呆然とするサラに、ホテルのオジさんが結婚式はキャンセルになったことを教える。喜ぶサラ。

 ベンチに落ちていて何気なく拾ったジャケットを持って、セントラル・パークのスケートリンクでごろんと仰向けになるジョナサンに、雪がちらほらと降りかかる。そのジョナサンに黒いカシミアの手袋の片方が投げられた。えっ?何かを感じたジョナサンが振り向くと、ジャケットを失い寒さをこらえるサラが、リンクの端に立ってジョナサンを見ている。やっと出会えた二人にホッ。

 この映画は、以前なんとなくネット検索していた時に、オフィシャル・サイトを偶然見たことがあった。私の好きなロマンチック・コメディなので、日本でビデオレンタルが開始されたら是非観たいと思っていた。だから飛行機内での<Serendipity>は、嬉しかった。ジョン・キューザックは以前からちょっぴりお気に入りの俳優さんで、主演作品では「セイ・エニシング」( 1989 )「真夜中のハバナ」( 1997 )「マルコヴィッチの穴」( 1999 )を観たことがある。別に超カッコイイということもないのだけれど、優しそうな何とも言えない雰囲気がいい。実生活でも友人を大切にする人らしいから、本当に優しいのだ、きっと。レンタルが開始されたら、「アメリカン・スウィートハート」( 2001 )も絶対観る!

 姉のジョーン・キューザックも好き。いつも出演している作品で隠し味のような働きをしているこの女優さんは名女優だと思う。彼女と同じようなものを感じるのが、サラの友人イヴ役のモリー・シャノン。ジョーン・キューザックと同様、彼女も「サタデー・ナイト・ライブ」に出演していたからかな。ちなみにモリー・シャノンのものまねレパートリーは、コートニー・ラブ、ライザ・ミネリ、モニカ・ルインスキー(懐かしい!)などだそう。見てみたい。

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず3799文字/文責:幸田幸
参考資料:「Serendipity」英語版オフィシャルサイト
       allcinema ONLINE
       Rotton Tomatoes
       JUNGLE CITY.COM
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