あばたもえくぼ★シャイな幸の独り言@映画の森てんこ森
痘 痕 も 靨
2002年7月14日日曜日
は 「あばたもえくぼ」と読みます。難しい漢字です。「ほれてしまうと欠点まで好ましく見える意」と。そして「痘痕」とは「〔サンスクリット語の arbuda(かさぶた)からか〕天然痘にかかって治ったあと、顔の皮膚に残る小さなくぼみ。じゃんこ。」と大辞林(国語辞典)にあります。
 愛すると相手の欠点までも美点に見えることでしょう。反対の表現は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」ということになるでしょうか。
 良くも悪くも「思い込み」は、物事の真実が見えなくなってしまいます。
 映画「愛しのローズマリー」を観たとき、ふとこの言葉を思い浮かべました。


愛しのローズマリー


少林サッカー

 「愛しのローズマリー」は、グウィネス・パルトロー演じる、気の優しい約130kgも体重がある超肥満女性と、催眠術で彼女を美人と思い込んだ中年男性ジャック・ブラック演じるハルのロマンスを描いたラブ・コメディです。

 ジャック・ブラックは、「ハイ・フィデリティ」で味のある演技をみせてますが、幸はやはり美男美形のジョン・キューザックの方がいいです。ジャック・ブラックは背が低く小太りです。「愛しのローズマリー」でも彼のはまり役?のもてない男を演じています。彼は、父親の遺言を守り、外見の美しい女性だけを追い求めていつの間にかおじさんなのに自分では気づいていません。いわゆるもてない男の高望み=「思い込み」で今までやってきました。そんな彼は、心の美しい女性が美人に見える催眠術をかけられることになります。

 催眠術の講師とハルの友達の会話が的を得ているので、幸は色々なことを考えてしまいました。ハルは催眠術から覚めた後も、デブだが内面美人のローズマリーを美人だと思える価値感を、最終的に持つことになります。彼は外圧だけれども「価値観の変換」をして、会社で部長の役職を得て、幸せな人生を選んだことになります。

 「愛しのローズマリー」の中でデブや身体障害者に対する偏見に一言物申すという演出が感じられますが、催眠中のハルにはとても可愛く見える女の子は実は顔中火傷だだらけ。ハルは覚めた後、その子を見て驚き、一瞬引き、「How are you, beautiful?」と次第に認めていき、抱きしめるシーンは「価値観の変換」の儀式だったのでしょう。

 そうそう、顔中火傷だらけで思い出しましたが、「少林サッカー」でも、ヴィッキー・チャオ(趙薇)が演じる、自信を喪失しているシャイな饅頭屋の阿梅(アムイ)は、顔中吹き出物だらけです。しかし彼女は太極拳の達人です。彼女を見染めた周星馳(チャウ・シンチー)演じる主人公シンは、結果的に彼女に助けられ、チームが宿敵デヴィルチームに勝利することになります。

 「人は外見ではなく、内面の美しさを選ぶべきです」というメッセージに大賛成デース。しかし、どうして愚かな私が、パッと見ただけで、その人の内面の美しさに気づけるのでしょうか?
 「愛しのローズマリー」では、ハルは催眠術で、「少林サッカー」ではシンは元々カンフーの黄金の脚を持った達人だからこそ、なせる技ではないのでしょうか。

 え?外見ではなく内面の美しさに気づくには、映画を沢山観て、二つと出来ない人生の中で、自分の「思い込み」の価値観を習得すればいいのですって?
 ああ、ハイ...。それなら何とか頑張れますが。問題は、幸を認めてくれる方にその価値観が分ってもらえるかです。
 これって縁でしょうか?まさしく「セレンディプティ=serendipity」ですね。
coda21「映画の森てんこ森」幸田幸。
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