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オーヴェール・シュル・オワーズ
この写真は 2002 年 4 月、オーヴェール・シュル・オワーズの Rue de Lévy (レヴィ通り)で幸が撮ったものです。
オーヴェール・シュル・オワーズ
AUVERS-SUR-OISE
オーヴェール・シュル・オワーズ
 オーヴェール・シュル・オワーズは、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(Vincent Willem van Gogh)終焉の地として知られています。覚えにくい地名ですが、ゴッホ好きの方や絵画に興味のある方は良くご存じだと思います。表記は「オーベール・シュル・オワーズ」と「v」音を「ベ」としているのがありますが、ここでは原音に忠実に「オーヴェール・シュル・オワーズ」としています。

 オーヴェール・シュル・オワーズは、イル・ドゥ・フランス(ILE DE FRANCE)地方または州(Région)のヴァル・ドワーズ(VAL D' OISE)県(DEPARTEMENT) 95 の中にあり、セーヌ(LA SEINE)川の支流オワーズ川沿いに沿った細長い小さな村です。パリ(75)から約 30 km の距離。車で走るには、自動車道(オートルート autoroute)アー・キャンズ( A15 )号線をセルジー・ポントワーズ(CERGY-PONTOISE)に向かって、ボーヴェー(Beauvais)方面行きの7で出ます。列車(SNCF)では、パリ北駅(Gare du Nord)もしくはサン・ラザール駅(Gare St Lazare)からポントワーズまで行き、クレイユ(Creil)方面に乗り換え、オーヴェール駅(AUVERS)下車です。パリから近いのですが、列車の本数が少ないので、待ち時間を入れると1時間以上はかかります。パリからの観光バスを利用するのもいいかも知れません。このオーヴェール・シュル・オワーズは、人口6909人の小さな村ですが、バルビゾン(Barbizon)派のドーヴィニー(Daubigny)、後期印象派のセザンヌ(Cézanne)やゴッホで有名で、観光客が絶えることはありません。

 オーヴェール・シュル・オワーズの代表的な観光名所として、ゴッホが下宿していた宿「ラヴーの宿屋(ゴッホ記念館)AUBERGE RAVOUX」、印象派絵画記念館がある「オーヴュール城 CHATEAU D'AUVERS」、画家ドービニーの自宅だった「ドービニー美術館 MAISON ET ATELIER DE DAUBIGNY」、その他ゴッホ縁のスポットが点在します。(「シャイな幸の独り言/ゴッホとオーヴェール城(仮題)」で詳しく書きます。)

 オーヴェール・シュル・オワーズにはゴッホ縁の有名な観光名所が幾つもあるのに、上のショットは何の変哲もない写真です。何枚か名所の写真は撮ったのですが、どれもありふれていて面白くありません。この時は、オーヴェール・シュル・オワーズに着いた午前中からあちこちと歩いてお腹が空いていました。お昼前に、疲れたなぁ〜、お腹空いたなぁ〜、どうしようかなぁ〜と思いながら、ゴッホとテオのお墓へ歩いて行く途中、ふと目に入ってきたのがこのアングル。疲れが吹き飛びました。空の色、紫のライラック(lilas:和名「紫丁香花=むらさきはしどい」)の木、家と石塀、レンガ色の屋根瓦と背景の雑木林の緑、ピンクの鎧戸と白のフランス窓と緑の鉄板の門扉、そして、緑・茶色・黄色とワンポイントで白とブルーを効かした道路標識等が今昔混交して何ともシックに融け合っています。ゴッホもこのオーベール・シュル・オワーズで画架を担いで疲れては、何気なくゆったりとした、異邦人でも受け入れてくれそうな佇(たたず)まいに心安らいだのかも知れません。幸はこの写真がとても気に入っているので、「読む映画試写会」のトップイメージとして長い間使っています。ご訪問頂く方には、もういい加減この写真替えたら?と思われるかも知れません。しかし、このオーベール・シュル・オワーズの写真は現実に「読む映画試写会」に大いに役立っています。時には一回しか見ていない新作映画のレヴューを書くには、映画データや聞き取りにくくて英語がわかりづらい箇所の情報収集などで結構疲れるのですが、この写真を見るたびリフレッシュできます。

 オーヴェール・シュル・オワーズは、実際のところ幸は今までフランスの小さな村へは行ったことがないので正確に比べられませんが、ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ主演の映画『 ショコラ (2000) CHOCOLAT 』の舞台設定である、フランスの静かで保守的なランスケネ村(実際存在するのか知りませんが)とは、雰囲気がかなり違いました。同じ田舎村でも、ドービニーやゴッホが愛したオーベール・シュル・オワーズの村はフランスでは特別な田舎なのかも知れません。

 毎年4月から5月の気候の良い時に、それも花粉症と五月病に襲われる頃に、オーヴェール・シュル・オワーズ(いやこのようなわたし的にホッとできるスポット)に訪れるのって、やってみたいかも...。[texte par Sati]

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このイラストは、http://www.chateau-auvers.fr/french/Sommaire.htm から引用しています。

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