ボーン・アイデンティティ THE BOURNE IDENTITY (2002) 製作年:2002年 公開情報:Universal Pictures アメリカ劇場公開:2002年夏 日本劇場公開:2002年末予定 【解説】  ロバート・ラドラム著のベストセラー小説「暗殺者」をダグ・リーマン監督が映画化したスパイ・アクション・スリラー。以前 1988 年に同じ英語タイトル The Bourne Identity が「スナイパー/狙撃者」としてリチャード・チェンバレン主演で製作されたが、それは劇場未公開で別物。  主演のマット・デイモンは今、旬の俳優の勢いと存在感を見せてくれる。任務中に記憶を失った頭脳明晰・武術抜群の秘密工作員ジェイソン・ボーンの役を寡黙にそして力強く演じきる。題名の「ボーン」とは、この主人公の苗字だ。その彼が記憶喪失に陥って、自分が一体誰なのかを必死に突き止めようとしていく。それで「アイデンティティ」、つまり正体・身元を捜し求めるという意味だ。複雑な背景の暗殺者たちに何度も狙撃されそうになりながら、知り合った女性マリーの協力とお互いの愛情で記憶を取り戻していく。  洋画では久しぶりにハラハラドキドキしっぱなしのスリラーだった。ヨーロッパが舞台で様々なロケ地が観られて楽しい。 【スタッフとキャスト】 監督:ダグ・リーマン Doug Liman 製作:パトリック・クローリー Patrick Crowley    リチャード・N・グラッドシュタイン Richard N. Gladstein    ダグ・リーマン Doug Liman 原作:ロバート・ラドラム Robert Ludlum 脚本:トニー・ギルロイ Tony Gilroy    ブレイク・ヘロン W. Blake Herron 撮影:ザール・クライン Saar Klein SFX: ILM ILM 音楽:ジョン・パウエル John Powell 出演:マット・デイモン Matt Damon ジェイソン・ボーン    フランカ・ポテンテ Franka Potente マリー・サン・ジャック    クリス・クーパー Chris Cooper コクリン    ブライアン・コックス Brian Cox ウォード・アボット    クライヴ・オーウェン Clive Owen 教授    アデウェール・アキムノーエ・アグバジェ Adewale Akinnuoye-Agbaje ウォンボジ    カブリエル・マン Gabriel Mann ゾーン    ジュリア・スタイルズ Julia Stiles ニコレット <もっと詳しく>  私は字幕スーパーなしの原語で観たので全ては把握できていませんがわかる範囲でご紹介します。  マット・デイモンは鼻が高いなぁとつくづく思った。ピノキオみたいに高い鼻…。それはそうと、マットは今 30 歳とちょっと。 1997 年に「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で出演と脚本に当たり、アカデミー脚本賞を受賞して俳優のキャリアに勢いをつけた。以降「プライベート・ライアン」( 1998 )、「すべての美しい馬」( 2000 )、「バガー・ヴァンスの伝説」( 2000 )、「オーシャンズ11」( 2001 )等と奮闘している旬の俳優だ。決してハンサムとは言えない風貌が、観ていると味が出てくるものだ。この「ボーン・アイデンティティ」でギャラが $10,000,000 (約1億2千万円)にも跳ね上がって出世している!余談ですが、アメリカでの調査データによると、結婚しないで子供を産みたい女性の求める男性の精子のトップは、マット・デイモンだそうだ。  共演のクリス・クーパーは「パトリオット」「アメリカン・ビューティー」で、ブライアン・コックスは「コレクター」「ロングキス・グッドナイト」等でよく目にする人達だ。マリー役のフランカ・ポテンテはドイツはミュンヘン出身。さすがヨーロッパを移動するストーリーだけあって、地元の女優が出ているな。因みに苗字のポテンテはイタリア語で"力強い"という意味だそうで。身長も 174 cm あって、178 cm のマット・デイモンと渡り合っても道理でたくましく釣り合っている。電話盗聴役のジュリア・スタイルズも風貌からドイツ人かと思ったら、アメリカ人だった。  さて、冒頭は地中海を航海する中型の船のシーンから。フランスのマルセイユの南方約百キロの地点だ。そこへイタリア人の漁船が通りかかり、海上に浮いている男(マット・デイモン)を救い上げる。死んでいるかのようだが、引き上げ、医術の心得のある者が診てみる。男はウェットスーツを身に付け、2発の弾を受けていた。弾丸を摘出していると男は意識が戻り、突然暴力をふるう。落ち着かせて話を聞くと、自分の名前も思い出せない。記憶喪失になっていた。ここで驚くことは、自分が誰だかわからない旨を、英語だけでなくイタリア語やフランス語やドイツ語で流暢に口にすることだ。ムム、この男、ただ者ではないな、と気づく。  イタリアの小さな港町に着いて、漁師は男に「ピザでも食べて」と言ってお札を1枚くれる。真冬で寒いからアノラックもくれた。夜、ねぐらがないので公園のベンチで寝ているとパトロールの警官二人にとがめられた。無意識に手と脚が出てアッと言う間に二人をぶちのめす。これで、語学堪能と同時に格闘技も強いことが本人も観客もわかる。スパイなのだ。ジェイソンは逃げる最中、姿を変えるためにアノラックを脱いでしまってセーターだけで凍えそうだ。そんな頃、CIAの場面が出て、ミッションは失敗したとか言ってあわただしい様子。電話の盗聴や秘密書類の渡し役はニコレット(ジュリア・スタイルズ)だ。金髪の長髪で飾りげない堅物のタイプ。  雪の舞い散る山中を鉄道で北上する。降りたところはドイツか。銀行で貸し金庫の番号はすらすら思い出して書けた。何か皆に監視されているような気配がする。案内された貸し金庫室で金庫を開けるとアメリカのパスポートが出てきた。国籍はアメリカ合衆国、氏名はジェイソン・ボーン、と判明してホッとする。そして、現住所はパリと記載されている。でも次の瞬間、変な事態になっているのに呆然となる。パスポートが他の国のが6通もあるのだ。従って氏名も国によって異なっている。これは何か裏があると自分でも推測するジェイソン。更に札束が山ほどと、拳銃も入っているではないか。彼は銀行の備品の赤いサックに金庫内の物を詰めて銀行を後にした。  そして急ぎ足で歩道を進み、アメリカ大使館に駆け込む。さっきからの不穏な気配が的中した。追っ手らしき連中がライフルを持った重装備で十数人、館内をジェイソンを探して駆け回っている。彼は追っ手を巻いて、雪の積もった階上の非常口からスタントマンのように危険な技で地上に降りる。何かで読んだが、マット・デイモンはこの映画で、スタントマンの力を一切借りずに危険技と格闘技を自分でこなしたと監督が褒めていたそうだ。殴り合いのシーンが結構たくさんあって、R指定は過激アクションのため PG-13 指定になっているほどだ。  外に逃げて、駐車していた赤い車に乗ろうとするさっき見かけた女性に交渉する。1万ドル(約120 万円)上げるからパリまで乗せてってくれ、着いたらもう1万ドル渡すと。この若い女性、マリー・サン・ジャック(フランカ・ポテンテ)はお金が要るところだったので、怪しい人物かと心配しながらも承知してしまい、助手席にジェイソンを乗せてパリへの長い道中を走る。ジェイソンは記憶喪失のことを彼女に伝え、マリーはご機嫌でしゃべり続ける。途中、ガソリンスタンドや軽食の店に寄って二人は気が合って楽しげだ。でもジェイソンはその最中も常に辺りの気配に目を配って、決して気を抜くことはしない。  とうとうパリに着いた。パスポートの住所のアパルトマンに入ろうとして、管理人のおばさんから名前を呼ばれて、ここでは別の名前だとわかる。マリーは約束の残りの1万ドルを照れくさそうに受け取るが、ここで別れないで彼の部屋までついてくる。この頃から、ジェイソンだけでなくマリーまで手配の顔写真が流れ、常に追っ手が目を光らせて暗殺しようとしている。マリーが洗面所を使っていると外からライフルの男がガラスを打ち破って襲ってきて、ジェイソンと格闘。ここまでも危険が迫っているからこのアパルトマンはもう居られない。マリーの赤い車を今度はジェイソンが運転して、パトカーと白バイ相手に物凄いカーチェイスを繰り広げる。アメリカと違って狭い路地もあるので、そんな所もギリギリの幅で突進して行くし、広い通りは逆行もする。彼のドライヴィング・テクニックも尋常ではないことにマリーは怖さと逞しさを感じるのだった。  街の安宿に身を置いた二人は、マリーの肩までの長髪を変装のためにショートカットにする。そして二人は結ばれる。でも、いつでもハラハラしていなければならない。狙撃手がすぐ狙ってくるし、大物の男が暗殺されたりして、物騒な環境は変わらない。でも彼の記憶はだんだん取り戻しつつあり、マリーもそれを知って喜んでくれる。  マルセイユに鍵があるとわかって南下を始める二人は、途中、マリーの知り合いの広い農家に立ち寄る。男性と幼い娘が二人とリトリーバ犬。早朝、マリーより早くすでに起きているジェイソンは相変わらず外の気配を注意している。犬がいなくなったと聞きピンときて、全員を地下室に避難させ、農家にあったライフルに弾を詰めて、彼は一人、屋外に出て、狙撃手と対峙する。この居所がわかったのも、CIAの敏速な調査でマリーが以前二ヶ月ほど滞在したことがあったのを突き止めたからだった。撃ち合いで恐怖の農家の一家はすぐ車で立ち去る。ジェイソンは自分と一緒にいる限り命を狙われるマリーを、彼らの車に便乗されて、二人は別れることになった。二度と会うことはないと、ジェイソンは殺気立って告げる。  狙撃の男から死ぬ直前に情報を入手し、ジェイソンはCIAの幹部とパリのポン・ヌフで落ち合う約束を電話でして、パリに戻る。しかし見張りが大勢いるのを察知し、別の行動に出る。そして、幹部らと話を進めるうちに、記憶喪失に陥った過程と命を狙われる理由が明らかにされる…。ここまでは全体にサスペンス特有の暗く地味な映像が多いし、一時も気を緩めることができないドキドキ状態が続く。  最後が急に明るい場面だ。南仏かイタリアの海辺の白壁のレストラン。冒頭の荒れて暗い地中海と対照的な、実に晴れた明るさ。マリーの髪の毛が少し長くなっているから、半年くらい経ったのだろうか。日光のまぶしい夏だ。自分の店でエプロンをかけたマリーの背中に男の声がかけられる。白いポロシャツ。何もかも以前と対照的な!そこにジェイソンが微笑んで立っているではないか。スパイの仕事は辞めて、マリーの許に戻ってきたのだ。ハッピーエンド! 以上。 <もっと詳しく>からスペースを含まず3361文字/文責:幸田幸 参考資料:allcinema ONLINE       IMDb       Ottawa - CinemaClock.com