ヘイフラワーとキルトシュー
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ヘイフラワーとキルトシュー (2002)
HAYFLOWER AND QUILTSHOE
 映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』をレヴュー紹介します。

 映画『 ヘイフラワーとキルトシュー HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』を以下に目次的に紹介する。
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』のポスター、予告編および映画データ
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の解説
 ネタばれをお好みでない方はこの解説をご覧下さい。
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の原作
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の主なスタッフ・キャスト
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の配給会社
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』のあらすじ
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の受賞
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』のトリビア
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』のスタッフとキャスト
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の<もっと詳しく>
 <もっと詳しく>は映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー(あらすじとネタバレ)です。※ご注意:映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の内容やネタバレがお好みでない方は読まないで下さい。
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の結末
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の感想
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の舞台フィンランド(エッセイ)
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』の更新記録

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幸の鑑賞評価: 8つ星 
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) 』のポスター、予告編および映画データ
ヘイフラワーとキルトシュー
ヘイフラワーとキルトシュー
ポスターは公式サイト
より用・加工させて頂きました。

Links:  Official Web Site
Trailers:
上映時間 Runtime: 1:12
製作国 Country: フィンランド
Finland
製作会社
Production Company:
FS Film Oy [fi]
Kinotaurus [fi]
本国配給会社 Distributer: FS Film Oy [fi]
全米初公開 Release Date: 2003/10/23 (Chicago International Children's Film Festival)
日本初公開 R. D. in Japan: 2005/10/15 予定
日本公開情報 : アンスール=イフ
ジャンル Genre: ドラマ/ファミリー
Drama / Family
MPAA Rating 指定: Not rated.
日本語公式サイト
http://www.hayflower.com
●スチルはnostalgia.com、予告編はcinemaclock.comより許諾をえて使用しています。
Filmography links and data courtesy of The Internet Movie Database & Nostalgia.com.
Filmography links and data courtesy of CinemaClock Canada Inc.
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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の解説

 『 ヘイフラワーとキルトシュー 』というちょっと風変わりなタイトルだが、これはフィンランドの7歳と5歳の姉妹の名前(の英語版)が題になっているのだ。フィンランドでは原題は『 HEINÄHATTU JA VILTTITOSSU (ヘイナハットゥとヴィルッティトッス)』という。幼い姉妹の仲のよさ、嫉妬や独り占めの気持ち、親子関係、感情の行き違い、近隣の人々の優しさ、等々、空気の澄み渡る美しい田園地帯でドラマは繰り広げられる。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の原作

 映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』は、フィンランドの首都ヘルシンキ Helsinki に住む姉妹シニッカ・ノポラとティーナ・ノポラという児童文学書作家による幾冊かの本が原作になっている。映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』はノポラ姉妹の諸々の本からのストーリーの面白い詳細を忠実に脚本にしてある。「ヘイフラワーとキルトシュー」らの物語は日本では知名度がまだ小さいかもしれないけど、フィンランドでは子供達に大人気、そして子供のいる家庭で愛読されているそうだ。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』のスタッフ・キャスト

 映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』では、カイサ・ラスティモが監督・脚本・編集の三役を務めている。スタッフもキャストもフィンランド人なので、知っている作品に携わっている人はいなかった。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の配給会社

○『 ヘイフラワーとキルトシュー 』のフィンランドの配給会社は FS Film Oy :
サーティーン/あの頃欲しかった愛のこと (2003) THIRTEEN
マスター・アンド・コマンダー (2003) MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD
ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003) THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING
真珠の耳飾りの少女 (2003) GIRL WITH A PEARL EARRING
アイス・エイジ (2002) ICE AGE
THE CUCKOO (2002)
スパン (2002) SPUN
ロード・オブ・ザ・リング (2001) THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING <前編>
ロード・オブ・ザ・リング (2001) THE LORD OF THE RINGS: THE FELLOWSHIP OF THE RING <後編>
シャンハイ・ヌーン (2000) SHANGHAI NOON
ミッション・トゥ・マーズ (2000) MISSION TO MARS
ホワット・ライズ・ビニース (2000) WHAT LIES BENEATH
マグノリア (1999) MAGNOLIA

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』のあらすじ

 ヘイナハットゥ(カトリーナ・タヴィ)とヴィルッティトッス(ティルダ・キアンレト)という幼い姉妹は大の仲良し。ここでは、英語版的にヘイフラワーとキルトシューとしておこう。ヘイフラワーとキルトシュー姉妹はフィンランドの田園地帯で父母と暮らしている。姉ヘイフラワーは7歳ながら、面倒見がとてもよくて、お母さんよりもよく家事をするし妹の世話もしてあげている。妹のキルトシューはいかにも妹という感じで、ピッグテールで腕白でお茶目で短気な5歳。スチルでも二人は物凄く可愛い。

 ヘイフラワーとキルトシューの父親マッティ・カッティラコスキー(アンティ・ヴィルマヴィルタ)は植物学の科学者で、生涯の研究対象が‘ジャガイモ’。だから家にいることはあまりなくて、畑でジャガイモの塊茎をいじっていたり研究室でビーカーとにらめっこしたりと、研究ばかりに勤しんでいる。母親ハンナ(ミンナ・スローネン)は家事の苦手なタイプの主婦だ。毎日することと言えば、夫の‘収穫物’ジャガイモを毎食の料理として焼くことくらい。だから長女ヘイフラワーが家事を母の代わりにやったり妹の世話もしたりしている。

 ヘイフラワーとキルトシューは一緒に遊び、姉が妹をよく面倒みて、親友のように切っても切れない間柄の仲のよい姉妹だったのが、問題が起こる。それは、ヘイフラワーはあと一週間で小学校に通うことになるから、学校に行って留守の間、誰がキルトシューの面倒を見てくれるかということ。更に、家事のズボラの母親の代わりをヘイフラワーがしていたのに、掃除や皿洗いや色々な家の用事は一体誰がするようになるの。姉が心配しているのと同じに、妹キルトシューだって、お姉ちゃんが学校に行ったら誰が一緒に遊んでくれるのかと小さな胸を痛めている。

 そんなことをくよくよしないで学校に集中するために、ヘイフラワーは家庭の問題を先ず片付けねばならないと感じる。でも、母親はあの通りだし。父親も全然当てにならない。短気な妹のキルトシューは激怒。そして、子供はこんな家に住むことなんかできないと言う。そこで、姉妹はかんしゃくを起こして家を出て、隣のハリセ(パイヴィ・アコンペルト)とヘルガ(メルヤ・ラリヴァーラ)の姉妹を訪れた。

 ハリセとヘルガはちょっと変わった‘オールドミス’達で、叔母さんのように親切にしてくれる。ヘイフラワーとキルトシューのカッティラコスキー家では毎食にジャガイモ料理を食べさせられているのを知っているから、ジャガイモでない美味しいスパゲッティを夕食にご馳走してくれた。幼い二人は嬉しくてたまらない。ヘイフラワーとキルトシューは歓待を受けてワクワク。でも楽しかったのはそれまでで、警官が幼いヘイフラワーとキルトシュー姉妹を両親のいる家まで連れて帰ってしまったのだ。

 家庭は危機に陥り、ヘイフラワーとしたらもうたくさん、って感じ。両親も警官もどうにもしてくれない。父親が少し口を出しても何の改善にもならない。ということは、出来ることは一つだけ。自分以外の人を変えられないのならば、ヘイフラワーが自分自身を変えることだった。そして遂に小学生として通学し始めると、ヘイフラワーは人生で一番難しい問題を学ぶ。子供がいい子にしている限り、大人は何も学ぼうとはしないのだ、と。

 なお、このあらすじは映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』を観る前に書いたものです。鑑賞後に書いたレヴューは下記<もっと詳しく>にあります。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の受賞

◎『 ヘイフラワーとキルトシュー 』はシカゴ国際子ども映画祭 2003 Chicago International Children's Film Festival で
子ども審査員賞 Children's Jury Award - Certificate of Merit に輝いた。

◎『 ヘイフラワーとキルトシュー 』はフィンランド映画祭 2003 Jussi Awards で
最優秀衣装デザイン賞 Best Costume Design と最優秀セットデザイン賞 Best Set Design の2部門で受賞した。
また、同映画祭で『 ヘイフラワーとキルトシュー 』は最優秀作品賞 Best Film にもノミネートされた。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』のトリビア

名前の Heinahattu = Hayflower ヘイナハットゥ = ヘイフラワーや
名前の Vilttitossu = Quiltshoe ヴィルッティトッス = キルトシューや
苗字の Kattilakoski = Kettlefall のように英語ではなるらしい。どうしてだろう。フィンランド語を英語直訳するとそうなるのかナ?
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【『 ヘイフラワーとキルトシュー 』のスタッフとキャスト】
監督: カイサ・ラスティモ Kaisa Rastimo (Directed by)
製作: マルコ・ラウハラ Marko Rauhala (producer)
    Sinikka Usvamaa (producer)
原作: シニッカ・ノポラ Sinikka Nopola (books)
    ティーナ・ノポラ Tiina Nopola (books)
脚本: カイサ・ラスティモ Kaisa Rastimo (Writing credits)
    マルコ・ラウハラ Marko Rauhala (Writing credits)
撮影: トゥオモ・ヴィルタネン Tuomo Virtanen (Cinematography by)
編集: カイサ・ラスティモ Kaisa Rastimo (Film Editing by)
美術: Katriina Ilmaranta (set designer)
衣装: Tiina Kaukanen (Costume Design by)
音楽: ヘクター Hector (Original Music by)

出演: カトリーナ・タヴィ Katriina Tavi as Heinahattu ヘイナハットゥ
    ティルダ・キアンレト Tilda Kiianlehto as Vilttitossu ヴィルッティトッス
    ミンナ・スローネン Minna Suuronen as Hanna Kattilakoski 母ハンナ
    アンティ・ヴィルマヴィルタ Antti Virmavirta as Matti Kattilakoski 父マッティ
    パイヴィ・アコンペルト Paivi Akonpelto as Halise Alibullen 隣人ハリセ・アリブレニン
    メルヤ・ラリヴァーラ Merja Larivaara as Helga Alibullen 隣人ヘルガ・アリブレニン
    ヘイキ・サンカ Heikki Sankari as Konstaapeli Isonapa ポッチャリ警官
    ロベルト・エンケル Robert Enckell as Konstaapeli Rillirousku メガネ警官
    Heikki Ahonius as Postimies 郵便配達人
    Henriikka Salo as Laakari

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<もっと詳しく>

ストーリー展開の前知識やネタバレがお好みでない方は、読まないで下さい。
 私は日本公開前に『 ヘイフラワーとキルトシュー 』を観る機会に恵まれたのでレヴューします。

■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』の「テキストによる映画の再現」レヴュー

【ヘイフラワーとキルトシュー 第01段落】  ものすごく明るく夢のように綺麗な映像から映画は始まった。そしてその色彩の美しさは映画の間ずっと最後まで続いていた。幸はフィンランドはヘルシンキ Helsinki 空港しか経験がないのだが(別ファイル: 幸田幸「帰路、初めてのフィンランド航空」参照ください。)、フィンランドってこんなに綺麗なのだろうナ、なんてマジに感心してしまうほどの美しさ。庭の緑も、家庭のインテリアも。部屋はピンクとオレンジ系とか、ラヴェンダー系とか、ホントにファンタジーの世界に入ったみたい。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第02段落】  二人の幼い姉妹は両親に遊んでもらいたがっている。姉ヘイナハットゥ(カトリーナ・タヴィ)<英語式ではヘイフラワー>は7歳、妹ヴィルッティトッス(ティルダ・キアンレト)<英語式ではキルトシュー>は5歳。二人ともブロンドの長髪の可愛い女の子。パパ(アンティ・ヴィルマヴィルタ)は植物学の科学者で、生涯の研究対象が‘ジャガイモ’なのだ。だからパパは、家の広〜い庭の畑でジャガイモの塊茎をいじっていたり家の部屋の研究室でビーカーとにらめっこしたりと、研究ばかりしていて、「ママに遊んでもらいなさい。」

【ヘイフラワーとキルトシュー 第03段落】  じゃ、ママに遊んでもらおうと、ヘイフラワーとキルトシューはママの所にいく。すると、ママ(ミンナ・スローネン)はソファで新聞を読んで職探し。遊んでなんてくれない。7歳の姉ヘイフラワーは掃除機で部屋の掃除までして、それが終わったら、妹キルトシューに躾(しつけ)もしながら一緒に遊んでやる。万事がこの通りで、ママは家事が苦手だし、やろうとしない。夫の‘収穫物’ジャガイモは仕方なく毎食の料理として焼いているけど。長女ヘイフラワーはそんな母の代わりに家事をやったり妹の面倒を見たりしている。ヘイフラワーは聞き分けのよい、従順な、いわゆる‘いい子’だ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第04段落】  このヘイフラワーは間もなく小学校に入学する。具体的にそれがどういうことか分からない妹キルトシューは、早く私も学校に行きたいと言う。なぜかというと、学校ではスパゲッティが食べられるから。緑豊かなお庭でヘイフラワーとキルトシューの姉妹がそうやって遊んでいると、お隣さんのハリセ(パイヴィ・アコンペルト)とヘルガ(メルヤ・ラリヴァーラ)というちょっと変わった‘オールドミス’が庭から訪れた。あとで分かるが、「隣」と言っても1km くらいありそうな、自然豊かな地でのお隣である。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第05段落】  ハリセとヘルガの双子姉妹は、ヘイフラワーとキルトシューを普段から可愛がってくれている。入学祝ということでヘイフラワーにはスクールバッグ<リュックサックのような感じの>を、そして妹には、まだ入学でないのでポシェットを持ってきてくれたのだ。ヘイフラワーとキルトシューは自宅では毎回ポテトばかりなので、ハリセとヘルガの家の食事の方がおいしいと文句を言っている。そんな娘達の文句に加え、丁度ママはスクールバッグを買おうとしていたところだったと言って、家から出てきたママは、お隣さん姉妹にちょっとムッとしている。食事も家事も色々こなせるお隣さん姉妹ハリセとヘルガに、ママは一種の嫉妬をしているようだ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第06段落】  そこへ、郵便配達(Heikki Ahonius)が手紙を届けてきた。パパが開封して読むと、「入学までに靴紐を自分で結べるように、そして芋の皮を剥けるようにさせておいてください。」という学校からの連絡事項だった。イモ博士のパパは、ジャガイモは皮のすぐ下の部分が一番栄養があるのに、とぼやいている。そしてヘイフラワーとキルトシューの嫌いなジャガイモ料理をまた食べて、食事の後片付けも姉ヘイフラワーがしている。妹キルトシューを寝かしつけるのも姉がしている。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第07段落】  もうすぐお姉ちゃんは学校だ。そうしたら誰がイモの皮を剥いてくれるの?誰が靴の紐を結んでくれるの?誰が遊んでくれるの?お願い、学校へ行かないで、と妹キルトシューは泣きそうだ。幼い姉妹はベッドルームもベッドも一緒。ブルー系統のメルヘンチックなお部屋だ。そんな頃、階下のソファでは、パパとママが話している。ママは家事をしていない人なので、長女ヘイフラワーが学校へ行くようになったら誰が洗濯をするの?私がこれからは洗濯をしなければならないの?私は大学を出ているのに、家政婦にするつもりなの?なんて、聞き捨てならないこと言っている。<フィンランドってこんな思想なのか???> ママは家事はしないで外で職業に就きたいのだ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第08段落】  二階のベッドルームから降りてきた姉ヘイフラワーは、学校へ行ってからの妹キルトシューのことを両親に‘頼もうと’したのに<それもヘンだなぁ・・・>、ママはいとも簡単に、「早く寝なさい。」 戻ってきた姉に、妹キルトシューは、子供だからいつもいい子でいることない、と言い捨てる。妹キルトシューは、幼いのに結構気が強くて短気だ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第09段落】  翌朝、ママは何と洗濯をしている。でも、娘達の大事にしているテディベアまで全自動洗濯機に入れてしまったので、縫い包みの熊さんたちが死んでしまう、とヘイフラワーとキルトシューは喚(わめ)く。そして実際、出来上がってきたテディベア二匹は縮んでしまっていた。これで、せっかくママは洗濯に挑戦したけれど失敗。食事でも、上手くいかないことばかりで、特に妹キルトシューがママになじる。大分生意気なチビさんだ。嫌いなポテト料理ばかりでスパゲッディもないし。もうこんな家にいられない、とプンプンして庭に出て行った。慌てて姉ヘイフラワーもついていく。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第10段落】  二人の向かった先は、お隣のハリセとヘルガの双子姉妹の家だ。とことこ野道を歩いていく。ここもカラフルな家。すると、姉妹の一人が大きいお尻を窓枠につめて抜けないで大騒ぎになっていた。助けようとしているのは工事人?かと思ったら、フィンランドのお巡りさん。青いユニフォームで、パトカーは青いフォルクスワーゲン Volkswagen Police Van で何と可愛いこと!警官(ヘイキ・サンカとロベルト・エンケル)は気のいい二人だ。ヘイフラワーとキルトシューが救出に成功したので、二人は威張って、この家に引越しして住むと主張している。各部屋を見て周り、食事は大好きなスパゲッティをご馳走になった。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第11段落】  ヘイフラワーとキルトシューの自宅では、二人がいなくなって心配し、とうとう警察に電話した。例の警官二人はヘイフラワーとキルトシューをハリセとヘルガの家まで迎えに行った。これで、お隣と言っても近くはないのだと分かったのだ。娘達が無事に戻ると、ママはどんなに心配したか、と言って抱きしめる。ママは家事はダメで子供を遊んでやらないけど、決して子供を可愛がっていないということではない。今日はママもパパも娘たちに本を読んでやる。そして、どうして家出をしたのかと長女ヘイフラワーに尋ねる。ヘイフラワーは、私が学校の間、妹は遊んでもらえないからだと語る。兎に角、妹の方はすごい短気なのだ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第12段落】  ヘイフラワーは神に祈った。学校に行くと、私の家に問題が起こる。パパはジャガイモの研究ばかり。ママは外で仕事をしたがっている。どうか普通の家庭でいられますよう。ママはエプロン姿でパンを焼いてくれますよう。パパは早く研究を終えますように。そうすれば一緒に遊べる。妹を、パパとママが可愛がってくれますように。・・・と健気な姉の祈りであった。それを陰でママは聞いた。ジーンとなるママ。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第13段落】  翌朝、ママはキッチンでパンを焼こうと張り切っている。それを見てヘイフラワーは神に感謝。でも、ママは牛乳やイーストの使い方が分からず、ヘイフラワーが教えてあげる始末。それは全て隣のハリセとヘルガが教えてくれたのだと知り、ママはまたイライラ。今度は、陽気に遊ぼうとママが提案する。風船に水を満たして、階上のバルコニーから庭に放り投げるという単純な遊びだ。これには妹キルトシューも大喜びでハイになる。すると、ハリセとヘルガ(のどちらか)に気がある警官が通りかかり、風船の水がかかったのでちょっとキルトシューに怒ったので、キルトシューはママが牢屋に入れられてしまうと思ったり。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第14段落】  そんなことから、家族で楽しめることをしよう、スポーツとか、と決まる。姉ヘイフラワーは再び神に感謝。パパは、スポーツだからフェアプレイでと言っている。姉ヘイフラワーは、いつも‘いい子’にして妹に勝たせてあげているから、パパもフェアプレイが必要だと言っているし、どうか私に勝たせてください、と神に祈る。初めて姉ヘイフラワーは本心を見せた。

【ヘイフラワーとキルトシュー 第15段落】  広い庭に、トラックや、幅跳び、高跳び等の支度がなされ、オリンピックごっこの始まりである。ヘイフラワーとキルトシューの一家四人に、お隣さんハリセとヘルガらもいる。これで楽しくしていたのだが、かけっこで妹キルトシューがズルをした。フェアプレイでないのに一番となって表彰され、姉ヘイフラワーはこれまでの鬱憤の溜まってきたことが爆発する。妹の自分勝手さや利己主義な言動でも、親達はお姉ちゃんは我慢しなさいって態度だ。不公平さに憤慨した姉ヘイフラワーは反抗に出た。これまで文句も言わずいつもいい子だったヘイフラワー。

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◆ここからは、結末まで書いていますので、ストーリー全体が分ります。御注意下さい。
 ATTN: This review reveals the movie content. Please don't say that I didn't say !
 ここまでネタバレを書いてきましたが、映画を観せていただいた配給会社への配慮として、これ以上のネタバレは差し控えます。どうか映画館で鑑賞くださいますよう、宜しくご理解ください。

ヘイフラワーとキルトシューのネタバレ処理
 「行って来ます」「じゃあね」というのは、フィンランド語では「ヘイヘイ Hei hei 」「ヘイヘイ Hei hei 」って言っていた。

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■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー (2002) HAYFLOWER AND QUILTSHOE 』の感想
 映画「ヘイフラワーとキルトシュー」の日本語公式サイトには<フィンランドで公開するやいなや大ヒット!総人口500万人の国でハリウッドアニメをはるかに超える35万人の動員を記録しました。キュートでピュアな姉妹の物語がついに登場です!!楽しくやさしい笑顔と無数にちりばめられたかわいい家具や雑貨の数々。深く美しい森には草花があふれ、北欧の澄んだ空気が流れます。出てくるもののすべてが(女の子ゴコロ)をくすぐるはず!!>と紹介されています。
 幸の鑑賞後の感想としては、兎に角映像がきれいで夢のよう。家は素敵だし、エクステリアは広く、豊かな緑と明るい草花で一杯!カーテン、壁紙、家具などの調度品や雑貨で満たされたインテリアはすごくカワイイ。そして森と緑が美しく人に優しい。女の子なら一度こんなところで暮らしてみたいと思うのは当然。主人公のかわいいヘイフラワーとキルトシューの西洋の子供独特の茶目っ気と無邪気さ。そして自己主張...。
 本作「ヘイフラワーとキルトシュー」は、今年生誕60周年を迎えたムーミンやサンタクロースの故郷として有名な北欧フィンランド、いや今では「ITと教育」のフィンランド言っても過言ではない森の国フィンランドで、35万人(フィンランド総人口約520万人)を動員し、フィンランドにおける興行記録を更新(公開時)しただけある。映画「ヘイフラワーとキルトシュー」は、国民的児童文学が原作のメルヘンチックな映像と無邪気な少女のお話だが、幸は別に、「男女平等」と「家庭と仕事との両立」「男女平等社会の皺寄せ<しわよせ>」を感じ取ってしまった。
 ヘイフラワーの悩みとママやパパの対応。ご近所の双子の30歳ぐらいの姉妹の存在。それらがチョッと気になって、フィンランドのことを調べて、独り言エッセイ「フィンランド」を書いた。本作「ヘイフラワーとキルトシュー」は、日本への問題提起と受け取れない映画ではないと思うのは幸の考え過ぎかもしれないが、日本の抱えている少子化問題→労働人口の減少→女性の労働市場への進出→男女平等・家族政策のインフラ整備などへと問題が深くなっていく・・・もっと詳しく

以上。
<もっと詳しく>からスペースを含まず5582文字/文責:幸田幸

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参考資料:「映画の森てんこ森」映画タイトル集
       http://www.coda21.net/eiga_titles/index.htm
      IMDb
      allcinema ONLINE
      Nostalgia.com
      CinemaClock.com
      潟Aンカー・プロモーション提供情報
      公式サイト(フィンランド版)
       http://www.fs-film.fi/heinahattu/
      European Children's Film Network - Films
       http://www.ecfaweb.org/ecfnet/films/b158.htm
      The Finnish Film Foundation
       http://www.ses.fi/en/film.asp?id=257
      Inside Publications - Chicago Children's International Film
       http://www.insideonline.com/site/epage/12967_162.htm
■映画『 ヘイフラワーとキルトシュー 』の更新記録
2005/05/15新規: ファイル作成
2005/09/25更新: ◆データ追加
2005/09/29更新: ◆レヴュー作成
2005/10/01更新: ◆感想追記
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幸田 幸
coda_sati@hotmail.com
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